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短編小説なみ(笑)の一覧

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シェルマン
(3) 続きです‼️ だが、このウイルス騒動はそんな甘いものではなかった。 『楽になる、歌いたくなる』症状を皮切りに、新たに『回転したくなる』、『怒鳴りたくなる』、『逃げたくなる』、『走りたくなる』、『不満を言いたくなる』、『苦言を言いたくなる』、『緊張する』、『食べたくなる』、『ルンルン気分になる』といった奇妙な症状が、関東を中心に各地から次々と報告されていたのだ。   一方、国立感染症センターでも昼夜問わずの早急な調査を行った結果、AI推論を裏付ける未知のウイルスが遂に発見されたのだった。 感染方法は飛沫感染、口や鼻のみならず目からも感染することが分かった。症状は現在11種の奇妙な症状のみで、命に別条はなく、熱、咳、痛み等もなく、再感染を防ぐ抗体が作られないことも分かった。 また、日本医師会でも対応策を検討したが、命に別状がなく、奇妙な行動のみでは病気とは言い難く、しかも飲む薬も付ける薬もない現状では、残念ながら医療としての対応策は何もないと結論づけた。   更には、感染は日本人のみ、症状は同時多発的に出現することも分かってきた。 つまり、回転しつつ怒鳴りながら歌う、不満を言いつつルンルン気分になるといった、全く奇妙奇天烈な行動をとるといったような、複数のウイルスに感染したとしか思えない複合的なパターンが増え続けていた。 そして困ったことに、この奇妙な行動が増えるに連れ、この面白行動を積極的に見世物にして儲けようとする人々が現れ始めていたのだ。 その様子がTVやネット等で紹介されると、自分達には感染しないと知った外国人観光客が押し寄せ、皮肉なことに日本は空前の好景気を迎えることとなったのだった。 思わぬ好景気は西園寺政権にとっては棚から牡丹餅的な大きなプラス要因だが、悲壮感が無いとはいえ、発生源も対応策も不明では喜ぶわけにはいかなかった。 また、有識者に検討させていた感染拡大防止策についても結論が出た。   浮上した案は3つ。 ①全国民外出禁止令案  二度と無い好景気の今、強行すれば暴動が起きることは明らかで没。    ②目、口、鼻からの感染を防止する本人の顔型で作ったお面型のマスク案  老若男女問わず短期間の実証実験を行ったところ、問題点続出のため没  ・お面の方がちょっと美形なため、お面を一生つけたままにしたい(女性)  ・ほんとの顔とお面の顔とどっちが本物か区別がつかず精神に異常(幼児)  ・他人のお面を被ったなりすまし犯罪多発  ・何が真実か分からなくなった(出会い系サイト)  ・このマスクが出回ったら倒産するとのクレームあり(全ての化粧品メーカー)   ③懸賞金付きワクチン開発案 弱みに付け込み、裏から懸賞金値上げを要求する国や製薬会社が多すぎて没。   正月が間近に迫る中、効果的な感染防止策を見出すことはできていなかった。 西園寺は、総理執務室で肘掛椅子に深く座り、大都会に沈む夕日を焦点の合わない虚ろな目で静かに見詰め呟いた。 「ふう…疲れた。…政権どころではないな。日本はいったい…どうなっていくのだ」 秘書官は押し黙り、うつむいたままそっと総理執務室を後にした。   つづく
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シェルマン
笑うウイルス(2) 続きです‼️ そもそもこの騒動は、『富士山に育まれた樹海の湧水で点てた美味い珈琲をあなたに!』と謳った都内のコーヒーチェーン店に端を発していた。 その水で煎れたコーヒーを飲むと、なぜか身体が『楽になる』というので、この奇妙な症状の噂がSNS等で拡散し、一度体験してみたいと日本中から男女を問わずお年寄り達が押し寄せ、都内には好景気の兆しすらみられた。 国会議員達がよく行く永田町界隈のコーヒー店でも同じ様相を呈していた。 やがてニュースで取り上げられると、怪しげな学者やどこからともなく突然現れた専門家と称する輩たちが、温暖化による極地氷解説、某大国の細菌兵器説、果ては宇宙人襲来説、地底人陰謀説などを唱え、世の中は大いに盛り上がっていた。   西園寺は焦っていた。このままでは、やっと手に入れた総理の座を失いかねないからだ。 頭を抱える西園寺に、補佐官らが助言した。最先端のAIに、原因を推論させてはどうかと。 藁にも縋りたい西園寺としては、さっそく某国立大学が誇る最新のAIに推論させた結果、なんとウイルス説を強く示唆したではないか。 「なんだこれは!そんな馬鹿な…ウイルスだと?熱や咳も無いというのにか」 西園寺の読みは大きく外れた。 この事象が新種の覚醒剤などによるテロなら、我政権は決してテロに屈しないことを強くアピールし、国民の評価を変えるチャンスと考えていたからだ。 思惑は外れたが、すぐに、新型ウイルス対策本部を立上げ、対応の早さを国民にアピールすることには成功したのだった。 「それにしても奇妙だな。いいか、ほんとにウイルスなら、なんとしても発生源を早急にみつけ、感染拡大を抑え込むのだ」 対策本部から次々と指示を出す西園寺をTV局は一斉に報じた。 そのニュースを見ながら秘書官がほくそ笑んだ。 「西園寺総理、早い対応でテキパキと指示する姿は、かなりの高ポイントですよ。国民の支持率をなんとか回復させることができそうですな」 「ふん、そうか。これで上手く収まれば、新政権は長期安泰なんだがな」と、余裕のある笑いを浮かべ、久しぶりにシガーケースから葉巻を取り出し、美味そうに煙を燻らせた。   つづく
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シェルマン
いきなりですが、息子に襲いかかったある病気を題材にした「独り言シリーズ」は、それなりのHAPPY ENDを迎えたので、もう「完」としたいと思います😄✌️   さっそくですが、 元々は、ショートショートストーリーを掲載していましたから、新たなシリーズの連載開始🎵 (そんなもの待っていないって?…ずびばぜん)😅   新たなシリーズは、「笑うウイルス」。。。   これは既に「奇妙なウイルス」として、このGSに上げたことがあるのですが、まだ中途半端で未完成でした。 今回は、ちょっと自信作です。 皆様の忌憚のない感想をお待ちしております。 たぶん、5回位に分けて連載予定です。     それでは…1回目   20XX年、元日の早朝。 西園寺は、民自党内の年始挨拶の原稿を見直すため、大晦日の党内納会を早々に切り上げ、官邸に泊まり込んでいた。 昨年の夏ごろから始まった国内の異常な状況に振り回されていたのだ。 激しいドアノックと同時に、総理執務室へ秘書官が駆け込んできた。   「西園寺総理、大変です。また新たな変異ウイルスが発見されました」  「なんだなんだ、早朝から騒がしいな、なに?また変異ウイルスだと?今度はいったいどんな症状だというのだ」 「このウイルスに感染すると笑いが止まらなくなるそうです」  「笑いが止まらないだと?全くふざけたウイルスだな。正月早々いったいどうなっているのだ…」    このことは、またもや全てのTV局、ラジオ局を通し、緊急速報として一斉に放送された。 今回の発見で、変異ウイルス数は12種となっていた。 この奇妙な症状を示すウイルス騒動は、西園寺が半年前に総理に就任後、暫くして始まったが、原因が皆目見当つかず対策も全く見出せていなかった。   また、感染者数は、なんと国内総人口の5%にも達していた。 