夏至を迎えるといよいよ梅雨明けも間近。
各地でイベントやお祭り再開の動きが広がっていますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
前回は冬越し中の植物たちのナイトミュージアムをご紹介しましたが
今回はミュージアムの小さな汚庭よりペラルゴニウムの世界をご紹介したいと思います。
今回も私ラメナがご案内しますよ🐘
今回登場するのは原種のペラルゴニウムたち。
ペラルゴニウムはフウロソウ科の一属で
原種の数は約280種にものぼります。その約80%が南アフリカに自生しています。
園芸品種も華やかでいいけれど、原種の世界はバラエティーに富み、野趣溢れる魅力的な種類がたくさん。
ちなみにタイトル写真のペラルゴニウムは『オクロレウクム』
お花がお花みたいに集まってまるでお花みたい⁉︎でしょう???
さてみなさんがご存知の原種ペラルゴニウムって何があるでしょう。
お花が大好きなガーデナーの皆さまでしたら育てたことがある方も多いのではないでしょうか。
これ。シドイデス。
毛の生えた銀葉、黒っぽい渋いお花
常緑で寄せ植えにも花壇にも植えられる優秀なペラルゴニウムです。
こちらは暑さにも寒さにも強いのが魅力ですね。
お庭に植えられる(雨ざらしOK)ペラルゴニウムは他に、エロンガツム、クインクエロバツム(パールグレー)などがあります。
『エロンガツム』
株を覆うようにたくさんの花が咲きます。
『クインクエロバツム』
不思議な花色が魅力。葉っぱの形も独特です。
ところで原種ペラルゴニウムには塊茎が肥大する変わった姿のもの、枝ぶりが盆栽のように楽しめるものなど個性的な珍奇種があるのをご存知ですか?
大抵のものは夏に休眠して地上部はなくなってしまうのですが、小型のものが多く小さな鉢で楽しめ場所をとりません(増やさなければね💦)葉や花の形も様々でしみじみと味わい深い植物なのです。
そんな冬型ペラルゴニウムの休眠期の地上部はこんな具合。
チッピ館長、これを見たチッピハハに「ちょっと、これ全部枯れてるじゃない!片付けなさいよ!」と怒られていましたっけ…
安心してください。
生きてますよ✨
こんな状態になったら水を切り(様子をみながらですよ)雨の当たらない風通しのよい場所で管理します。
パンパンに膨れ上がった鉢をひっくり返すと芋がごろごろ増えている種類も…
そんな地上部枯れ枯れのペラルゴニウムたち。
秋になって涼しくなってくると
次々と動きだします。
葉裏の毛が美しい『アサリフォリウム』
ふわふわ No.1
『アッペンディクラツム』
流通量も多く葉っぱが美しいペラルゴニウム
ペラルゴニウムは樹形も葉っぱもバリエーションに富み、美しいものがたくさんあるんですよ。
芽吹きがかわいい『ミラビレ』
枝がかりんとうみたいです。
葉っぱは銀葉でシドイデスに似ています。
『トリステ』
葉っぱが繊細で美しいですね。
見事な塊根(塊茎)も鑑賞価値が高いのですが、こちらは実生2年生。お芋は土の中でじっくり育成中です。
お芋部分は本来土に埋まっています。
こんな風に伸びちゃうと水を切りがちですが
成育期はきちんと水やりし、日光にあてて丈夫な株に育てましょう。
気温は氷点下を下回らなければ屋外での管理も可能です。霜に当てないように。また真冬の冷たい風などに当たると葉が萎れたり傷んだりするので気を付けてくださいね。
チッピ館長は徒長を気にして水を辛めにしすぎたペラルゴニウムのつぼみが開かずがっかりしていましたっけ…
蕾が萎んだ『セリキフォリウム』
水遣りの失敗の他に、外に出したり温室に入れてみたりと温度が安定していなかったのも原因かもしれません。
ブッシュ状に育ち、日本ではちょうど年末にマゼンタ色の花を咲かせるそう。今年はちゃんと咲かせてあげたいな。
さて、寒い冬を越えて庭に春の兆しが見え始めるとペラルゴニウムもいよいよ花の季節がやってきます。
葉の中心から出てくるつぼみを発見すると嬉しくなりますね。
つぼみたちもモケモケでかわいいですね。
葉っぱがかわいく肥大した枝も面白い『ヒルツム』の開花を追ってみましょう。
モケモケのつぼみが
ぐーんと伸び上がって小さな小花を咲かせ
受粉が完了すると種をつけた茎がクレーンのアームのように下がってきます
種発射台が完成すると種子がくるくると弾け出し、羽を出して風に乗って飛んでいきます
まるで意思があるかのよう
種子を見てみましょう。
種の一部がコイル状になっていて、水がかかるとコイル部分が伸び(ほどけて)回転します。
すると種がドリルのように土に潜っていく…発芽の準備をするためにこんな仕組みになっているんでしょうね。
現地から輸入された貫禄のある株も素敵ですが、ペラルゴニウムは自家受粉で種子が採れるものも多く、種から育てるのも楽しいですよ。みなさんも是非実生にチャレンジしてみてください。
雌しべにチョンチョン♥️
最後は花火を見ながらお別れです。
ペラルゴニウムのお花は春から初夏にかけて咲くものが多く、花が放射状に咲くのでまるで花火を見ているようなんですよ。
『アウリツム』
黒い花って神秘的ですね。塊茎もごつくなってきました。
『アサリフォリウム』
今年初開花。花茎の色が渋すぎて、枯れたと思っていたら素敵な花が…
小さな花ですがシュッとしていてかっこいいですね。
『ペトロセリニフォリウム』
まだ小さな苗ですが、サーモンピンクのお花をたくさん打ち上げています。
葉っぱもパセリみたいでかわいいんですよ。
『クルビアンドルム』
白いうさぎみたい。
ペラルゴニウムは上2枚の花弁の中心にブロッチ(斑紋)や模様が入る花が多いです。
花の構造はビオラとも似ていますね。
『カロリ・ヘンリキ』
微毛をまとった葉を展開するカロリ・ヘンリキ。
球根のような塊茎を持ちます。
お花、他のペラルゴニウムと少し雰囲気が違いますね。
『ボウケリ』
花弁に切れ込みが入る珍しいタイプ。葉も繊細で美しい。
これは花火で言うとしだれ柳でしょうか。
『ヒストリクス』
丸いボールのような茎から出るトゲのような突起も面白いですね。
『トリフォリオラツム』
少し縮れた花弁が和の雰囲気
葉っぱも素敵なんですよ。地下には人参のような塊茎を持ちます。
『ギボスム』
グリーンがかったイエローの花は夜になると甘く不思議な香りを放ちます。
茎の節は竹のよう。ちょっと暴れん棒。
プライマリーハイブリッド(原種間交配)『アーデンス』
赤ってかっこいい♥️
『アリディコラ』
ずっと見ていたいけれど
ペラルゴ花火大会もそろそろ終わり。
夏の植物たちに場所を譲らなくちゃね。
それではまたね!