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デンドロビウム(デンドロビューム)は、お祝いの花として贈られることがある「胡蝶蘭」の仲間の洋ランです。胡蝶蘭を育てるお仕事の場合は、温室を使われることもありますが、デンドロビウムは温室などを使わずに家庭でも育てられる花です。
この記事では、デンドロビウムを育て方について、置き場所や水やり、植え替えのポイントなどをご紹介します。
デンドロビウムの育て方のポイントは、気温に合わせた水やり頻度と、初冬の寒さに当てることです。
デンドロビウムは胡蝶蘭などのほかのラン系植物よりも耐寒性が高くて丈夫ですが、だからといって栽培難易度が低いというわけではありません。
気温に合わせた管理をすることで美しい花を咲かせられるようになるので、こまめに手入れをしていきましょう。
デンドロビウムを育てる場所は、基本的に直射日光を避けた日当たりがいい場所です。
3月下旬ごろから屋外の明るい日陰か、直射日光を避けた柔らかい日が当たる場所におきましょう。5〜9月ごろは日差しが強くなり、梅雨や台風で雨にあたりやすくなるので、軒下などに移動させるか、室内のレースカーテン越しの窓際に置いてください。
日光に当たり過ぎると葉焼けしてしまうので、地面や壁の照り返しに気をつけて、台などに乗せて育てるといいですよ。
デンドロビウムはある程度耐寒性があるので、11月下旬〜12月上旬ぐらいまで、屋外に置いて大丈夫です。夏に室内に取り入れていた場合も、11月になったら屋外に移動させてください。
というのも、デンドロビウムは寒さにあたることで花芽がつくため、気温6〜8度の環境に10日程度置く必要があります。
しっかり寒さに当てたら、春になるまで室内の窓ガラス越しの場所に置いて育てましょう。
デンドロビウムは春から夏にかけの水やりは、土や植え込み材が乾いたのを確認してから、株元にたっぷりと与えます。
なお、デンドロビウムは過湿を嫌うので、ずっと土や植え込み材が湿りっぱなしという状態は根腐れの原因になるので絶対に避けてください。乾湿の差が大切です。
とはいえ、気温が上がるにつれて生育期を迎えるので、水の吸い込みも早くなります。夏時期に水切れするとすぐに弱るので、朝や夕方にしっかり水やりをしましょう。
その他、春・夏の水やりでは、葉の隙間に水が溜まりっぱなしにならないようにすることと、受け皿に水は捨てるということを気をつけてください。
デンドロビウムの秋から冬にかけての水やりは、かなり控えめにします。10月以降は休眠期に入るので、だんだんと頻度を落として、最終的には1ヶ月に1〜2回くらいの水やりペースを目安にしましょう。
なお、室内に取り込んだ後は、こまめに葉水(霧吹きで葉に水を吹きかけるお手入れ)もしておくと、葉のツヤがよくなります。
デンドロビウムに肥料を与える時期は4〜7月までです。8月以降に肥料を与えると花芽がつきにくくなるので注意しましょう。
与える肥料は、洋ラン用の緩効性肥料(固形)か液体肥料がおすすめです。
緩効性肥料なら製品表示の効果持続期間にしたがって、1〜2ヶ月に1回を目安にほどこします。液体肥料なら10日に1回、水で希釈して水やりの代わりに与えましょう。
デンドロビウムの花が咲き終わったら、花がら摘みをしましょう。デンドロビウムの開花時期は3〜5月ですが、冬ごろから出回る開花株は1〜2月ごろに咲き終わります。
花がら摘みをするタイミングは、花びらが薄くなって表面に脈のような線がうっすら浮いてきたころです。デンドロビウムはうまく管理すれば1〜2ヶ月はずっと咲き続けますが、自然に落ちるまで待つとカビから病気にかかる可能性があるので気をつけましょう。
花がらを摘むときは、花びらの付け根を人差し指と中指で挟み込んで摘み取るようにします。このとき大切なのは、花茎は残しておくことです。花茎はその後も成長に必要になるので、上の写真のように、花茎は2〜3年残しておきましょう。
デンドロビウムの植え替え時期は、気温が上がってくる4月から5月までのあいだです。花が咲きすべて咲き終わった春の終わりごろが目安となります。
植え替えの頻度については2〜3年に1回程度です。とはいえ、植え込み材が傷んでいたり、鉢の中に根がいっぱいに回っているのであれば植え替えましょう。
デンドロビウムは着生ランのひとつなので、一般的な草花用の培養土ではなく、水苔やベラボン、ラン用バーク、ラン用培養土(ミックスコンポスト)などの植え込み材に植え替えます。
主流なのは一番安価な水苔のみに植える方法ですが、水苔は保水性が高いので通気性のいい素焼き鉢と合わせるようにしましょう。
一番おすすめなのはラン用の培養土です。これはラン用のバークや赤玉土、軽石などが最適な比率でミックスされている培養土で、保水性・排水性・通気性などのバランスがデンドロビウム向きです。
今回はラン用培養土を使った植え替え方法をご紹介します。水苔のみの植え替え方法が知りたい方は、同じ着生ランの植え替え記事を参考にしてみてくださいね。
デンドロビウムの増やし方は、高芽をつかった株分けが簡単です。とくに発根している高芽なら着生させるだけなので、初心者でもできますよ。
発根している高めをひとまとめにして、新しい水苔などの植え込み材に植えてもいいですし、水苔に包みながら板付や流木に着生させることもできます。
デンドロビウムは病害虫に強いといわれています。水や肥料のやりすぎ、高い湿度、風通しの悪いところに置くなどに注意すれば、デンドロビウムの生長を害する病気になる可能性は低くなります。
ただ虫については、若い芽や花芽を好むナメクジが付くことがありますので、駆除剤などを撒いて対応しましょう。
デンドロビウムは洋ランの一種で、ノビルを原種として多様な種類の草花、植物と交配が行われてきたため「ノビル系」と呼ばれることもあります。日本で生育されているノビル系のデンドロビウムは今や、その品種改良が世界のトップレベルを誇るまでになっているともいわれます。
胡蝶蘭などと同じ洋ランの仲間であることから、家庭では育てにくい、というイメージを持たれることもありますが、そうではありません。デンドロビウムは家庭でも比較的育てやすい洋ランなのです。
花色は白、オレンジ、紫、ピンクなどさまざま。存在感のある広がる花弁とかぐわしい匂いで人を惹きつけます。
洋ランの一種でありながら、家庭でも育てやすいデンドロビウム。鉢と植え付け材の相性や肥料を与えるタイミングなど気をつけるポイントを踏まえれば、きれいな花を咲かせられそうです。ぜひデンドロビウムを育ててみませんか?
GreenSnap編集部