この数は、総人口が1億2000万人とすると、600万人が感染したことになる。 対策が見出せないまま、このままの勢いが続けば、やがて1000万人、2000万人と増え、西園寺政権が音を立てて崩れ去るのは火を見るより明らかだった。いや、どんな政権が立とうがこのままではどうにもならないのだ。 とにかく早急な対策と原因を見つけ出すことが急務であった。   遡ること半年前。 街を歩けば高齢者に当たると言われるこの時代、少子高齢化にも歯止めがかからず、経済回復策は万作尽きて、国民の不満は与党である民自党政権に向いていた。 民自党はまさにそのあおりを受け、時の総裁は任期を残したまま失脚したため、解散総選挙へと追い込まれた。   しかしながら、野党もこの機会を逃さず、なんとか与党になるべく画策はしたものの、野党全体をまとめる求心力のある強い勢力がなく、ばらばらに蠢いたため、結局は民自党が再び政権を立て直して、半世紀以上保った政権を交代という屈辱から免れることができた。 だが、なんとか保てた民自党内でも、次期総理総裁選びは困難を極めていた。各派閥の長老たちは、なんとか派閥争いを避け、国民受けする候補に一本化し、この難局を乗り切るべく裏工作に没頭していた。   そんな折、同党内の無派閥から、とても国民に人気のある若手の西園寺が、『日本を大改革しよう!その実現に向けては国民のアイデアを全て採用します』と、耳触りの良い公約を掲げ立候補したものだから、国民は西園寺支持で沸き立っていた。 候補者の一本化案を反故にされた派閥の長老達の怒りは収まらず、調子に乗った若造に飴でも与えて、幕引きを図ろうと西園寺を呼び出した。   だが、西園寺は、用意された幹事長のポストを蹴り、逆に「国民の不満が渦巻く中で、この国を引っ張るのに国民からの支持の高い私以外に誰がいるのですか。私以外に候補がいるなら、今すぐここに連れてきて下さい」と強気に捲し立てた。 長老達は、勢いのある西園寺を外すことは得策ではないと判断し、苦々しく思いながらも新総理として指名せざるを得なかった。   新総理誕生の1ヶ月後、国会中に奇妙な行動で審議を惑わす議員が現れ始めていた。 TV中継中にも係わらず、国会の場で急に身体が楽になったと大あくびを繰り返し、無気力感を漂わせたり、更には突然立ち上がり歌いだすという奇行に走る議員も出始め、国会は空転状態となっていた。 当然ながら、国民の新政権への風当たりは相当に強く、西園寺総理の評価は止めどなく下がる一方だった。   つづく
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335
シェルマン
【ウソップ童話】 「狼と番犬」 イソップ童話の原作はちょっと長いので、まず要点のみ書き出します❗ お腹を空かせ痩せこけた狼が、村の家畜を襲おうとしましたが、強そうな番犬が多くとても近付けません。 すると、村を離れ一匹で歩いている犬を見付けました。 これはチャンス!襲って食べようと近付きましたが、強そうでとても勝てそうにありません。 そこで、お世辞を言って誉めそやし、どうすれば楽に食料を得てそんな身体になれるのかを聞きました。 犬は言いました。 「簡単なことだ、ご主人のご機嫌をとるだけさ。そうすれば、好きな食べ物をくれるし抱いてもくれる。 君も森の苦しい生活を抜け出すために来たらどうだ」と。 狼は夢のような話だとその気になりつつ、ふと犬の首の毛が擦れて無くなっていることに気付きました。 理由を聞くと鎖に繋がれていた首輪の痕だと知り、そんな自由の無い生活はまっぴらごめんだと慌てて森へ走って逃げたとさ。   【ウソップ童話】 原作で狼は、楽ではあるが自由の無い生活を選ばずに、たとえ過酷でも自由のある生活を選びました。 では、狼が、自由は無いが楽な生活ができる生き方を選んでいたら、いったいどういうことになるのでしょうか😉❔  …………………………… 犬の言っていることに一理あると思った狼は、自由は無いけど楽に食べ物を得られる生活を選びました。 村に戻る道中、犬が言いました。 「いいか、ご主人に紹介するが一つだけ絶対守って欲しい。それは耳は立てずに常に垂らすのだ。それだけは忘れるな」 犬は、ご主人を見付けると精いっぱい尻尾を振り甘えて、狼を連れてきたことが分かるように盛んに後ろを見ました。 しばらく見ていると後ろの茂みから、従順そうな顔をした狼がそろりと出て来ました。 ご主人は、最初びっくりしましたが、犬の所作と耳を垂らした大人しい狼の様子から、犬の言いたいことを察しました。 そして、村人に内緒でしばらく飼うことにしました。 当然、家の中と中庭での暮らしですから、首輪も鎖もありません。 狼は犬の言ったとおり、ご主人のご機嫌を取っていると、次から次へとご馳走が出て来ます。 賢い狼は人間の考えることも段々と分かってきて、自分から先にご主人の喜ぶことをするまでになっていました。 身体も見違えるほど立派になりました。 犬が言いました。 「どうだい?俺の言ったとおりだろう」 狼は思いました。 「なんて楽で素晴らしい生活なんだ。今までの苦労が嘘のようだ」 犬は更に付け足しました。 「でも俺の言った忠告だけは忘れるな。君は狼で俺たち犬とは違う。どんなことがあっても忘れるんじゃないぞ。」 ご主人の家族にも愛情をタップリもらい、名前をレオと付けて貰いました。 生れて始めて味わうゆったりとした楽しい日々が半年ほど続きました。 そんなある日、ご主人は村の仲間に自慢したくなり、狼に首輪と鎖を付けました。 狼は、首輪をされると多少違和感を感じましたが我慢しました。 しかも、鎖まで繋がれると流石に不安になってきましたが、それでも我慢しました。 不安ながらもご主人に連れられて村の広場にやってきました。 村人たちは狼の姿を見ると、急に騒ぎ始めました。 ご主人様は大声で言いました。 「心配するな。この狼はおとなしい。しかもこのとおり鎖で繋がれているんだ。悪さはしないよ」 それでも眼光鋭い姿はやはり狼です。 村人達は、怖いもの見たさで恐る恐る近付いてきました。そして心配しながらも周りを囲み始めました。 多くの人間を見たことがない狼の心臓は今にも爆発しそうです。呼吸も荒くなり口から涎が垂れています。 でも犬の言いつけどおり、耳だけは立てずに我慢しました。 ご主人は言いました。 「ほら、大人しいだろう。まるで犬みたいだ。耳も垂れているしな。ははは」 と笑いながら、鎖は外してあげました。 そのとき、遠くの山から狼の遠吠えが微かに聞こえました。 神経が過敏になっていた狼は犬の言いつけを一瞬忘れ、思わず耳を立てて目を見開き、声のする方を睨んでしまいました。 しかしその方向には、運悪く小さな子供が居ました。 子供は睨まれたと勘違いし、あまりの恐怖に泣き叫んでしまいました。 村人が叫びました。 「この狼はこの子を狙っているぞ。危ない!」 狼は我に返り、耳を垂らしましたが、ときすでに遅しです。 村人達は、恐ろしさのあまり右往左往しながら逃げまどい、家に逃げ帰りました。 ご主人も狼が豹変したと勘違いし、鎖を外したことを後悔しながらも逃げだしてしまいました。 そして広場には誰も居なくなり、静けさだけが残りました。 よく見ると家の中から猟銃を構えている様子が目に留まりました。 狼は、もうこの場には居ることができないと悟ると、未練を残しつつ、ご主人の家を見ながら走り去りました。 山に帰ったレオは、懐かしい仲間の元に行きました。 しかし、仲間は怪訝そうな目で見ながら一歩引いています。 「どうした。俺だよ」 「誰だ。お前は?」 他の狼たちは野生の狼らしく引き締まった身体をしていますが、レオは半年の間に無駄な肉がつき野性味が無くまるで犬のようです。 「忘れたのか。俺だよ」 人間の臭いがプンプンする首輪をつけた状態でいくら訴えても、狼の仲間は引くばかり。 それどころか、腹を減らしていた狼達は、これ幸い食料が飛び込んできたとばかりに舌なめずりしながら取り囲んでしまいました。 数年後、山奥で猟師の仕掛けた罠をことごとく破り、絶対に捕まらない狼集団がいるという噂が、漁師たちの間で語り草になっていました。 その集団を見た猟師の話では、崖の上に立ち月明かりに浮かぶ先頭の狼の耳は垂れているように見えたとさ😉✌
