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植物が成長に必要とする養分には、窒素、カリとならんで3要素とされる、「リン酸」があります。リン酸は花肥や実肥とも呼ばれ、草花にはもちろん、果菜類の野菜にとっても大切な肥料です。
このページではリン酸肥料について紹介しています。与え方やリン酸肥料の種類、自分で作ることはできるのか、気になる方はぜひご参照ください。
リン酸は植物の成長に欠かせない養分のひとつで、その中でも窒素やカリと並んで、肥料として与える分量の多い3要素のひとつとされています。「花肥」や「実肥」とも呼ばれ、おもに花や実つきをよくするために施す栄養分です。
土の中や肥料ではリン酸とよびますが、実際の元素ではリンであり、リンの元素記号の「P」と表記されることもあります。
リン酸は植物には欠かせない栄養成分で、花つきがよくなる、実つきがよくなるという効果があります。
これは、リン酸が遺伝子や情報伝達のもととなるDNA・RNA(核酸)を構成する重要成分であり、細胞膜を構成する成分であるためです。
つまりリン酸が適正値だと、植物の中で「花を咲かせよう」とか「実をつけよう」という情報伝達が的確に行われて、なおかつ新しく作り出すつぼみなどの細胞にまわってくれるということなのです。
ちなみにリン酸自体は植物に元からある成分です。生育期の植物の根や芽の先端には多く含まれています。
リン酸は他の肥料養分と違って、水に流されにくく、土の中にとどまりやすいという特徴があります。そのためリン酸肥料においては、元肥で必要全量を施し、追肥では施さないのが基本です。
ただし、多年草の草花については、開花前にリン酸肥料を施すと花つきがよくなります。
果菜類の野菜であるトマトは、1㎡あたり窒素25g・リン酸30g・カリ25gを必要とします。
この場合、元肥では窒素10g・リン酸30g・カリ10gを施して、あとは2回にわけてNK肥料を使って窒素15g・カリ15gのみを追肥するというのが、リン酸肥料の施肥イメージです。
一方、よく使われるNPK8-8-8型(3要素が同率含有)の肥料を元肥に使う場合は、窒素を基準に元肥の量を決めると、窒素10g・リン酸10g・カリ10gとなってしまいます。このようなリン酸の量が足りないときには、リン酸単肥を合わせて使い、リン酸が30gになるようにするといいでしょう。
どの程度リン酸肥料を必要をするかは育てる植物によって異なりますが、適切な量のリン酸を与えることが大切です。
たとえば、元肥でリン酸肥料の必要分をすべて施したのに、追肥する肥料にリン酸の成分がふくまれると、過剰状態になるので気をつけましょう。
リン酸肥料に過不足がおこると、次のような症状がでるので、目安にしてください。
リン酸が欠乏していると、葉が濃い緑色になっていき、しだいに赤みもしくは紫色にそまっていく症状がでます。また、株全体にツヤやはりがなくなり、とくに下葉は赤みがかって落葉することもあります。
リン酸が過剰な状態になっている場合、草丈が伸びずに生育不良を起こす可能性があります。
また、リン酸は腰部の微量要素であるマグネシウムと、互いの吸収を高める相互関係をもっており、リン酸が過剰になると、逆にマグネシウムの吸収がうまくいかずに、下葉の葉脈の間が数珠状に応変するマグネシウムの欠乏症を起こします。
リン酸肥料は骨粉、鶏糞、コメヌカなどからできています。遅効性を持つ成分なので、元肥や置き肥として使われます。
リン酸は与えすぎると生育不良になることもあるので、必ず適量を守るようにしましょう。
よく使われる化成肥料については、NPKの比率によってリン酸の含有率がかわるので、製品表示をよく確認しましょう。
そのほか、リン酸が多く含まれる肥料は次のものがあります。
リン酸17〜24%、窒素4%
緩効性の有機肥料で、過リン酸石灰や草木灰と併用して使う必要がある。
リン酸、5〜9%、窒素3〜4%、カリ3%、石灰10〜15%
速効性の有機肥料で、乾燥鶏ふんなら施肥後3〜4週間、発酵鶏ふんなら施肥後1週間で作付けできる。
リン酸4〜6%、窒素2%、カリ1%
緩効性の有機肥料で、施してからよくすき込むようにする。施肥後3週間後に作付けする。
リン酸20%、苦土15%、ケイ酸20%、アルカリ50%
緩効性の単肥。硫安や塩安などの酸性肥料に接することで溶けてゆっくり効果がでる。酸性土の土作りにも向いている。
リン酸17〜20%
速効性の単肥。水に溶けやすく、栽培期間が短い作物に向いている。
リン酸肥料は骨粉や米ぬかなどから作ることができます。米ぬか3:油かす1:牡蠣殻1の割合で混ぜて作ります。
牡蠣殻は細かく砕いてください。スーパーで買った牡蠣でも問題ありません。。他にも骨粉や鶏糞、コーヒーかすでも作ることができます。
材料の入手にお金がかかることもあるため、鉢植えなどで少量の肥料が必要な場合は作らずに市販の肥料を購入する方が多いです。畑で大規模栽培をするような方は肥料を作ることもあります。
植物の生長が悪いと思ったらリン酸が足りないのかもしれないのでリン酸肥料を与えましょう。リン酸のみが入っている肥料ではなく、3大肥料が入っているものを選びます。
肥料の割合が商品によって違うので、育てている植物の状態にあったものを選んでください。野菜や果物を育てている方はとくにリン酸肥料は重要になるので、1つ持っておくとよいですよ。
GreenSnap編集部