GreenSnap

植物の名前を調べるなら

アプリで聞いてみよう!

★★★★★
ダウンロード
無料

多肉植物・サボテン

セダムの増やし方「挿し木・葉挿し・株分け」のやり方と時期を徹底解説

Photo by となりのハルさんさん

そのかわいらしい見た目と育てやすさから、初心者からタニラーにまで幅広い人気を誇る、多肉植物セダム。寄せ植えにもよく使われているので、セダムを増やせればさまざまなアレンジを楽しめるほか、地植えにしてグランドカバーとしても活用できるようになるはず。今回はそんなセダムの増やし方を、挿し木、葉挿し、株分けの3つの方法に分けてそれぞれ詳しくご紹介します。

セダムの増やし方には「挿し木・葉挿し・株分け」の3パターンがある!

セダムには挿し木、葉挿し、株分けといった3つの増やし方があります。いずれの方法でも比較的簡単に増やすことができる多肉植物ですが、品種やその時によって相性のいい増やし方が分かれています。以下を参考に、増やし方を選んでみましょう。

  • 葉に厚みのある洋種タイプのセダムなら「葉挿し」による増やし方がおすすめ
  • 葉が薄い日本の固有種のセダムなら「挿し木」による増やし方がおすすめ
  • 植え替えと合わせて行うなら「株分け」による増やし方がおすすめ

セダムの増やし方「挿し木・葉挿し・株分け」に適した時期はいつ?

セダムの代表的な増やし方である「挿し木」、「葉挿し」、「株分け」のいずれも、作業に最も適している時期は、セダムの生育期である春(3〜5月)か秋(9〜10月)頃です。

セダムの増やし方① 挿し木の方法

  1. 元気そうな茎を選び、先端から5cm程度カットします。
  2. 新芽よりも下の葉はカットしましょう。残してしまうと土の中で腐ることがあるので注意してください。
  3. 挿し木の切り口を乾燥させます。
  4. 風通しの良い日陰で4〜7日間、しっかりと乾燥させましょう。
  5. 平らな鉢に土を入れて挿します。
  6. 細い根が出てきたら土に挿して下さい。土は多肉植物用の培養土が適しています。湿った土は厳禁です。
  7. 1ヶ月程度待って発根したら小さな鉢に移し替えます。
  8. 水やりは挿し木してから10日目以降を目安にします。
  9. 日当たりの良い場所で育てます。
  10. セダムをはじめとした多肉植物は湿気に弱いので、風通しの良い場所で育てましょう。

セダムの増やし方② 葉挿しの方法

  1. 葉を選んで根本から取ります。
  2. 水やり後は葉が取りにくいので、乾燥してからていねいに取りましょう。
  3. 挿し木の際にカットした下葉も使えます。
  4. 乾いた土を敷いた平らな鉢かトレイの上で乾燥させる。
  5. 葉は仰向けに置いて下さい。水を与えず半日程度乾燥させます。
  6. 根が出てきたら日当たりの良い場所に置き、水をあげます。
  7. 土の上に出てきた土は、ピンセットなどでやさしくとって被せましょう。
  8. 葉が育ってきたら鉢に植え替えます。
  9. 1ヶ月ほど経ち、元の葉が枯れて葉が2〜3cmまで育ったら植え替えましょう。

セダムの増やし方③ 株分けの方法

  1. 鉢から抜きます。根が鉢全体に十分に張ってから行いましょう。
  2. 土を落とします。根の周りの土を軽く落とします。
  3. 株を分けます。手で親株と子株を分けます。
  4. 乾燥させます。風通しの良い日陰で1週間程度乾燥させましょう。
  5. 枯れてしまった根は切り取っておきます。
  6. 鉢に植え付けます。
  7. 水やりは1週間ほど待ちましょう。

セダムの増やし方には時期を守ってチャレンジしよう!

セダムの挿し木、葉挿し、株分けについてご紹介しました。初心者でも増やしやすい多肉植物なので春や秋の時期なったらぜひ挑戦してみて下さい。

※トップ画像はPhoto by となりのハルさんさん@GreenSnap

アロエの増やし方|挿し木と株分けの時期は?失敗しないコツをご紹介!

Photo by KUROさん

多肉植物のアロエは初心者でも育てやすく食用としても広く知られています。とくに食用にする場合はどんどん増やしたいですよね。

今回は挿し木や株分けなどの、アロエの増やし方をご紹介します。アロエを育てたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

アロエってどんな多肉植物?

アロエといえば、トゲのついた、長くて肉厚な葉の多肉植物が思い浮かびますよね。南アフリカやマダガスカルが原産で種類は約400種類もあります。

アロエは乾燥と暑さに強く、寒さには弱いという特徴を持っています。世界的には食用としての需要が高いアロエベラを栽培している地域が多いのですが、日本国内では寒さに強いキダチアロエが普及しています。

アロエは特別な手入れが必要ないほど強い多肉植物ですが、日光を好むので、1年を通して日当たりの良い場所で育てるとすくすく成長します。

アロエの増やし方にはどんな方法がある?

アロエの増やし方には①挿し木、②株分け、の2つの方法があります。

挿し木とは、親株からアロエの葉や茎を切り取って新しく増やす方法で、葉挿しと呼ばれることもあります。

株分けとは、親株とは別に生えてきた小さな茎と葉(子株)を切り離して苗として育てるという方法。茎を持たず、地面から葉が生える品種のアロエの場合は、株分けで増やすこともできます。

アロエを挿し木や株分けで増やせる時期

アロエを挿し木する時期は、5〜6月ごろの梅雨前のカラッと晴れる時期がおすすめです。またこの時期は日照時間も長いのでアロエがぐんぐん育つ生育期でもあり、発根もしやすくなります。

アロエの挿し木

用意するもの

  • 支柱
  • 鉢底ネットと鉢底石
  • サボテンや多肉植物用の土
  • 清潔なハサミ
  • 割り箸

挿し木のやり方

  1. 健康な葉を選び、茎が2〜3cmつくような位置で切り取る。
  2. 切り取った茎葉は3日以上日陰でしっかりと乾かす。
  3. 切り口が完全に乾いたら挿し木の準備OK。湿っていると雑菌が入って枯れてしまうので注意する。
  4. 鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷いて土を8割くらいの高さまで入れる。
  5. 棒で穴を掘って茎を植え、支柱もさしてくくりつけておく。

挿し木後の管理

アロエを挿し木した後は、10日から2週間ほど経ってから霧吹きで水をやる程度にしてください。

そのまま1〜2ヶ月ほど待つと根がしっかりと張ってくるので、その後は通常通り育てましょう。

アロエの株分け

用意するもの

  • 鉢底ネットと鉢底石
  • サボテンや多肉植物用の土
  • 清潔なハサミやナイフ
  • 軍手

株分けのやり方

  1. 水やりを1週間以上止めて土を乾燥させる。
  2. 次にアロエを鉢から慎重に抜く。
  3. 余分な土を手で優しく揉んで落とす。
  4. 束に収束する生え目を見分けながら、切り離せそうな部分を見つける。
  5. 手で割くか、根が切れない場合はハサミやナイフなどで切り分ける。
  6. 新しい鉢に鉢底ネット、鉢底石を敷いたら3分の1程度土を入れる。
  7. 中心に分けた子株を置いて、隙間に土を入れ、鉢の縁から2cmくらい下まで土を入れて完了。

株分け後の管理

株分けをした後は直射日光を避けた日当たりと風通しのいい場所におき、4〜5日経ったら水やりをしましょう。すぐに水やりしないよう、注意してください。

アロエの増やし方で失敗しないコツ!

アロエを増やすときに気を付けないといけないのが、土や切り口をしっかりと乾燥させる、水やりは根がしっかりと張ってからにするという点です。

これらは雑菌の侵入、根腐れを避けるために必要なことです。

アロエの増やし方は簡単!挿し木や株分けに挑戦してみよう

今回はアロエの増やし方について説明しました。植え替えや増やしたいときは、その植物の生育期に行うと成功率が上がります。

アロエはとても便利な多肉植物なので、ぜひ増やして活用してみてください。

多肉植物の増やし方|挿し木・葉挿し・株分けの失敗しない方法!

多肉植物には3つの増やし方があります。①葉挿し、②挿し木、③株分けです。どの方法もペットボトルなど、身近なものを活用して、簡単に挑戦できます。しかし、やり方や管理の仕方がよくないと、失敗することもあります。

今回は、多肉植物を増やす方と、それぞれの増やし方に合ったおすすめの種類、成功するためのポイントについて、詳しく解説します。

多肉植物の増やし方にはどんな方法がある?

多肉植物 増やし方 葉挿し 挿し木 株分け

多肉植物の増やし方には、挿し木・葉挿し・株分けの3つの方法があります。

  • 挿し木:茎を切って茎から根を生やす増やし方
  • 葉挿し:葉から根を生やしす増やし方
  • 株分け:子株を親株から分ける増やし方

どの増やし方も簡単ですが、多肉植物の品種によって向き不向きもあるので、下記を参考に、育てている多肉植物によって増やし方を選びましょう。

葉挿し エケベリア属、グラプトペタルム属、パキフィツム属、コチレドン属など
挿し木 エケベリア属、カランコエ属、セダム属、コチレドン属、アオエニウム属など
株分け ハオルチア属、アガベ属、ガステリア属、センペルビウム属、セダム属など

多肉植物の挿し木

多肉植物 挿し木

挿し木とは?

挿し木とは、多肉植物の茎のところからカットして増やしていく方法です。

カットする位置や土への置き方が変わると、茎伏せや根伏せと呼び名が変わります。挿し木は、葉挿しよりも生長が早いのが特徴です。なお、葉挿しは根を出すところから始まるため挿し木よりも時間がかかります。

挿し木で準備するもの

  • 挿し木にしたい苗
  • 清潔なハサミ
  • ペットボトル
  • 植えるための鉢
  • 多肉植物用の培養土

挿し木のやり方

  1. 挿し木用の茎葉をカットする

    多肉植物 挿し木 伸びたセダム
    挿し木したい苗をハサミでカットします。カットする茎の位置は、長さが3~5cmほどになるようにしましょう。

    また、葉の養分を活用して発根を促すので、葉もしっかり残すようにしてください。

  2. 挿し穂の切り口を乾燥させる

    多肉植物 挿し木 乾燥させる
    挿し木用に切った茎葉(挿し穂)の切り口部分を乾かすため、葉の部分を支えにして、切り口が空気に接せられる容器に挿し、明るい日陰におきます。

    ペットボトル上部3分の1を切り、穴を適度にあけ、飲み口に挿し穂を挿すといいでしょう。小瓶なども使えます。

  3. 発根したら植え付けする

    多肉植物 挿し木 土に挿す

    根が数本出てきたら、多肉植物用の培養土を入れた鉢へ、植え付けてください。

    初めは少しだけ水を与えて環境に慣らしましょう。環境に慣れはじめたら、いつもどおりのペースで水やりしてください。

多肉植物の葉挿し

多肉植物 葉挿し

葉挿しとは?