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シェルマン
【ウソップ童話】 久々です😆💨💨💨‼️   「ライオンとネズミ」   【教訓】 A kindness is never wasted.  情けは人の為ならず (人に情けを掛けておくと、巡り巡って結局は自分のためになる)   情けは人の為にならず (人に情けを掛けてやることは、結局はその人のためにならない)   助詞の「に」があるか無いかで意味が全く違います😉👍 この教訓を考える迷作です😁✋ では…   ライオンが、森で眠っていました。 臆病なねずみがライオンに出くわし、驚きのあまり、鼻の上を横切ってしまいました。 昼寝から起こされ機嫌の悪いライオンは、逃げようとするネズミの尻尾を押さえつけました。 小腹がすいていたので、おやつがわりに食べることにしました。   「お助けください!」とねずみは叫びました。 「お願いです。いつかきっとお助けいたします。」   ライオンは、言いました。 「私を助ける…ほう、何から助けるというのだ。私はこのとおりこの森の王なのだ。何も怖いものは無い。すべてワシの思うがままさ!はははっ!」 ネズミは、このままでは食べられると思い、口から出まかせを言いました。 「分かっています。確かにこの世に怖いものは無いのでしょう。けれど、私を助けると後できっと良いことがありますよ。」 「良いこと…ほう、どんな良いことがあるというのだ。今ここでお前を食べることが一番良いことなのだがな。ネズミは柔らかくて旨いからな」 尻尾をつまみ上げ、口に放り込もうとしたときです。 「私は、もっと美味しいものを知っています。私を食べたら教えることができませんよ」 「もっと美味しいものだと?ふん、なんだそれは、どこにあるのだ?」 「さて…私は普段何を食べているか知ってますか」 「木の実とか、草とかだろう」 「いえいえ、私は人間の作ったパン、チーズ、それからソーセージなどを食べているから柔らかくて美味しいんですよ」 「ほう、パン、チーズ、ソーセージとやらを食べているのか」 「そりゃもう、美味しすぎて天にでも登る心持ちですよ」 「そりゃ、一度食ってみる価値はありそうだな。お前を作っている材料なのだから、さぞかし旨いのだろう」 「では、食べに行きますか」 「そうだな、行こう」 ライオンは、ネズミの口車にうまく乗せられて、森を出て人間界の住居エリアに来てしまいました。 しかし、ネズミは小さいから見付かりませんが、ライオンはいくら隠れても見付かってしまいます。 それにネズミが食べていたのは、ごみ箱に捨ててある食材で、ライオンには量が少なすぎました。 怒ったライオンは、隠れたネズミを探し出そうと暴れまわりましたが、ネズミにとってここは天国、隠れ場所に不自由はしません。 ライオンはついに人間に捕まってしまいました。 太いロープで雁字搦めにされて、倉庫に入れられてしまいました。 自分の愚かさを嘆いているライオンのところへネズミが来て言いました。 「ライオンさん、大丈夫ですか。」 「お前か…やっぱりあのとき食っておくべきだった!」 「でも、私は決して嘘は何も言っていませんよ。そして覚えていますか。お助けするといいました」 「確かに嘘は言っていないが…騙そうとしただろう!しかし、助けてくれるのか?」 ネズミは、ロープをかじり始めました。 太いロープもネズミにかかれば朝飯前です。 そっと、倉庫を抜け出したライオンは、ネズミに別れを告げると急いで森の中に帰りました。   ライオンは、思い返していました。 一思いにネズミを食べていれば、こんな危険な目に遭うことも無かったのだが、情けをかけたばっかりにこんなことになってしまった。 しかし、ネズミは何も嘘をついたわけじゃない。俺の思慮不足と卑しさからこうなったともいえる。 真の森の王様となるための試練だと思えばいいのかもしれないな。 この後、ライオンは慈悲のある情け深い王様と称えられ、森の仲間から真に崇められる王様になったとさ。   「情けは人の為ならず」なのか❔ 「情けは人の為にならず」なのか。。。❔
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シェルマン
「独り言 パート16」   早くその彼女に会ってみたいと思い、連れておいでと言ったところ…   「えええ~~~‼️👀」   彼女には子供がいるというのだ❗ 「おまえの子供ができていたのか❔」 「いや、前の旦那の子供や。つまり連れ子やな」 連れ子❔ そりゃ、居ても不思議ではないが、いやいやビックリ‼️ だっていきなり孫が増えることになるからな。 「いったい、いくつなんや❔」 「11歳と言っていたな。小学校5年の女の子らしい。まだ会ったことはないんや」   「ええええ~~~~‼️‼️」 「11歳❔そんな大きな子がいるのか!彼女は、彼女はいったい…いくつなんや❔」 「38歳や」   「えええええ~~~~~‼️‼️‼️」 息子は36歳である。 つまり2歳年上ということになるではないか。 年上が悪いというわけではないが、もうすぐ40歳だぞ😓💦 息子は初婚なのだから、嫁となる子は30代前半ぐらいを予想していただけに、またもや晴天の霹靂である💨💨💨❗   先に結婚した32歳の次男夫婦がいるのだが、こちらには2歳の孫がいる。 いきなり11歳の孫が増えるのである。 俺たち夫婦もどのように接すればいいのか、不安だらけである😣💦   「彼女はいったいどんな人なんだ❔」 「小柄で背は152cmと言っていた。でも年の割にはかなり若く見えるよ。一緒にいたら俺の方が年上に見えるな😅」   「ご家族は、どうなんだ❔」 「お母さんがいるが、お父さんとはずいぶん前に離婚したみたいや」   「もう会ったのか❔」 「いや、まだこれからや。そのためにこうして報告にきたんや。許して貰えて良かったよ✋」   許すも許さないもない。 幸せになってくれたらそれでいい。 お前の病気の理解者がいることは、先に死んでいく俺たちにとってはとてもありがたいことだ🎵   「結婚式はどうするんや❔」 「親父、気が早いな。式はあげるかどうかはわからない。彼女次第やな」   「そうか。GWごろに姉夫婦が帰ってくるから、そのときお披露目出来たらいいけどな😊」 「それより、娘になる子が俺になついてくれるかな。11歳といえば多感な年頃だからな😅💦」 「お前は優しいから大丈夫だろうよ😊」   二人の意志は固いようである。 早く二人の子供も欲しいらしい。 それならなおのこと、今の仕事は続けなくてはいけない‼️ しんどくても収入のために働かないといけない‼️   彼女の収入に頼るようにだけはなってほしく無い。 あ~前途多難である😰。   GWに帰ってくる長女に、妻がこの話をしたところ、さすがにびっくりしていたが、結婚願望の無かった弟がそんな気持ちになったことは喜ばしいことだと賛成はしてくれたようだ。   あ~嬉しいことではあるが、複雑な気分でもある。 まっなるようになるさ😁✋。   独り言は、またしばらく休止です。 皆さま、今回も返事を書かなくてごめんなさい。   ではでは🙇🙇🙇‼️
