寒い時期は花材も高額で、悪天候でクラスをキャンセルすることもあり、花材集めが大変になります。こんな時は小さなものを作って楽しみます。生け花というハードルを外し、気軽にお花遊びを楽しみましょう。
個々にアレンジを楽しみます
男性Robert(ロバート、通称バディ)さんの作品
小さな器は持っていないので、私のコレクションから使いました。
写真ではややわかりにくいですが、どちらも黒っぽい赤系統の器です。
完成したら、ちょっとつまらない、ということです。
アドバイス:
別の場所に置くので、ひとつづつのアレンジとして作りました。
単調さを変えるために、ウンリュウヤナギを利用するよう指導しました。短いラインでもあるとないのでは、全体の動きが変わります。器が小さいので、バディさんは枝が長くないように気を遣っていましたが、もう少し長めで大胆に入れても大丈夫でした。
Stefan(ステファン)君の作品
青い菊が!
染めたものではありましたが、ユニークなので花材として購入。
チャレンジ好きなステファン君が挑戦です。控えめに生けた小花の数々です。ガラスの器は小さな剣山を使っているので、花をスッと立てることが出来ました。
青い菊を全てに使っているので、器がバラバラながら調和しています。
アドバイス:
もともと真ん中と左の2点を生けたのですが、写真を撮る段階になって、飾るにはバランスが悪いというステファン君のリクエストで、ささっともう1点加えました。
そう思った理由は、器の素材があまりにも違うということだったと思います。色や形が違っても、陶器同士、ガラス同士なら余り気にならなかったはずです。また2つではなく3つバラバラの器を使うと、比べることなく集合として見るので、見る側のイメージも変わります。
こんな風に色々と普段は気づかないことを気づかせてくれるので、お稽古をすると自分が勉強になります📚🙏
Anita(アニータ)さんの作品
全く色も形も異なる花瓶です。
白い方はレノックス社のもので金のラインが入っています。こちらはおとなしめの花材でまとめ、ブルーの方は黄色い菊で色の対比を楽しみました。
アドバイス:
毎回同じ器を用意してくるので、比較的毎回似通った作品になっています。
自分のでなくてもいいので、いろいろな形や色に挑戦することは大切だと思います。緑が短く入っていたので、長めに使うように指導して、本人が入れ替えました。
楽しく自由なアレンジの時は、安定より小さな冒険を‼️
Janet(ジャネット)さんの作品
アンティークの小さな器を用意してきました。普段は鏡の前に置いていて、イヤリングを外した時などに使っているそうです。浅いものには、剣山を使って生けています。ピンクで全体をまとめました。
アドバイス:
個人的には洋風の器に剣山を使うのは好きではないので、勧めないのですが、アメリカの生徒さんたちにははっきりとした洋風、和風の違いが頭にないので、花材を立てて使いたいと思う時には水盤でも花瓶でも必ず剣山を使うので、面白いなあと思います。
また生徒さんたちには生け花には剣山!という意識も強いようです。今回は花遊びなので緩くていいんですよ、と言っても生け花を楽しむ新人さんは特に剣山が大好きみたいです。
ここでは全く同じではなく、似たもの同士のお友達が集まりました的なアレンジたちです。
オリジナルはピンクを基調に、緑と白の3色でしたが、もう少し明るくしましょう、と黄色を加えてみました。
ジャネットさんはピンクと黄色を合わせるのが意外だったようですが、彼女の作った形は崩さず、ミニバラを加えた、手直し後のアレンジを気に入ってもらえました。
Linda(リンダ)さんの作品
全部バラバラだけど、こんなのがありましたと、靴の形のオブジェを持ってきたリンダさん、楽しいですよね😃👍
窓の枠に飾っていたそうです。
普段あまり冒険をしない真面目なリンダさん、「小さい器を持ってきて」
と聞いて、家中歩いて何が使えるか、数日考えたそうです。
水が入れば何でも器になります。
もちろん、その時々のテーマや置く場所、花材によりますけれどね。
アドバイス:
まずは好きなように生けてもらいましたが、全体に花材の茎が長すぎてだらんとしてしまったので、それぞれ3センチ切ってみて下さいと指導、それだけでうまく花が立ちました。アレンジに入っていなかったのでグリーンの葉と、小さなハイブリッドスターチスを私が加えて完成しました。空間に小さな素材が入ることで、全体の動きを出します。
Irma(アルマ)さんの作品
あちらこちらに置くというので、花材の関連性はなくても大丈夫です。
それぞれの個性ある小さな器を使うことに集中しました。
アドバイス:
関連性がなくても大丈夫とはいえ、アルストロメリアを全てに使うことで、全体にまとまりが出ました。
また背の低い器を大きく見せるため、ベアグラスやベロニカを高めに入れることをアドバイスしました。
真ん中のアレンジは濃い緑の葉が入っていてやや重く見えたので、シロタエギクに入れ替え、優しさを出しました。
