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so.ra
2021/02/07
🌷チューリップ物語🌷その14
強い風の吹いた次の日から、雨が降り続いた。固い土のあちこちに小さな水溜まりができて、寒さに凍りつき、溶けて水に戻り、そんな繰り返しをしながら、少しずつ木々の芽が膨らんだ。
やがて小さなふきのとうが芽生え、つくしが顔をだし、少しずつ緑が賑やかになる頃、小さなチューリップが芽を出した。
それは小さな芽だったけれどそれでも、太陽の光を浴びて嬉しそうにキラキラと朝露を宿らせて、誇らしげだった。
そこはたくさんの野菜たちの畑。冬の寒さに溶けて崩れた大根や白菜が花を咲かせていた。チューリップは、そんな風景を見ながら、たった一枚伸ばした葉に春の光を浴びて、生きている喜びを噛み締めていた。
そんなある日畑の持ち主がやって来て、畑に残った作物を引き抜いて、新しい苗を植えていった。そして、チューリップを見つけると、大きな声で丘の上に向かって呼び掛けた。
『お~い!来てごらん!ここにもチューリップが生きてたぞ!』『えー!本当に♪』それは小さな男の子の声だった。
丘の上から小さな男の子が、小さなバケツを下げてかけ降りてきた。
『お父さん、きっとあのときのチューリップだよ!すごいね、ここにも生きてたんだ。』
『そうだね。2つも、生きてたなんて奇跡だね。』
『ねぇ、お父さん。これも、僕がもらっていい?大事に育てるから。花を咲かせて病気のおばあちゃんに持っていってあげるんだ』
『いいとも』お父さんは、男の子の頭を撫でて言った。
『これは小さな球根だから、今年はきっと花が咲かないよ。来年まで大事に育てられるかい?』男の子がコクリと頷くと、お父さんはチューリップをそっと掘り出して、男の子のバケツに移した。
そして、そこにいたのは!あのお爺ちゃん球根だった。
『ボウズ、懐かしいの。お前も無事に生き延びたわけだ!よくやったな』
『お爺ちゃん!お爺ちゃんなの!』小さな球根は嬉しくて泣きながら尋ねた。
『どうして、どうやってあの溝から生き延びたの?』
『わしも、もうだめかと覚悟しておったんじゃが、わしが落ちた所は、幸いにたくさんの枝や落ち葉が山になっていたところだったんじゃ。お陰で水に溺れずに過ごせたわしは、春になって芽を伸ばすことができたんじゃ。』
小さなチューリップは固唾をのんで聞いていた。
『そしたら、さっきのお父さんがあの溝の掃除にやって来て、わしを見つけたんじゃよ。
まさか、ここでお前さんに会うとはの。』お祖父ちゃん球根も目に涙を浮かべて話すのだった。
『ママ、奇跡だよ!すごいビッグニュースだよ!』
家に帰ると、男の子はお母さんに2つのチューリップを見せた。
『まぁ、なんて素敵な偶然なの。ママも今日、小さなチューリップを一輪見つけたのよ』
それは、ピンクの可愛いチューリップだった。
『それじゃあ、3つを一つの鉢に植えましょうか。どんな花が咲くか楽しみね』
それからの日々、3つのチューリップは、それぞれの冒険や出会いの話をしながら、一つの鉢で仲良く過ごした。
ピンクのチューリップは、小さなチューリップ球根の冒険を聞くのが好きで、何度も話をおねだりした。そうやって試練を乗り越えたチューリップを頼もしく思うのだった。
続く
はる❤️波瑠美
2021/02/07
凄い😍凄い😍
まさかの お爺ちゃん球根❤️
今 読んでいて 鳥肌が立ちました😆
嬉しいです💕とっても
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1
返信
鳥さん
2021/02/08
良かったです。朝から元気になりました。お花に話しかけて、これからも慈しんで、共に成長しなくちゃ💕💕
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1
返信
@NOBU
2021/07/31
Soraちゃん チューリップ物語の15は どこだろ?
