はい皆さんこんにちは、まっしゅるームです。
今年もやってきましたきのこの日─と言いたいところですが、何だか随分と久しぶりのみどりのまとめになっちゃいましたね…
去年も作ってはいたんですが、途中で断念してしまったりして去年はみどりのまとめを一つも投稿できずに終わってしまいました(思い立ったら早めに行動へ移ることは大事ですね…)。
今年は流石に投稿したいと思い、ついでに投稿し損ねた写真の消費も兼ねてこのみどりのまとめを作りました🌱
今回のテーマは「不思議なきのこ」です
2024年〜2025年9月までに撮影したビザールなきのこの写真を簡単に紹介しながら載せています🍄
なるべく難しい単語を避けたり、噛み砕いて説明したりしていますが、どうしてもこの短い中でカバーできないと感じた所もあるので、ちょくちょくきのこを勉強していない方からすると呪文のような言葉が出てくるかもしれませんがご了承ください…別所で説明してみたいですね。
《ラインナップ・計20種》
〈担子菌類〉
・チシオタケ
・クロラッパタケ
・ヒメコナカブリツルタケ
・ムラサキヤマドリタケ
・チャダイゴケの仲間3種
・ツチグリ
・スエヒロタケ
・シダレハナビタケ
・サガリハリタケ
・ヒダキクラゲ
・オロシタケ
・ロウタケ
〈子嚢菌類〉
・アオサビシロビョウタケ
・アラゲコベニチャワンタケの仲間
・ツバキキンカクチャワンタケ
・アミガサタケの仲間
・クロコバンタケ
・ボーベリア ブロンニアティ
・タンポタケモドキ(ハナヤスリタケ?)
・コクーニハビツス属の一種
長くなりましたが、それではご覧ください〜🍄
担子菌類
チシオタケ
フリルのある傘がメルヘンなクヌギタケの仲間です。しかし、本種最大の魅力は傷をつけた時に現れます…
傷をつけると赤黒い液体が(写真右下)!
この様子から「血潮茸」と名付けられたようです🩸ハロウィンにぴったりなきのこの1つですね🎃
どうやらこの赤い液体は組織の内部にあるらしく、柄から傘に向かって供給されているようです。…チチタケと同じ原理なのかな
近縁種にアカチシオタケやヒメチシオタケがありますが、どちらもチシオタケとは違った見た目をしています。
クロラッパタケ
真っ黒なラッパのようなキノコです🎺
その異質な見た目と、昔のキリスト教の死者に祈る日に大量発生したという話から「死のトランペット」という別名もつけられています。毒は一切ないどころか食用とされるきのこですが…
傘の裏はヒダも何も無い不思議な見た目をしています。ラッパタケの仲間はしわひだと呼ばれるひだのようなシワを持つものが多いですが、本種はとても滑らかです。
コクロラッパタケという種類もありますが、そちらは裏側に明確なシワがあるのですぐに見分けがつきます。
ヒメコナカブリツルタケ
小ぶり(写真の個体は4〜5cm程)で灰色の鱗片をもつきのこです。
きのこを知らない方からしたら「あれ、このきのこのどこが不思議なのだろう」と思うかもしれません…ただ、きのこの勉強を初めたての方はこのきのこで一度驚くかもしれません。
このきのこはなんと、テングタケ科のきのこです🍄
10cm〜20cm超する他のテングタケ科に比べて余りにもちっちゃ過ぎますね…パット見僕もベニタケの仲間かと思いました
それでも傘には条線があり、(映っていませんが)根元にツボもあります。
ムラサキヤマドリタケ
不自然なほどに紫色のイグチの仲間です🍄
色の個体差が激しく、傘に黄色い斑点が入っていたり、全体が黄色くなっていたりと印象がかなり異なる個体もあります。
ポルチーニに劣らぬ美味しさをもつ様で、キノコ狩りの格好の的になります(僕は採集禁止の場所でしか本種を発見していないのでまだ試していません)。
柄の網目模様も非常に美しいです✨️
裏はイグチの仲間らしく管孔(スポンジのような構造、写真右上)になっており、成長するにつれて黄色を帯びてきます。
割と生えない所は生えない子なのでレア度が高い扱いをされることが多いです(逆に言うと生える所は生えるということです)。
