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小さな物語の一覧

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so.ra
✨タンポポの小さな物語✨その6 朝になった。 約束通り、楽しそうにチュンチュンとさえずりながら雀がやって来た。 決まったかい? 雀がたずねると タンポポは嬉しそうに答えた。 うん! やってみる! きっと、こんなチャンス一生に一度だ。 できるかできないか考えて、ここでまた引っこ抜かれる事を心配して過ごすより、僕は可能性を試してみたいよ。 それに それに! 空から、僕たちの住んでる世界を見てみたいんだ! やっぱり! そう言うと思ったよ。 さぁ、それじゃ、僕の胸に捕まって! そう言うと、雀はタンポポの綿毛を胸に擦り付けた。綿毛のいくつかは、風に乗って舞い上がったが、何個かの綿毛が、雀の胸にうまく潜り込んだ。 うまくいったね。 じゃあ、行くよ! 雀は、空へと飛び立った。 雀の胸羽の中に小さくなって捕まりながら、タンポポは地上の景色を見下ろした。 地上の世界は、なんていろんな色で溢れて綺麗なんだ。みんな不思議なほどキラキラしている! あれが地上の世界なのか。 タンポポは、初めてみる風景にワクワクしながら景色を見下ろした。 小高い丘を越え、川を越え、畑を越えて、一面花の咲き乱れる場所に来た。 凄い! 木の枝みんな花だ! あんなの見たことない。 あれは何て言うの? タンポポが驚いて雀に尋ねた。 雀は、笑いながら答えた。 あはは。 そうかぁ、君は初めて見るんだね。 花壇にはないからね。 あれは桜って言う花だよ。 春になるとあっちでもこっちでも咲き出すんだ。 綺麗だろ。 タンポポはうっとりしながら答えた。 本当に綺麗だ。 そして、少し考えて続けた。 でも、僕がいたい場所じゃない氣がする。綺麗だけど…。 華やかな所より、もっと、穏やかに光が溢れてるところ。僕らしく咲けるところにいきたいなぁ。 そう言うと思ってたよ。 じゃあ、とっておきの場所に案内しよう。 そう言って、雀は向きを変えると、木々に囲まれた広い草原へと飛んで行った。 そこでは、朝の太陽の光を受けて、たくさんの小さな野の花があっちこっちに花を開きはじめていた。 初めてのはずなのに、なぜだろう。なんだか懐かしい。景色を見回していたタンポポは、ハッと氣がついた。 そうだ! ここは、いつか僕が居た場所だ! 初めて芽吹いた所だ! 雀くん、どうして知ってるの? こんな所にいたくないって、いつもどこか遠くに行くことばかり考え過ごしていたところだ。 周りの風景を見ることもなく、 声をかけてくれる小鳥たちと話すこともなく、自分にもっと相応しい所があるはずって、そんなことばかり考えていた。 あぁ、懐かしい風景。 太陽がなんてあたたかいんだ。 タンポポは雀に言った。 雀くん、ここで下ろしてくれないかい? 雀は笑いながら言った。 見つけたんだね!君の居場所。 君は僕を覚えてないかも知れないけど、僕もここで生まれたんだよ。 初めて草原を歩いたとき、君の花の黄色が眩しくて、君に話しかけたんだけどね。君は上の空で、僕を見ようともしなかった。 本当に? 雀くん! じゃあ、君はあの頃から僕を知ってたのかい?君の事を無視してた僕なのに、覚えてくれてたなんて…本当にありがとう。 僕ったら、生まれた場所が嫌で、こんなに素敵な所なのに、幸せを探して飛んでいきたくて空ばかり眺めてたんだ。 雀は嬉しそうに じゃあ、降りよう! と言うと草原に降り立ち、 パタパタと羽ばたいた。 その風でタンポポの綿毛は舞い上がり、草原のあちこちにふわふわっと飛んでいった。 