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夏の終わり頃から、スクっと伸びた茎の先に花穂をつけるツルボ(蔓穂)。下から薄いピンク色の花を順々に咲かせる姿が、フリフリのチュチュを連想させるとてもかわいい花です。
この記事では、そんなツルボの花の特徴や名前の由来、育て方、花言葉などのほか、似た花とその違いなどもまとめています。
ツルボとはキジカクシ科ツルボ属の多年草で、山野から草地また海岸部の岸壁などさまざまな日当たりの良い場所に育成します。春には葉を茂らせ夏になると葉を枯らせて球根の状態で休眠する特徴があります。秋になるとまた葉を出し薄いピンクの小さい花を穂状に咲かせ群生します。
古くから薬草として使われ、飢饉時には農民の非常食になっていました。
ツルボの名前の由来は、花を咲かせる姿が連なって見えることから連穂(ツルボ)とよばれるようになったという説や球根の皮を剥ぐとツルっとした坊主頭のように見えることにちなむなど諸説ありますが、定かではありません。
ツルボの別名を「サンダイガサ」と言い、これは宮中に参内する公家が使っていた柄の長い傘を閉じたものに似ていることから付けられました。
ツルボの葉は細長く春と秋に2回出ます。春に出る葉は夏に花茎が伸びてくる前に枯れます。
ツルボの花は、開花時期の8月から9月、20~40cmほど伸びた花茎に薄いピンクの小さい花を総状につけるのが特徴です。咲きはじめはツクシによく似ています。開花時期に葉がなくなることもあり、花の美しさがより際立ちます。花被片は6枚、雄しべも6本です。
開花時期の後にできる実は蒴果(さくか)とよばれ、熟すと上下に弾け、種子が散布されます。最初鮮やかな黄緑色の実は、だんだん茶色に変化していきます。
ツルボには薬効があると言われています。皮膚病やけがなどを負った時に、球根や茎をすり下ろしたものを湿布として貼るなど、民間薬して使われてきました。
ツルボに似た花の代表例は次の通りです。
ヤブランはユリ科ヤブラン属の多年草で、明るい日陰を好みます。ツルボとよく似ており、7月から9月に葉と葉の間から伸ばした花茎の先に、明るい紫色の小花を下から順に咲かせます。
クガイソウはゴマノハグサ科クガイソウ属の多年草です。高さは80~130cmになり、よく日の当たる場所を好みます。開花時期は6月から8月で、茎の先に総状花序を出して青紫色の小花をたくさん付けます。
オオバコはオオバコ科オオバコ属の多年草で、日本全土に分布しています。高さは5~20㎝程に育ちます。5月頃に花が咲き始め夏に一度止まり、秋にまた咲きはじめるのが特徴です。漢方薬や健康茶の原料としてもよく知られています。
植え付けは3月から4月または秋の開花後に行います。日当たりの良い場所を好みますが、半日陰でも問題なく育ちます。
鉢植えの場合、水やりは乾燥気味の環境が良いので、土の表面が乾いたら与えてください。夏から秋にかけての休眠中は断水し、開花後に葉が先から枯れてきたら水やりの回数を減らしていきます。
地植えの場合は日本の気候にとても適した植物なので、土壌を選ばず良く育ち、手放しでも毎年花を咲かせます。
ツルボの花言葉は「誰よりも強い味方」「流星のような」「不変」「我慢強い」などがあります。
秋になると突然、葉や茎を伸ばし花を咲かせることから「流星のような」という花言葉が添えられました。また小さい花を沢山咲かせ、支え合うようにしている姿から「誰よりも強い味方」という花言葉が添えられました。
夏の休眠を終え、葉を出すと一斉に茎を伸ばすツルボ。小さくて繊細な花を密集させた穂を付け群生している様子はとても趣があります。種子が散布した後、白く枯れて残った果皮の姿もかわいいのでドライフラワーとしても楽しめますよ。
春に緑が茂り夏に一度枯れ、秋に再び葉を出し花が咲き、その後も素敵な姿を見せてくれるツルボのサイクルを楽しみながら観察してみましょう。
GreenSnap編集部