チャダイゴケの仲間
「名前を教えて!」でもちょくちょく投稿されるコップ状のきのこです。
初めはティンパニや袋のような構造になっており、その後上面が破けてコップ状になります🥛
中には「小塊粒(ペリジオール)」と言う胞子の入ったカプセルが入っており、雨粒が運良く命中した時のその勢いで胞子を飛ばします。
上からスジチャダイゴケ、ツネノチャダイゴケ、コチャダイゴケです
スジチャダイゴケは名前の通り内側に筋が入っています。小塊粒に紐のような菌糸が1本付いています。
ツネノチャダイゴケは幼菌が鮮やかで、小塊粒の色が明るいものが多いです。同じく小塊粒に紐のような菌糸が付いています。
コチャダイゴケは白っぽい毛の生えたチャダイゴケで(他の方が見つけた個体の方がもっとモフモフです!)、小塊粒は茶色で紐のような菌糸は付いていません。
今年知ったんですが、小塊粒を飛ばしたあとの子実体から新たな子実体が成長することがあるんですね…(写真右下)
ツチグリ
きのこを専門にしていない方にも人気が高い(多分)ツチグリです。
樹の実のような可愛らしい見た目をしています🌰
亀甲のような模様の外皮は湿度が高くなると開き、乾燥すると閉じ(縮こまり)ます。中央の丸い内皮の中には胞子が詰まっており、突くと口から胞子が吹き出ます(写真右下)。
自然界では、乾燥した時に外皮が縮こまり内皮が外皮に押しつぶされることで胞子を飛ばします。面白いですね〜
この性質から「天然の湿度計」などと呼ばれることもあります。
※一般的に学名は海外産と同じAstraeus hygrometricusとされていますが、別種であることが分かっている為Astraeus sp.とさせて頂きます。
スエヒロタケ
山に行かなくても公園や庭に生えることの多い身近なきのこです。
小さくて白いサルノコシカケのような形のきのこで、表面に毛が生えています。
スエヒロタケの面白いポイントはひだにあります。他のきのことは違いひだの縁が二股に裂けています🔍️これのことを「偽ひだ」と言ったりします。
乾燥すると先端が開き、隣同士と胞子を作るひだを閉じるように隠します。湿度が高くなると先端が閉じ初期の状態に戻ります。胞子を乾燥から守るためとする意見があります。
シダレハナビタケ
名前がもろそのまんまなきのこです🎆
きのこらしく傘や柄がある訳ではなく、放射状に伸びる細い針状の子実体を作ります。
子実体の先端は分岐し、これが次に紹介するサガリハリタケとの決定的な違いになります。
見方によってはヤマブシタケを小型にしたようにも見えます…
材の上面に生えると綺麗な枝垂れ花火になり、横から生えるとサガリハリタケ似になる印象です。
根本はべっとり広がる様です🔍️
サガリハリタケ
またまた名前がそのままなきのこです。
針が垂れ下がったようなきのこで、一つ一つの針は分岐しません。若いときは真っ白お肌ですよ〜
シダレハナビタケと同じフサタケ科のきのこであるからか、質感や根元の広がる感じがそっくりです。
広い範囲に発生した時の風貌は圧倒されます。鍾乳洞を見ているような気分になると思います(あれ、このコメント似たようなのを最近の投稿で言ったようなー)。
パッと見だとスルーしそうなきのこですが、そんな子もじっくり見てあげると面白く感じてくると思います✨️
ヒダキクラゲ
皆さんが知っているキクラゲとはかけ離れた見た目のキクラゲです🪼
胞子を作る側面(子実層)はキクラゲらしくプルプルで、上面はサルノコシカケのような質感と見た目をしている(写真左下)、全く違った二面を持つ変わったキクラゲです。
大きくなると徐々にひだのようなシワが寄ってきて、まるでひだのようになります。
また、乾燥しているとき(写真右下)は暗い灰色をしていて、何処となく透明感のある様な不思議な見た目をしています。
オロシタケ
多くの人の目に入らない様な地味な感じのきのこですが、衝撃的な事実があるのでここに載せることにしました。
