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2021/03/01

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【瑠璃の冬の物語】その13

瑠璃の居なくなった夜、その夜も瑠璃が来るだろうとそわそわと待っていた権蔵は、夜遅くなっても瑠璃が来ないのを不思議に思い梅に訪ねた。

「どうしたんだろう。珍しいこともあるもんだ。赤ん坊が乳が欲しくて泣くだろうに、今夜はどうして来ないんだろう」

「知るもんかね。きっと、腹でもこわして寝込んでるんじゃないかい。病気なんぞうつされたら大変だよ。くわばらくわばら。」

「そうか、来ないんなら仕方ない。ふん、つまらん。寝るとするか」
権蔵はそういうなり、ごろんと布団に入ってしまった。

邪魔な瑠璃が居なくなって、権蔵が以前のように優しくなるかと思ったのに、素っ気なく振る舞う様子に、梅は宛が外れて面白くなかった。
「なんだい。瑠璃さん瑠璃さんって。瑠璃さんはもう、来やしないよ」そう、小さな声で言うと、梅も寝床についた。

翌朝、権蔵は村人の話で、瑠璃が谷底に落ちたらしいことを知った。

1日2日と日がたっていくにつれ、権蔵は心にぽっかり穴が開いたように感じるのを、不思議に感じていた。そのうちに、そんな心を慰めるように、権蔵は酒を飲むようになり、野良にも出ないで昼間から酒を飲んでは暴れて梅を殴りつけるようになった。田畑は荒れて財産も底をつき、二人はしだいに食べることもままならなくなっていった。

そんなある日、酔っぱらった権蔵が始末を怠った囲炉裏から火がでて、たちまち炎は家中に燃え広がった。
夜の暗闇に権蔵の家から火の手が上がるのを見つけた村人もいたが、日頃皆を虐げていた権蔵らを助けるものもなく、たちまち広がった炎に巻かれて、翌朝には家は跡形もなく焼け落ちた。


そして、たくさんの想いの標のように、
焼け跡に一本の木が残った。


悲しみや苦しみも
 風が吹き
  雨が降り
   光に溶けて
    消えていく

冬が来て
 枯れ葉が落ちるたびに
  その葉に預けられた想いは
   鮮やかに染まって
    大地に落ちて
     命に還っていく

そうしてふたたび春は巡り
 硬いつぼみから
  若葉が顔を出す
   時を待つ
    幼子よ
     愛しい幼子よ

冬を越えて生きる
 お前の命を光が包む
  たくましく育て
   お前の枝を雨がぬぐう
    元気に育て
     お前の枝に鳥が唄う
      愛されて
       愛に包まれて生きよ
    

      

  続く


🌸よろしかったら、物語の一話【瑠璃の物語】二話【瑠璃の冬の物語】は下のタグからご覧下さいね。

2021/03/01

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