
キキョウはキキョウ科に属する植物で、日本をはじめとする東アジアに広く分布しています。
秋の七草に一つでもあり、日本人には馴染みのある野草です。
しかし近年では数が減っており、絶滅危惧種に指定されています。
基礎情報
日当たり
キキョウは日光を好む植物です。そのため、光がたくさん当たった方がよく育ちます。
光が不足しがちな室内などでは光合成が上手くできないことから、よく育ちません。
ただし、あまり強すぎる光が当たると葉焼けを起こして弱ってしまい、最悪の場合枯れてしまうことがあるため、
西日などには直接当てないようにして管理します。
置き場所
キキョウは日光を好むことから日向に置いたほうが良さそうですが、
一方でキキョウは非常に乾燥に弱いという特徴を持っています。
そのため、土の部分に直射日光がたくさん当たってしまうと土の水分が蒸発してしまい、根が弱ってしまう原因になります。
だから日向に植え付ける場合は土の表面を覆います。
土の表面を覆う物としては、ワラや腐葉土が最適ですが、落ち葉など他の素材のものでも代用できます。
このように土に含まれる水分の蒸発を防ぐ目的で土の表面をワラや腐葉土で覆うことをマルチングといいます。
キキョウを置く場所として最も適しているのは、マルチングした日向です。
しかしマルチングを行う事が不可能な場合は、あえて日向には置かず、明るめの日陰に置いた方が、日向に置くよりも元気に育ちます。
水やり
夏
キキョウは水分を好む植物です。
なので夏場は土が乾燥していないかを常に観察しておいて、土が乾いている場合にはたっぷりと水をやる必要があります。
あまりにも土が乾いた状態が長いと、根の細胞が死んでしまいます。
そのような状況に陥ってしまうと、水をやっても水を吸収することができなくなってしまい、徐々に弱って枯れてしまいます。
このため、水分を切らさないようにい管理します。
可能であれば、土の表面をワラや腐葉土で覆い、水分の蒸発を防ぐマルチングを行ったほうが良いです。
冬
キキョウは多年生植物であるため、冬場は地上の葉や茎などの部分か枯れてしまいます。
だから冬場は生命活動をあまり行っておらず、水分を放出することもあまりできなくなります。
成長もしないため、冬場は夏場ほど水分を必要としません。
ただし最低限の生命活動は行っており、乾きすぎると根がだめになってしまうため、
土が完全に乾ききった状態にならない程度に調整して水をやります。
ただし、土が凍ってしまうと根を痛める原因になるため、水を与えすぎないようにするのと、
午前中に水をやって、土に水分を多く含んでいる状態で気温の下る夜を迎えないように気をつけて管理します。
肥料・追肥
植え付ける際にあらかじめ、土の中に、ゆっくり溶けて作用するタイプの肥料を混ぜ込んでおき、
つぼみができ始めた頃から花が枯れるまでの間、2から3週間に一度ぐらいの頻度で液肥を与えます。
あまりにも肥料が少なすぎると花が小さくなってしまう場合がありますが、キキョウは基本的に野草ですので、
それほど神経質に考える必要はありません。逆に肥料をしっかり与えて育てても枯れることはありません。
しかし、大きな花を咲かせて茎が太くなり、野生のキキョウのイメージとは異なった、非常に力強い印象の姿に育ちます。
野生のキキョウに見られるような繊細な感じの風情が無くなってしまうので、お好みで様子を見ながら調整して与えてください。
用土
キキョウは野草であるので、日本の自然下に近い用土を用いた方がよく育ちます。
具体的には、有機物をたくさん含んでいて、水はけの良い土がベストです。
また、キキョウは酸性を好むという性質があるので、石灰などアルカリ性の物質を使用していない土を使います。
心配な場合は酸性を示す用土である鹿沼土を混ぜ込むのがおすすめです。
同様に有機物量の不足が心配な場合は腐葉土を混ぜ込むのがおすすめです。
新たに用土を配合して作る場合は、小粒の赤玉土:鹿沼土:腐葉土を5:2:3の割合で配合します。
植え替え・植え付け・種蒔
植え替えは、鉢から根がはみ出しているような場合や、鉢に対して明らかに植物が大きくなりすぎている場合に行います。
そのような症状が無い場合であっても根が張りすぎて根詰まりを起こすのを防ぐ目的も兼ねて、2から3年に1度行うのがおすすめです。
季節としては急を要さない限り、春か秋に行います。
植え替えを行った際は、雑菌やウイルスなどが含まれていて、
傷ついた根からそれらが侵入して病気を引き起こす恐れがあることから古い土を再利用せず、
必ず新しい土を用いるようにしてください。
キキョウは成長が遅いため、植え替えを行った場合は、その年はあまり成長せず、花もあまり咲きません。
しかし翌年には大幅に成長するので、結果としては植え替えを行った方がより大きくなります。
増やし方
キキョウの増やし方としては、種で増やす方法、株分け、挿し芽の3つの方法があります。種を蒔く場合は春頃が最適です。
土が乾かないように管理すると、早ければその年の秋に花を咲かせます。
