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クンシランは一つの花茎から最大で20もの色鮮やかな花を咲かせるため、華やかで、贈り物としても人気があります。
高貴な花として知られる一方で、比較的丈夫な性質を持つ多年草であるため、ポイントさえ抑えれば、毎年美しい花を咲かせることができます。
この記事ではクンシランの育て方を中心に、毎年花を咲かせる方法などについてもご紹介します。
クンシランの育て方のポイントは、強い日差しや強風、過湿を避けて、人も過ごしやすいような状態と同じ環境で育てることです。
また、栽培適温は20度前後ですが、花を咲かせるには寒さに当てる必要があるので、毎年花を咲かせたいのなら温度管理や置き場所に注意しましょう。
クンシランは多年草なので、育て方のポイントを抑えれば、初心者でも毎年花を楽しめるようになりますよ。
春から秋にかけて、クンシランは屋外の半日陰(午前中だけ柔らかい日光が当たる場所)に置きましょう。
基本的にクンシランは明るい日陰を好むので、強い日差しや西日に当たると葉焼けを起こしてしてしまいます。日当たりが良すぎる場合は寒冷紗を使って日差しを遮っておきましょう。
クンシランは冬になったら室内の窓ガラス越しで育てるといいです。耐寒温度は5度程度なので、地域によっては冬の間も外で育てることもできますが、基本的には室内に取り込んでおくほうが安心です。
ただし、クンシランは翌年に花をたくさん咲かせるためにも、2ヶ月ほど5〜10℃程度の気温の中に置いておく必要があるため、あまり暖かすぎる室内に置くのは避けてください。
春〜秋の時期は、クンシランの土の表面が乾いたときに、鉢底から流れ出るまでたっぷりと水やりをするのが基本です。
クンシランは過湿に弱いので、水の与えすぎには十分に注意し、必ず表土が乾燥するのを待って水やりをしましょう。
なお、夏は株元の葉が何枚も重なっている部分に水が溜まってしまうと、葉が腐ることがあります。そのため、水を与える際には株元から静かに与えるようにしてください。また、気温が低い朝方に水やりをするよう、心がけてください。
冬は春から秋にかけての時期と比べてあまり生長することもないので、水も頻繁に与える必要はなく、乾かし気味でも構いません。
ただし、春咲きになって少しずつ気温が上がって花茎が伸びる頃には水を欲しがるようになるので、土が乾いているのを確認して1〜2日のペースで与えるようにしてください。
クンシランの肥料は、春から秋の生育期間中に定期的に与えます。草花用の緩効性肥料を用意して、1〜2ヶ月に1回を目安に製品の規定頻度で土の上にまきましょう。
また、25度を越す真夏以外は、固形肥料のほかに草花用の液肥も合わせて与えると元気になります。固形肥料と液肥を両方使う場合は、規定量よりも薄めに希釈して10日に1回、水やりの代わりに与えましょう。
クンシランは水持ちと水はけが良い土を好むので、市販のクンシラン専用土か洋ラン専用土を用意するといいです。
自分で配合する場合は、「川砂4:赤玉土3:腐葉土3」の比率で混ぜた土を使うのが一般的ですが、「赤玉土単体」でも育てることは可能です。
鉢植えクンシランは、2〜3年に一度植え替えが必要となります。植え替え時期は、5月上旬〜6月中旬あるいは10月初旬〜中旬頃が適期です。
もし地植えにしたいという場合は、5月頃が苗木を植え付ける際の適期です。最低でも7度を維持できる環境であれば、地植えでも冬越しすることが可能です。
クンシランの増やし方は「株分け」という方法が一般的です。
クンシランは多年草なので、一定の大きさまで成長すると子株を増やします。株分けとはその名の通り、根元からその子株を分割する増やし方で、植え替えと一緒に作業するとクンシランにとっても負担が少ないです。
株分けするときは、子株の葉の数が8枚以上ついているものを選びましょう。清潔なナイフかハサミで切り分けて、新しい土に植え替えてください。