葉挿しとは、多肉植物の葉から発根させて子株を吹かせて増やしていく方法です。

挿し木や株分けはほかの植物でも見かけるやり方ですが、葉挿しは多肉植物ならではの増やし方です。多肉植物は葉の中に養分を蓄えているので、葉だけでもそこから根を生やして増えていきますよ。

葉挿しで増やすときに準備するもの

  • 葉挿しをしたい苗
  • 土を入れられる容器
  • 種まき用や挿し芽用の土

葉挿しのやり方

  1. 親株から葉をもぎる

    多肉植物 葉挿し 葉をもぎ取る

    親株にはえる葉をやさしく持ち、左右に揺らしてもぎます。

    ちなみにより発根しやすいのは、小さめの葉です。必ずしも全て成功するわけではないので、いくつか葉挿し用の葉をもいでおきましょう。

  2. 葉の切り口をチェック

    多肉植物 葉挿し 葉の取り方

    葉をもぎ取るときは成長点となる付け根からしっかりともぐことが大切です。

    左のOK画像のように、切り口に丸い成長点があれば葉挿しとして使えます。右のNG画像のように付け根が途中で切れてしまうと発根しないので注意しましょう。

  3. もいだ葉を土の上におく

    多肉植物 葉挿し 置き方

    容器に乾いた土をいれたら、その上にもいだ挿し葉を平置きします。このとき、切り口がほんの少し土に触れるようにしましょう。

    逆に土の中に深く挿してしまうと、発根しにくくなるので注意してください。

  4. 明るい日陰で管理する

    多肉植物 葉挿し 成長過程

    葉挿ししたら発芽・発根するまでは、水やりをせずに明るい日陰に置いて管理します。

    根が出るまでの日数には、同じ品種でも個体差があり、早いものだと数日、遅いものは1〜2ヵ月ほどかかります。

    成功すれば、葉の根元に子株ができ、子株から根が生え、葉挿しした葉は枯れていきます。

  5. 発根発芽したら植え付けする

    多肉植物 葉挿し 子株ができた葉

    挿し葉から根と新芽がしっかりと生えたら、土に植え付けします。このときは、新芽がぎりぎり顔を出すくらい、しっかり深めに植えて水やりをしましょう。

    その後は土が完全に乾いたら水やりをし、生育が安定したら植え替えて、通常通りの方法で育てましょう。

多肉植物の株分け

多肉植物 株分け

株分けとは?

多肉植物の株分けは、生育中に出てくる子株を分けることで増やす方法です。

株分けするときの注意点は、子株が小さすぎると育ちにくい点です。なるべく、ある程度の大きさに育ててから株分けするのが成功のコツといえます。

また、植え替えと同じタイミングで作業すると、株への負担も少ないですよ。

株分けで準備するもの

  • 株分けしたい苗
  • ピンセット
  • 植えるための鉢
  • 多肉植物用の培養土
  • 鉢底石、鉢底ネット

株分けのやり方

  1. 子株がついている親株を鉢から抜き取る
    多肉植物 株分け 鉢から出す
    親株の根本を片手に、もう一方の手で鉢を持って、鉢側の手だけ動かすようにゆっくりと引き抜いていきます。
  2. 根鉢をほぐす

    根鉢をほぐす
    引き抜いた親株の根鉢をほぐして、根まわりの土を7〜8割がた落とします。

  3. 子株を引き離す

    多肉植物 株分け 子株を分ける
    片手に子株、もう一方の手に親株を持って、引き離していきます。なかなか分けられない場合は、清潔なハサミで根ごと切りましょう。

    子株が小さいときはピンセットなどもうまく活用してください。

  4. 新しい鉢の準備をする

    新しい鉢に鉢底ネット・鉢底石を敷き詰めて、多肉植物用の土を6〜7割ほどいれましょう。

  5. 子株を植える

    多肉植物 株分け 土に挿す
    子株を土の上に置いて、隙間を土でどんどん埋めていきます。

    なお、子株を分けるときに太めの根を切った場合は、明るい日陰に1日ほどおいて、根の切り口を乾かしてから植えます。

    植え終わったらすぐに水やりせず、1〜2週間後から水やりを再開してください。

 

多肉植物を増やすのにおすすめの時期は?

多肉植物を増やすのに最適な時期は、多肉の生長期です。しかし生長サイクルは品種ごとにバラバラで、サイクルは生長期・半休眠期・休眠期の3つあります。

品種によっては、半休眠期がないものもあるので、まずは増やしたい多肉の生長期がいつなのか把握しなければいけません。

春秋型の多肉植物

生長期が春秋型の多肉植物は、セダムやエケベリアに多いです。その時期に入ってすぐ、春なら4月頃、秋なら9月頃が増やすのにおすすめの時期。生長期の間に根付かせるのが、うまく増やすポイントです。

夏型の多肉植物

生長期が夏の植物は、アガベなどが該当します。寒い冬を苦手とするので、増やす際は夏が近づく頃がいいでしょう。とはいえ、真夏は湿度が高く水やりのタイミングが難しいです。暑すぎるときは、できるだけ避けたほうがいいでしょう。

春と秋は、気温が低いと生長が鈍くなるので注意してください。とくに晩秋に行うと根付くのがちょうど冬に入ってしまうため、難易度があがります。

冬型の多肉植物

黒法師や夕映えなどのアオエニウム属は、冬が生長期で夏は休眠期です。増やすときは秋の終わりの11月頃がおすすめです。冬型は、ほかにもエケベリアやグラプト系にも冬型があります。

失敗しないための、多肉植物の増やし方のポイントとは?

「葉挿しや挿し木に失敗する」「株分けしたけど根付かない」など、失敗している人は行うタイミングや行う場所など、どこかしらに原因があります。

とくに発根するまではできるだけ水やりを控え、明るい日陰で見守ることが大切です。

一度慣れてしまうとほかの植物よりも管理が楽です。失敗してしまう人は、以下のポイントを見直してみてくださいね。

増やし方のコツ① 増やす時期を確認する

上記でもお伝えしたとおり、多肉植物を増やすときは、生長期に行うのがベストです。たとえば、春秋型なのに夏や冬に行うと失敗しやすくなります。

夏も冬も室内で管理して、春秋頃の温度や湿度を維持しているなら別ですが、普通に育てているときは、自然の季節変化に合わせて行うといいでしょう。

増やし方のコツ② 切り口を乾燥させる

挿し木をするときに切り口を乾燥させるのも大切。これは切り傷ができた状態と同じで、しばらくすると切り傷のところにかさぶたができます。多肉植物にも同じようにかさぶたが発生し、かさぶたができると細菌の侵入を防ぐことが可能です。

増やし方のコツ③ 適切な置き場で管理する

増やすときの失敗として、置き場がよくないことが挙げられます。葉挿しや挿し木は、根が出るまでは半日陰推奨です。また根が出ても小さいうちは干からびないように引き続き半日陰に置きましょう。

しかし、ずっとそのままで育ててしまうと、今度は日光が足りず徒長します。ある程度育ったら、太陽にしっかり当てるのがポイントです。

増やし方のコツ④ 水やりは控えめに

増やした直後に、水をたっぷり与えるのもよくありません。たとえば、葉挿しを育てていて早く大きくしたいがために、たっぷり水を与えてしまうと、水を吸いきれず土の中に水分が残ってしまいます。

多肉植物は根がいつまでも濡れている状態は苦手なため、できるだけ避けたほうが無難です。

多肉植物の増やし方は品種に合わせて選ぼう!

今回ご紹介した多肉植物の増やし方は、どれも相性のいい種類を選んだり、コツを抑えれば、初心者でも簡単にチャレンジできます。

多肉植物を増やせると、保険株がつくれたり、寄せ植えも楽しめるので、ぜひ挑戦してみてください。

黒法師の育て方|挿し木で増やすコツは?しおれた株の復活方法は?

黒法師 挿し木 挿し穂

奇妙な姿形が面白い多肉植物の中でも、最も神秘的な黒い葉をもつ黒法師。観賞用として広く愛されており、鉢植えにして屋外で育てる人も多い品種です。

今回はそんな黒法師の育て方を、季節ごとに、注意すべき点とともにご紹介します。

黒法師とは?育て方のポイントは?

黒法師 多肉植物 アエオニウム

黒法師とは、アフリカの北に分布するカナリア諸島原産のアエオニウムと呼ばれる冬生育型多肉植物の仲間です。モロッコ原産のアルボレウム種をもとに生み出された園芸品種であり、高さは50〜100cmほどまで成長します。

寒さに強く、多少霜に当たったくらいでは枯れませんが、一方で夏の暑さには弱いので、夏の暑さ対策・日差し対策が育て方のポイントとなります。

黒法師を育てる場所

黒法師は日当たりと風通しのいい場所に置きましょう。基本的には鉢植えにして屋外で育てます。

生育温度は15〜20℃ほどなので、春夏秋の時期は日当たりのいい場所へ。気温20℃以上になったら明るい日陰へと移動させてください。耐寒温度は3℃程度とされているので、冬は日当たりのいい場所か、室内の窓際にしましましょう。

黒法師の水やり

黒法師は冬型の多肉植物なので、休眠期に入る夏以外の時期は、土が乾いたら水やりをしましょう。鉢底から流れ出るまでたっぷり与えてください。

なお、真冬は昼前後の1日でもっとも暖かい時間帯に水やりをしましょう。

休眠期に入る5〜9月ごろは、1ヶ月に1回水やりをするか、断水しても大丈夫です。休眠中は水をほぼ吸収しないので、この時期に水やりしすぎると根腐れで枯れる可能性があります。

黒法師の肥料

黒法師 挿し木 挿し穂

黒法師はあまり肥料を必要としませんが、元気がないようなら春先3〜4月と秋頃10〜12月ごろに、緩効性肥料を与えましょう。

もしくは植え替え、植え付けのときに、1年効果が持続するような緩効性肥料を混ぜておけば、追肥はほとんど必要ありません。

黒法師の挿し木(胴切り)での増やし方

黒法師が伸びすぎてしまった、増やしてみたいという場合は、挿し木という増やし方がおすすめです。人によっては、黒法師の挿し木のことを「胴切り」とも呼びます。

挿し木は伸びすぎた黒法師を茎の途中で切って、別の株として植えて育てる方法です。

挿し木する時期

黒法師の挿し木しやすい時期は10〜12月ごろですが、3〜4月でもできます。暑すぎる時期は休眠して成長が止まるので避けましょう。

挿し木の方法

  1. 黒法師を切り戻しする

    黒法師 挿し木 切り戻しする

    よく伸びた黒法師を剪定します。親株のほうは剪定したすぐ下から分岐してまた別の茎が伸びていくので、株の下位置で切っておくと、のちのちバランスがよくなります。

  2. 子株が枝分かれしていれば切る

    黒法師 挿し木 子株を切る

    切り取った黒法師を見てみると、枝分かれするように子株が伸びていることがあります。この場合は、子株を切り落としてそれぞれ1本ずつ挿し木するほうが、成功率があがります。