Aurie(オーリー)さんの作品
私のコレクションから二つの黒に青が少し入った形の違うものを選びました。
黄色い花で元気さを表現、またグリーンに選んだユーカリが全体に動きを付けていいですね。
アドバイス:
小さな器の時は、花材の大きさとのバランスを取るのが難しいです。
線や点のものを使う時は、やや長めや大きめでも重くならないと、覚えておくといいでしょう。反対に面の大きな葉、レモンリーフや、クロトン、石蕗のようなものは高い位置に使うと重くなるので、低めに入れます。
Penni(ペニー)さんの作品
左は持参した物、右は私の黒い器を使用しました。ワックスフラワーがかわいいのでメインにしたいというので、あえて大きな花を使いませんでした。
アドバイス:
両方にアルストロメリアが入っていましたが、ワックスフラワーをメインにするため片方は抜いてしまい、代わりにシロタエギクの葉を入れました。左のアルストロメリアは正面から後ろへ入れ替えました。
そうすることで白い花びらにワックスフラワーが映えます。
また葉物を入れていなかったので、広がりを出すためにアルストロメリアの葉を2枚足しました。
関連づけてコンビネーションアレンジに
Valerie (バレリー)さんの作品
こちらはみっつ揃いの器を使います。
この器、私のキャンドルカップなのですが、小花生けにちょうどいいサイズで、いつもこのテーマの時に活躍しています。
バレリーさんは器で統一、花材の色は合わせずにバラバラで挑戦しました。
花材の色を合わせる必要はありません。ただ少し形や色に統一感があってもいいかなと思って、見ていました。
アドバイス:
右のアレンジは緑と黄色だけでアレンジされていました。白い菊を入れることで、左との調和を、ピンクのヒペリカムを入れることで、中央のカーネーションとの関連性を出しました。
Danise(デニース)さんの作品
かわいらしい手描きのビンテージの器を持ってきました。細かい柄のミルクピッチャーとシュガーボウルです。
アップにしてみると、図柄がとても素敵です💓セットにして置くいうことです。
アドバイス:
同じ色のカーネーションを使って仕上げたのですが、面白さに欠けるという本人の意向でピンクと紫の組み合わせを提案して、それ以外はほぼ同じ花材と本数を使いました。
カーネーションは明るい色や暗い色などいろいろあったのですが、この器に目を向けてもらいたいと思って、私は濃い紫を選びました。白っぽい色だと花の方が目立ってしまう気がしました。
また図柄の黄色いドレスから1色合わせ、黄色い菊を入れています。ここにはもとは緑の菊が入っていましたが、コントラストを強くして存在感を出しました。
Ruth(ルース)さんの作品
ルースさんの器は全く別の店で見つけた掘り出し物だそうです。二つ目は別の州の旅行先でゲットしたと言います。
どちらも5ドル以下の低価格👍
違う色のカーネーションを使いながら、姉妹のような関連付けをしたいということでした。
グレビレアの葉がお気に入りで多めに入れています。
アドバイス:
どちらの器も器の口が大きく開いているので、挿すのはやや難しいです。
本人の思うようにはなかなかいかず、やや時間がかかりました。
苦戦の理由はグレビレアの長さと量です。あまり長くしてしまうと、器とのバランスが悪くなり、短すぎると花に隠れてしまいます。花の茎をうんと短くすることで、解決します。右のアレンジは高さより横に葉を広げ器との調和を図りました。
最後に1本の枝を左に入れ、色とラインで器との一体感を出してみました。
Joan(ジョーン)さんの作品
小さなガチョウは爪楊枝立てです。もう一つはカーキ色の小さな器です。
ガチョウの方はあまりに小さく、どうしていいかわからないようで、ジョーンさんは手を焼きました。
右の方には小さな剣山を入れて、強弱をうまくつけたアレンジだと思います。
アドバイス:
右で使ったスプレーローズを、ひとつ左のメインに入れます。それでふたつがつながります。
全て同じ花材を入れると変化がないので、花材を変えます。
ポポラスを入れると視点がそちらへ行ってしまうので、ポポラスを使わず、スプレーカーネーションとイヌツゲでタイトにまとめました。それでも並べた時にペアのように見えます👍
Elaine( イレーン)さんの作品
小さなペアの器です。ペアに見せたいということです。同じ花材を使っていながら、分量を変えることでバランスを取りました。
アドバイス:
全く同じにしてしまうとふたつ置く意味があまりなくなるので、ここではメインの花数を変え、左のアレンジは流れるようなラインをつけるよう指導しました。
イレーンさんは緑の葉を長めに入れたのですが、私はやや重い感じがしたので、小ぶりなナデシコを選んで入れ替えました。
とても品よくまとまった作品です。
Eileen(アイリーン)さんの作品
こちらは残念ながらミニチュアではありません。手元にあっても使ったことがないというので、まずは好きなようにお花を入れてもらいました。素敵な器ですよね!