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シェルマン
「独り言パート15」   すいません。🙇🙇🙇 独り言シリーズは、返信コメントは書きませんのでご容赦下さいませ🙇💦   妻と「ええっ!」と驚いた。 今まで付き合っていた彼女ではないとは、いったいどういうことなのか❔ 息子曰く、私たち夫婦が知っている彼女は、実は2年前に別れているんだとか👀💨 今付き合っている彼女は訳あって紹介できなかったとのこと。   どんな訳なのか、当然気になるから聞いてみた‼️ 「水くさい、それならそうと、言ってくれたら良かったのに…」 すると、息子は言いにくそうに 「ようやく紹介できるようになったのは、やっと最近離婚が成立したからや」   「ええっ👀‼️❔」 晴天の霹靂パート2である❗   待ってくれ👀‼️ その彼女は、独身じゃないのか❔ やっと離婚❔ ということは、えっ離婚する前から付き合っていたということか❔ そりゃあ…、紹介できんわな、けどなんでまた👀❔   さらに話を聞くと、まず前の彼女とは、喧嘩別れではないらしい。 元々息子は結婚願望はないため、それでもいいというので付き合っていたらしいが、だんだんとお互いの気持ちが無くなり自然消滅していったらしく、今でも廊下などで出会えば話はする良い関係らしい。   今度の彼女も看護師で、1年前に他の病棟から転棟してきたとのこと。 そして、入って来た時、息子がいることを知ってびっくりし、これは運命だと思ったというが…😅   実は、息子は誰とでも気軽に話す性格が師長たちに気にいられて、数百名の看護師がいる中で、院内の忘年会などがあると強引に幹事をやらされていたらしく、息子もそういうイベントが嫌いではないから、とうとう宴会部長に昇進?し、果ては男性仲間と女装なんかをして看護師たちを喜ばせていたらしい😅✋   それを見ていたのが今の彼女で、そういった明るく振る舞う姿を見て好意を抱いていたらしく、息子の居る病棟にいつかは移れたらいいなと思っていたので、移動先を聞いたときはビックリしたらしい。   なんにしても、出会いは運命だからゆっくり愛を深めていけばいいが、相手が既婚者だとそうはいかない。 だって、不倫…ではないか😣🔥   息子は、去年の2月に彼女が移動してきたとき、まさか既婚者とは知らないから、いい感じの女性だなと思っていたらしい。 病気がわかる前の初夏ごろに食事に誘ったところ、彼女は相当嬉しかったらしく、そこから交際がスタートしたということだった❗   付き合い始めて間もないころ、息子は病魔に襲われ始めたのだが、そのことを知っても付き合いたいと言ってくれたらしい。 彼女の方からも、実は既婚者だということを告げられ、正式に離婚するまでは、たまに食事に行くという関係でいたいと言ってくれたとのこと❗ その後、息子が入院し手術を受けたときも、時間があれば病院の送り迎えや家に来て身の回りの世話をしてくれていたとのこと‼️ 冬になりようやく元旦那と正式離婚してくれたあとは、より献身的に世話をしてくれたらしい✋ だから、離婚するまでは俺たちには言えなかったと…😣   一番聞きたかったことを聞いてみた‼️ 結婚願望なんか無かったのに、なぜ今回結婚したくなったのか❔ それは、この難病はこれから先寝たきりになるかもしれないし、どうなるのかも分からないのに、別れずに一生面倒を見ていきたいという彼女の気持ちを知ったからということだった😭🎵   それは我々親にとっては大変有難いし嬉しいことであった。 結婚はもう諦めていたから。。。   こうなったら、早くその彼女に会ってみたいと思い、連れておいでと言ったところ…   「えええ~~~‼️‼️」   衝撃の青天の霹靂パート3の始まりであった❗   つづく
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シェルマン
【独り言 パート14】 青天の霹靂とは正にこのことか。 また独り言を呟きたくなる事が起こりました😳💦   もちろん難病を患っている息子の話です。 現在の息子の様子は、12月から看護師に戻り働いてはいますが、また脱力感やめまいが頻繁に出始め、苦しめられているようです。つまり、治ってはいなかったのです。   今も定期的に行っている病院の脳神経外科の先生は、こういったらしい。 手術前も今も出ている症状は、『キアリ奇形』が原因で生じるとは思われないものもあるのだが、他に原因となる疾患が無い以上、手術はやってみるしかなかったと…   ではいったい何が原因なのか… 今の医学では、はっきりと病名の付けられる治療法が確立している病気はまだ一部で、ほとんどはXX症候群といったような対処法も確立されていないような原因不明の病気が山ほどあるらしい。 息子の症状も未知の病気かもしれないのだ。   息子の現在の状況は、仕事は休みがちで有給休暇は使い果たし、今では無給休暇を取りつつ、なんとか出勤しているようだ。 仕事中もいつでも休んでいいからと、師長以下みんな理解してくれているとは言え、人手が足りず忙しい中、休憩ばかり取るのはみんなの手前辛いらしい。   そんな状況では、これ以上ここにいるのは申し訳ないと思い、3月いっぱいで辞めようと師長に相談したところ、人工透析などはみんなの分も肩代わりしてやってくれて大助かりなのだから辞めてほしくない、なんとか別の楽な仕事を探すから待ってほしいと言われたらしい。   息子は、その病院の看護学校の1期生で、この6年間で男性看護師で残っているのは息子だけということもあり、辞められると看護学校としての立場がないのかもしれない。       まっとりあえずその話は置いといて…   今回、わざわざ独り言を書いたのは、実はこのことではないのです‼️ 先週、話があるから滋賀の家まで迎えに来てくれと妻に連絡があったそうな❗ なんだか深刻そうな言い方だったから、とうとう病院を辞める決心をしたから、その報告だろうと妻とは話していたんです。 しかし、そんな身体で雇ってくれる会社など無いのだから、なんとか踏み留まるよう説得しようと思って準備はしてました。   ところが、帰ってきた日のて夕食後、こんな事を言ったのです🔥 「結婚する。反対されても結婚する」と… 「結婚❔そりゃ目出たいが、誰と?なんで今なんや❔」   病気が発覚する前から付き合っていて、療養中も良く面倒見てくれていた女性なんだから、もちろんOKなのだが、療養中の今、なんで?と疑問が残った。 ところが、結婚相手は、なんとその女性ではないというのだ。 思わず大きな声で「ええっ‼️」っと妻と言った。   つづく
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シェルマン