  3. 茎が長いときは切る

    黒法師 挿し木 切り口を切る

    切り取った黒法師の茎が長い場合は、短くカットしましょう。だいたい3〜4cmほど挿す茎があれば大丈夫です。

    ちなみに短く切った茎の切れ端は、上下さえ間違えなければ、こちらも挿し木に使えます。

  4. 新しい鉢に挿し木する

    黒法師 挿し木 土に植える

    小さめで通気性のいい鉢に、赤玉土もしくは挿し木用の土をいれて、茎を挿します。葉の付け根がぎりぎり出るくらいまで植えましょう。

  5. 数日後に水やり

    黒法師 挿し木 10日後に水やり

    挿し木から2週間後くらいに水やりを再開します。もしくは、土に挿す前に切り口を乾燥させておいて、挿し木してすぐに水やりをする方法でも大丈夫です。

    これで黒法師の挿し木が完成です。


挿し木後の管理

黒法師を挿し木した後は、風通しと日当たりのいい場所に置いて育てましょう。発根するまでだいたい2〜3週間かかります。株元を揺らして見て発根しているようであれば、通常の育て方に切り替えてください。

なお、さらに鉢にしっかりと根が春までは2〜3ヶ月はかかるので、すぐに植え替えないよう注意しましょう。

黒法師の植え替え

黒法師の植え替え時期は10〜12月、もしくは3〜4月ごろです。1〜2年を目安に植え替えますが、ぐったりとしてしおれているのであれば、植え替えをすることで復活することがあります。

黒法師の植え替えには、市販の多肉植物培養土を使いましょう。また、鉢は一回り大きい素焼き鉢などの通気性がいい素材のものを用意しておきます。

  1. 数日前から水やりを控えて、土を完全に乾燥させる。
  2. 黒法師をもとの鉢から抜き取る。
  3. 根鉢を半分ほど崩す。
  4. 黒っぽく腐った根があれば、清潔なハサミで切り落とす。
  5. 新しい鉢に、鉢底ネット、鉢底石を敷き詰めて、通気性をあげる。
  6. さらに多肉植物培養土を鉢の半分ほどまで入れる。
  7. 黒法師の株を新しい土の上に置いて、隙間を土で埋めていく。
  8. 菜ばしなどの細長い棒で土を突きながら、つめていく。
  9. 鉢のふち下1〜2cmまで土をいれたら植え替え完了。
  10. 植え替えから数日後に、鉢底から水が流れ出るまでたっぷり水やりする。

黒法師の育て方を覚え、挿し木で増やしてみよう!

今回は黒法師の育て方について季節別にご紹介しました。

育て方はコツさえ覚えれば簡単なので、挿し木などで増やしてたくさんの黒法師を楽しんでみてはいかがでしょうか。

多肉植物の植え替え時期は?水やりのコツ、土の選び方、置き場所は?

多肉植物 植え替え 苗を取り出す

ぷっくりとしたフォルムで人気の多肉植物には、お手入れのひとつに植え替えの作業があります。初心者でも簡単にできるので、多肉植物の健康のためにも定期的に植え替えをしましょう。

今回は、多肉植物の植え替え方法を動画や写真で詳しく説明するほか、植え替えにベストな時期や植え替え後の水やりや置き場所についても詳しくご紹介していきます。

【動画】基本の多肉植物の植え替え方法

こちらの動画では、基本の多肉植物の植え替えの流れをかんたんにまとめています。まずは、こちらの動画をチェックしてみましょう。

詳しい方法やコツについては、以下を参考にしてくださいね。

多肉植物に植え替えが必要な理由

単体や寄せ植えなどで楽しめる多肉植物は、ほかの植物と同様に定期的に植え替えが必要です。

多肉植物が何年も経ち生長すると、根が鉢の中に広がることで根詰まりの原因となります。根詰まりは植物の生長を妨げ、さらに土がガチガチだと水を十分に吸収できなくなってしまいます。

植え替えをしないと、土壌環境は悪化していくだけです。適宜大きな鉢に植え替えることで根詰まりの心配もなく、あまり手入れをしなくても育ってくれるので、定期的な植え替え作業は必ず行ってあげることをおすすめします。

多肉植物の植え替えをする目安は?

多肉植物を育てるにあたり、植え替えのタイミングとなるサイン・目安がいくつかあります。下記のようなサインを発見したら、正しい時期に植え替えしましょう。

  • 鉢底から根が出ている
  • 土の表面にたくさんの根が出ている
  • 茎や葉がからからに干からびている
  • 葉に変色が見られる

ちなみに、多肉植物を大きく育てたいときは、1年に1回植え替えをして少しずつ鉢の大きさをあげていくといいです。あまり大きさを変えたくない場合は、上記の植え替えサインが出てなければ3年に1回の植え替え程度でも大丈夫です。

多肉植物の植え替え時期はいつ?

多肉植物の植え替え時期は、生育型が春秋型なら4月~5月頃、夏型なら4月~5月頃、冬型なら9月~11月頃です。

生育型は、その多肉植物がどの季節に生育期を迎えるかで決まりますが、だいたい下記のように振り分けられています。

春秋型
エケベリア、ハオルチア、セダム、クラッスラ、グラプトペタルム、ほか
夏型
アガベ、アロエ、カランコエ、ユーフォルビアの一部、ほか
冬型
リトープス、コノフィツム、ユーフォルビアの一部、ほか

生長期より少し前のタイミングで植え替えることで、根などが傷付いた場合でも回復力が早いです。逆に、湿気が多い梅雨の時期や真夏、そして冬はなるべく避けるようにしましょう。

植え替えの時期を間違えてしまうと、せっかく植え替えても多肉植物を枯らしてしまう原因になります。予め品種の植え替え時期を確認してから、作業することをおすすめします。

多肉植物の植え替えの土や鉢の選び方は?

多肉植物 植え替え 用意するもの

多肉植物の植え替え時には、事前に下記のものを用意しておきましょう。

  • 多肉植物用、またはサボテン用の培養土
  • 苗より1回り大きな鉢
  • 鉢底石(軽石)
  • 鉢底ネット
  • ハサミ(清潔なもの)
  • スコップかスプーン

植え替えする土について

植え替えするときに用意する土は、園芸店やホームセンターなどで販売されている「多肉植物用の土」または「サボテン用の培養土」にしましょう。

一例として、自分で配合する場合は、「赤玉土(小粒) 4:鹿沼土(小粒) 3:腐葉土もしくはピートモス 3 」の割合で混ぜた用土に緩効性化成肥料を混ぜましょう。

観葉植物用の培養土に鹿沼土を3割くらい混ぜて使うこともできます。

植え替えする鉢について

多肉植物の鉢は、素焼きの鉢やコンクリート、テラコッタなどの自然素材のものがおすすめです。保水性と排水性のバランスが良く、通気性も高いので乾燥を好む多肉植物が過ごしやすい環境をつくれます。

鉢の大きさは株に対して一回り大きいものを選ぶことです。大きすぎる鉢に植えてしまうと、根がうまく伸びず逆に弱ってしまうので注意してください。

鉢底に詰める「鉢底石(軽石)」を準備しますが、石の代わりに中粒赤玉土を使用しても構いません。

道具類について

多肉植物を植え替えするときに、余分な根などを切るために使う「ハサミ」は、使用する前に必ず消毒してから使いましょう。

「割り箸」や「ピンセット」は、土を詰めるときに便利です。とくに、ピンセットは葉の間に土が入ってしまった時など細かい作業にも適しています。

その他、植え替えする際に「新聞紙」や「ビニールシート」などを敷いておくと、作業がしやすいです。

多肉植物の植え替え方法は?

  1. 水やりを控えて乾燥させる

    多肉植物 植え替え 水やりを控える
    多肉植物を植え替えするときは、あらかじめ水やりを控えて、土をよく乾燥させておきましょう。土の内部までカラカラになるように、5〜10日以上は水やりを控えてください。

    土を乾燥させることによって、多肉植物を取り出すときにあまり根を傷めずに作業できるので、失敗が減ります。

  2. 多肉植物を取り出す

    多肉植物 植え替え 苗を取り出す
    次に、植え替え前の鉢から多肉植物をていねいに取り出します。

    なかなか抜けないときは、鉢の周りをゴムハンマーなどで軽く叩きながら茎の根元を持つときれいに抜き取ることができます。

  3. 多肉植物の根鉢を崩す

    多肉植物 植え替え 根鉢をほぐす
    取り出した多肉植物の根鉢(根とその周りの土)を優しくほぐします。だいたい3分の1ほど崩しましょう。

    根腐れしていたり、病気にかかっている場合は、土と病変した部分を全て落としてください。

  4. 多肉植物の古い根を切る

    多肉植物 植え替え 古い根を切る
    根鉢がほぐれたら、黒ずんでいたりカラカラに干からびている古い根を、清潔なハサミで切り落とします。

    軽く引っ張って抜けてしまうような根は古いので引っ張って取り除きます。白くて太い若めの根だけ残しましょう。

  5. 新しい鉢の下準備をする

    多肉植物 植え替え 鉢にネットと底石をいれる
    一回り大きめの新しい鉢に、鉢底ネットを敷いて鉢底石を底が見えなくなるまで敷き詰めます。

    こうすることで、鉢底穴からの土の流出を防いだり、底に水が溜まりっぱなしになって根腐れしてしまうのを防ぎます。

  6. 新しい鉢に土を入れる

    多肉植物 植え替え 鉢に土をいれる
    新しい土を鉢底石がしっかり隠れる程度、もしくは鉢の高さ1/3〜1/2ほどまで入れます。

    この段階で入れておく土の量は、苗を置いたときに元の植わっていた鉢の部分が新しい鉢のフチ下1cmほどの高さになる程度を目安にしましょう。

  7. 新しい鉢の真ん中におく

    多肉植物 植え替え 土の上に苗を置く
    根の整理ができたら新しい鉢の真ん中へ、できるだけ根を広げて土の上に置きましょう。

    こうすると、しっかりと根を広く張らせることができるので、株がぐらつかなくなります。

  8. 隙間を土で埋めていく

    多肉植物 植え替え 隙間に土をいれる
    ピンセットや割りばしなどを使って、苗の脇までしっかり土が入るように埋めていきます。

    ときおり鉢の側面を叩いたり揺らしながらいれていくと、土が隙間なく入ります。

  9. 植え替え完了!

    多肉植物 植え替え 土をつめていく
    鉢のフチ下1cmほどまで土を入れたら、これで植え替えは完了です!

岩隈淳樹

この時に土を埋めすぎてしまうと、土が硬くなり過ぎてしまうので気を付けてください。

多肉植物の植え替え後の水やりと置き場所、肥料は?

植え替え後の水やりはいつから?

植え替え後、3〜4日ほど経ってから、十分に水やりをしましょう。水やりの際に株と鉢の間に隙間ができた場合は、用土を足して隙間部分を埋めていきます。その後は、用土が乾燥したら水を与えましょう。

植え替え後の置き場所は?

多肉植物を植え替えた直後は、明るい日陰で管理します。いつもより遮光率の高い場所においてください。水やりを再開したあたりから、徐々に半日陰において日光に慣らしていきます。

植え替え後に肥料をあげていい?

