今、流通しているパキポディウム・ナマクアナム(光堂)のほとんどが接木された交雑種であることに気づいた。そのとき、私は“原種”への渇望を強く抱くようになった。
同時期、「万物想」という強烈な名前に惹かれ、チレコドン・レティキュラータスという植物を知る。YouTubeでその栽培の様子を目にした瞬間、これは、ただの曲者ではないと直感した。
こうして私は、いずれも強烈な個性を持つこの2種に惹かれていった。そして、どちらも“ナマクアランド”という特殊な環境に生きる植物であることに、後になって知るのである。
この気づきが、pHと塩基ミネラル、根圏環境という見えない世界への興味を深めていく出発点となった。
塊根入門──ウィンゾリーとの出会い
私の塊根植物との出会いは、パキポディウム・ウィンゾリーだった。第1号の個体は、バロニーとの交雑が疑われるものだったが、ウィンゾリー寄りの性質を持ち、もしかするとボトル型の純血かもしれないという希望もあった。この子こそが、私にとって初めての塊根であり、パキポデビューだった。
当時の私は初心者なりに、酸性・中性・アルカリ性について調べ、手探りで土を配合した。最初は鹿沼土5:パーライト5という無難な構成。そこから少しずつ試行錯誤が始まる。
腐葉土、木酢液、草木灰、残渣培養液、卵の殻と、あらゆる素材に関心を持ち、最初は木酢液以外を実践的に取り入れてみた。
そしてある時、腐葉土を加えた鹿沼2.5+パーライト2.5+腐葉土5の配合にしてみたところ、ウィンゾリーは見事に徒長し、“木”のような姿に変化していった。
次なる探究──ナマクアランドの植物へ
季節が巡り、いよいよ私は“ナマクアランドの植物”に手を出すことになる。それが2025年3月頃、パキポディウム・ナマクアナム(光堂)とチレコドン・レティキュラータス(万物想)との出会いだった。
不思議なことに、なぜか以前からモンモリロナイトを所持していた。これはゼオライトにごく微量含まれる成分であり、「ゼオライトが植物に効くのは、実はモンモリロナイトのおかげ」という話をどこかで耳にしたのがきっかけで、手に入れていたものだ。ゼオライトが吸水した時に出る膨らむ泥がモンモリロナイトである。
この段階で、私は土壌成分と植物の根圏の関係に強く惹かれるようになっていった。
徒長ウィンゾリーとは別に──実生ウィンゾリー
徒長したウィンゾリーとは別に、播種から育てた3年物と2年物の実生ウィンゾリーがある。
冬越しに失敗しながらも、3株の自家実生株を維持している。
そこで気づいたのは、ウィンゾリーがカルシウムを非常に好むことだった。
その年はクエン酸で溶かす、く溶性固形肥料の自作液肥に熱中し、6-6-6や6-9-9、6-40-6-15、バットグアノ、草木灰、卵の殻、二価鉄などを調合していた。
pH試験紙も持っていたため、土壌のpH管理にも細かく取り組んだ。
根圏──塩基性植物
レティキュラータスの発根後の根腐れは、pH障害(特に塩基性環境の過不足)によるものと気づいた。
同時に、接ぎ木により自根を制限されるナマクアナムにも挑戦を始めた。
【播種記録】
3/10:ナマクアナム5粒を鹿沼5:パーライト5、pH6の土壌で播種 → 全滅
3/31:レティキュラータス34粒を鹿沼3:パーライト3:ピートモス3:モンモリロナイト1、pH7.5で播種 → 6粒発芽(成績は良くない)
4/13:レティキュラータスいるトレーでナマクアナム5粒を追加播種 → 全て発根したが、白化現象が全てに現れた
白化は、照明(GL-X)を60cmの距離で16時間当て、種殻を脱ぎたがらない双葉に気づいたため遮光した結果、2株が持ち直して現在に至る。
この経験をChatGPTに共有したことで、「塩基性」という概念に出会った。園芸情報ではあまり見かけない言葉だが、 自分の「ミネラルが好き」という肌感が、科学的な塩基性環境の重要性へと確信に変わっていった。
塩基性植物の可能性
塩基性植物というジャンルに気づいたことで、ローズマリーやセージの存在が浮かび上がる。
私が苦手にしていたアルカリ性植物たちだ。
ここで思うのが、オペルクリカリア・パキプスの存在である。現地株の発根の悪さは、この塩基性への無理解によるミネラル枯渇からくる腐敗ではないかと思う。
砂利での発根報告があるが、pHは7である。
私の持っている1年実生のパキプス君は、ただいま休眠中だが、草木灰と卵の殻の粉末を入れてpH9に調整したところ、目覚め始めている。季節的要因もあるが、鹿沼100%では育たない報告もある。
もしも現地発根や挿し木をチャレンジする機会があれば、この塩基性を念頭に挑戦してみたいものだ。