雀は、タンポポの様子を見届けると、空へ舞い上がった。 これでお別れだ。 元気でね! ありがとう~!雀くん! 僕今度こそここでたくさん幸せを咲かせるよ。いつかまた来てね! 雀はチュンとひと鳴きすると、 空の彼方に小さくなって消えていった。 野原のあちこちで、タンポポは根をはって、花をつけて、広がっていった。 春が来て 夏が来て 秋になり 冬が来て 小さないろんな出来事もあったけど いつしか、野原はタンポポの黄金色の花で一杯になった。 時々葉を食い荒らす虫たちを、小鳥たちに退治してもらったり、 周りの花たちと、取り留めもない話をしたり。今は、そんな毎日がタンポポには夢のような日々だった。 タンポポの花の上に 風に乗って山桜の花びらが ひらひらと舞いおりる 春の光が 野原に降り注ぎ タンポポは大きく息をする 長いたび、いろんな事があった。 全ては僕に帰る旅だったんだ。 僕は生きてる なんて幸せなんだろう 🌱 タンポポの小さな物語を読んでくださって、ありがとうございます。 タンポポの花なら、最後はどこに根づくことを願うんだろう? 花の幸せって何だろう? そんなことを思いながら書きました😊あなたなら、どこに咲かせてあげるのでしょう? 花は、この世界で生きる人への神様からのエール、そんな言葉を聞いたことがあります。 日々の風景のどこかに見つけるタンポポの花。その度いつも懐かしい友達にあったような氣がして、優しい元氣をもらいます。そして、こんなに可愛い花が一年中身近にあるって、とっても素敵な事だなって思います。この小さな物語を楽しんでいただけたら嬉しいです🤗💖 大好きなタンポポから 愛を込めて💕
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so.ra
✨タンポポの小さな物語✨その5 降り続いた雨でできた小さな水溜まりに、具合良く根っこをつけたタンポポは、ちょっぴり元気になると根っこを土に潜らせていった。 そこでは、花壇から草と一緒に抜かれた花たちも、根っこを伸ばして、あちこちで小さな花をつけていた。 タンポポは、思った。 そうさ、いつだって今が始まり。 どこに咲いても どんな時も 僕は僕なんだ! 花を咲かせよう! 咲けるかどうかなんて関係ない 僕は花!咲きたいんだ! そして、抜かれたときに一つ残っていた蕾を満身の力で育て、雨が上がり暖かな日が続いたある日、 小さな花をつけ、 やがて小さな綿毛をつけた。 やぁ! 復活だね! 声の方を見ると、いつかの雀だった。 君ならやると思ったよ! そろそろ花が咲くかなと思って、来てみたんだ。 雀との再会にびっくりしながらも、タンポポは嬉しくて、花びらをひときわ光りに輝かせてこたえた。 やぁ!雀くん! また会えて嬉しいよ。 そして、ほんとに君のお陰だよ! 君が助けてくれたお陰だ。 それに、あの時君とした話。もう終わりかもって思うたびに、君の言葉を思い出してた。 自分は誰のために咲くんだ? 君の言葉を心に繰り返してたんだ。 雀は嬉しそうにタンポポの周りを一回りすると言った。 思った通りだ! 本当に君は逞しくなったね! そして、突然何かを思いついたように、いたずらな笑みを浮かべると、タンポポに尋ねた。 ねぇ! 君冒険をしてみたくない? 空から地上を見下ろして、自分が根を下ろす場所を探してみたくない? 雀の提案にタンポポはビックリした。 えー! からかわないでよ。 僕は君のように羽はないし、風にのってせいぜい近くに飛んでいけるぐらいさ。 アハハ。 笑うと雀は続けた。 それは、普通はそうだろうけど…。 僕、思いついちゃったんだ! 君の綿毛を僕の胸羽に隠して空を飛ぶのさ。どこまで持っていけるかわからないけど…面白そうだと思わないかい? タンポポはビックリしつつ、ワクワクした。 