植え替えたばかりの多肉植物は弱っているので、この時期に肥料は与えないようにします。根張りがしっかりして新しい芽や葉が生えてきたり、ピンと葉が張った状態になってから、肥料をあげるようにしてください。

多肉植物の植え替えで失敗しないコツ

多肉植物の植え替えに失敗すると、葉がシワシワになったり、下の方の葉が乾いたように枯れていってしまいます。失敗を防ぐためにも、下記の3つのポイントをしっかり守りましょう。

  • 植え替えする時期を守る(生育期前〜初期)
  • 植え替えの鉢に大きすぎるものを使わない
  • 植え替えする前に水やりを控えて乾燥させる

多肉植物の植え替えのコツや水やりと土

肉厚でぷっくりした葉の姿が特徴の多肉植物は、観賞しているだけで自然と癒されますね。一株で育てる多肉植物もいいですが、違う品種の多肉植物を寄せ植えしても楽しむことができます。

植え替え自体は決して難しい作業ではないので、植え替えの時期が来たら大きめの鉢に植え替えて、どんどん大きく育てていきましょう。お部屋やリビングなどのインテリアに最適なので、ぜひともご自宅で多肉植物を楽しんでみてはいかがでしょうか。

エケベリアの育て方|植え替えや水やり頻度は?増やし方は?

エケベリア

多肉植物らしい肉厚の葉を花のようなロゼット型に生やし、品種もたくさんあるエケベリア。小型の品種から大型の品種まであり、形や色もそれぞれに個性がある事からコレクションとしても人気の高い多肉植物です。

今回は、そんなエケベリアの育て方などについてご紹介します。

エケベリアの置き場所

エケベリアは、風通しと日当たりのよい場所を好みます。ただし、夏の強い直射日光は避けましょう。一年を通して、日なたで育ててあげます。

エケベリアの冬越し

寒冷地での冬越しは、室内に置く方が良いでしょう。ただし、その際は暖房の効いていない明るい窓辺に置きます。温度があり、光が不足すると徒長してしまいます。

そのほかの暖かい地域であれば、冬の季節であっても、多くのエケベリアは-2℃くらいまでの耐寒性があるため、室外に置いたまま育てることができます。

ただし、室外で育てる場合は、雨や雪、霜などには当てないようにしてください。

吉坂包装 上田泰

外の天候が心配な場合は、天気予報で0℃以下になるとされる夜だけ玄関などの室内に取り込み、翌日の日中が0℃を超える気温になるなら屋外に出して日光に当てます。

エケベリアの水やり

夏の水やり

エケベリアの生育期は気温が18~30℃くらいの頃が、最も活発に生育する温度になります。その間は、水やりの頻度が多くなります。

下葉の水分が少なくなり張りがなくなり、柔らかくなったら、たっぷりと水やりをしましょう。

多肉植物は水を与えないと、自分の葉に貯めた水分を使って生きていきます。その際、必ず一番下葉(根元に近い葉)の水分から使います。水分を取られた葉はだんだん張りがなくなり、やがてシワが寄るようになり、最後には枯れてしまいます。

多肉植物に枯れ葉があれば、水やりが不足している可能性が高いので注意してください。

吉坂包装 上田泰

エケベリアをはじめとる多肉植物の水やりは、季節だけでなく、その年の気候、そして多肉植物を管理している置き場所で水やりのタイミングは変わります。葉っぱの様子をよく観察しましょう!

冬の水やり

一方、冬期の水やり頻度は少なくなります。ただし、冬は休眠期といわれますが、完全には休眠していません。

冬場でも地域や置き場所により水分は必要としています。春秋同様一番下の葉を観察し、植物が欲しいタイミングで与えます。

エケベリアの肥料・追肥

植え付け、植え替えのタイミングでは、元肥として暖効性肥料を与えて、根の発根を促進させます。

また、春と秋の生育が盛んな時期には、即効性のある液体肥料を与えるのがおすすめです。固形の化成肥料だと、水やり頻度の少ない多肉植物には長く効きすぎるため不向きです。

夏の暑い時期は、肥料が効きすぎると障害がでることもあるので、特に注意してください。

吉坂包装 上田泰

エケベリアは特に肥料が必要ないと思われがちですが、実際は適期に肥料を与えることで、健全な苗をつくることができます。

秋から冬になる前までに、肥料と共に「バイオスティミラント」といわれる活力剤を併用すると、細胞壁を強くしたり、冬や夏に強い多肉植物をつくることができます。

エケベリアの土

エケベリアに適した土は、水はけと保水のバランスが大切です。エケベリアなどの多肉植物用に配合された、市販の土を使用するといいでしょう。

吉坂包装 上田泰

市販の多肉植物の土の中には、「サボテン・多肉植物の土」として販売されているものが多くありますが、正確にはそれぞれに適した土は異なります。

エケベリアの方が、サボテンより細かな根をたくさん張ります。そのため、水はけの良すぎる大きな粒子で構成された土では、根が空気に触れすぎ毛細根が育ちにくいです。

この場合は、水やりの頻度がかなり多く必要になるので注意しましょう。

エケベリアの植え付け・植え替え

植え付け・植え替え

エケベリアの植え付けや植え替え時期は、成長期である春と秋が最適期です。18~30℃くらいの気温の頃が適しています。

また、育てているエケベリアが新しい葉を展開しにくくなったり、株が弱ってきたら、根詰まりしていたり、土が劣化している可能性が考えられます。2年に1度は、新しい土に植え替えましょう。

植え替えの際は、鉢から取り出したエケベリアの根をほぐし、古くなって傷んだ根をハサミを使ってきれいに取り除き、新しい土に植え替えます。

吉坂包装 上田泰

植え替え頻度は鉢の大きさにもよりますが、7cm以下の小さな鉢では1年に1度の頻度が好ましいです。

また、エケベリアの大きさは鉢の大きさ(土の量)で決まります。大きく育てたいときは、大きな鉢にサイズアップしましょう。

エケベリアの増やし方

エケベリアは多肉植物なので、多肉植物の一般的な増やし方のうち「株分け」と「葉挿し」「胴切り」にて増やすことができます。

株分け

株に子株がついたら、その子株をカットして増やす方法です。

ハサミなどでチョキンとカットしたら、雑菌が入らないようすぐには植えず、3日間ほど切り口を乾燥させる方が安全です。乾燥させたら、新しい土に植え付けましょう。水やりもすぐにはせず、10日ほど待ってから与えます。

葉刺し

エケベリアは葉の付け根に生長点といわれる組織を持っているため、葉挿しで増やすこともできます。

葉挿しする葉を株から切り取り、その葉を乾いた土の上に置いておくと根が出てきます。切り口を下にして、葉の1/3程度を土に挿しましょう。

胴切り

胴切りとは、エケベリアの茎を途中から切って頭部と同体に切り離す作業のことをいいます。

この際、カッターやハサミではなく、テグスや細いワイヤ線を使ってエケベリアの上部をカットすると葉を傷めずきれいに切り離すことができます。

切り離した頭部は、3日間ほど切り口を乾燥させてから新しい鉢に植えましょう。残った胴体は、上から数枚の葉を取ることで、取った葉のつけ根から新しい子どもが展開していきます。

エケベリアの育て方で注意すべき病気・害虫

つきやすい虫

エケベリアに多い害虫は、アブラムシやカイガラムシ、ハダニです。せっかく大切に育てていても、虫に侵食されてしまったらあっという間に枯れてしまうこともあります。

特に、秋になるとカイガラムシがつきやすくなります。この虫は薬が効きにくいので、見つけたらすぐにブラシなどで取り除きましょう。取り除いたときに、虫を土に落としてしまうと、またそこから増えるので注意が必要です。マシーン油やカイガラ虫用のスプレー式の殺虫剤などを使う方法もあります。

害虫の発生を予防するには、土に撒くタイプの殺菌・殺虫剤を定期的にまくといいでしょう。

加えて、春先から冬に入るまでの間は、定期的に殺菌・殺虫剤を葉面に散布します。その際、葉のつけ根にまでしっかりいきわたるように散布してください。

また、風邪通しの良い場所に置くことも病虫害の発生抑止につながります。

かかりやすい病気

エケベリアは普通の草花より病気には強い植物ですが、置き場所や管理の仕方でどうしても病気になることがあります。

エケベリアで最も掛かりやすい病気は、「根腐れ病」「灰色カビ病」「黒点病」「スス病」です。どれも多湿や腐葉土。バーク堆肥などの有機質が原因で発生しやすい病気です。

  • 根腐れ病
  • まず根腐れ病は、土が多湿になりすぎたり、腐葉土やバーク堆肥などの有機質が原因で起こります。なるべくエケベリアに適した土を用いましょう。

  • 灰色カビ病
  • 上部が腐ってきたときには、一度鉢から取り出し根を見てみましょう。そうなると根腐れを疑いがちですが、根に問題がなければ実際は灰色カビ病の可能性が高いです。1枚でも葉っぱが腐りだすなどの異変を見つけたら、早めに取り除き殺菌しましょう。

  • 黒点病
  • 黒点病は葉に黒い丸い瘢痕が現れます。もし見つけたらその葉は取り除き殺菌しましょう。

  • スス病
  • スス病も多湿が原因でつく細菌です。梅雨から夏の高温期に起こりやすいです。

    このように多肉植物は菌が原因で病気になりますがどれも多湿によるものです。どうしても湿度の高い日本ではさけれない病気なので、冬以外は定期的に殺虫と殺菌をして予防しましょう。

    吉坂包装 上田泰

    エケベリアにあるトラブルで最も多いのが、「灰色カビ病」にかかり腐らせてしまうことです。

    エケベリアの育て方に関するQ&A

    エケベリアの葉っぱが葉焼けした場合の対処法は?

    冬は日差しが弱く、葉がデリケートになっているため、春になると急激に強い日光が射し葉焼けをおこすことがあります。また梅雨時期も同様です。

    一度葉焼けをおこした葉は元にもどりませんので注意しましょう。

    予防としては、遮光ネットを用いるか、徐々に環境に慣らしていきます。初春から常に直射日光に当てている苗は、真夏の直射日光にも耐える葉をつくることもできます。

    ただし、近年の猛暑は直射日光と気温が異常に高いため、夏場も遮光するか半日陰の明るい日陰で育てることをおすすめします。

    吉坂包装 上田泰

    エケベリアは種まきから育てることもできるの?

    エケベリアは種から育てることも可能ですが、種まきから育てるのは初心者には難しいとされています。

    種まきに挑戦する場合は、以下の手順で作業してみてください。

    1. 花が咲いたら受粉させる

      エケベリアの花が咲いたら、中心の雌しべの柱頭に周りの雄べの花粉をつけます。その際、小さな筆や綿棒などを使うと簡単に受粉できます。

    2. 花の根元の茎が枯れてきたら、種を収穫する

      受粉が成功すれば、雌しべの根元がふくらみ、たくさんの種がつきます。種の収穫は、種が入っているサヤが弾ける前に取る必要があります。エケベリアの種はとても小さいので、種を回収するときは白い紙を用意して、その上に取り出すといいでしょう。

    3. 種を冷蔵庫で保管する

      冷蔵庫に2週間ほど入れて、寒さに当ててから撒くと発芽がそろいやすいです。ただし、そのまま土に撒いても大丈夫です。

    4. 種まきをする

      種まきの適温は、20~30℃。春と秋が種まきの季節となります。種をまくときには専用トレーや鉢を使い、市販の種まき用の新しい専用土をつかうと良いでしょう。

    5. 土を被せず、水やりをする

      種をまいたあとは、土を常に湿らせておきます。ただし、上から水やりすると、種が土に埋もれるため、底面給水で常に土が濡れている状態をつくります。そして多肉植物の発芽には光も必要なので、覆土はしないよう気を付けましょう。

    6. 発芽を待つ

      発芽は1週間~2週間で発芽しますが、環境や条件が悪いともっとかかる場合もあります。

    吉坂包装 上田泰

    エケベリアを育ててみよう!

