
世界中の大人が飲んでいるでしょう、苦味が美味しいコーヒーの原料がとれる「コーヒーの木」。
正式名称はコーヒーノキであり、コーヒー豆収穫のために多く栽培されています。
今回はそんなコーヒーの木の自宅での育て方について簡単にご紹介します。
コーヒーの木の日当たり
コーヒーの木の原産地は、熱帯アフリカやマダガスカル島という熱帯地域です。
したがって耐暑性がかなり強いですが、強力な直射日光は避けるべきです。
したがって、真夏などは戸外に置いても直射日光が避けられる位置を選ぶか、午前中だけ屋外にすること。
もしくは室内ならばレースカーテンやブラインド越しに育てるのが無難です。
耐陰性もあるため、一年中室内で育てることも可能です。
ただ真夏以外は出来る限り日光には当ててあげた方が、より強く元気に生育し花を咲かせるので、春・初夏・秋などは外に出してあげましょう。
なお苗が小さい時期は葉焼けしやすく、班入りの葉をもつ種類は斑の部分が葉焼けしやすいため、特に注意して管理してください。
なお春になってすぐに屋外に出すと、葉が変色する場合もありますが、日光への耐性をつけるためにもそのまま置いて置くほうがいいかもしれません。
コーヒーの木の置き場所
コーヒーの木は本来は日光を好むので、適度な日光を当てて育てられるような日向に置いてあげましょう。
ただ四季ごとに場所を変える必要があります。
春・秋はコーヒーの木にとって適度な日差しと温度のため戸外で問題ありませんが、夏は直射日光が当たっては葉焼けするため室内か、ネットで日除けなどをつけて午前のみ屋外に置くのがベストでしょう。
そして熱帯性の植物であることから冬は大の苦手なので、気温が10℃以下になる11月以降は必ず室内で育ててください。
窓付近の寒さにも耐えられない場合が多いので、可能ならばもっと暖かい場所へ移動させる、もしくはダンボールなどに入れて防寒対策をしてあげましょう。
冬の寒さで落葉しても枯死にするわけでないですが、寒さに当たりすぎると、春先になって突如枯れ始めて回復しない場合もあります。
落葉を見つけ次第、もっと暖かな場所へ移動させてあげるようにしましょう。
コーヒーの木の水やり
夏
コーヒーの木は、春から秋にかけてよく生長します。
春から秋にかけては水やりは、土の表面が乾き次第行うようにする程度で問題ありません。
ただ水が夏場は特に切れると萎びれるので、都度水を与えましょう。
基本は復活しますが、根詰まりや水の与えすぎなどによって回復しない場合もあるので、徹底して管理しましょう。
また夏場の真昼に水を与えると、水が沸騰して根を傷める可能性が高いので、朝・夕のどちらかに与えるようにしましょう。
なお標準的な頻度としては夏は週に2、3回の頻度で与えます。
分量は1回のうちに、汲み置きの水を鉢底からあふれるぐらいにたっぷりとあげてください。
葉の先や新芽が萎れているのは、水不足のサインなのでよく観察しておきましょう。
冬
コーヒーの木は冬の間は基本的に休眠します。
この仕組みに応じて、冬の間はあまり水を与えず、乾燥気味にしておく方がよいでしょう。
ほとんど生長をしないため水分をあまり吸収しないので、与えすぎると根腐れを起こします。
鉢の土全体が乾燥し始めたら水を与える程度の頻度で問題ありません。
標準的な頻度としては週に1回ほどです。与える分量は通常よりも少し少ないぐらいにしておきましょう。
萎びれていたら、少し追加して与えるぐらいでいいかもしれません。
肥料・追肥
コーヒーの木にとって、肥料は元気に育ちやすくなるのに必要な条件です。
したがって、基本生長期である5月〜9月にかけて、固形の緩効性化成肥料を2ヶ月に1回ほど、株の生え際から少し離れた位置に置いて、水やりで徐々に土に溶け込んでいくようにしましょう。
これで土に養分が浸透します。もしくは観葉植物用の秋費を月に1回、または速効性液体肥料を1週間〜10日に1回の頻度で与えるとよいでしょう。
葉の色があせているときは特に速効性の液体肥料を与えると効果が出やすいでしょう。
その他、鉢替え後、盛夏、生長期ではない厳寒期の冬には肥料を与える必要がありません。
用土
コーヒーの木が好むのは、清潔だが腐植質で水はけのよい土壌です。