凄い! できるのかな? でも、やってみたい! 雀は嬉しそうに、チュンチュンと小さくさえずりながらタンポポの周りを歩き回ると、 綿毛は明日頃がちょうどいい感じになりそうだと呟いた。 それじゃ、明日の午前中に来よう。 それまでに決めておいてね! そう言って飛び去った。 空が茜色になり、 やがて薄紅になり、 淡いブルーになり、 やがて星空になっても、 タンポポはドキドキしながら空を見上げて、その夜は眠れなかった。 続く 🌱ハナニラが小さな花を咲かせ始めました。固い土の地面からもしっかり顔を出して咲いてくれる 強くて可憐な花。 素敵な花ですね✨
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so.ra
✨タンポポの小さな物語✨その4 雀が続けた。 君は誰のために生きてるんだい。 誰のために咲くんだい。 君は他の花と比べて不幸だって思ってるみたいだ。この先も同じ繰り返しなら、消えてしまいたいって思うのかもしれないけど。…忘れちゃいけない。 それでも、君は生き抜いてきた! 生きたいって思って種を飛ばしたんじゃないのかい? そう言うと、雀は空を見上げてしばらく黙った。 そして、ゆっくりと言葉を続けた。 僕には仲良しの友達がいた。 いつも2人で一緒にいたずらしたり、 親の眼を盗んで遠くまで出かけたりしてたんだ。 君は知らないかもしれないけど、僕らはみんなで助け合って、危険を知らせたり、餌の情報を伝えあったりしてるんだ。 そんな決まりが鬱陶しくて、 冒険してこそ一人前だ! なんて思ってたんだよ。 そして、いつもよりもっと先まで行ってみようって、僕らが遠出した日に、鳶に見つかってしまったんだ。 そこは生憎体を隠す草も木もない、広い畑の続く所で、もう力の限界で、友達より少し遅れた僕が鳶に攻撃されそうになった時、先をいっていた友達が引き返してきて、 ここは任せて逃げろ!!って 鳶に向かっていったんだ! そして、 まだ逃げずにぐずぐすしてる僕に 後から追いつくから、 構わず逃げろ! って叫んだんだ。 その声に押されるように 僕は後も見ず一目散に逃げて逃げて やっと見つけた茂みの中に逃げ込んだんだ。 友達はほんとに飛ぶのが早くて、アクロバット飛行も得意だったんだ。 だから、きっともう少ししたらいつものおどけた顔で、凄い冒険だったよ!って現れると思ってたんだ。 そして逃げてきた方の空を 友達が飛んでくるのを、震えながらずっとずっと待っていたんだ。 だけど… 何時間もたって 夜になって 星や月が出ても 友達は帰ってこなかった。 朝になって太陽が登った時、 僕は恐る恐る茂みから出て、 僕らが鳶に攻撃された場所まで 行ってみたんだ。 そこには、たくさんの羽が散らばっていて…。 僕は、もう二度と友達に会えないことを知った。 あの事があるまで、僕はみんなで助け合ってる仲間の姿を、臆病者とか情けないとか思っていたんだよ。 だけど、こんな風に襲われて…きっとこんな悲しみや悔しさを繰り返して、みんなであみだした知恵だったと悟ったんだ。愛で助け合ってたんだよ。 遅かったよ。 大切な友達を失うまで、そんなことにも氣づかなかったんだ。 君は、土に生きている。 今ここに咲いてるほとんどの花は生まれた場所に根をはっていつか終わってしまうのに、君たちは綿毛を飛ばして、遠く離れた場所まで飛んでいくことができる。 それって、すごいことだと思わないかい? 新しい土地で、また花開くことのできる君らを、羨ましいと思う花だってきっとたくさんあるさ。 その時、ポツンと雨粒が落ちてきた。 雀は、空を見上げると、 おっと!いけない。雨が来る! もう帰らなくちゃ! そう言って羽を広げると、嘴でちょんとタンポポを摘まむと、草の山から窪みになってる地面に落とした。 