    多肉植物の中でも華やかな姿で人気のあるエケベリアの育て方についてご紹介しました。

    エケベリアを育てるときは、置き場所に特に注意しながら育てていきましょう。

    冬の昼間でもマイナス気温になるような寒冷地域の場合は、0℃以下になっている間だけ、暖房のかかっていない室内の明るい窓辺に、一時的に避難させてあげましょう。そうすることでうまく冬越しもできますよ。

    増えすぎないアロマティカスの育て方|おすすめの増やし方は?水耕栽培もできる?

    アロマティカスはシソ科プレクトランサス属のハーブで、多肉質な葉を持つ多肉植物のひとつでもあります。また、ミントのような爽やかな香りがあり、虫除け効果も期待されています。最近では100均などでもよく売られているほど、育てやすく増やしやすい植物で、園芸初心者にもおすすめです。ただし、増やしやすい反面、「思ったより増えすぎた…」という声もよく聞きます。

    今回はそんなアロマティカスの育て方や、増やし方、増えすぎないための対策などについて詳しくご紹介します。

    アロマティカスの育て方のコツとは?

    松原真理子

    アロマティカスの育て方のコツは、日当たりのいい場所に置くこと水やりを控えめにして育てることです。これさえ守ればどんどん成長していきますが、非耐寒性多年草で寒さには弱いので、冬は室内で育てるといいでしょう。

    また、アロマティカスを地植えしているとどんどん増えすぎてしまう可能性もあります。

    アロマティカスが増えすぎないためにも、こまめに枝を思いきり切りって減らしていきましょう。

    アロマティカスの栽培に適した場所

    アロマティカス

    Photo by ケンさん@GreenSnap

    アロマティカスは日当たりのよい場所を好みますが、過湿になると根腐れや蒸れをおこして枯れるので、雨の当たらない場所で育てましょう。

    屋外のよく日の当たるところで育てると、徒長することなくかわいらしい形を保ってすくすく育ちますが、午前中日が当たるような明るい窓辺であれば通年室内栽培も可能です。

    また、アロマティカスは夏の高温多湿に弱いので、真夏は半日陰に置き場所を変えましょう。

    さらに冬の寒さにも弱く、寒くなってくると葉色がだんだん黄色くなって、やがて茶色くなってしまいます。霜が降りる前に室内の明るい窓辺に置き場所を変えて、10℃以上を維持するようにしましょう。

    春~秋にかけてアロマティカスを屋外で栽培したい場合は、遅霜の心配がなくなる八重桜が咲くころに、外に出してあげましょう。

    アロマティカスの水やり方法は?

    アロマティカス 水やり

    Photo by とみさん@GreenSnap

    アロマティカスは多肉植物でもあるハーブで、葉っぱに水をためこむ性質があるので、水やりは控えめにして育てます。

    春から秋は表面の土がしっかり乾いてくるまで待ち、たっぷりと水やりをします。鉢皿に水をためておくのは、過湿の原因になるので、こまめに受け皿に溜まった水は捨てましょう。

    また、葉にほこりがたまったり、汚れたりしているときは、葉にも水をかけてもかまいません。ただし、頻繁に葉水をしすぎると蒸れやすくなるので注意しましょう。

    さらに、冬の寒さに耐えるためには、春秋の生育期よりも乾燥気味に管理する必要があります。

    からからに乾いてくると、葉っぱがしおれてくることもありますが、気温が上がってきて水やりを再開するとすぐに元気になるので、寒いところで育てる場合は特に乾燥気味に管理して育てましょう。

    アロマティカスの肥料は必要?

    アロマティカスは、基本的には肥料を与えたほうが生育がよくなります。

    ただし、肥料を与えすぎると最大の魅力の香りがなくなってしまうので、香りを楽しみたい場合は肥料は控えめにしましょう。春ごろに芽出し肥として、少量の緩効性化成肥料を株元にまくだけで十分です。

    とはいえ、肥料があまりに少ないと、葉っぱの色が全体的に薄くなってきます。葉色が悪くなり、元気がないときは、薄めた液体肥料を水やりのときに水代わりに与えるとよいでしょう。

    アロマティカスにおすすめの土は?

    アロマティカス 鉢植え

    Photo by のあぞうさん@GreenSnap

    アロマティカスの土は市販の「サボテン・多肉植物用の土」を使いましょう。乾燥を好むので、水はけと通気性がいい状態の土が理想です。

    また、ハーブティーとして食用目的で育てるのなら、水はけのいいハーブ・野菜用の土を使いましょう。水はけが心配なら、1割ほど川砂を混ぜておくといいです。

    アロマティカスの植え付け・植え替え方法は?

    植え付け・植え替え時期

    アロマティカスの植え付けは、真夏を除いた春~秋にいつでも可能です。できれば本格的な夏がくる前に終わらせておくのがおすすめです。

    暑くも寒くもないのに、丈夫なはずのアロマティカスがなんとなく元気がないときは、鉢底から根が飛び出していないか確認しましょう。根が飛び出していたら、植え替えのサインです。

    植え替え・植え替え方法

    アロマティカスは繁殖力が強いので、地上部分もよく茂りますが、根もよく茂ります。すぐに鉢の中が根でいっぱいになってしまうので、毎年一回り大きな鉢に植え替えるようにしましょう。

    植え替えの適期ではないときは、根鉢を崩さないようにして、そのまま一回り大きな鉢に植え替えるようにしましょう。

    また、鉢を大きくしたくないときは、植え替え時にアロマティカスの株を手で割って株分けし、株を小さくして植えつけましょう。

    アロマティカスが増えすぎたら「剪定」しよう

    アロマティカスはとても増えやすく茂りやすい植物ですが、蒸れを嫌うので茂りすぎたときは剪定して風通しをよくする必要があります。

    アロマティカスの剪定時期は、春から秋の間、適宜おこないます。とくに梅雨になる前に混み枝を剪定して、株全体の枝数を減らして風通しを良くしておくと、蒸れて枯れこむ心配がなくなります。

    剪定するときは、分岐点の根本か生え際から切るようにするといいです。

    また、アロマティカスはミント代わりに食べたり、ハーブティーに使うこともできるので、伸びすぎた枝は収穫して活用するなどしましょう。この収穫作業がそのまま混み枝の剪定にもなるので、一石二鳥です。

    アロマティカスの増やし方

    アロマティカスの増やし方には、「挿し木」と「株分け」などの方法があります。また、挿し木をしながらそのまま水耕栽培としても育てて増やすことができますよ。

    挿し木

    1. 挿し木するのに必要なもの

      アロマティカス 挿し木 用意するもの

      • アロマティカスの親株
      • 挿し木用の無菌で清潔な土
      • ポリポットや3号鉢
      • 清潔なハサミ・カッター
      • コップと水
      • 発根促進剤
    2. アロマティカスを剪定する

      アロマティカス 挿し木 ハサミで切る

      アロマティカスを挿し木するときは、5cmくらいの長さの茎を剪定しましょう。

    3. アロマティカスの挿し穂を整える

      アロマティカス 挿し木 挿し木の切り口を切る

      剪定した茎(挿し穂)の下葉をもいで、切り口が斜めになるように切り直します。

    4. アロマティカスを水につける

      アロマティカス 挿し木 水につける

      コップや小瓶などに水をいれて、2〜3時間ほどアロマティカスの挿し穂の切り口を水につけておきます。

    5. 発根促進剤をつける

      アロマティカス 挿し木 発根促進剤をつける

      ルートンなどの粉末状の発根促進剤を切り口につけます。メネデールなどの液体状の発根促進剤を使う場合は、前工程の水に規定量混ぜておきましょう。

    6. 新しいポットに土をいれて挿す

      アロマティカス 挿し木 土に挿す

      新しいポットに土を9分目までいれ、割り箸などを2〜3cm挿して植え穴を開けておきます。そこへアロマティカスの挿し穂をさしたら、たっぷりと水やりをして完了です。

      その後、1~2週間で根が伸びてくるので、その間は土が乾いてしまわないように水やりの管理をします。

    株分け

    アロマティカスを株分けして増やすときは、植え替えと同時に作業しましょう。

    根鉢をほぐして、茎と根が分けられそうな部分を見つけたら、引き裂いていきます。根が切れない場合は、清潔なハサミで切り分けましょう。

    植え替えのやり方と同じように、それぞれを新しい土がゆったり入るくらいの鉢で育ててください。

    アロマティカスは水耕栽培でも育てられる!

    アロマティカス 水耕栽培

    Photo by むんさん@GreenSnap

    アロマティカスは水耕栽培でも育てられます。水耕栽培で育てるときは、挿し木と同じように5cmほどの茎を剪定して下葉をもいで、切り口を水につけて育てましょう。

    水は毎日変えて、直射日光を避けた日当たりのいい場所におきます。

    発根してよく伸びたら、根の3分の1から2分の1ほどが浸かるほどの水位で管理します。根腐れ防止剤を入れておくと、水を清潔な状態に保てますよ。

    水耕栽培を始めるときは株に負担がかかるので、5〜9月中の真夏を避けた時期に始めましょう。

    アロマティカスの育て方で注意すべき病気・害虫

    アロマティカスには、カイガラムシやナメクジがつくことがあります。

    カイガラムシは薬剤が非常に効きにくいので、付いたときは水で湿らしたティッシュなどでふき取りましょう。こすりすぎると葉が傷んでしまうので、あまりにひどいところは剪定して取り除きましょう。

    カイガラムシは再発しやすいので、時々葉の裏表をチェックして見つけたら繰り返し取り除いていきます。

    また、ナメクジがつくと、葉っぱがあっという間に食べつくされてしまいます。鉢の縁のほうにぐるりと石灰をまいておくとナメクジ除けになります。あまりに被害が大きいときは、ナメクジ駆除用の薬剤を散布しましょう。

    飲み残しの缶ビールを置いておくと、ナメクジが集まってその中で溺死するので駆除できますが、後で缶の中の死骸を取り除く作業が必要になってきます。

    アロマティカスの冬越し

    冬にアロマティカスを寒さに当ててしまうと枯れてしまうことがありますが、関東以西の温かい地域であれば、地下で根が越冬することがあります。

    春になるとアロマティカスが芽吹いてくることがあるので、枯れてしまったとしてもすぐ処分しないで、春まで待ってみましょう。

    アロマティカスは寄せ植えもできる!

    アロマティカスは日当たりと乾燥を好み、夏の高温多湿・冬の寒さが苦手なので、同じような性質を持つ植物と寄せ植えにするのがおすすめです。ローズゼラニウムや葉色や形が違う多肉植物などと寄せ植えにしてみましょう。

    アロマティカスの育て方や増やし方を覚えよう!