市販の観葉植物の培養土でも問題ありませんが、配合土を選ぶのならば、かたい鹿沼土2・バーミキュライト5・腐葉土3の割合か、赤玉(小もしくは中粒)6・ビートモス2・バーミキュライト2の割合で混ぜたものが最も適しているでしょう。
コーヒーの木の植え替え・植え付け・種蒔
コーヒーの木は根の生育がかなり旺盛。
したがって根詰まりを防ぐため、最低でも2年に1度、早くて毎年の植え替えが必要となります。
適期としては、遅霜の心配がない5月~7月頃。この時期以外ならば、9~10月頃も可能です。
ただし気温が下がり始めると生育が鈍るので、秋口の植え替えはあまりおすすめできません。
植え替えの作業の際に根を傷めてしまっても、生育が旺盛な5〜7月の方が、すぐに回復できることもあるのでおすすめです。
鉢から抜いた直後は、びっしりと張っている根をからしっかりと土を落として、改めて大きな鉢に植え替えましょう。
その際に新しい鉢の底には、ネットを敷き赤玉も敷きましょう。
また古い土をしっかりと3分の1は落として、根を解せなければ新しい根が生長しにくいので気をつけてください。
新しい鉢に土を足す際には、隙間に土を落とすような形で加えて、根を傷めないように配慮しましょう。
そしてたっぷりと水を与えれば、植え替えの完成です。
植え付けの際も同様の処理を行ってください。
なお、もしこれ以上大きくしたくない場合には、枝や幹を切り、周りの土を軽く落とした後、同じ大きさの鉢へ移しましょう。
いずれにせよ、鉢の底に大粒の軽石を敷くことで、通気性をよくするなど工夫も必要になります。
コーヒーの木の増やし方
コーヒーの木を増やす方法は、種蒔き、挿し木になります。種蒔きは、生長期である5月〜9月の間に行うのが適切です。
よく熟した果実の皮を剥いて、タネの周りについているぬるぬるしたものをよく洗い流しましょう。
そして赤玉土などに、タネの大きさと同じ程度の深さを掘って埋め込みます。気温は15℃に保つように心がけてください。
発芽するのには数か月もかかるので気長に待ちましょう。子葉が完全に開いた時点で鉢上げしてください。
植え付けの処理は、植え替えの処理の後半の過程とほぼ同様です。
果実がつくほど大きくなるには、4~5年かかります。
種は自家採集したものを蒔くと割合発芽しやすいでしょうが、生豆は難しく、ましてや市販のコーヒー豆は煎られているので絶対に育たないので注意してください。
一方の挿し木の場合は、切り戻した際の枝を使いましょう。
虫などのついていない丈夫な枝を選び、4〜5節あたりを目安に切り取ります。
先端の2節ほども使わないので切り落とした上で、川砂や市販の挿し芽、種蒔き用の用土に挿しましょう。
約1ヶ月ほどは直射日光を避けて日陰に置き、2ヶ月経ってから芽を確認できたら鉢に植え替えて育ててください。
病気・害虫
コーヒーの木の気をつけるべき虫はハダニやカイガラムシでしょう。
空気が乾燥し始めると現れるハダニやカイガラムシは、植物の栄養を吸い取ったり、葉を白くしたりします。
見た目を悪くするだけでなく、生育にも悪影響を与えるので、霧吹きなどで除去してしましょう。
最悪の場合には、薬剤を散布することをおすすめします。
ただカイガラムシは薬剤が効きにくいので、見つけたらすぐに古歯ブラシなどでこすり落としましょう。
一方気をつけるべき病気としては、葉脈以外の葉っぱが白っぽくなる「クロロシス」でしょう。
ミネラル不足や肥料過多、もしくは質の悪い肥料、水不足が原因だったりと、管理方法が問題なので自身の生育方法を見直すことが重要になります。
ただ葉焼けの初期症状も葉が白くなることがあるので、判別をしっかり行いましょう。
コーヒーの木の管理温度
コーヒーの木の適切な管理温度は、25℃前後とされています。
けれども四季のある日本では夏以外には25℃以上が続くことはなかなかないので、コーヒーの木の周囲は10℃以下にならないように管理することが重要です。
そうも言っていられない冬は必ず室内に入れて育ててください。
ただ日光浴をしなければ、花や実がしっかりならないようになるので、少しでも日の当たる位置においてあげましょう。
コーヒーの木の種類・品種
コーヒーの木の中でも最も一般的だとされる品種は、栽培種であるアラビカコーヒーでしょう。