僕ができるのはここまで! あとは、君が自分の力で切り開くか、諦めるかだ。 恵みの雨だ! その根っこの根性に期待してるよ! そう言うと、雀は飛び立っていった。 雀が嘴で落としてくれた地面は、 ちょうど木陰になっていて、小さな雑草たちがあちこちに咲いていた。 良かったわね、あなた。 命拾いしたわね。 雀の頭の上で、カラスノエンドウがピンクの花に雨粒を受けて、花を揺らしながら言った。 雨が降ってきたわ。 チャンスは一度限り。 あなたの頭に小さな蕾が一つ残ってる!うまくいけばもう一度花をさかせられそうね。 カラスノエンドウの言葉を聞きながら、疲れはてたタンポポは眼を閉じた。 しとしと しとしと 雨は降り続き、雪柳やカラスノエンドウの枝の下には、小さな水溜まりができていた。 続く
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so.ra
✨タンポポの小さな物語✨その3 雀はタンポポの周りをチョンチョンと歩き回っていた足を止めて、話しかけてきた。 君はもう、諦めることにしたの? タンポポはムッとした。 コイツなんにも知らないくせに、 なんてひどい言葉をかけるんだ! そう、思って雀を睨んだ。 ハハハ 怒ってるのかい! 君ったら、 自分はもう死にそうなのに、 そんな状態でも、まだ誰かに優しい言葉かけてもらうのを期待してるのかい。 雀の言葉に、タンポポは声を震わせながら言い返した。 お前だって、同じ立場になったらわかるさ! 引っこ抜かれて、どんどんカラカラに干からびていくしかない辛さ! あぁ、こんなのはもうこりごり! 一生懸命花を咲かせたって、喜んでくれる人なんかいない。それどころか邪魔だって引っこ抜かれて、どこへいっても嫌われものさ。 早く死んじゃって楽になったらいいんだ! 歩き回るのをやめて、タンポポの言葉をじっと聞いていた雀が続けた。 本気でそう思ってるの? ┐(-。-;)┌ やれやれ、ガッカリだ。 君の根っこを見て、少しは見込みのあるやつかと思って話しかけたんだけど…とんだ思い違いってわけか。 そう言われて、タンポポはハッとした。 僕の根っこ! 根っこの事なんか考えたこともなかった。そうだ!抜かれて体はこんなにカラカラなのに、まだ生きてる! タンポポはハッとして、自分の根っこを見た。 カラカラになった体の下で、ぷっくり膨れたその根っこはまだ元氣だった。 ガレージの隙間の割れ目で、門扉に削られながら、生きようと頑張ってきた日々。そんな思いが詰まったように太くなった根っこ! 辛いこと苦しいことが根っこを育てて、そして今僕の命を守ってくれてるんだ! そんなことに改めて氣づいて、タンポポははらはらと涙をこぼした。 おやおや、今度は泣いてるのかい? 雀は覗き込むようにタンポポに近づいて言った。 続く 🌸今日のお花 ナズナ
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so.ra
✨タンポポの小さな物語✨その2 タンポポの根づいた家の庭でも、春の花たちが咲き始めた。 真っ赤なボケの花、 白い雪柳、 色とりどりのパンジー 花壇ではチューリップが可愛い芽を出して、日に日に育っていった。 そして、朝になると奥さまが、花たちに声をかけながら水まきをするのだった。 可愛いわねぇ。 良く咲いたわね。 次は自分の番! そう思ってタンポポはいつもドキドキして待っていたが、奥さまはタンポポに氣づかないように通りすぎるのだった。 はぁ~ 僕はちび助で目立たないからかなぁ タンポポは、自分も春の花の仲間になりたいと思って、ぐんぐん葉を伸ばし花を育てた。 そして! とうとうある朝、 初めての花を開いた。 