クンシランの花を毎年咲かせるには、「花が終わったあとの花茎の処理」や「冬の2ヶ月間は寒さに当てる」などの管理が必要となります。
花茎を処理することで、その後できる種に養分が奪われるのを防ぎ、株が元気な状態を保つことができます。
さらに、11〜4月のうち2ヶ月間は、5〜10℃の涼しい気温の環境に置いておくことで、花芽がたくさんつき、翌年も花が咲きやすくなりますよ。暖房がずっと効いている部屋で育てると花が咲かない原因となるので気をつけましょう。
クンシランの花が終わったら、花茎を処理する必要があります。花茎を処理するときは、葉をかき分けて花茎の根元を手でつかみ、葉が流れている方向と直角になる方へ折り曲げてください。手で負荷を加えることで、自然と適した場所が折れるようになります。
ハサミなどで切り落とすと、適した場所からずれてしまう可能性があるので、手で折ることをおすすめします。
花茎を折った切り口はできるだけ早く乾燥させたほうがいいので、晴れの日の午前中に作業しましょう。
クンシランは肥料過多な状態になったり、濃すぎる肥料を与えたりすると、葉先が茶色く変化することがあります。
液体肥料が規定量に薄まっているかを確認したり、改善されない場合は頻度や量を減らすなどの調整をしてあげましょう。また、固形肥料は発酵済骨粉入りの油粕がおすすめです。
クンシランの葉が突然黒っぽく変色した場合は、軟腐病を発症した可能性が高いです。軟腐病は高温多湿の状態にあると発生しやすいため、梅雨の時期の管理には特に注意が必要です。もし軟腐病にかかってしまった場合は、すぐに葉を洗い流してください。
病気が進行してしまっている場合は、一度根から洗い、新しい土へ植え替えをしてあげる必要があります。
クンシランは種まきからでも増やせますが、やや難易度が高いのと、種があまり出回らないので、11月下旬〜1月に採取した種子を使用することになります。
そうなると親株のクンシランの体力がとても消耗するので、翌シーズンは開花しない可能性もあることを覚えておきましょう。
クンシランの種まき時期は、3〜4月頃が適期です。種は実がついた状態でビニール袋に入れ、時期がくるまで5〜10度の冷暗環境で保存しておきましょう。もしくは種子を水苔と一緒にビニール袋に入れておくのでも問題ありません。
種まき方法は、以下の通りです。
クンシランがかかりやすい病気には「白絹病」と「軟腐病」があります。これらは過湿が原因で発生します。
白絹病は主として6月から9月にかけて発生します。発生部位は、根または茎です。
これはカビが原因である伝染病で、罹患すると菌が糸を網状に張ります。罹患した花を、ほかの場所に置いたり、放置した場合でも病原菌は死滅するどころか土中で越冬します。
罹患した株を見つけた場合は他の株と分離させ、直ちに廃棄、焼却してください。軟腐病は細菌が原因の病気で、花の害虫に齧られた部分をそのまま放置しておいたりすると感染することがあります。
花の剪定や芽かきを行う際に天気が良く、乾燥している日に行うなどするのは予防につながります。
軟腐病を引き起こす細菌は土中にどこにでも無数に存在しますが、株が弱っている場合でも感染することもあります。
完治は困難であるので、抜き取って上で焼却処分してください。土中の窒素が多くなりすぎないようにするのも軟腐病対策として効果があります。
クンシランの害虫として知られているのがナメクジで、つぼみや葉、新芽や花びらなど、茎以外すべてを食べてしまいます。葉の一部だけが食べられている場合でも花の生長不良につながります。
ナメクジは土の中にいることが多く、クンシランの植え替え時に土中を点検したり、雨が降ったあとに点検するのが肝要です。
その姿から、気品があり、高貴な花と呼ばれるクンシラン。オレンジ色の花のものが主流ですが、近年では品種改良が進み、緑色の花を咲かせるものや、乳白色のものなどが開発されています。
今回はそんな美しいクンシランの育て方についてご紹介しました。これを機会にクンシランを育ててみてはいかがでしょうか。
GreenSnap編集部