    ミントのような甘い香りのするアロマティカスは、丸い肉厚の葉っぱがかわいらしい「育てる芳香剤」とも呼ばれます。

    日当たりのよい場所で、乾燥気味に管理して、茂りすぎたときは剪定をしながら育てましょう。剪定した茎は、挿し木をしたり水耕栽培で増やすこともできるので、ぜひたくさん育ててみてくださいね。

    シャコバサボテンの育て方を徹底解説!植え替えや土の選び方、剪定や挿し芽のやり方は?

    シャコバサボテン つぼみ

    寒い冬、お花がなくて寂しいと思っている人におすすめなのが「シャコバサボテン」です。11月頃から咲き始めクリスマス頃にも花を楽しめるので別名「クリスマスカクタス」ともいわれています。

    今回は、花が美しいシャコバサボテンの育て方について、植え替えや剪定方法などを詳しくご紹介します。

    シャコバサボテンの育て方のポイント

    シャコバサボテン 花

    松原真理子

    シャコバサボテンの育て方のポイントは、季節に合わせた置き場所と、開花中は断水気味に育てることです。そのほかにも花を確実に咲かせるには、芽摘みや短日処理というお手入れが必要な場合もあります。

    あとは花が終わったら剪定と植え替えをしてあげれば、初心者でも元気に毎年花を咲かせられるので、気軽に挑戦してみましょう。

    シャコバサボテンの置き場所・日当たり

    シャコバサボテンの開花時期である11月から2月までは、室内の日当たりのよい場所鉢を置くようにしてください。耐寒温度は10度ほどと寒さには弱いので、温度に気をつけましょう。

    花が終わった4月〜10月までは、気温も高いので鉢を屋外に置きます。7月~9月の暑い時期は、半日陰の場所に置いて直射日光を避けるようにしましょう。

    シャコバサボテンの水やり

    春〜夏の水やり

    屋外に鉢を置く4月~10月までは、土を乾燥をさせないようにたっぷりと水やりをします。とくに気温が高い夏の季節は、鉢の底から水が流れるくらいたっぷり水やりをします。根っこからしっかりと水分補給ができるようにしてあげましょう。

    ただし、30度以上にもなる真夏の時期は、シャコバサボテンにとっては暑すぎるので生長が緩慢になります。この時期に水やりしすぎると根腐れする可能性が高いので、真夏は少し控え目にしましょう。

    秋〜冬の水やり

    気温が低くなってきたら、水やりは少なめにします。シャコバサボテンの蕾が出てくる10月頃は、土を触ってみて乾燥していると感じたらたっぷり水やりをするようにしてください。

    開花中はほぼ水やりなしでも育ちます。雪が降り始めてから桜が咲くまでの期間は断水したほうがいい場合もあります。

    花が枯れてきたら水やりを再開しますが、それでも水やり頻度はかなり低めにして乾燥気味に育ててください。気温が低い時期に水やりをし過ぎると、根腐れを起こして「冬越し」ができなくなるので気をつけましょう。

    松原真理子

    水やりの頻度を低くしても、水やりの基本は「鉢のそこから水が流れ出るまでたっぷりと」です。水やりの回数を減らしても量は減らさないようにしましょう。株を弱らせる原因になります。

    シャコバサボテンの肥料

    シャコバサボテン 葉が赤い

    肥料を与える時期はいつ?

    シャコバサボテンに肥料を与える時期は、4月〜6月頃までです。夏以降は追肥の必要はありません。

    そもそもシャコバサボテンは基本的にかなり強健な植物なので、肥料を必要としません。ただし、花つきをよくしたいときや早く大株にしたい場合は、株の様子を見ながら施肥するようにしましょう。

    おすすめの肥料

    シャコバサボテンにおすすめの肥料は、サボテン用の緩効性肥料です。製品表示の効果持続期間にしたがって、1〜2ヶ月に1回の頻度で与えましょう。

    ただし、サボテン用の肥料では花を咲かせる栄養成分であるリン酸が少ない場合もあるので、株の様子をみながら草花用液体肥料を規定量よりも薄めに希釈して与えるといいでしょう。

    なお、肥料の与えすぎは「肥料焼け」の原因になるので注意してください。

    シャコバサボテンの土

    園芸店に行くと土のほかに、石灰や肥料を加えた培養土が販売されています。シャコバサボテンを育てるときは、サボテン・多肉植物用の培養土を選ぶとよいでしょう。

    自分で配合して土づくりをするときは、通気性がよい小粒軽石や川砂を混ぜるのがおすすめです。下記の配合例を参考にしてみてください。

    • 観葉植物用培養土7:川砂もしくは軽石3
    • 赤玉土小粒4:鹿沼土3:腐葉土3+緩効性粒状肥料
    • 赤玉土小粒6:腐葉土2:川砂2+緩効性粒状肥料

    シャコバサボテンの植え替え

    シャコバサボテン 花

    植え替えの時期はいつ?

    シャコバサボテンの植え替え時期は4〜6月頃です。植え替え頻度は1〜2年に1回を目安にしましょう。

    シャコバサボテンは多年草なので、夏越しと冬越しができれば翌年以降も花を咲かせることができます。ただし、成長をするとそれだけ根も張りますので、土の中にある水分や栄養が吸収しにくくなります。そのため定期的に植え替えをして、いい栽培環境を保つ必要があります。

    用意するもの

    • 新しい土
    • 一回り大きい鉢
    • 鉢底石と鉢底ネット
    • スコップまたはシャベル
    • 清潔なハサミ
    • 割り箸
    • 園芸シートや新聞紙

    植え替えの方法

    1. 植え替えする数日前から水やりを控えて土を乾燥させる。
    2. 鉢から丁寧にシャコバサボテンを取り出す。
    3. 根についた土をだいたい1/3か1/2ほど落とす。
    4. 黒く古い根や異常に伸びている根を切る。
    5. 根が乾燥していなければ数日日陰に置いて乾燥させる。
    6. 新しい鉢に鉢底ネットと鉢底石を敷いて、1/3ほどの高さまで新しい土をいれる。
    7. シャコバサボテンを植えて、割り箸などでつつきながら隙間に土を流し入れる。
    8. 植え替え後1〜2週間たってから水やりを再開する。

    シャコバサボテンの増やし方(挿し芽)

    シャコバサボテンの増やし方は「挿し芽」が一般的です。シャコバサボテンの生育期である4月~6月頃に、切り戻しの手入れででた葉茎の切れ端を使って増やしましょう。

    1. 切り戻しの手入れをして2〜3節ある挿し穂をつくる。
    2. 風通しの良い日陰で切り口を乾燥させて発根をまつ。だいたい2〜3週間ほどで発根する。
    3. 新しい鉢に鉢底ネット、鉢底石、培養土をいれて水で濡らしておく。
    4. 植え穴のくぼみをつけて、1節の半分ほどを土に挿す。
    5. 赤い新芽がでるまでは土が乾いたら水やりし、明るい日陰で管理する。

    シャコバサボテンの育て方でよくある質問

    シャコバサボテンの花が終わったら、切り戻し剪定をして植え替えをしましょう。シャコバサボテンの開花時期は1〜3月ごろなので、気温が15度以上になった春ごろに作業するといいです。

    切り戻し剪定は、株の全体が1/3〜1/2ほどのボリューム感になるように切り戻しをしましょう。シャコバサボテンは平たい茎が連なるように伸びるので、茎節のところでひねるだけでポロッと取れます。

    小さい株の場合は地際から3〜5節ほど残して、その先の茎を切り戻すようにしてください。切り戻しをすることで茎の分岐が増えて、より大株になっていきます。

    植え替えの方法はこちらの項目を確認してくださいね。

    ガーデンプランナー 松原真理子

    ガーデンプランナー 松原真理子

    シャコバサボテンの寿命は20〜30年ほどと言われています。栽培環境によってはもっと短くなったり長くなることもありますが、育てて数年なのにもかかわらず花が咲かないのは、日当たりと温度に原因があります。

    シャコバサボテンは短日植物といって、1日の日照時間が12時間以内と短くなることで花を咲かせます。開花適温は10~15℃ほどなので室内で育てる場合が多いですが、そうなると室内灯の影響を受けて開花条件に満たないことがあるのです。

    このようなときは、段ボールなどを被せて日照時間を短くする短日処理をする必要があります。10月ごろのつぼみをつけ始めた時期から、夕方17時〜朝7時くらいまで株全体が隠れるように段ボールを上から被せて遮光してあげましょう。

    ガーデンプランナー 松原真理子

    ガーデンプランナー 松原真理子

    シャコバサボテンの花付きをよくする「芽摘み(葉摘み)」とは?

    シャコバサボテンの花をたくさん咲かせたいなら、秋になってから伸びてきた赤く柔らかめの新芽を摘み取っておく「芽摘み(葉摘み)」という剪定作業をしましょう。

    シャコバサボテンは成熟した茎にしか花を咲かせないので、この時期の新芽に花をつけることはありません。芽摘みをすると栄養がより成熟した茎に回り、花つきがよくなりますよ。

    ガーデンプランナー 松原真理子

    ガーデンプランナー 松原真理子

    シャコバサボテンの葉が赤いのは病気のせい?

    シャコバサボテン 葉が赤い

    もともとシャコバサボテンの新芽は赤っぽい色をしていますが、もともとあった葉(茎)が夏場に葉っぱが赤くなるのは、水分が不足して乾燥していたり、根がうまく栄養と水分を吸い上げられていない可能性があります。

    このまま放っておくと枯れてしまったり、花がつかなくなるので、早急に植え替えをして新しい土に植えてあげましょう。黒っぽい根があれば必ず切り落としてください。

    ちなみに冬に葉が赤くなってしまうのは、休眠期に水やりをしすぎて根腐れしてしまったか、寒さで凍結している可能性があります。この場合の復活方法はかなり難しいのですが、できるだけ暖かい場所に移動させて様子を見てください。

    ガーデンプランナー 松原真理子

    ガーデンプランナー 松原真理子

    シャコバサボテンがぐったりとしおれている。原因と復活方法は?

    ぐったりしおれている、元気がないという状態の原因は一概にはこれとは言えないので、下記の基本の育て方をもう一度おさらいして振り返ってみましょう。

    • 水やり:控えめにしていたのにぐったりしてしまったということであれば水切れの可能性が高いので、バケツに半分ほど水をはって、鉢ごと沈めて数時間ほど灌水して、日当たりのいい場所において様子を見てください。
    • 温度:シャコバサボテンの栽培適温は15〜20度ほどなので、それより暑い場所の場合は涼しい場所へ、寒い場合は暖かい場所へ移動させてください。とくに日本の夏の暑さには弱い傾向があるので、風通しのよい涼しい軒下などに移動させるといいです。
    • 植え替え:シャコバサボテンは生育旺盛なので、最低でも2年に1回の植え替えが必ず必要です。植え替えをしないと鉢の中が古い根でいっぱいになり、水分や栄養を吸収できなくなるのでぐったりしおれてしまいます。土の状態を確認して、適宜植え替えしてください。
    ガーデンプランナー 松原真理子

    ガーデンプランナー 松原真理子

    シャコバサボテンの葉が落ちるのはなぜ?