高品質なコーヒー豆をかなり量産して収穫できるため、世界中で栽培されています。
コーヒー生産でも70〜80%をアラビカコーヒーが占めています。
エチオピア原産ですが、最初に広められたイエメンに因んでアラビカと命名されたそうです。
アラビカの在来種もしくは移入種として、モカやブルー・マウンテンやコナが、変異種してブルボンなどコーヒーとしては有名な名前の種が存在しています。
また別にフランスを中心としたヨーロッパ諸国でよく消費されているコーヒーはロブスタ種と呼ばれ、焦げた麦のような香り味で苦味と渋みが強く、酸味がないものとなっています
コーヒーの木の花の形態(どんな花を咲かせるのか)
コーヒーの木は、発芽してから約3~5年のうちに、ジャスミンとよく似た香りのする白い花を咲かせます。
それから後50~60年に渡って、コーヒーチェリーと呼ばれる果実を付け、それがコーヒー豆のもととなる種子を内部に作りだします。
実の色は、基本的に赤または紫ですが、時として黄色の品種もあるようです。
果実が成熟しきるまでに約9か月ほどもかかり、熟した果肉は甘いため食べられますが、
僅かな量しか収穫できないので利用されることはほぼありません。
コーヒーの木の風水
コーヒーの木は、光沢のある濃い緑の葉をもっています。
こうした特徴や葉がやや下向きに伸びることから、風水的には癒やしの効果をもつ陰の気があるとされ、「気持ちを落ち着ける」効果が高いとされています。
したがって仕事などでストレスのたまりがちなオフィスや事務所、
より一層リラックス効果を期待できるように寝室やリビングなどに置くことがよいとされています。
また真っ赤な可愛らしい実がなるものならば、南側の位置に飾れば女の子を授かることができ、北・東北の位置に飾れば男の子を授かれるとされています。
またコーヒーの木は「邪気を払う」「生気をよぶ」という効果も期待できるので、心が荒んできていると感じた方は是非お部屋に飾ってみてください。
体内に溜まった悪い気を一気に吐き出して、心を安らかできるうえ、良い気をたっぷりと体に取り込めるかもしれません。
コーヒーの木の花言葉
コーヒーの木の花言葉は「一緒に休みましょう」です。
リラックスするときに飲むコーヒーにぴったりで、こうした意味と育てやすさからプレゼント用に用いられることも多いようです。
家族や恋人など、くつろげる時間を共有したい誰かにプレゼントしたり、そう願って部屋に飾るのも素敵かもしれません。
コーヒーの木の由来伝承
コーヒーの木は、なんと13世紀頃からイスラム圏全域で広まっており、16世紀末にはインドまで伝わった世界レベルで古くから認知度の高い植物だったそうです。
コーヒーという飲料として初めて用いられたのは、それ以前の900年頃で薬用として消化や強心、利尿作用があることがアラビア人医師のラーゼスによって明らかにされていたようです。
この時は「バンカム」と命名されていたようです。
そして飲み物として認知されたのは、イスラム教徒シーク・オマールが上を凌ぐために見つけ出したと言われています。
最終的に大規模な農業生産の対象として扱われるようになったのは、1700年オランダ東インド会社によるジャワ島での栽培が一番最初だとされています。
西洋列強によって、砂糖とともに消費されるようになり、アラビア諸国以外でも広く飲まれるようになったのです。
まとめ
今回はコーヒーの木の育て方について簡単にご紹介しました。
一般家庭においては観葉植物として広く認知されており、産業界においては飲用の栽培植物として普及しているコーヒーは比較的自宅でも育てやすいことが明らかになりました。
深い緑色の葉には癒されることはもちろん、白い花や赤い実が家をさらに彩り豊かにしてくれることは間違いないので、是非育ててみてください。
育てるを極めれば、最終的には自家製コーヒーを作ることもできるようになるかもしれませんよ。
※トップ画像はタケノリさん@GreenSnap

takenaka
お花と植物を愛するライター。 お花と植物と共に暮らすグリーンライフに憧れて、去年お庭付きの一軒家に引っ越しました。まだまだ理想のお庭にはほど遠いけど、週末の楽しみは少しづつお庭の手入れをすることです♪