今日こそ僕を見つけてくれるかなぁ!そして、今年はたくさん綿毛を作って、今まで見たこともない素敵な所へ飛んでいくんだ! タンポポは意気込んで 朝日のなかで花を揺らした。 そして陽が昇る頃、いつものようにお花の手入れに奥さまがやって来た。 あら! こんなところにタンポポ まぁ今まで氣づたかなかったわねぇ。 そういってかがむと、タンポポをしげしげと眺めて 可愛いわねぇ。 とタンポポの花びらを撫でた。 タンポポは褒められて嬉しくて、頬を染めて、次はどんな言葉をもらえるんだろうと、わくわくして待っていた。 ちょうど今日は孫たちも遊びに来るから、テーブルにこの花を飾ってみようかしら。そう言うとタンポポの花をチョキンと切った。 そして、なんと!タンポポの葉っぱを掴んでベリベリっと引っこ抜いたのだった! 可愛くても増えちゃ困るものね。 何が起こったんだろう?タンポポは突然の出来事に目をまわして氣絶してしまった。 何日経ったのか それとも数時間だったのか タンポポが氣がつくと、雪柳の足元にカラカラになって転がっていた。 やっと目覚めたのね。 あなた、大丈夫? そう話しかけたのは、真っ白な雪柳の枝の下で餌を探していた小さな雀だった。 (続く) 🌱今日のお花 雪柳 ユキヤナギの雪のように白く、小さく、可愛らしい花の風情が、 「静かな思い」「愛らしさ」の花言葉に。 街の散歩コースで、雪柳の花を見つけました。ピンクがかった蕾が愛らしく、花弁も少し大きめの雪柳でした。 蕾をつける 実を結ぶ その一瞬一瞬が 全て今をいきる命を喜ぶための 贈り物なのだと思うこの頃です 🌱
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so.ra
✨タンポポの小さな物語✨ 広い野原の真ん中に タンポポが咲いていた 周りは枯れた草原で タンポポがぽつんと一つ 光を集めて咲いていた エサを探して 蜜蜂や小鳥がやって来ては 話しかけていったけど タンポポは上の空 もうこんな所は嫌だと 空を見上げて ため息ばかりついていた 僕も飛んでいきたいなぁ どこかへ どこか遠くに もっと幸せに暮らせる場所が きっとあると思っていた 風の日 初めて綿毛を飛ばして 飛んで飛んで 辿り着いたのは アスファルト道路の割れ目だった 土は固くて根もはれず こんなはずじゃなかったのに ただ一輪の花を 咲かせることだけを思って タンポポは一年やっと生きた ふたたび春が巡り タンポポは小さな小さな 花を咲かせた 綿毛を開いて 辿り着いたのは ガレージの隙間の小さな割れ目 ガリガリと門扉に擦られながら タンポポはまた一年やっと生きた 誰か仲間に会いたいなぁ もう 一人ぼっちは 寂しいなぁ そうして 空を見上げて あの広い原っぱを 懐かしく思い出していた ある日 見知らぬ野良猫がやって来た のそり のそりと 車のボンネットに登って 気持ち良さそうに 日向ぼっこしていた タンポポは思いきって 声をかけた ねぇ 猫さん どこから来たの あなたのお住まいは タンポポの花が咲いている? 猫はギロリと タンポポを睨むと めんどくさそうに口を開いた 人が気持ち良く昼寝をしてるのに うるさいちびすけめ お前の仲間なんぞ 知ったことか そういうと 車からトンと飛び降りて どこかへスタスタ歩いていった あぁ 猫さんを怒らせちゃた 僕も足があったらなぁ 続く 今日のお花 タンポポ タンポポの花の香りは好きですか? 綿毛を空に飛ばす姿を見るたびに タンポポの旅の先に 想いを馳せました。 タンポポを見ていたら、物語が書きたくなって、小さなタンポポのお話を書いてみようと思いました(*^^*)良かったら読んでください🤗 🌱✨