【ウソップ童話】 「ロバとペットの犬」   まず原文のおさらいです😉❗   ロバのご主人はペットの犬も飼っていました。 犬は食べ物を貰ったり、撫でて貰ったり、大切に扱われていました。 そして、ご主人が帰ってくると出迎え、尻尾を振り振り手や顔を舐めていました。   これを見ていたロバはとても不満でした。 食べ物は十分でしたが、力仕事が多い割りに、ほとんど気に留めて貰えないからです。   そこで、焼きもちを焼いたロバは、間抜けにも犬のように振る舞えばいいんだと思いました。 ある日、小屋を抜け、部屋にご主人がいるのをみつけると、テーブルの周りを跳びはねたり、前足をご主人の膝に乗せ顔を舐めようとしました。   びっくりしたご主人は召使を呼びました。 召使は殴ったり蹴ったりして小屋に追い返しました。 ロバは痛い思いをしただけで、何も得られなかった馬鹿さ加減を嘆きました😭⤵️  END   さて、自分の役目を超えたことをしたらどうなるでしょう😊❔   『犬と荷役用のロバ』 犬のご主人は、荷役用のロバも飼っていました。 ロバは、毎日毎日、暑い日も寒い日も文句ひとつ言わず、重い荷物を町に運んでいました。   これを見た犬は、いつも可愛がられているから不満は無いけど、もっと褒めてもらおうと思い、ロバのように重い荷物を運んでみようと思いました。   ある日、ご主人とロバが町に出かけているとき、小屋にあった次に運ぶミルクの大瓶を背中に乗せようとしたところ、バランスを崩し瓶を落として割ってしまいました。 そこら中がミルクの海になってしまいました。 このままでは、いくらペットとは言え、可愛くじゃれても怒られてしまいます。 そこで、何を思ったか無謀にも全部舐め尽くすことにしました。   そのとき、たまたま通りがかった召使がその光景を見て、大事なミルクを盗み飲みしていると思い、大声で注意しました。 びっくりした犬は、『違う!間違いなんだ!』と訴え鳴きましたが、召使には吠え掛かられているようにしか思えません。   召使は、町から帰ってきたご主人にそのことをすぐに報告しました。 ご主人は、犬の傍により、何を思ってかしばらく様子を見ていました。 涙を流し涎を垂らしながら必死に吠える愛犬を見てこう言いました。 「町で狂犬病が流行っているという話を聞いたが、この症状は間違いないな…こんな田舎でも流行り始めたのか…」   それを聞いた犬は、これは大変なことになったと、もっと必死に訴えましたが、虚しくも余計に大声で吠えているようにしか聞こえません。   町では、狂犬病に感染した犬は殺処分することになっていました。 しかし、ご主人は可哀そうに思い、今まで楽しい気持ちにさせてくれたせめてもの恩返しと、人目につかない山奥に逃がすことにしました。   檻に入れられた犬は、ロバの引く荷車に乗せられ、山奥に連れていかれました。 そして置き去りにされました。 犬は、自分の愚かさを嘆きました。 それぞれに役目というものがあるのに、分不相応なことをしたばっかりに、全てを無くしてしまったのです。   3年後のある寒い夜、3匹の子供を連れたある集団が、ご主人の家の近くまでやって来ました。 乾燥した牧草が分厚く敷かれた小屋にはロバが、家の暖炉の側には子犬がいることがわかりました。 その集団のボスとは、山奥に捨てられたあの犬だったのです。 その犬は、命を助けていただいたことに感謝しながら、ご主人が元気でいることを確認すると、仲間を引き連れ、また寒さ厳しい山奥へと戻っていきました❗ そして、二度と来ることはありませんでした😳
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シェルマン
   💟ウソップ童話💞 「町のネズミと田舎のネズミ」   まず、おさらいです。     あるとき、町のネズミが田舎の親戚を訪ねました。 田舎の食事は、小麦の茎、根、ドングリ、飲み物は冷たい水だけでした。 町のネズミはびっくりしながら我慢して食べました。   食後、町のネズミは都会の暮らしぶりを話し、田舎のネズミはワクワクしながら聴き、その晩、ぜいたくに楽しく暮らしている夢を見ました。 次の日、町のネズミに誘われ行ってみることにしました。   町の豪邸に着くと、さっそく食事となりました。 テーブルの上にとても素晴らしい宴会の残り物を見つけました。 砂糖菓子、ケーキなど、見たこともないよだれが出そうな食べ物が並んでいました。   ところが、ご馳走を少し食べようとしたそのとき、猫の鳴声が聞こえてきました。びっくり仰天して、ネズミたちはあわてて隠れました。   そして、静かになりやっとご馳走が食べれると思いきや、今度は召使がテーブルを片づけに現れ、犬があとをついてきました。   田舎のネズミは、これじゃ命がいくつあっても足りんと、急ぎ足で田舎に帰りながら呟きました。 「ここには沢山のご馳走があるけど、粗末な食べ物でも安全な方がいいわ。」     さて、立場が逆だったらどうでしょうか。     「田舎のネズミと町のネズミ」   あるとき、田舎のネズミが町の親戚を訪ねました。 夕方に着いたせいか、昼間と変わらない眩いネオンや見たこともない高層ビルの灯りに驚きの連続です。 でも、車だらけでとてもうるさく、空気も排気ガスで臭いが気になりましたが、見るものすべてがとても新鮮で楽しく過ごしました。 そして食事は、見たこともない甘いお菓子やふわふわのケーキなどご馳走だらけでした。 田舎のネズミは、あまりの美味しさに無我夢中で食べ続けました。   食後、田舎のネズミは興奮して町の感想を話したあと、田舎の暮らしぶりを話しましたが、都会のネズミは太った身体をソファーに預け、哀れみながら思いました。 どうせドングリや小麦の茎などを食べているんだろうし、池の水なんかを飲んだらお腹壊しそうだし、隙間風吹き荒ぶところに寝るんだろうな、そんなところには住めないと思いました。 その晩、都会のネズミは、池にはまって大きな魚に食べられそうな夢を見て冷や汗をかいて飛び起きました。   次の日、田舎のネズミは言いました。 「ありがとう。とても楽しかったよ。町の暮らしもいいもんだね。」 そして、良かったら是非とも田舎においでよと誘いました。 まったく気が進みませんでしたが、せっかくの誘いを断るわけにもいかず行ってみることにしました。   田舎の素朴な家に着くと、さっそく食事となりました。 板を削っただけのようなテーブルの上に登るとそこには何もなく、やっぱりなと思っていると、田舎のネズミが呼びかけました。 「そんなところには美味しい食べ物はないよ。こっちだよ」 町のネズミは、いったいどこに行くのだろうと、重い腰を上げついていきました。 すると、いい匂いがしてきました。 そこは小さなパン屋で出来立てのチーズや焼き立てのパン、採れたての蜂蜜がありました。 町のネズミは、その美味しさにびっくりし、いつもより沢山食べました。 夜は、暖かい暖炉の床下で気持ちよく寝ました。雲の絨毯に寝ている夢を見ました。 朝、外に出てみるととても静かで朝日は柔らかく温かくとても心地よいものでした。 そして、自分の思い違いと愚かさに恥じ入ったのでした。   町のネズミはその場で言いました。 「俺は勘違いしていた。田舎暮らしなんて不便で貧しいと思っていたが、とても豊かで最高じゃないか」 「そう思うかい?でも町も田舎も同じだと思うよ」 「えっ?こんなに素敵じゃないか」 「ほれ、後ろを見てごらん。」 そこには、イタチがいました。さらに横を見ると、キツネがいました。正面には、大きな雄鶏がいます。 「えええっ、いつの間に来たんだ!」 「町と違って、危険はもっと多いんだよ。君は勘違いしている。僕が誘ったのは、君は町で僕を哀れみの目で見ていただろう?その哀れみをそっくり返すよ。そして君がいるから、僕は助かるんだ。さあ、諸君!太ってとても美味しいよ。じゃあ、あとは宜しく」 「ええっ?そ、そ、そんなぁ…」 イタチとキツネと雄鶏は、よだれを垂らしながら同時に飛び掛かった!   そこで、目が覚めた。 そこは、暖かい暖炉の床下だった。 田舎のネズミはスヤスヤ寝ていた。   「俺はなんて馬鹿なんだ。哀れんだりして…愚かだった」 次の日、十分なお礼と、また来ることを約束し町へと帰って行った。   <教訓> どこに住むかが大事ではなく、どんな心で過ごすかが重要なのさ‼️
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シェルマン