出来上がりは花材を入れすぎて、もっさりとしたアレンジになっていました。
使っているものに問題はないのですが、横に広がるガラスの器は花材を多く入れてしまうとどうしても花の部分が重くバランスが悪く見えます。高さも高すぎると頭でっかちのように見えてしまいます。
アドバイス:
ここも引き算です。どの花を残すか?
どのグレビレアを抜くのか?
おそらく私は入っていた花材を半分ほど抜いたと思います。そして高く入っていたグレビレア低くして横に広げました。
Mary(メアリー)さんの作品
よくクリスマスに使うメアリーさんの赤い3点セット。微妙に違う形がオシャレです3つあると既に統一感があるので、何を入れてもまとまります。
全てに同じ花材を使っていました。
メアリーさんが1番好きなのは可愛らしい色のヒペリカムです。
アドバイス:
メアリーさんは長いことお稽古に来ている生徒さんで、生ける花には安定感がありいい花を生けます。それゆえに時にワンパターンに陥るので、必ず手直しをして何か考えてもらうことにしています。
真ん中のアレンジから緑のスプレーカーネーションを抜きました。こうすることで、真ん中のヒペリカムに目がいきませんか?時には引き算も必要です。
Donna(ダナ)さんの作品
日本製ビンテージの小さな花瓶二つと銅の足付きボウルでコンビネーションアレンジにします。
供花というかお供えのお花のようにしたいそうです。色を3色に控えた花材選びはとてもいいと思います。アジサイを見てどうしてもこれを使いたいというので、真ん中にするといいのではとアドバイス。
アドバイス:
例えばアメリカやヨーロッパの教会の祭壇などでは、左右対象になるようにアレンジを置くことが多く、ふたつ同じものに生けると聞くとアメリカの生徒さんたちは長年植え付けられている概念から、ペアを連想します。ですからそこから離れることも時には必要になります。
これは小花生けなので、簡単そうにも思えますが、小さくても考える基本は同じなので、皆さん案外時間がかかります。緑に何を使うのかがここでは難しかったようです。
葉物を入れてしまうと、大きさに負けてしまうのですが、この日はミニチュアの松のイタリアンストーンパインがあって大活躍してくれました。
sasukemama倶楽部から参加
せんこ*さんの作品
sasukemama倶楽部のマネージャー兼、部長兼、広報課長?(🤣役割増えてます)
で活躍してくれているせんこさん
湯呑み、酒器(たち吉)を利用して生けた小花です。
きれいな水色にチェッカーベリーをうまく使ってアクセントにしました。バランスも良く、キュッと引き締まったいい作品です。
小さな葉牡丹が活躍する冬のアレンジです。いつもなら季節感にこだわるのですが、こういった小花アレンジでは遊び心を大切に、ガラスや空き缶ぐい呑みカップ、小鉢なども利用して下さい。
まとめ
今回の小花生け、いかがでしたか?
皆さんの家庭にもきっと小さな器があるはずです。生け花とは〜と難しく考えたり、かしこまらなくてもいいです。
もちろん基本を習うことも大切です。でも小花生けは遊び心を旺盛に、身の回りの器を使って、手元のお花を楽しむといいですよ!久しぶりのみどりのまとめを最後まで見てくださり、ありがとうございます。
アメリカの生徒さんシリーズ、まだまだ続きます。
朝から声上げてました- !!
アメリカの個性ある生徒方とご一緒できて
嬉しいです😆🙌💕 ありがとうございます一
🇺🇸生徒さんのお花は皆さんそれぞれの個性が
ビンビン( 笑 ) 伝わっていつも 楽しませて頂いています💗
ステファン君お花ファンの私はいつも刺激を受けますね♪
🇺🇸花瓶に剣山も新鮮ですね🤭
それにしても私!! 役割増えてますよね〜🤣