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so.ra
パンジーの小さな物語🌸 そのさん お疲れさま。 仕事を終えてタクト君のママは、空を見上げた。キンと冷えきった空気に、一番星の青い光がキラキラと光っていた。 ねぇ、あなた。 頑張っても、頑張っても、楽にならないのよ。タクトの給食費を払ったら、また食費切り詰めなくちゃ。あの子もどんどん大きくなって、洋服もすぐに小さくなるし…。 だけど、わたしもあの子も、こうして元氣で生きている。あの子も、優しいいい子に育ってくれて、この幸せがずっと続くように、見守って下さいね。 そうして、あれこれ考えながらタクト君のお母さんが家につくと、ドアの前でタクト君が笑って待っていた。 まぁ!こんな寒いなか待っていてくれたの? 冷えたタクト君の腕をさすりながらママが声をかけると、 大丈夫! だって、ママの帰りはいつもおんなじ時間だから、ママの靴の音が聞こえたから、さっき出たばかりだよ。 それより、早く家に入って! タクト君に背中を押されるように家に入ると、うがいして手を洗ったら食卓にきてと促され、ママが食卓についた。 食卓には、小さなろうそくが灯され テーブルに手紙があった。 席について手紙を開くと、 お母さん おたんじょう日おめでとう🎁❤️ いつも いっしょうけんめい ぼくを育ててくれて ありがとう! ぼくは今日、とってもりっぱな子だねとほめられたよ。 お母さんがすばらしいからだねと、ほめられたよ。 だから ぼくもとってもうれしかったよ。 ぼくはお母さんのわらいがおが大好きです。だから、いっぱいお母さんのわらいがおを作れるような、大人になりたいです。 これからも 体を大事にして 元気でいてね。 大好きなお母さんへ タクトより そして笑顔のママの絵も添えられていました。 そうかぁ、今日わたしの誕生日だったのね。覚えていてくれてありがとう!子供にお祝いしてもらって氣づくなんてね。。。 涙声で言うママに、タクト君は、後ろにそっと隠し持っていた、パンジーの花を差し出した。 お母さん、お誕生日おめでとう❣️ これお誕生日のプレゼント✨🎁 お母さんが欲しいって見ていた、あのお花だよ。 照れたように差し出すタクト君から、お花を受けとると、ママは大切そうに胸に抱き締めて これ、ママが欲しかったパンジー フリフリのお花が可愛くて ありがとう❣️ 本当に嬉しい… あっ でも、このお花高くて買えなくて 諦めてたお花なのよ どうして買えたの? ビックリするやら 嬉しいやらで 涙でくちゃくちゃのママに はにかんだ笑顔を見せながら タクト君が答えた。 あのね、遠足のおやつのお金 使わないでお花にしたの。 せっかくママがおやつを買うようにくれたのに、ごめんね。 でも、大丈夫だよ。 僕が忘れたことにしたから、みんなからおやつを分けてもらっちゃった(^_^;)あはは。。 それから、タクト君は、 ヒロカちゃんとお花やさんに行ったこと。お花やさんのおじさんとの話を、嬉しそうにママに話した。 あのね、ぼく生まれてはじめて、大好きなママにプレゼントできてすごく嬉しかったんだ。ママの喜ぶ顔をいろいろ考えてるとき、すごく幸せだった。お花は天国のパパとぼくからだよ。 それからね、いつかたくさん花を買えるお金持ちになったら、あの花屋さんを喜ばせてあげるって男の約束もしたんだよ!素敵でしょ! ママは、嬉しくて 一回りもふた回りも 大きくなったような我が子を抱き締めて、あとからあとから 涙が止まらなかった。 2人の食卓の小さなろうそくの光に、 ピンクのリボンをかけられた パンジーの花がほんのり頬を染めて 優しく微笑んでいるようでした。 🌸今日のお花 パンジー🌸 パンジーの小さな物語 とりとめない物語を、読んででくれてありがとうございました。 