◆ウソップ童話◆ ちょっと訳ありでお話の内容を変えましたっ😅💦 一度読んだ方も読み直してね😊✌   まずは、本物の話からおさらいです。   「羊の毛皮を着た狼」   狼は、羊飼いが用心深いために食べ物を十分取ることができませんでした。 しかし、ある夜、脇に投げ捨て忘れられた羊の毛皮を見つけました。 次の日、その毛皮を着て、狼は羊たちと一緒に牧草地へ入っていきました。 まもなく小さな子羊が狼のあとをついてきたので、すばやく連れ去って食べてしまいました。   その晩、狼は群れと一緒に谷に入りました。しかし、たまたま羊飼いはその晩に羊の肉の入った鍋を食べたいと思い、包丁をとりだして谷に行きました。そこで最初に捕まえ鍋の具となったのはその狼でしたとさ。     では、狼と羊の立場を変えたらどうなるのでしょうか❔   「狼の毛皮を着た羊」   羊は、冬だというのにフサフサの毛を羊飼いに刈られ、すっかり痩せこけた姿になり、大変寒い思いをしていました。   ある夜、こんな姿にした羊飼いを驚かせてやろうと、狼の毛皮を探しましたが、そんなものあるはずがありません。   しかし、脇に投げ捨て忘れられた狼の着ぐるみを偶然にも見つけました。次の日、その着ぐるみを着て、羊たちと一緒に牧草地へ入っていきました。   まもなく小さな子羊たちがもの珍しそうにあとをついてきたので、追い払おうとしましたが余計に集まってきて、返って目立ってしまいました。   それを見付けた羊飼いは、子羊が狼に襲われていると勘違いし、鉄砲を持って近づいてきました。 その姿を見た着ぐるみ羊は、これはまずいと思い、慌てて着ぐるみを脱ごうとしますが、チャックが生地を噛んでしまい、脱げなくなってしまいました。   もう半泣き状態の着ぐるみ羊は、最後の手段として、羊飼いに羊であることを訴えようと大きな声でメーメー鳴きながら近づいていきました。   羊飼いは、狼が襲ってきたと勘違いし、鉄砲を撃ちましたが、慌てていたため上に逸れて当たりません。 びっくりした着ぐるみ羊は、早く知らせなくてはと更に走って近付きました。 それを見た羊飼いは、今度こそ襲われる思い、鉄砲を捨て必死で逃げていきました。   その様子を見ていた親羊たちは、このままでは子羊が危ないと思い、勇気を振り絞り、着ぐるみ羊を取り囲んで、角で突こうとしたその時です❗   着ぐるみ羊が叫びました。「あ~神様ぁ~お助け下さい‼️」   そうするとあら不思議、時間が止まり、天から一条の光が降りてきて、頭に光る輪を載せ白い鬚のまるで絵本から抜け出たような神様が現れました。   これ、そこの迷える羊よ。次の三つの中から選びなさい。 1.着ぐるみのチャックが開き、仲間であることを知らせ、間一髪のところで助かるが、一生白い目で見られる人生…、あっ😅💦羊生をおくる。   2.すんでのところで犬となり、仲間を助ける牧羊犬として一生を捧げる。   3.羊沢直樹となり、羊界から人間界に転身し、俳優となる。   着ぐるみ羊は、迷いました。 1は無いよなぁ😅 3はオモロイけど、過去picを見て無い人には、いったい何の事か分からんよなぁ😅?   2も働いてばっかりでしんどいよなぁ…😜 神様、普通の羊には戻れないのですか❔ ぶゎっか者~💢❗ これだけの悪さをしといて、戻れる訳がなかろう💢😡 毛を刈られたのはお前だけではな~い💨💨💨🔥 皆順番じゃぞ❗ それに仲間を恐怖に陥れたのじゃぞ‼️   はい、分かりましたょ😳。では2でお願いしますぅ⤵️❗   2で良いのだな❔ 神様的には3も面白いと思うがのう💦😁❗   2ですぅ‼️ 2でお願いしますっ😠‼️   わ、分かったよぉ😓   こういう経緯で、牧羊犬の祖先は誕生したのであった😉✋ めでたし、めでたし‼️   <教訓> どんな事があっても、神が登場すれば話は如何様にも変化する😁💦   なんのこっちゃ😅⤵️
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シェルマン
独り言パート4   今回も返事は致しません。悪しからず🙇🙇🙇❗   皆さんが息子の事をえらく褒めて下さるので、親としては嬉しいのですが、なんかこそばゆいです😅💦   最近の息子の様子ですが、思った以上に回復が早いように思います。よくしゃべるし、寝込む時間も少なくなってきました。   モチベーションを上げている理由は、どうやら病院の仲間とLINEをやっていて、師長からの励ましや先輩や同期の早く元気になって帰ってこいコールのようです。   ここで息子が看護師になった経緯を少し詳しく書きたいと思います。   今でこそ人の気持ちを思いやるようになりましたが、最初からこんな息子ではありませんでした。 三流大学を卒業後、何もする気が無くバイトばかりしてました。   私が頭を下げ、ようやく入社した先輩の会社を、たった2日間で勝手に辞めたときは腹が立つやらムカつくやら、もうガッカリで、息子と暫く話をしませんでした。   その後も自分で探してきた営業の仕事も成績が上がらず、精神的ストレスで毎朝出勤時間になると玄関で戻す始末で、これも三ヶ月で辞めてしまいました。   それでも、遊びの小遣い欲しさにバイトを取っかえ引っかえ、いろいろな職種につき、働くことの大変さや難しさは自然と分かったようです。   そんなおり、情け無いことに遊びで腰を痛めてバイトもできなくなり、パート1で書いたように腰の手術を受け、看護師の仕事に目覚めたのでした。   看護学校受験の面接で言われたそうですが、ここは女性の職場でとても特殊です、男性にはかなりキツい事もありますが大丈夫ですかと…   その時は意味がよく分からなかったそうですが、今看護師となってよく分かるそうです。   とにかく、対立、妬み、虚栄心などで、相当年下の女性上司から理不尽な要求をされ泣かされたそうです。   精神的に参ってしまい、何回も辞めようとしましたが、やっと見つけた天職と思い、同じ看護師の男仲間の励ましあいで乗り越えてきたようです。   ですから、女性は怖い、看護師とは絶対付き合わないと言ってました。   今付き合っているのは、同じ病院の後輩の看護師なんですけどね😅💦   今の心配は、住んでいるアパートの家賃やバイクの月賦などを払わないといけないのですが、給料が六割しか貰えないため、だんだん苦しくなってきている事です。   まだ暫くは親元で暮らして貰わないと心配ですけど、これからの生活をどうするかが悩みの種になりつつあります。   職場復帰が出来る身体になるのかならないのか。 ならなかったら今後どうしたら良いのか。   これは切実な問題となりつつあります。   まぁ、とにかく動ける身体に早くなることが当面の課題ですね❗
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シェルマン
