かつては海水浴客で大賑わいだった下関市彦島西山海岸。波浪による侵食などで消滅の危機にありましたが、人間の努力と叡智により美しく豊かな環境を取り戻しました。植物を中心に西山海岸の今の姿を御紹介します。
なお、文中の「」はウィキペディア等からの引用です。
古本市で見つけた貴重な資料。下関市の変遷が航空写真で分かります(°▽°)
その本によれば、彦島西山は彦島で最も狭い砂洲から響灘に突き出した場所だったようで、高度経済成長期に埋め立てられ、工場群が立ち並ぶ人工の町へ変貌したのでした🏭
昭和40年頃の西山海岸です。わずかに残された自然海岸でしたが、年々砂浜が痩せ細っていったのです😥
設置されている案内板から整備前の姿を知ることができます。砂浜がほぼ消失して、波が道路を洗おうかという状況です🌊😱
再生計画の概要を示した案内板があります。平成9年、10年がかりの大事業が始まりました。
その甲斐あって、今ではこんなに美しい砂浜へと回復しました😭
ここで海を眺めながら昼食をとったり、散歩したりする人も多くいます。カラスもやってきました🐧
植栽された植物の記録です。
大変な数です。一度失われた自然を取り戻すことがどれほど困難か、教えてくれます。
道路沿いには黒松の植栽。白砂青松の風景が戻って来ました( ◠‿◠ )ウンウン
松ぼっくりをつけた黒松と青い空‥
セリ科のハマボウフウがあちこちに生えています。これは漂着したタネから自然に生えてきたものと思われます。新芽は高級食材で、生でよし、天ぷらでよし😋根は生薬として用いられます(沙参:咳・痰を鎮める)💊 砂浜あればこその植物です。
春に集合して球状になった花をつけます☺️
砂どめの竹垣から逞しく枝を突き出したハマヒサカキ。
ハマヒサカキはモッコク科の常緑小高木で、海岸によく見られます。「花は10-12月に葉腋に1-3個束生し、下向きにつく。白い五枚の花弁はツボ状に寄り添う。果実は径5mm、丸くて黒く熟する。花はほとんどすべての葉の根元にずらりとつく。プロパンガスの臭いと似ているので騒ぎになることがある。実は黒色で鳥が好んで食べに集まってくる」。
ハマヒルガオ。ヒルガオ科の多年草。海浜植物の代表格。ヒルガオそっくりの薄いピンクの花を初夏に咲かせます🌸残念ながら今は葉っぱだけでしたT_T
ハマビワ。
島根、山口から南の海岸に生えるクスノキ科ハマビワ属の常緑高木。「10月ごろ、葉腋から2-3個の黄白色の花をつける。小球状の花序を短い柄の上に散形につけ、絹毛をかぶり、総包は3-4個で、外面に褐色に毛がある。雌雄異株である」。これは雄花(雄木)、ツマグロキンバエやコアオハナムグリなど色々な昆虫がやって来ていました🐝🐞🐜
ハマゴウ。シソ科の常緑低木。「全体にユーカリの葉に似た芳香があり、古くは香として用いられたため「浜香」と呼ばれたといい、また「浜這」の意ともいう。果実は蔓荊子(マンケイシ)と呼ばれる生薬で鎮痛、鎮静、消炎作用がある。蔓荊子散などの漢方薬に配合される」。
マサキ。ニシキギ科の常緑低木。昔は生け垣としてよく植えられていましたね。「花期は6-7月。今年枝の上部の葉腋から集散花序を付ける。花は黄緑色で小さく目立たない。秋に果実が熟すと裂開して橙赤色の仮種皮におおわれた種子があらわれる」。
マサキの果実が熟して裂けています。
アカバナ科のコマツヨイグサ。
北アメリカ原産の越年草。日本では本州〜琉球に産する。乾いた砂地に生える。花は4-11月に咲き、淡黄色、しおれると黄赤色になる。
ヤブツバキ。ツバキ科の常緑高木。厚葉樹(あつばき)、または艶葉樹(つやばき)から来ているそうです。花が美しいだけでなく、材は上質、灰は日本酒の醸造に最高のもの、果実からは油が採れるなど、非常に有用な樹木です。
チガヤ。イネ科の多年草。若い穂は、噛むと甘く、昔の子供はよくしゃぶっていたようです🍭根茎は茅根(ぼうこん)と呼ばれ、清熱生津利水作用があります💊
海辺のチガヤ群落が風に揺れているさまはこの海岸の絶景ですが、この草には嫌われる面もあります。「熱帯から亜熱帯にかけての雨季と乾季のはっきりした地域ではチガヤは非常によく繁殖し、「世界最強の雑草」という称号すらある。世界の侵略的外来種ワースト100 (IUCN, 2000) 選定種の一つである。東南アジアなどで森林を破壊するとアランアランと呼ばれるチガヤ草原になりやすく、そうなると遷移を妨害してなかなか森林が回復しないと言われる」。
ウバメガシ(姥目樫):ブナ科コナラ属の常緑広葉樹。葉が小さく裏が白っぽいこと、殻斗から実が外れやすいこと、実の尖った部分に短い毛が密生していることが特徴のドングリです。
トベラ。トベラ科の常緑低木。海岸性森林の最前線に位置。「枝葉は切ると悪臭を発するため、節分にイワシの頭などとともに魔よけとして戸口に掲げられた。そのため扉の木と呼ばれ、これがなまってトベラとなった」。
野芝。
ただの雑草のようですが、砂が風波で失われないよう守る大切な役割を果たしています。要らないものなどないのですね✨
透き通る波打ち際🌊
箱眼鏡漁が出来る豊かな環境が戻って来たのです😭
嵐の後、打ち上げられたアカクラゲ。カニなどの糧となって地球に還ります🌏
渚に打ち上げられたバフンウニとブンブクチャガマの仲間。綺麗な砂が戻ってきた証拠です☺️
遠くから見た月夜の西山海岸✨
夕焼けの波打ち際。誰もが詩人か哲学者になる‥
いかがでしたか?
ヒトがどれほど自然を破壊しているか、それを思うと暗澹たる気持ちになります。
一方、失われた自然を取り戻そうとささやかな、とはいえ限りなく誠実で貴重な努力がヒトによって払われていることに思い致せば、希望の光を確かに見ることができます✨ヒトとはなんと罪深く、なんと愛おしい生き物なのでしょう‥
こんな地方都市のこんな片隅の話、誰が興味を持ってくれるのか危惧していましたが、もう十分に報われました(*´∀`*)
光の虹ヶ浜は私たち夫婦も一度訪れています。本当に美しい浜、まさに白砂青松、日本の原風景でした✨