きのこに慣れている方はパット見コウヤクタケの仲間(木にべっとりとくっつく様に生えるきのこ)などのようなきのこに見えるかもしれませんが、よく見ると表面は管孔ではなく突起状になっています。
そしてこのきのこの衝撃の事実というのは、このオロシタケ、実はキクラゲの仲間だったりします。
これは面食らいますね…
名前の「卸」は表面の突起を卸し金に例えた為のようです。
ロウタケ
知らなければカビとかに見えてしまいそうなきのこです。
しかしよくよく見るとまるで蝋の様な質感をしていることに気が付きます。名前はそのままロウタケです。
周りの腐植や植物によじ登り形の定まらない子実体を作ります。
……何だか生きている植物に纏わりついているといかにも病原菌!という感じがしますが、病原性がないどころか他の植物と共生関係を持っていたりします。あくまでも足場として使っているようです。
具体的な形は決まっていませんが、枝のような形の子実体を上に伸ばしている個体もよく見かけます。
個人的にはあまり珍しくないきのこだと思っていますが、どうもネットの情報はおろか、図鑑の情報も少ないですね……
子嚢菌類
アオサビシロビョウタケ
白い円盤状のキノコがカビて…いません。青いのは元々です🟦
名前は青い模様を錆に見立てている事から来ている様です。
美しい青緑色をしていますが、子実体の直径は1cmも行かず、写真の子実体も径3mmぐらいしか無かった気がします。目を凝らせば不自然な青色が視界に入ってきます。
GreenSnapでもちょくちょく投稿されているロクショウグサレキンやロクショウグサレキンモドキなどと近しい仲間で、それらと同様に材を青く染める様です。
アラゲコベニチャワンタケの仲間
先ほどに続き盤菌ですが、今回のは橙色です。アオサビシロビョウタケの生えていた材の近くの別の材に発生していました。
よく見ると縁に黒い毛が生えていて、何だかまつ毛のように見えます👀
アオサビシロビョウタケに比べては大きいとは言え1cmぐらいのものが多いです🔍️
写真の様に木材から生えるものもいれば、地上から発生するものいます。
この仲間の難点は類似種が多いことです。肉眼での判断は困難を極めます。
ツバキキンカクチャワンタケ
春、ツバキの下を覗くとこんな子がいるかもしれません。
ツバキの花びらを分解する変わりものです。
ツバキの花に感染した花が落ちた後、1年かけてじっくり菌核と呼ばれる菌糸の塊(写真右下の黒いもの)を作っていき、翌年の春に菌核から茶色い子実体を発生させます(写真左下)。
これまたキンカクキンの仲間は他のチャワンタケとは違い柄のようなものがヒョロヒョロ伸びているのも面白いです✨️
因みに花びらに感染した時花が茶色く変色してしまい観賞価値が下がってしまうので病原菌扱いされていますが、感染したからといって枯らすことはないみたいです。
稀にサザンカから生えることも。
アミガサタケの仲間
春のきのこと言ったらコレ!と言いたいきのこです🌸
見るからに独特なそのフォルムは非常に面白いです。日本ではその特徴的な頭部を編み笠に例えて名付けたみたいです。中は空洞になっていて、それもまた面白く感じます。
様々な種類のアミガサタケがいますが、類似種が多く同定は難しいという一面もあります…
因みにアミガサタケは大きく黄色いタイプと褐色タイプに分けられ、それぞれ「イエローモレル※」と「ブラックモレル※」と呼ばれます。
色以外でも見分けるポイントがあり、写真の下段を見るとわかるのですが、
イエローモレルは頭部等の境目が割とスムーズなのに対し、ブラックモレルは境目が大きくくびれています。同じアミガサタケの仲間でも系統により形質に大きな差があるのも興味深いですね…(生物全般に言えることですが…)
※モレル(モリーユ)・・・フランス語でアミガサタケのこと
クロコバンタケ
地味であまり目に入ってきづらいきのこです…しかし気づいた方のみ気付く面白い特徴のあるきのこでもあります!