お花の思い出は、人それぞれにあるのかなって思います。お花が咲くたび、お花に出会うたび、よみがえる幸せな思い出って素敵ですね💖 子供は、あっという間に大人になってしまうけど、その優しくて繊細な魂との時間は、かけがえのない素晴らしい贈り物だとあとから氣づいたりするものですね。 そして、その人生で、たったひとつの言葉や、たった一度の出来事が、 一生の宝物になることがあります そんな思いを もしも、もらってきたなら 強い強い愛で生きる力になるのかなって。 何度でも 大好きだよって 伝えあっていきたいですね 今日も素敵な夜を💖 お休みなさい✨
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so.ra
🌸パンジーの小さな物語🌸 そのに お花やさんには、色とりどりのパンジーが並んでいた。 タクト君はヒロカちゃんとママへの贈り物を探しながら、お店の中をあちこち歩いた。 みんな結構するね。 ヒロカちゃんがため息をついた。 うん。 ママが欲しいって言ってたのは、あのヒラヒラのパンジーなんだ。 だけど、高くて買えそうにないや。 タクト君もため息をついた。 そんな様子を見ていた花屋のおじさんが、2人に声をかけてきた。 坊やたち2人でお買い物? どんな花を探しているの? あのね、 ママにお誕生日のプレゼントに お花をあげたいなって。 いつも、ママが欲しいなって見ていたあのお花を買えたらいいなって。でも、持ってるお金はこれだけなの。 そう言うと、タクト君は、ポケット中でぎゅっと握りしめていた300円をおじさんに見せた。 なるほど。そのお金じゃ、このお花は買えないね。このお花を買うのには、あと200円はようなんだよ。 おじさんがそう言うのを聞いた、タクト君の目から涙がこぼれそうになり、あわててタクト君は袖で目をぬぐってニッコリした。 ありがとう、おじさん!子供なのに、ちゃんと大人の人に話すみたいに、僕に話してくれて。 僕は今このお金しかないの。 今日の遠足のおやつを買わないでとっといたお金なんだ。 だから、少ないかもしれないけど、このお金で買えるお花を教えて下さい。そう言ってタクト君は頭を下げた。 そんなタクト君の言葉を、黙って聞いていたおじさんは、タクト君の話が終わるとニッコリ微笑んで言った。 坊や!小さいのにしっかりした話ができて偉いね。 君のお母さんのお気に入りは、このパンジーの花なんだね。それなら、この花を特別に300円で売ってあげよう。なあに、坊やの心意気に先行投資だ! そのかわり約束だ!坊やがお金を稼ぐようになったら、うちの花屋でバンバン花を買ってくれよ。 そう言うと、おじさんは顔中をシワシワにしてニッコリと微笑んだ。 おじさんの言葉に、タクヤ君とヒロカちゃんは、にっこり顔を見合わせると、ありがとうございますと、深々とお辞儀をした。 タクヤ君からお金を受けとると、『おお、ほかほかしとる』と笑いながら、おじさんは、特別大々サービスだよと、パンジーの鉢にラッピングしてリボンをかけてくれた。 良かったね 嬉しいね お母さん、どんな顔するかなぁ お花やさん、素敵だね。 わたしもあんな大人になりたいなぁ そんな話をしながら、家へと帰る道。 タクヤ君の腕の中で、パンジーの花がキラキラ輝いていた。 続く 🌸今日のお花 パンジー🌸
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so.ra