    葉が落ちるときも、シャコバサボテンのなんらかのSOSなので一つ前の回答を確認してみてください。なお、夏の終わりに葉が落ちるときは夏バテの可能性が高いです。

    ちなみにつぼみが落ちてしまうときは、環境の変化が原因の場合が多いです。秋頃になってつぼみをつけ始めたころ、寒いからといって急に暖かい室内に取り込んだりすると、気温の変化でつぼみを落としてしまうことがあるので気をつけましょう。

    ガーデンプランナー 松原真理子

    ガーデンプランナー 松原真理子

    シャコバサボテンの育て方で注意すべき病気・害虫

    つきやすい害虫

    害虫で注意したいのが、ケムシ、ナメクジ、ヨトウムシです。シャコバサボテンの生育期である4月~10月にかけて発生し、葉っぱを食い荒らします。虫を見つけたら取り除くか、薬剤をかけて駆除するようにします。

    このほかにもカイガラムシがつくと、葉っぱや茎が白くなります。放っておくと枯れる原因になるので、虫の付いた部分を取り除いたり、薬剤をかけて虫がつかないようにします。

    かかりやすい病気

    シャコバサボテンは比較的病気に強いといわれていますが、茎の部分に黒い斑点が出る「炭素病」やカイガラムシがウィルス媒介して起こる「スス病」にかかることがあります。病気にかかってしまったときは、できるだけ病気の箇所を早めに取り除くようにしてください。

    手入れしてシャコバサボテンの花を咲かせよう!

    シャコバサボテン つぼみ

    花言葉の「ひとときの美」のように、花が少ない冬の季節を楽しませてくれるシャコバサボテン。温度管理と乾燥に注意をすれば、何年でも冬に花を見せてくれます。

    挿し芽をすれば鉢を増やすこともできるので、クリスマスシーズンから翌年の春にかけてたくさんの花を見られますよ。

    多肉植物の育て方をプロが解説!正しい植え方、日当たりは?枯らさない管理のコツは?

    多肉植物とは、雨が少なく大地が乾燥している地域を主な原産地とする、肉厚な葉や茎が印象的な植物です。乾燥した環境で生きるために、葉・茎・根などに水分をためるように進化したため、ぷっくりとした独特なフォルムが可愛いと、最近ではインテリアグリーンとしても人気です。

    今回は、そんな今大人気の多肉植物の育て方を詳しくご紹介します。植え方をはじめ、種類や季節によって異なる管理のコツについて、ぜひ参考にしてみてください。

    多肉植物の育て方のポイントは?

    岩隈淳樹

    多肉植物の育て方は、日当たりと風通しの良い場所で、水やりを控えめにすることが大切です。一般的な観葉植物よりも乾燥気味に育てましょう。

    また、多肉植物は原産地の違いにより、活発に成長する季節=生育期が異なり、3つの生育型にわけられます。この生育型に応じて季節の育て方を変えると、多肉植物を枯らさずに長く育てられますよ。

    主な多肉植物の種類とその生育型については、以下をご参照ください。

    生育型 栽培適温 主な種類
    春秋型 気温10〜25℃
    (夏・冬は休眠)
    アロエエケベリアガステリアグラプトペタルムコチレドンスタペリアセダム、、センペルビウムダドレアハオルチアパキフィツムなど
    夏型 気温20~35℃
    (秋〜春は休眠)
    アガベカランコエクラッスラの一部品種、コチレドンパキポディウムサボテン科ユーフォルビアなど
    冬型 気温5~20℃
    (夏は休眠)
    アエオニウムコノフィツムクラッスラリトープス、オトンナの一部品種、セネキオ、ケイリドプシス、フォーカリア、プレイオスピロスなど

    多肉植物の育て方!生育型にあわせた季節の管理方法は?

    多肉植物

    【春秋型】多肉植物の育て方

    春秋型の多肉植物は、生育期中の春から秋は土が乾いてから数日後に水やりをして、真夏や冬の間は断水するか月1〜2回ほどに控えましょう。

    置き場所は春と秋は屋外の日なた、真夏は明るい日陰、冬は室内の日当たりのいい窓際に置いてください。急な環境の変化を嫌うので、移動するときは数日かけて慣らしていきましょう。

    岩隈淳樹

    特に室内から室外への移動は慣らしが重要です!

    【夏型】多肉植物の育て方

    夏型の多肉植物は、春ごろから秋まで水やりは土が乾いてから数日後に与えます。冬から春の間は月1〜2回ほどに控えましょう。

    置き場所は、十分に暖かくなった初夏ごろから日当たりの良い屋外へ出し、8月ごろの酷暑時期だけ明るい日陰ほどの場所に移動します。秋の終わりから早めに室内の日当たりの良い窓際に移動させましょう。

    【冬型】多肉植物の育て方

    冬型の多肉植物は、冬の間は土が乾いたら水やりをし、春から頻度を落として、秋まで断水するか月1〜2回ほどに控えましょう。

    春から秋までは風通しの良い明るい日陰に置き、日中も涼しい場所に置くことが大切です。気温が10℃以下になったら、日当たりの良い室内か、5℃を下回らなければ軒下で冬越しできます。

    正しい多肉植物の植え方

    多肉植物を元気に育て続けるためには、買ったときに植わっていた簡易ポットではなく、通気性の良い鉢に植える必要があります。さらにその後も定期的な植え替えをすると、根詰まり根腐れが予防できて、元気に育ちますよ。

    ここからは多肉植物を育て始める人、これからも元気に育てたい方へ、多肉植物の植え方をご紹介します。

    多肉植物を植える時期

    多肉植物の植え替えは、生育期の直前に作業するのがおすすめですが、春か秋であれば問題ありません。

    春秋型なら4〜5月、夏型なら5月、冬型なら10月頃が目安です。

    なお、3〜5号サイズ(直径9〜15㎝)の多肉植物なら、1〜2年に1回の頻度で鉢替えをします。それ以上の大きい株は、底穴から根が見えるものを植え替えれば大丈夫です。

    多肉植物を植え替えに必要なもの

    • 一回り大きい通気性の良い鉢
    • 市販の多肉植物用の培養土
    • 鉢底ネット・鉢底石
    • 移植ゴテやスコップ
    • 清潔なハサミ
    • 菜ばしなどの細長い棒

    多肉植物を植えるときは、多肉植物専用の培養土を用意してください。通気性や水はけがよくないと根腐れで枯れてしまう可能性がありますので、一般的な観葉植物用や草花用の培養土を転用したいときは、日向土や軽石などを加えて使いましょう。

    多肉植物の植え方

    1. 水やりを数日ひかえて土を乾燥させておく。
    2. 鉢から株を抜いて、やさしく根鉢を崩す。
    3. 古い土を落とし、軽く引っ張ったら取れてしまう傷んだ根はハサミで切ってしまい、健康な白い根を残す。
    4. ひと回り大きい鉢に鉢底ネット、鉢底石を敷きつめる。
    5. 多肉植物用の新しい土を入れて、株が安定するように根を広げて植え付けます。
    6. 鉢のふちの下2cmほどまで土をいれて植え替え完了。

    植え替え後は半日陰で管理し、1週間程経ってから水やりを開始します。1か月半くらい経つと、株が一回り大きく成長するので、明るく風通しの良い場所に置いて、これまで通りの方法で管理しましょう。

    多肉植物のいろいろな楽しみ方

    多肉植物 寄せ植え

    多肉植物の育て方に慣れてきたら、いろいろな楽しみ方に挑戦してみませんか?育て方のポイントやコツさえ覚えれば、簡単に育てられる頑丈な多肉植物は、次のような方法でより楽しむことができます。

    ①寄せ植えしてみる

    多肉植物は同じ生育型同士の種類なら、いろんな品種を寄せ植えにして楽しむことができます。ミニミニサイズの多肉を組み合わせたり、カラフルな葉色の多肉を組み合わせて、世界に一つだけの作品づくりをしてみませんか?

    ②育てている株から増やしてみる

    多肉植物はとても頑丈で、繁殖力も旺盛です。株分け・挿し木・葉挿しなどの方法で簡単に増やすことができるので、植え替えのときや仕立て直しのときに、一緒に挑戦してみましょう。

    ③伸びたら仕立て直す

    多肉植物を室内で育て続けていると、葉が少なく間延びしたようになる徒長状態になったり、大きくなりすぎることがあります。このようなときは胴切りという剪定に近い方法で、仕立て直すことができます。

    ④水耕栽培してみる

    乾燥を好む多肉植物ですが、じつは水耕栽培にして楽しむこともできます。透明な容器にいれれば根が伸びる様子も楽しめて、インテリア性も抜群です。

    多肉植物の育て方で注意するべき病気と害虫

    多肉植物は、比較的病気や害虫の少ない植物だと言われていますが、まったくないという訳ではありません。病気や害虫は、できるだけ早期に発見して被害の拡大を防ぎましょう。

    病気や害虫を早期に発見するためには、日ごろの観察が大切になってきます。

    多肉植物がかかりやすい病気

    病名 症状・対策
    軟腐病 梅雨時に発生しやすい病気で、細菌が葉や茎の傷口から侵入し繁殖すると、腐敗して悪臭を放ちます。葉っぱや茎・枝が変色してブヨブヨしていたり、地際部分が変色している場合には軟腐病にかかっている可能性があります。病気にかかった株は他の株に感染する前に抜き取り、土ごと処分してください。軟腐病を予防するには、古い用土を使用しないことが大事です。
    うどんこ病 初夏または秋に発生しやすい病気で、葉に白カビのような粉がつき、生育を妨げます。全体的に白くなっているようならうどん粉病が疑われます。うどん粉病は、発生時期に合わせて葉の裏表に薬剤を散布すると効果的に予防できます。

    多肉植物に付きやすい害虫

    病名 症状・対策
    カイガラムシ 体長1mm〜5mmほどで、葉や茎の汁を吸って植物の生育を妨げます。白い粒状のものがこびりつき、葉や茎が全体的に白くなっていたらカイガラムシの可能性があります。幼虫には殺虫剤の散布が効果的で、硬い成虫は歯ブラシなどでこすり落とすのが効果的です。
    ナメクジ 葉や新芽などに穴が開くような食害があればナメクジの可能性があります。ナメクジは葉だけでなく花も食べてしまいます。ナメクジ用の殺虫剤で駆除できます。
    ハダニ 体長は0.5mm程度と小さいものの、梅雨から夏の間が繁殖期にあたり、葉や茎の汁を吸って生育を妨げます。葉の表面がカスリ状になっていたらハダニの可能性があります。ハダニは、水をかけて駆除できるので、葉水が有効です。

    基本の多肉植物の育て方を覚えて、好きな種類を育ててみよう!

    多肉植物 コノフィツム
    ▲コノフィツム(冬型)

    多肉植物は乾燥に強くて比較的病害虫の心配も少ないため、育てやすい植物です。

    小さな鉢でもかわいらしく、大きな寄せ植えにするのも素敵で、さまざまな楽しみ方ができますので、ぜひ多肉植物の育て方を覚えて、いろいろ楽しんでみてはいかがでしょうか。

    アガベの育て方| 土づくりや植え替えのコツは?水やり頻度は?