しかし、花を咲かせるのには多くエネルギーを消費してしまい、花を咲かせる分のエネルギーを植物自体の成長に用いさせた方が後々しっかりした株に成長するため、1年目の花はつぼみの段階で摘み取ってしまうのがおすすめです。
株分けは気温が下がって地上の葉や茎がすべて枯れてから行います。
根を新芽が付いている部分を含めて切り離し、植え付けます。
挿し芽は初夏の頃、茎を切り離し、すこし水に浸した後で土に挿します。早ければ1ヶ月ほどで根が出てきます。
病気・害虫
キキョウは基本的に丈夫な植物であるため、育てていて病気が発生することはあまり無いです。
害虫に関しては、他の植物同様、ハダニやアブラムシが発生します。
気温が高く、乾燥した環境下で発生しやすく、葉の裏に付くことが多いため、注意が必要です。
キキョウにとって一番被害が多い害虫がセンチュウです。
センチュウは土の中で暮らしているナメクジのような形をした害虫で、小さすぎてほとんど肉眼では見えません。
センチュウに寄生されたキキョウは突然成長が止まってしまいます。
センチュウはキキョウの根の中に入り込み栄養分を奪い取ります。
そのため、センチュウに寄生されると根がコブ状に膨れ上がります。
もし突然キキョウの成長が鈍った場合はセンチュウの感染が疑われるので、根を確認してみて、コブがないかを探してみてください。
もしコブが見つかった場合は、他の株に寄生が拡大するのを防ぐため、株ごと捨ててしまった方が無難です。
薬用や用途
キキョウは根にサポニンという物質を含むことから、漢方ではキキョウの根を桔梗根として用います。
3年以上の育ったキキョウの根を掘り出し、乾燥させて粉末にすることで桔梗根を作ります。
桔梗根はせきや痰、鎮痛効果や解熱作用があり、漢方薬店で広く販売されています。
管理温度
もともとキキョウは日本に分布する野草であるので、一般的な日本の環境で生育します。
地上部分は枯れてしまいますが寒さにはめっぽう強く、雪が積もったり霜が降りても平気です。
反面、夏の暑さには若干弱い部分があります。
特に、土をワラや腐葉土で覆うマルチングを行っている場合は蒸れて土壌中の温度が上がってしまい、
根腐れや根を痛めてしまう原因になりかねないため、注意が必要です。
種類・品種
キキョウの品種としては、自然界に分布する原種と、原種を園芸用に品種改良することで誕生した品種改良種の2種類に大分されます。
原種としては、キキョウと、やや小型で高山に分布するアボイギキョウの2種類が有名です。
品種改良種としては、形は一般的なキキョウと大差が無いけれども、
普通のキキョウでは存在しないピンクや白、まだら等の花を咲かせる五月雨、
花が完全に開ききらずに風船状に膨れ上がる独特な形状をしている袋咲きとよばれる花をつけることが特徴的な、
普通のキキョウに比べて早咲の小町の2種類が有名です。
花の形態(どんな花を咲かせるのか)
一般的にキキョウは紫色で花びらがすべてくっついた形状をしている合弁花を咲かせます。
キキョウの花はおしべとめしべが一つの花の中に両方存在している雌雄同花と呼ばれるタイプの花です。
ただし、めしべに比べておしべの方が早く成長し、少し遅れたタイミングでめしべが成長していくため、受粉させて種を得たい場合は、複数の株を一緒に育てた方が、種がよくできます。
トリビア
風水
風水としてのキキョウは、花の凛として控えめな姿から、恋愛運を上昇させると考えられています。
叶わぬ恋や苦しい恋愛を乗り越えて、幸せを引き寄せる力があると風水的には考えられています。
また、冬に枯れても春にまた芽を出して、初夏にしっかり花を咲かせることからも連想されるように、生命力、健康の象徴としての意味合いもキキョウは持っています。
今よりも健康的で、活発に仕事にも恋愛にも取り組みたいと考えている方にとって、キキョウは風水的なパワーをもってして、強い味方になってくれることは間違いないです。
花言葉
キキョウの花言葉は、永遠の愛、気品、深い愛情です。
花言葉の由来は、昔、桔梗という名の女性が、深い愛情を持ってして愛する人が帰ってくるのを待ち続けたという伝説に由来していると言われています。
また、昔は紫が最も高貴な色とされました。キキョウは紫の花を咲かせることから、気品という花言葉がつけられたと言われています。
由来伝承
キキョウの花は広く家紋のモチーフとして用いられています。
また、上から見た姿が陰陽道の五芒星に似ていることから、平安時代に活躍した陰陽師である安倍晴明も紋として用い、自宅の庭にたくさんのキキョウを植えて育てていたと言われています。
まとめ
いかがでしたか。日本人に広く親しまれているキキョウですが、花が長く楽しめて育てるのもそれほど難しくありません。
もしキキョウに興味を持たれた方は、是非育ててみてください。

takenaka
お花と植物を愛するライター。 お花と植物と共に暮らすグリーンライフに憧れて、去年お庭付きの一軒家に引っ越しました。まだまだ理想のお庭にはほど遠いけど、週末の楽しみは少しづつお庭の手入れをすることです♪