2006年プライベート上梓した詩集のイメージ画像
天の叫び・地の怒り
あの時
確かに
夜空は
紫色に
光って
いたよ
そのとき
着替えて
はじめに
知らせた
しるしは
階段の音
無人のはず
プレハブの
みしみしと
きしむおと
だれかいる?
どおおおおんという轟音と
激しくゆれる高速のガード
地底を這う
百台の重戦車のような
いつ建物が倒れても
いつ地面がわれても
おかしくないような
シェイク・シェイク・シェイク
あの日も寒かったなぁ・・・
でも
何も感じるひまもなく
痺れるような麻痺した感覚の中
家族を案じつつ
闇から夜明けに向かい
ただひたすら
車を誘導し
応援も昼過ぎまで来なかった
そのときの職場
名神高速道路拡幅工事現場
ずいぶんの時間が経って
つながった電話で
惨事を知った
どうする事もできなかった
8年前の
「今日」
激しい怒りに触れた気がした
「逆鱗」
龍の喉にある逆さの鱗
確かに大地は
龍がはしるようだった
空は「ゴジラ映画」みたいに
ぴかぴか光っていたし
後日
その年
漢字検定協会は
はじめて「今年を現す漢字1字」を公募
その字は「震」
そしてそれを発表した日を
「漢字の日」に・・・
12月12日
僕の誕生日だ
世の中は不思議な因縁に満ちている
「それ」からあとの自分の行く末を
どうしてあのとき予測できただろうか?
「天の叫び・地の怒り」
2003.1.17 Takatsuki
写真
神戸市
20151212
ナイル 4
豹の皮を身に纏い
獣の骨を頭に被り
首には鳥の羽をあしらい
どこまでも素足で疾駆する 褐色の大地
大陸からの風に乗り
海洋からの香を感じ
胸には言い尽くせぬ想いを抱き
飽く事無く全力で疾駆する 幽冥にむけて
とぎれとぎれに私を呼ぶものは誰?
とぎれとぎれに浮かび上がるものは何?
万古の宴 才槌と剣
出奔した若き勇者
いま何処に眠る
「お前だけに会いたい」
強い声に励まされ
精霊の降臨を待たず
今ひとたびの長久の来駕
やがて旅は終わるだろう
永き階もいつか終わるように
そしてそのときが
真の眠りなのか
そのときまで ただ
走りつづけるのみ
ただ
それのみ
"NILE ⅳ" 03,2,22 TAKATSUKI
写真 江ノ島
20170224
たぶん貧乏性なのだろう
何かがうまくいっているような時に限って
何ともいえない不安な気持ちになる
たぶん貧乏性なんだろう
今までの人生でもそうだった
「今、幸せすぎる・・・
きっとこのツケがまわってくる・・・」
そして、まわってきた・・・
そんな時、何か知らんが、少しホッとしている。
たぶん貧乏性なんだろう
交渉事が得意そうで、いつも誰かを煙に巻いて
薄笑い浮かべるいやな奴
そしてその実、譲歩を重ね
相手に同化し過ぎて苦しみ
妥協案を続けて繰り出してしまう
たぶん貧乏性なんだろう
綺麗事に過ぎて、つけた格好
収まりつかず
欲しくても欲しいと言い出せない
むなしい高楊枝
たぶん貧乏性なんだろう
多くの弱者が周囲に群れ集う
しかし何もしてやれない
ただ、声を張り上げて
景気付けするしか
たぶん貧乏性なんだろう
弱いゆえにさらけだせない
闇の部分軋みと悲鳴
本気で怒るにつれてトーンが下がる
たぶん貧乏性なんだろう
気を使った部分は気づかれず
気を使わない部分で人に
気兼ねさせている
気を引き締めると排他的に見え
気を緩めると誰かに疎まれるような気がする
たぶん貧乏性なんだろう
もっとも沈んでいる時には
かけらも悟られず
痛くも痒くもないときに
心配をかけてしまう
たぶん周りの人たちも
負けず劣らず
貧乏性なんだろう
か?
「たぶん貧乏性なんだろう」
2003 3.11 TAKATSUKI
写真 高槻市
20191029
夢見(ナイル 5)
その部族
代々夢見あり
何人かに一人 きまって現れ
夢見の末 未来を語る
静かに語る 夢見の情景
ひとはただ うなずくのみ
幾年もつづく 夢見の習い
人々はただ 聞き流すのみ
あるとき 一人の夢見
大声で叫ぶ
「-----!!」
ざわめく彼ら 我ら、それとも
誰か
どうすればいい?
人々は広場に集い 結論を出す
追放された夢見 群れを遠く離れ
いまは何処? 旅の果てか・・・
それから幾年月
夢見無しで
人は過ごす
ただ過ごす
ただただ過ごす
全て無かったように 忘れて過ごす
次の夢見が 現れる事は
今のままでは
たぶん
ない
"YUME-MI" 2003.4,15 TAKATSUKI
写真 高槻市
20191028
夜の闇にそびえるテント
いつからか その場所に
静やかに そびえたつ
微風は帆布をかすかに揺らせ
屋台骨 かすかに軋ませる
夜の闇にそびえるテント
漆黒の背景にそそり立つ
巨大な生成りの三角
人の気配は 何故かしない
月も無い 星も出ない
こんな夜に 何のために
誰をつつんで 聳え立つ
孤高のテント 音も無く
そして 空はやがて
インディゴ色に静かに移行し
鳥の声が 遠くからやってくる時
中間色の思いが再び
いつ果てるとも無い時の流れは
しかし 一時も同じ顔を見せない
そしてもし あすがあるなら
そこには テントがあるだろうか?
「夜の闇にそびえるテント」
2003,4,23 TAKATSUKI
写真 アイスランド
20180627
雨だなんておもわない
どこに太陽があるかわからず
曇色・雲一面に空が覆われて
路面は濡れて車が飛沫を飛ばし
糸のような露に肩口を湿らせても
それを雨だなんておもわない
どこに答えがあるかわからず
憂色・愁い哀しみにふるえて
喉はやけに渇いてかすかにふるえ
なぐさめの言葉に強くだきしめても
それを愛だなんておもわない
どこかに向かうかわからず
暮色・暗い道に戸惑って
袖を捲り上げ頬にあてて
流れ出るものにしとど濡らしても
それを涙なんておもわない
激しい雨が降りそそいで
大きな愛につつまれて
思い切りのむせび泣きが
心のうちに訪れた時
新しい時代が切り拓かれていくのだろう
そしてまもなく
新しい時をむかえるのだろう
I thougt it wasn't rain
2003 May 6th TAKATSUKI
写真 JR守山駅付近
20191028