クロコバンタケは樹皮を突き破るように小判型の子実体を発生させます。そして黒い胞子を表面の子嚢殻(一つ一つのイボ)から放出します。
…ですが、この胞子を飛ばす時うまく飛ばなかった胞子は子実体にそのまま降り積もってしまいます。すると、その胞子により子実体表面がニスを塗ったような、タールのようなテカテカした光沢が出ます!……はい、今回その写真を用意出来ませんでした😢残念…
写真は胞子の積もっていない本来の姿です。
また、先程も言った胞子を作る子嚢殻何ですが、多くの子嚢菌の場合子嚢殻は丸に近い形形をしてるものが多いのですが、本種の子嚢殻は奥行きがあり、棒状になっています!……え?写真はですって?……………用意できませんでした😢(2回目)
ボーベリア・ブロンニアティ
冬虫夏草(虫などに寄生するきのこ)の一つです。ボーベリア・ブロンニアティはカミキリムシを専門に発生するようです。
カミキリムシにのみ寄生する生態から、カミキリムシを防除する農薬の代替品として利用されています。
菌糸が頭や胴などから外に伸びてきた後、表面に分生子(胞子と同じ役割、説明は割愛)を形成します。
また、この分生子を作るものをアナモルフ(無性世代)と言い、たまに胞子を作る子実体を発生させるテレオモルフ(有性世代)になることもあります。
テレオモルフが作る子実体は黄色い棍棒状で、テレオモルフはコガネムシの幼虫から発生します。
冬虫夏草のみならず、菌類ではアナモルフとテレオモルフという2つの生活方法を持っているものがいます!
タンポタケモドキ(ハナヤスリタケ?)
これも冬虫夏草の一つです。しかし、宿主(寄生している対象)は虫ではなく、別のきのこです!
このきのこの下にはツチダンゴという茶色く丸いきのこが埋まっており、それに寄生して地下から地上まで子実体を伸ばしてきたという訳です。…ツチダンゴの写真は用意できておりません()
さて、もう一つ困ったことがあり、このきのこの同定にあんまり自信がないのです。(じゃあ載せるなと言わないでくださいな…)タンポタケモドキかハナヤスリタケだと思うのですが、どちらかが分かりません…
いずれも頭部にはやはり子嚢殻があり、胞子は1本の細長い糸が複数に分かれるようにできます。
タンポタケモドキは胞子が16個に分かれる一方、ハナヤスリタケは胞子が128個に分かれます。
その他柄の太さが違う、色が違う、などありますがどれも曖昧で自信がありません…
コクーニハビツス属の仲間
繭から生える極小のきのこです。
一度話題に取り上げられて以降、界隈内で一気に知名度が上がり、発見報告数も急増した様です🔍️
クスサンの繭に好んで発生する様で、一応冬虫夏草という扱いだそうです。
本種はCocoonihabitus sinensisの類似種とされていて、同種であると考えられているものの、まだ検証がされていないので現段階ではこのままにしておきます。
また、このきのこが生えても蛾自体には害はない様で、生きた蛾がいる繭にこのきのこが生えているという報告もあったそうです。
因みに目に付いていなかっただけで実際は普通種ではないか、とも言われています。子実体は1mmもないので、観察はルーペが必須です!
最後に
さて、皆さんいかがだったでしょうか。
ここしばらくきのこの日どころか、みどりのまとめ自体投稿していませんでしたね…
久々の投稿で、非常にバタバタしているので完成度が低いかもしれません(後から見ると改善点が沢山見つかりますよね)。
しかし何とか本日中に間に合ったことを嬉しく思っています。
もしこの投稿を見て「きのこって面白い」「奥深いなぁ」など思ってくれたら幸いです。
薄い内容になってしまいましたが、ここでこのみどりのまとめを書き終えたいと思います。
それでは良いきのこライフを〜🍄👋
実は現在コロナウイルスに感染してしまい、体調を崩し投稿が滞ってしまいました…トホホ