    アガベ ホリダ

    アガベとは、南アメリカ北部や北アメリカ南部、中央アメリカを原産地とするリュウゼツラン科のリュウゼツラン属に分類される多年草の多肉植物の名前です。暑さや寒さにも強いのが特徴です。

    そんなアガベの育て方について次から詳しく解説します。

    アガベの育て方のポイント

    アガベ 日当たり

    アガベは夏型多肉植物といって、20〜35度ほどの気温でよく成長する植物です。反対に秋から翌春までの間、とくに気温10度以下になると休眠するので、水やりや肥料はやめて管理するのが育て方のポイントです。

    ちなみに、アガベは品種によっては1〜2mにも大きくなり、大株になるほど寒さに強くなるので、地植えでも冬越しできます。

    アガベの置き場所

    アガベは日当たりと風通しのいい場所に置いてあげると、元気に成長します。

    一方で夏場の湿気や雨を嫌うので、過湿や長期間雨ざらしにならないよう当たらないように気をつけてください。場合によっては根っこや葉が腐って最後には枯れてしまいます。鉢で管理しているものは暴風雨や台風のときは室内にとりこんでください。

    また、寒さには強い性質を持っているとはいえ、戸外で越冬させるためには、0〜3℃の気温が必要となります。とくに3〜5号株は寒さにあまり耐性がないので、冬場に氷点下を下回る気温となる地域で育てる場合には、やはり室内へ移動して管理してあげる方が安全です。

    アガベの水やり

    アガベ

    夏の水やり

    アガベの夏の水やりは、土が乾いたらそれからさらに数日程度経ってから水やりしましょう。水やりするときは、鉢底部分から水が流れ出てくるくらいまでたっぷりと水をやるのがポイントです。

    アガベの肉厚の葉の部分には水分を溜め込める機能が備わっていて、高温や乾燥には元々強いという特徴を持っています。乾燥気味に育てるので、夏の水やりは控えめでOKです。

    水やりの回数が多すぎると、根腐れや株が弱る原因となるので、くれぐれも注意するようにして下さい。

    また、水やりの時に受け皿に水が溜まってしまっていると、根っこにカビが生えてきやすくなる原因となるため、そのままにせず必ずチェックして捨てるようにしましょう。

    松原真理子

    大鉢でアガベを育てている場合は、毎回移動させるのは大変なので、受け皿に溜まった水は乾いた雑巾やスポンジ等で給水して外へ捨てる方法もおすすめです。

    冬の水やり

    アガベの冬の水やりは、断水するか、月1〜2回を目安に与えましょう。アガベは10月下旬〜3月中旬頃の間は生育が止まり、休眠状態になっているので、気温の低下とともに水やり頻度を落としてください。

    休眠期でもあり、気温の低いこの時期に水やりをし過ぎてしまうと、根腐れしてしまうことがありますので、十分に注意してください。過湿や多湿の環境には弱い性質を持っているからです。

    また、冬の水やりは水温にも注意してください。水道水では冷たすぎるので15〜20度ほどの水温になるように調節してできるだけ太陽の出ている時間帯から水やりしましょう。

    アガベの肥料・追肥

    アガベ チノチタ

    アガベに肥料を与える時期は、生育期にあたる春〜秋である4〜10月です。この期間には、緩効性の肥料を2ヶ月に1回を目安に与えるようにしてあげて下さい。

    もしくは即効性のある液体肥料でもOKです。その場合には、10日に1回を目安として与えるようにしましょう。

    ただし、多肥にはしないようにしましょう。多肉植物は元々あまり肥料を必要とせず、肥料が多すぎてしまうと、肥料焼けを起こして大切な根っこ部分が傷んでしまうからです。

    アガベの土づくり

    アガベを育てるときは、水はけの良い土を選ぶことが重要です。保水力が高くいつまでも水分が蒸発しにくいジメジメとした土では、アガベにとっては加湿状態になり、生育し辛い環境となってしまいます。

    初心者は園芸店などで売られている、多肉植物専用の培養土を利用すると簡単で便利です。

    もし一から自分でつくりたい場合は、「赤玉土小粒5:軽石小粒4:腐葉土1」の割合で配合して土をつくると良いでしょう。

    もしアガベを地植えで育てたいのなら、庭土に4割腐葉土を混ぜ、日向土か軽石小粒を1〜2割加えてください。

    松原真理子

    地植えで育てる場合は、その場所に水溜りができていたり土に苔が生えているような場所は少し根鉢を高めにして植える(高植え)にするなどの工夫も必要になります。

    アガベの植え替え・植え付け

    アガベの植え替え時期

    アガベの植え替え時期は、霜が完全に降りなくなった4〜5月頃が適期となっています。長年狭い鉢植えで育てていると、水分や養分をうまく吸収することができなくなり、生育不良に陥り、そのうちに鉢全体に根が回ってきてしまいます。そのため、2年に1回を目安にして植え替えを行うようにしましょう。

    アガベの植え替えのやり方

    1. 必要なものを準備する

      アガベ 植え替え 準備するもの

      • 多肉植物の培養土
      • 一回り大きい鉢
      • 底石と鉢底ネット
      • 移植ゴテ、ハサミ、軍手、割り箸など

      なお、培養土には害虫対策として、ベニカやオルトラン等の土に混ぜるタイプの殺虫剤を入れると、ネキリムシやハダニなどの被害が減らせます。

    2. 新しい鉢の下準備
      <

      アガベ 植え替え 鉢の準備

      新しい鉢の底穴をネットでふさぎ、底石を底が見えなくなるまで敷き詰めたら、多肉植物用の土を底石が隠れるくらいまでいれます。

    3. アガベをポット(元の鉢)から取り出す

      アガベ 植え替え ポットから取り出す

      アガベの株元を左手で持ち、ポット(鉢)を右手でつかんで優しく揺すりながら引き抜いていきます。

      左手を動かして抜くと地上部の葉と根が切れる可能性があるので、株を持つ左手は固定しておくといいです。

    4. アガベの根鉢を崩す

      アガベ 植え替え 根鉢を崩す

      買ったばかりの苗や、病害虫の疑いがある場合は、アガベの根鉢を崩します。

      太い根は傷つけないように避けて割り箸などで突きながら、優しく作業しましょう。

    5. 枯れた下葉を取り除く

      アガベ 植え替え 枯れた下葉などを取り除く

      株元に枯れた下葉があれば取り除き、子株があれば切り離して別の鉢に植えて株分けしましょう。

      また、このとき害虫がいないかもチェックしておきます

    6. 不要な根を取り除く

      アガベ 植え替え 細い根や古い根を切る

      古く黒っぽい根があれば、清潔なハサミで取り除きます。

      また、細い根もすぐに寿命がきて根詰まりの原因になるので、できるだけ取り除きます。

    7. 切り口を乾燥させる

      アガベ 植え替え 太い根の切り口を乾燥

      太い根を切って切り口が多く大きい場合は、1日程度明るい日陰で乾かしておきましょう。

      細い根を切っただけのときは、乾燥させなくても問題ありません。

    8. 新しい鉢にアガベを植える

      アガベ 植え替え 割り箸で支えながら隙間に土をいれる

      割り箸を新しい鉢のふちにかけて、その上にアガベを仮置きます。このように割り箸を使うと、根を分散させて植えられます。

      隙間に土をどんどん入れていきましょう。

    9. 9分目まで土をいれる

      アガベ 植え替え 鉢の9分目まで土をいれる

      ある程度まで土をいれたら、割り箸を外して鉢の9分目まで土をいれます。

    10. たっぷり水やりをして完了

      アガベ 植え替え 水やりをたっぷり

      最後に、鉢底から流れ出るまでたっぷりと水やりして完了です。高温期や休眠中ならすぐ水やりせず、2〜3日置いてから水やりしましょう。

      植え替え直後は、明るい日陰ほどの場所に置いて、1〜2週間したら日当たりのいい場所に移動させます。

    アガベの仕立て直し・手入れ

    アガベは下の方から順に葉っぱが枯れるので、枯れてしまった葉は手で左右に揺り動かしながら抜き取りましょう。

    このときに、害虫がいないか、葉の表だけではなく裏側まで観察するようにしておくと良いでしょう。

    また、子株ができた場合は、植え替えのときに株分けをします。その他、アガベを増やす場合には「胴切り」や「芯止め」などの方法があります。

    松原真理子

    親株から子株を外す場合は自然に取れる。もしくは少し力を入れると外れる場合もあります。自然に取れない場合はまだ子株が育っていないケースが多いので付けたまま植え付けましょう。

    アガベの増やし方

    アガベの増やし方は、「株分け」と「種まき」という方法が一般的です。

    株分けを行うのに最適な時期は、植え替えと同じ4〜5月頃、遅くとも夏前までとなります。親株から子株が出ているのを見つけたら、植え替えを行うのと同時に株分けをしてしまいます。

    アガベの株元からでている子株を、園芸用のハサミを使って、ていねいに切り取って親株から分離します。このとき、子株には必ず根っこが付いた状態になるように分けるようにしましょう。根っこのないものはNGです。

    そして、親株から外した子株のサイズに合った鉢を選んで植え付けるようにします。植え付けを行ったあとの水やりは、しばらくは控えましょう。

    また、種まきについては、粒子ができるだけ細かい土がおすすめです。そこに均一に種を蒔きます。そして発芽するまでは、乾燥した状態を避けてください。発芽した後は、風通しが良い場所に置いてあげます。

    アガベの種まき時期は、5月以降が適期となっています。

    松原真理子

    アガベは品種によりますが、好光性の種子が多く種まき後の覆土はごく薄くするのが一般的です。

    アガベの育て方で注意すべき病気・害虫

    つきやすい虫

    アガベには、アザミウマやカイガラムシという害虫がつくことが知られています。アザミウマは夏場の高温時に特に発生しやすく、カイガラムシは季節を問わず一年を通して発生しやすいです。

    白くて小さな綿のように見えるものの中には、カイガラムシの幼虫が入っています。放っておくと、アガベを食べてしまって白っぽい小さな凹みを残します。また成虫になると、株元の根の付け根部分について、根から大事な栄養分や樹液を吸い取ってしまい弱らせてしまいます。

    幼虫のときは殺虫剤を噴霧して退治し、成虫のときは歯ブラシを使ってこすり落とすか、もしくは薬剤を用いて駆除します。

    かかりやすい病気

    またアガベが発生しやすい病気には、「さび病」や「黒星病」があります。さび病は秋〜冬の時期にかけて、黒星病は春〜夏の時期によく発生します。どちらも見つけ次第、病斑部分をナイフなどを使って丁寧に切除しましょう。

    アガベの育て方は簡単なので初心者にもおすすめ!

    アガベ
    今回は、初心者にも丈夫で育てやすいアガベという多肉植物の育て方についてご紹介してきました。

    様々な品種があり、品種によっては希少価値も高く、ロゼット状に伸びる肉厚の葉や葉色も美しく観葉植物としても楽しめます。

    その他にも斑が入る品種などもあり、それぞれに魅力があり、大きく育てると存在感も抜群です。

    室内のインテリアとしてぜひ一度アガベを育ててみてはいかがですか?