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ノカンゾウは、赤みの強いオレンジ色の、日が昇ると開花し、夕方には咲き終えてしまう一日花です。山菜として美味しく食べることもできます。ここではそんなノカンゾウの花の特徴や食べ方、収穫方法のほか、似た花(ヤブカンゾウ)との違い、花言葉などについてもご紹介します。
ノカンゾウ(野萱草)はツルボラン科ワスレグサ属の植物で、ワスレグサの一種です。元来ユリ科に分類されていましたが、研究の結果現在はツルボラン科に分類されています。
雑木林の日当たりのよい場所や田畑の畦道など、やや湿ったところに多く自生しています。地下茎(ランナー)をのばし増えていくため、群生していることもしばしばあります。
ノカンゾウはユリのような形のオレンジ色の花を咲かせますが、特に赤みの強い個体は「ベニカンゾウ」ともいわれます。
学名の「Hemerocallis」はギリシャ語で「hemera(一日)+callos(美)」が語源で、ワスレグサ属の美しい花がたった1日しか咲かないことに由来します。
ノカンゾウの茎や花に、小さな白い虫が多数ついていることがあります。これを「キスゲフクレアブラムシ」といい、ノカンゾウやヤブカンゾウなどワスレグサ属の花期に発生しやすい害虫です。キスゲフクレアブラムシの胴体は黄色ですが、ロウ物質に覆われているため白く見えます。
ノカンゾウは6月~8月の暑さの激しい時期が花期で、花やつぼみは山菜としても食べられます。
ノカンゾウは元々ユリ科に分類されていたこともあり、花姿はユリと非常によく似ています。赤みの強いオレンジ色の花びらには、濃淡のある筋が入ったような模様があります。
また、ノカンゾウの花は日が昇ると咲き始め、夕方には咲き終えてしまう一日花です。
ノカンゾウのつぼみは直径3cm~4cmほどの小さいバナナのような見た目です。ノカンゾウ一株あたり3個~5個のつぼみをつけ、次々と咲かせます。
葉や新芽はクセがなく柔らかいので、生で食べることもできます。火を通すことでほんのりと甘みが増します。つぼみは、やや酸味のあるアスパラのようで美味しいと評判で、花も湯がくとシャキシャキとした食感になります。
ノカンゾウの山菜としての風味を生かすのに最適な調理方法は天ぷらです。新芽やつぼみを茹でたり蒸したりして、酢・味噌・砂糖を適量あわせた酢味噌和えやマヨネーズをかけても美味しくいただけます。
6月~8月頃採取したノカンゾウのつぼみを蒸したあと天日干しにして乾燥させたものや、根・茎・葉に分け干して乾燥させたものを「金針菜(キンシンサイ)」といいます。
つぼみは解熱作用、葉や根は利尿作用や消炎、止血薬に効果がある生薬として利用されます。さらに風邪や不眠症、むくみの軽減にも効果が期待されています。
主に沖縄方面では「クヮンソウ」と呼ばれ、不眠症の改善や精神安定が期待される民間薬として古くから親しまれています。
ノカンゾウの新芽は、あたたかくなってきた頃の3月~5月頃に採取できます。花やつぼみは真夏である7月~8月に収穫できるでしょう。
新芽は根元から手で折るように採取するか、鎌やナイフで刈り取ります。10cmほど地表にでている鮮やかな黄緑色の葉のものを選びましょう。
つぼみは、次の日には花を咲かせそうな十分に膨らんだものを選びます。つぼみよりもやや下の茎の部分から手で折って収穫します。
ヤブカンゾウはノカンゾウとよく似ていますが、ノカンゾウが一重咲きなのに対しヤブカンゾウは八重咲きです。全体的にヤブカンゾウよりもやや小さめで、ノカンゾウの方が葉も細いです。花が咲くまではどちらか見分けるのが難しいともいわれています。
ノカンゾウの園芸品種で、ピンク、ワインレッド、黄色などさまざまな花色があります。また草丈も30cm~150cmと幅広く、用途にあわせて選びやすいです。
花期は5月中旬~8月頃までのものが多く、反り返ったような雄しべが特徴的です。
トキワカンゾウは草丈30cm~60cmほどで、九州以南の海辺の草地に多く自生しています。トキワカンゾウの花期は9月~11月と秋であることがノカンゾウとの違いです。
沖縄ではトキワカンゾウを「クヮンソウ」といい、山菜としてだけでなく民間薬としても利用されています。
ノカンゾウとよく似ていますが、ハマカンゾウは海岸に自生していることが多いです。花期は7月~10月頃で、葉は細く厚い特徴があります。
ハマカンゾウは冬も地上に葉を残して越冬し、ノカンゾウと大きく異なる点でもあります。
ノカンゾウの花は日が昇ると咲き始め、夕方には咲き終えてしまう一日花です。美しいノカンゾウの花姿を一目見ようと楽しみに待ちかねている気持ちを表現しています。
ノカンゾウは別名“忘れ草”とも呼ばれ、身につけていることで憂鬱な気持ちを払えると信じられていました。ノカンゾウを肌身離さず持ち歩くことで、恋愛への不安や憂いを忘れたいとする様子からつけられたとされています。
そのほかにも、ノカンゾウのすっと空へ伸びた美しい花姿からつけられたさまざまな花言葉があります。
真夏に花期や収穫期を迎えるノカンゾウは7月4日の誕生花でもあります。
「憂いや心配事を忘れさせてくれる」と伝えられてきた“忘れ草”であるノカンゾウを目で見て楽しむだけでなく、夏の山菜として味わってみてはいかがでしょうか。
橘