🌸パンジーの小さな物語🌸 そのいち 久しぶりのお天気 公園では子供たちが 鬼ごっこやボール蹴りをして 楽しそうに遊んでいた 公園の小さな花壇の前には 少し古くなったブランコもあって 遊び疲れた子供たちが ブランコでお喋りしながら 一休みしていた ねぇ 明後日の遠足のおやつ買った? ヒロカちゃんが、ブランコを軽くこぎながらタクト君に訪ねると タクト君は首をふった。 そっかあ わたしもまだなんだ。 じゃあ、明日一緒に買いにいかない? うん、いいね! タクト君も嬉しそうに頷いた。 タクト君たち小学生3年生は、 今度近くの動物園に社会科の見学にいく予定だった。 小さな動物園だが、小動物とのふれあいもできるので、子供たちはとっても楽しみにしていた。 300円以内のおやつも持って行っていいことになっていたので、どんなおやつを買おうかと子供たちはワクワクしていた。 『ママ、お弁当つくるの大変だから、おにぎりだけでいいよって言ったんだ』タクト君がポツリと言った。 タクト君のママ、いつも忙しそうで大変だね。ヒロカちゃんのことばにタクト君が頷いた。 パパが死んじゃってから、ママは日曜日も休まないで働いてるんだ。 ママ働きすぎだよって言うんだけど、うちは貧乏だから、働かないと大変なのよって…。そういうと、タクト君はため息をついてうつむいた。 そっかぁ。 大変なんだね。 うちも、パパは遅くまで働いてて、お休みの日は寝てるんだ。だから、お料理の本を見て、わたしがご飯の支度をするの。パパはこげた卵焼きも美味しいって、すごく喜んでくれるから、もっとお料理がうまくなりたいなって思うんだ。 少し恥ずかしそうにヒロカちゃんが話すのを、タクト君は聞きながら何か考えてる風だった。 ヒロカちゃんは、えらいね。 僕は洗濯をこんだり、茶碗を運ぶくらいしかできなくて…。僕も何かできたらいいなって思うけど、ママはちゃちゃっとできるからいいよって言うんだ。 タクト君がため息をつきながら言うと、ヒロカちゃんが笑っていった。 じゃあ、何かママが嬉しくなるような事を考えたら? 例えば? お誕生日のお祝いとか? ヒロカちゃんの言葉に、タクト君は顔を上げてにっこりした。 明後日!ママの誕生日なんだ! そっかあ(^ー^) 何かビックリさせるようなお祝いしたいなぁ タクト君がそう言うと ヒロカちゃんもニッコリした。 うん!それいいかも! それで、何が言いかなぁ? 2人であれこれ考えて、プレゼントをあげようって事になった。 タクト君のママは何が好きなの? 好きなのは?…しばらく考えて、タクト君がポン!!とブランコから飛び降りると『お花だ!』 大きな声をあげた。 その声に、周りで遊んでた子達が一斉に振り向いたけど、そんなことお構いなしにタクト君は、ヒロカちゃんの方を振り向くと続けた。 僕、知ってる! ママが欲しいもの! お花! 僕と買い物の帰りに、いつも角の花屋さんをのぞくんだ。そして、今度安くなったら買いたいなって、お花をながめてるんだ。 僕、お花をプレゼントするよ! パパが生きてた時、ママに花をプレゼントするのを見たことある!ママ、すごく喜んでた。だから、今度は僕があげるんだ! ねぇ、いい考えだと思わない? ヒロカちゃんも、うんうんと頷きながら嬉しそうに聞いていた。 うん!すごくいい考えだと思う! それで、お金はどうするの? 遠足のおやつを買うおかね貰ったから、そのお金で花を買うよ。 えーっ!本当に?みんなおやつ食べてる時おやつなしだよ、いいの? ヒロカちゃんが心配して言うと、 みんなには忘れたって言うよ。 男に二言はない!そう言うと あっ!だけどみんなには内緒だよ。 と、シーッと動作をして笑った。 わかった。 内緒にする(*^^*) ヒロカちゃんと顔を見合わせて、タクト君は嬉しそうだった。 そして、明後日一緒にお花を買いにいこうと約束して、2人は帰っていった。 続く 🌸今日のお花 パンジー
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