  独り言、パート2です。   誰かに語ると頭がすっきりするのですが、親戚には内緒にしています。 家の周りの人にも言えません。   ここに書くと気が楽になります。 今回も返事は書きません。 御免なさい🙇🙇🙇   「一縷の望み」   息子が退院してきました。 一時は、家族全員とても暗かったのですが、最近はなんとか明るさを取り戻し平静さを装っている感じです。   症状は、術前と術後でほとんど変わらないのですが、持ち前の明るさが戻ってきたせいだと思います。   治ることを信じて一縷の望みをかけた手術だったのですが、結果は芳しくなく、今後どうなるかはわかりません。 まだ手術が終わったばかりなので、これからだと思ってます   やらずに後悔するよりも、やってから若干後悔している今が心情的には納得しています。   今回の手術では、若い看護師たちが息子を看護師と知って、仲間意識もあってか次々と親しく話しかけてくれたそうです。 沈みがちな心を救ってくれたので嬉しかったと言っていました。   それに脳外科の看護師と言っても誰も脳の手術なんて経験したことはないです。 ですから、手術後の地獄のような痛みや薬によるいろんな症状を分かり易く教えてくれる息子に感謝さえしてくれたと言ってました。   息子の話では、術後に麻酔が切れてくると、地獄のような痛みに襲われたそうで、かなり暴れるため手足をベッドに縛られていたそうです。   そして、医者や看護師に「殺してくれ」と叫んでいたと笑って語りますが、私たち夫婦は涙でまともに顔が見れませんでした。   また、息子は自らの体験を、担当看護師が世話をしてくれている時に、「こうしたら患者がもっと喜ぶよ」と、押しつけにならない程度に冗談交じりで教えていたら、他の看護師が次々と訪れてきて、日頃の疑問の解消に努めていたと聞いたときはなんだか嬉しくなりました。   これは息子にとっても、復職後にとても役立つと言っていました。 復職できるかどうか分かりませんが。。。   最後になりますが、今回の手術後にはこんなことがあったそうです。 ある朝、縫い跡から髄液が漏れて枕がびっしょり濡れたことがあったそうです。 すぐに緊急対処で縫い直しを行うために、局部麻酔をされたそうなのですが、なんとこの麻酔が体質に合わず呼吸困難に陥り、心臓も止まり危うかったそうなんです。   アナフィラキシーショックといわれる症状で、この麻酔は一般的に使うため医者も予想外のできごとだったそうです。   たまたま、うちの息子には合わないことがわかり、今後もし別の手術をする場合は役に立つ情報だと息子は笑いますが、そんな恐ろしいことがあったなんて…。   医者は、「ごめんなさい、ごめんなさい」と何度も謝ってくれたと笑って言ってました。   不憫な息子に涙が溢れて止まりませんでした。   でも、何に対しても前向きな考え方をする息子はとても頼もしい存在です。   我々親も学ばないといけないなと思っています。   こうやって見も知らぬ皆様にまるで小説を書くように、他人事のように言葉を並べる自分はいったい何者なのか。 でも、なんだか落ち着くのです。   さあ、いつまでも落ち込んでいては息子に失礼です。   また執筆活動を始めるぞ!! みなさん、宜しくお願いします。
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シェルマン
【シェルマン劇場】 今回は、一度書いてみたかったシリアスな短編小説です😅✋   『奇妙なウイルス』 副題:光と影がもたらす結末の来ない結末   ー西暦2070年 5月ー 総裁室に事務官が駆け込んできて叫んだ。 「久しぶりにまた出ました!」 「なに!また新たな症状が出たのか?いったい今度はどんな症状なのだ?」 「感染すると笑いが止まらなくなるとのことです」 「笑いが止まらないっ?そうか、遂に「笑う」症例が出たのか…」 既に、泣く、怒る、歌う、踊る、走る、跳ぶ、逆立ちする、回転するといった発症事例が、この10年の間に世界中から次々と報告されていた。 この奇妙なウイルス群は一般的なウイルスと異なり、一度感染すれば抗体ができ完治するわけではなく、いろんな症状が同時多発的に次々と出現するという大変困った代物だった。 そのため、逆立ちしながら歌う、回転し跳びながら泣くなど、その奇妙な行動パターンの組合せは、天文学的な数になるほどだった。 そして、この奇妙なウイルス群の特筆すべき特徴は、どの症例に感染してもなぜか命を落とさないということである。 世界の人々は、感染しても安心という思い込みから、マスクなどの予防策を講じることはなかった。 むしろこの奇妙な行動を楽しむようになり、それは自然と笑いを誘い、笑いは行動力に繋がり、行動力は景気回復への重要なきっかけともなっていた。 ----------------------- ー西暦2030年ー 地球温暖化と共に世界には新種のウイルスが蔓延し、その強力な感染力からネズミ算式に次々と発病していき、死者は世界の人口の10%に達しようとしていた。 また次々と変異するため、治療薬や予防薬もなかなか作れない状況となっていた。 そんなおり、ある無名の遺伝子研究者がある特殊な遺伝子を創り出した。 このことは、さっそく学会に報告され、その遺伝子にはウイルスを死滅させる作用があることが分かり、世界の薬品メーカーはこぞって飛びつき、治療薬や予防薬の開発レースが始まった。 とにかく、感染を止めることが最重要課題だった各国は、法律を改正してまで、副作用を調べる臨床試験などは簡略化させ、とにかくメーカに市販させることを優先させた。 学会発表から1年後、遂に各メーカーから発売され始めた治療薬の効果は絶大で、感染者は劇的に減り始め、そして遂には撲滅させることに成功したのだった。 世界は一人の研究者により救われたのだ。 この研究者は、この功績から世界中から称賛され、若き天才として歴史に名を留めることになったが、不眠不休で研究したことが災いしたのか、世界中の名医が八方手を尽くしたが、惜しまれつつこの世を去ってしまった。 病院で亡くなる直前、彼は院長に人払いを頼み、まだ幼い息子だけを病室に招き入れた。 薄らぐ意識の中で、彼は最後の力を振り絞りこう語った。 「ふっ、上手くいった…。でも…お前には申し訳ないことを…。お前の…身体には、ある仕掛けが…してある。」 「えっ?仕掛け?なんの話なの!」 薄れゆく意識の中で彼は続けた。 「手帳がある。それはいずれ見付かる。それには、これから世の中に起こることが…。いいか、このことは絶対誰にも話をするな…。そして、お前は何もしなくていい。何もしなくていいんだ。お前の息子が…うっ…」 「父さん、いったいなに?なにを言ってるの?」 彼は苦しそうに…最後の言葉を告げた。 「笑う…門には…福…」 「父さん、お父さん!」 幼い息子には、それが何を意味する言葉なのか知る由もない。 そして、いつしかそのことは忘れ去られていった。 -------------------------- ー西暦2060年 夏ー 30年前に起きたウイルス騒動で、世界を救った天才遺伝子研究者の名前は、今でも語り草になっていた。 当時、国は彼の一人息子にも期待をかけ、次代を担わせようとプロジェクトを創設した。 しかし、天才の息子が天才というわけはなく、プロジェクトは進展しないまま、彼には幾ばくかの謝礼が渡されて解散となっていた。 「俺を誰だと思ってるんだ!世界を救ったあの天才の息子だぞ!」 ある日の夕方、場末の酒場で小銭を握りしめ、いつものように酔っ払い、いつものように親父の自慢話をしている男がいた。 店の者は慣れているせいか、適当に相槌をうちながらも目はスマホに向いていた。 その時だった。 一瞬、彼の頭の中で何かが光り、軽い頭痛を感じた。しかし、酔っていたこともあり、そのまま放っておいた。 その日の深夜のことだった。 彼は悪夢にうなされて目を覚ました。 なんだか身体が疼く。 なぜか無性に走りたくなり、布団をはね除け、いきなり街中に飛び出していった。 街はまだ多くの人々が通りを往来していた。 彼は自分の意志とは無関係に、何かの声に導かれるように突っ走っていた。 交差点に差し掛かったが、身体のコントロールが効かず、なすすべも無く、そのまま突っ込んでいってしまった。 正面からは大型トラックがクラクションを鳴らし、運転手は悲壮な顔で急ブレーキを踏みながら走って来ていた。 回りの人々が悲鳴を上げた。 ……… 突然の悲惨な事故に、その交差点には多くの人垣ができていた… 次の日、その街は異常な状況となった。 人々が、奇声をあげながら、踊ったり走ったり歌ったり… 何かが始まったのだ。 -------------------------- ー西暦2070年 4月ー この奇妙なウイルス群が発見されてから、既に10年の歳月が流れていた。 そして、今回の新しい「笑う」を発症するウイルスが発生する前、こんな出来事があった。 とある朽ち果てた屋敷に不良少年らが入り込み、屋根裏部屋に隠れて麻薬やアルコールを密かに楽しんでいた。 そのとき、何気なく開けた埃りまみれの机の引き出しに、一冊の手帳があるのをリーダー格の少年が見つけた。 その手帳に書いてある殴り書きの文章をしばらく見ていた少年は声を上げて驚いた。 「あぁっ、これは!…ここは!?」 亡くなった父から幼いころに聞いた、大きなお屋敷に住んでいた話を思い出していた。 少年は、手帳のメモにざっと目を通すと、辺りを見回しコウモリを一匹捕まえ、仲間に何も告げず、急いで家に帰った。 すぐさま、手帳に書いてあるとおり、パソコンにプログラムを打ち込んだ。 そして、そのプラグラムを、家にあった3次元生成装置にインストールし動作させた。 しばらくすると、あるモノが生成された。 そのあるモノを、捕まえていたコウモリに、麻薬をうつ時に使う注射器で注入し、手帳の指示どおりに暫くケージで飼うことにした。 この時代は、テクノロジーがかなり発達していて、子供でもちょっとした知識があれば、いろんな装置を活用しそれ相応のことができるようになっていた。 ある月夜の晩、眠っていたコウモリは、ゼンマイ仕掛けのオモチャのように目を開け、まるで行き場所が決まっているかのように静かに飛び去って行った。 ついに眠っていた体内の何かが作動した瞬間だった。 少年はそのことを確認し、そしてつぶやいた。 「お祖父さん、全て手帳のとおりにやったよ。これでよかったんだよね、これで…」 果たして、この少年はいったい誰なのか。 この少年こそ、40年前に地球を救ったあの天才研究者の孫であった。 10年前に父が不慮の交通事故で他界後、少年は母に苦労して育てられ医者を目指していたが、世の中が奇妙なウイルスで蔓延し始めたころ、母も遂に発症し家には戻ってこなかった。 少年は、発症を恐れてあちこちを転々とし、いつしか不良仲間とつるむようになっていたのだ。 今回の感染騒動は、そのコウモリの体内に注入されたあるモノが拡散されたことを示していた。 -------------------------- ー西暦2070年 6月ー 各国の政府は、奇妙なウイルス群の治療薬作成に多額の国費を投入し、一番乗りを目指していたが、新薬はできず治療方法は皆目見当もつかないままだった。 しかし、各国々の政策とは裏腹に、人々は相変わらず陽気で世界中の景気は右肩上がりに良くなっていった。 「総理、今朝のTVに出ていた支持率を見ましたか?なんと90%ですよ!」 ここ日本においては、ウイルス感染を防ごうと真剣に考えている閣僚など一人もいなかった。 なぜならば、景気は絶好調で亡くなる人はいないからだ。 たまに大して役にたたない施策を打ち出し、政府も頑張っている感を出していたが、国民はあきれるばかりでテレビでメディアだけが騒いでいた。 中でも、酸素ボンベ付き水中眼鏡型マスクや、宇宙服タイプの完全防護型スーツなどを一家に2台づつ配給した施策は、税金の無駄遣いと酷評されたが、政府はどこ吹く風、責任の所在をうやむやにしたままであった。 もっとも、ほんとの実態を分かっていない総理を支えるのは、自分たちの利権を乱用し私腹を肥やすことしか考えていない魑魅魍魎(ちみもうりょう)たちなのだ。 国民が何を言おうが、自分たちは完全な無菌空間生成装置を備える新しい国会議事堂の中で、あくびをしながら株の上がり具合を見てニヤッとうすら笑いを浮かべているのだった。 「誠に総理の人徳のお蔭かと…このままの状態が続けば、政権は意のまま思うがまま、憲法改正だってなんだってやれますよ」 「ふんっ、何もしない方が支持率が高いとは、皮肉だな! ウイルスさまさまってことか…」 「ところで総理、いかが致しましょう、「笑う」は、我国で最初に発見された症例です。大々的に発表し、総理の手柄に致しますか」 「まあ待て…ここはあの国の大統領の手柄にした方が得策だとは思わないか!」 「なるほど、それは名案ですな」 「よし、とりあえず大統領と話すから、ホットラインを繋いでくれ」  「はい、お待ちを」 ところが電話をする準備してる間にも、国内の感染者数は、驚くほど急速に減ってきていた。  「総理、大変です!」 「血相をかいて、どうしたのだ」 「感染者が、…感染者が減ってきています!それも急速に減ってます」 「ん?どういうことだ? 減っているなら結構なことではないのかね」 「それが、変なんです。泣き笑いしながら踊っていた人が突然普通に歩いたり、逆立ちし笑いながら走っていたかと思いきや、突然普通に歩き出したりと、治り方がおかしいんです」 治った患者達を調べてみると、ある共通点があることが分かった。 それは、「笑う」ウイルスの抗体を持っているということだ。 少年がコウモリに注入したあるモノとは、この奇妙なウイルスに感染し、何かの症状を発症した患者が、それまでの症状をすべてクリアに消滅させることができる何か、すなわちこの「笑う」ウイルスのことだったのだ。 「笑う」を発症するこのウイルスは、瞬く間に世界中へ広がり、感染者はみるみる減っていった。 そして、某大国の大統領が、あたかも自分達の手柄のごとく「我が国の英知と技術力によって、遂にこのウイルスに勝利した!」と大々的に世界中にPRしたのだった。 人類は、ようやく発見された「笑う」ウイルスのお蔭で、感染者が急速に減るということに大いに喜んだ。 そして… あの天才研究者が不眠不休で研究していた真の目的とは、亡くなる前につぶやいた「笑う門には福来る」を実現させることだったのだ。 笑いで世界を活性化させたかったのだ。 笑いは、前向きな行動力を生み出す基本であるから、それを利用しようと考えていたのだ。 2030年以降、大規模な開発を続けてきた人類は地球温暖化に歯止めをかけるどころか更に加速させ、遂にパンドラの箱を開けてしまい、世界は未知のウイルスに悩まされ続けてきた。 それは政治的手法でいくら人々の行動に制限をかけ広まりを押さえようとしても、人の行動を制限することはできない。 しかし、カリスマと言われる人、教祖と言われる人の言うことなら、人は耳を貸す。 つまり、それらに類する影響力の強い何かを創ろうとしたのだ。 それがコントロールできるウイルスであるという結論に達したのだが、果たしてそれは正しかったのか。 神の領域に手を出そうとしたツケはどんな形で返って来るのか。 そして… 結果は、彼の考えていたとおり、世界中に広まっていた奇妙なウイルス群は、「笑う」ウイルスのお蔭で急速に消滅していった。 そして、活性化した経済はそのまま持続しており、世界中に明るい未来が訪れようとしていた。 …かに思えた。 だが… 息子を犠牲にしてまで、そして孫にパンドラの箱を開けさせてまでやろうとした無謀な計画のツケは余りにも大きかった。 この天才の考えたプログラムには…重大な欠陥があったのだ。 「笑う」ウイルスに感染すると、それまでの症状がすべてクリアされるとはいったいどういうことなのか。 それは、奇妙なウイルス群が存在している限り、感染してはクリア、感染してはクリアと永遠に繰り返すことを意味していた。 事実、世界各地では、新たに感染する人々が増えはじめていた。 また、ウイルス由来で亡くなる人はいなかったが、奇妙な行動で悲惨な事故を起こし、亡くなる人が絶えることは無かった。 それは、天才と言えど予測できない結末だった。 END
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