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1
返信
@NOBU
2021/07/31
あった!
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1
返信
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so.ra
大切なものを 預かっているよ いつでも取りに戻っておいで💖 たくさんの陽だまりの花たちと あなたをお待ちしています😊🍀 2021年12月14日 わたしの詩を、書きとめていただいて、とっても嬉しくて、今日から作家ですと名乗ることにしました🤗みんなに愛と勇気と癒しを贈る人になれるよう頑張ります😊
場所
小さな庭
キーワード
sora の物語
チューリップ物語
植物
チューリップの球根
強い風の吹いた次の日から、雨が降り続いた。固い土のあちこちに小さな水溜まりができて、寒さに凍りつき、溶けて水に戻り、そんな繰り返しをしながら、少しずつ木々の芽が膨らんだ。
やがて小さなふきのとうが芽生え、つくしが顔をだし、少しずつ緑が賑やかになる頃、小さなチューリップが芽を出した。
それは小さな芽だったけれどそれでも、太陽の光を浴びて嬉しそうにキラキラと朝露を宿らせて、誇らしげだった。
そこはたくさんの野菜たちの畑。冬の寒さに溶けて崩れた大根や白菜が花を咲かせていた。チューリップは、そんな風景を見ながら、たった一枚伸ばした葉に春の光を浴びて、生きている喜びを噛み締めていた。
そんなある日畑の持ち主がやって来て、畑に残った作物を引き抜いて、新しい苗を植えていった。そして、チューリップを見つけると、大きな声で丘の上に向かって呼び掛けた。
『お~い!来てごらん!ここにもチューリップが生きてたぞ!』『えー!本当に♪』それは小さな男の子の声だった。
丘の上から小さな男の子が、小さなバケツを下げてかけ降りてきた。
『お父さん、きっとあのときのチューリップだよ!すごいね、ここにも生きてたんだ。』
『そうだね。2つも、生きてたなんて奇跡だね。』
『ねぇ、お父さん。これも、僕がもらっていい?大事に育てるから。花を咲かせて病気のおばあちゃんに持っていってあげるんだ』
『いいとも』お父さんは、男の子の頭を撫でて言った。
『これは小さな球根だから、今年はきっと花が咲かないよ。来年まで大事に育てられるかい?』男の子がコクリと頷くと、お父さんはチューリップをそっと掘り出して、男の子のバケツに移した。
そして、そこにいたのは!あのお爺ちゃん球根だった。
『ボウズ、懐かしいの。お前も無事に生き延びたわけだ!よくやったな』
『お爺ちゃん!お爺ちゃんなの!』小さな球根は嬉しくて泣きながら尋ねた。
『どうして、どうやってあの溝から生き延びたの?』
『わしも、もうだめかと覚悟しておったんじゃが、わしが落ちた所は、幸いにたくさんの枝や落ち葉が山になっていたところだったんじゃ。お陰で水に溺れずに過ごせたわしは、春になって芽を伸ばすことができたんじゃ。』
小さなチューリップは固唾をのんで聞いていた。
『そしたら、さっきのお父さんがあの溝の掃除にやって来て、わしを見つけたんじゃよ。
まさか、ここでお前さんに会うとはの。』お祖父ちゃん球根も目に涙を浮かべて話すのだった。
『ママ、奇跡だよ!すごいビッグニュースだよ!』
家に帰ると、男の子はお母さんに2つのチューリップを見せた。
『まぁ、なんて素敵な偶然なの。ママも今日、小さなチューリップを一輪見つけたのよ』
それは、ピンクの可愛いチューリップだった。
『それじゃあ、3つを一つの鉢に植えましょうか。どんな花が咲くか楽しみね』
それからの日々、3つのチューリップは、それぞれの冒険や出会いの話をしながら、一つの鉢で仲良く過ごした。
ピンクのチューリップは、小さなチューリップ球根の冒険を聞くのが好きで、何度も話をおねだりした。そうやって試練を乗り越えたチューリップを頼もしく思うのだった。
続く