警告

warning

注意

error

成功

success

information

山草の一覧

いいね済み
85
いいね済み
醜男
山桃(ヤマモモ) ヤマモモ科ヤマモモ属の常緑高木。暖かい地方の海岸近くに自生し、大気汚染にも耐えるので街路樹や公園木にもされる。葉は細長い倒卵形で枝先に集まってつく。花期は3~4月。枝先の葉腋に円柱形に花をつける。雌雄異株で雄花は穂状に、雌花は直立する。雌雄とも花弁も萼もないシンプルなつくり。雄花は穂に沢山咲き、大量の花粉を風に飛ばす。雌株には果実が実る。果実は核果。6〜7月に赤く熟す。内に1個のかたい種子がある。果肉の部分は核から放射状に伸びた毛が多肉化したもの。表面の粒はその毛の先端。野生のヤマモモは、鳥ではヒヨドリ、獣ではニホンザルなとが食べる。サルは1回の訪問でヒヨドリの20倍以上を食べ、サルがいないと散布量は激減するという。人間も平安時代から果物として利用している。松やに臭はあるが多汁で甘酸っぱくておいしく、果樹として栽培する地域もありスーパーなどで売られているが、日持ちしないので広く流通することはない。品種に瑞光、阿波錦、赤団子などがある。生食のほかジャムや砂糖漬け、果実酒にも良い。樹皮は古くから染料として利用され特に漁網を染めるために用いられた。塩水に耐える特徴を持つ。果実の白いシロヤマモモもある。 『山中』に生育し、『桃』のような果実をつけることが名前の由来。果実ではなく、葉が桃に似るとする説もある。中国名は楊梅(ヤンメー)といい、日本では音読みしてヨウバイとも呼ぶ。 出典『身近な草木の実とタネ ハンドブック』『葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑』『草木の種子と果実』『都会の木の花図鑑』『食材図典』『薬草の呟き』『樹木の名前』
いいね済み
94
醜男
当帰(トウキ) セリ科シシウド属の多年草。山地の岩上などに生える。葉は2〜3回3出羽状複葉で、小葉はさらに2〜3裂し、鋸歯があり、光沢がある。花期は6~8月。複散形花序に白色の小さな花を多数開く。薬用に栽培され、畑や庭に植えられる。根を漢方では婦人病の要薬とする。血液の循環を高めるとされ、漢方処方は清暑益気湯など。10〜11月頃に根を掘り出し陰干し後、湯通しし、さらに陰干しで十分乾燥させる。産地として奈良、富山、群馬、茨城、北海道がある。中国産の当帰とは別の種類(カラトウキ)であり、トウキと呼ぶのは正しくないが、慣例として当帰として使われる。葉を破ると強い独特の香りがある。この香りがとても良いという女性と嫌いだという女性がいる。嫌いだというのは若い女性に多く、この植物を必要としない年齢だという。 名前はこれを飲むと血の巡りが良くなり、病気が早く治ることから『当に血が帰ってくる』ことに由来する。他の説として、子供ができないため実家に戻された嫁が当帰を服用して妊娠できる元気な体になって、婚家に『当に(まさに)帰る』ことができた、もしくは当たるために(妊娠できるように)帰ることができたという説。実家に帰った嫁が元気になり、夫のもとへ『当(まさ)に帰るべし』と母に言われたという話もある。 出典『山に咲く花』『薬草の呟き』『生薬単』『日本大百科全書』
いいね済み
78
醜男
蔓菜(ツルナ) ハマミズナ科ツルナ属の多年草。太平洋側の海岸の砂地に生える。草全体に粒状の突起があるので、日が当たるとキラキラと光って見える。茎はよく分岐して地を這う。葉は互生し、長さ3〜7㎝の卵状三角形で柔らかい。花期は4~11月。花は黄色で葉腋に1〜2個つく。花に花弁はない。萼は4〜5裂し、内側が黄色で花弁のように見える。果実は核果。ヒシの実のような刺状の突起がある。アイスプラントの仲間。 ツルナはキャプテン・クック(💬イギリスの航海者・探検家)が1772年にニュージーランドからロンドンのKew植物園に送った。イギリスで栽培されたことからNew Zealand Spinach(ニュージーランドのホウレンソウ)の名がある。日本でも古くから食用にされ、戦時中には野菜不足を補うため、ツルナの種が配給されて家庭菜園で栽培された。熱湯で茹でるだけで食べられる。 蔓植物ではないが、浜辺で『蔓』のように分岐して広がり、葉は食べられるので、食べられるという意味の『菜』がつくことが名前の由来。『ツルナ』の名前は江戸時代の『大和本草』ほか2文献に掲載されていて、食用になる菜として知られていた。この『ツルナ』は古い時代に『浜萵苣(ハマヂシャ)』とか『浜菜』といわれていて、江戸時代になってから『蔓菜』の名前になった。特に、飢饉の時の救荒植物として広められていた草だと思われる。現代では飢饉は発生しなくなり、救荒植物としての『ツルナ』は忘れられている。 出典『野に咲く花』『夏の野草』『草木の種子と果実』『薬草の呟き』
いいね済み
83
いいね済み
醜男
梔子(クチナシ) アカネ科クチナシ属の常緑低木。温暖な地域の山野に自生し、庭や公園にも植えられる。甘い香りを放つクチナシは、春の沈丁花(ジンチョウゲ)、秋の金木犀(キンモクセイ)と並び三大香木として知られる。卵形の葉は光沢が強く、基本は対生だが、時として三輪生することがある。花期は6~7月。直径5㎝ほどの手裏剣のような形の白い花が咲く。花弁は6枚に見えるが実際には漏斗形の花が6つに裂けたもの。花の中心で*の形に見える部分が雄しべ。橙色の果実は液果。冬に熟し先端に萼片が残る。果肉にカロチノイド色素を豊富に含み、飛鳥・天平時代から黄色の染料とされ、乾燥させたものを『山梔子(サンシシ)』と呼び用いていた。無毒なので、栗きんとん、たくあん、チョコレートなどの天然着色料としても使われている。1㎏の果実からたった5g程度の色素しか採れない。果実の中にぎっしり詰まる種子は、平べったく赤くて硬い。冬の間にヒヨドリなどが実をつつき、種ごと果肉を食べて空洞にする。 実が熟しても口を閉じて種を出さないことから『口無し』といわれている。碁盤の足はこの実をまねてつくられていて、碁を打つ際は無駄口をたたくなとか助言無用を意味しているのだという。その他、クチナシの名前の由来には、近畿・中国地方で蛇を昔は『朽ち縄(くちなわ)』と呼んだことから、蛇しか食べない梨(果実のなる木)という『クチナワナシ』語源説もある。また、果実の形を『くちばし』に例えて読んだのが訛ったという別説もある。山梔子(サンシシ)とはクチナシの果実のことで、『梔』は果実が杯(さかずき)に似ているので、古代中国で杯を表した『卮』が旁(つくり)になった。 出典『都会の木の花図鑑』『葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑』『生薬単』
いいね済み
95
いいね済み
醜男
枇杷(ビワ) バラ科ビワ属の常緑高木。古い時代に中国から渡来したと考えられるが、日本の南西暖地に原産したとする説もある。果樹や庭木にするほか野生化もしている。果実を食べ終わって捨てた種からでも簡単に発芽するため野生化していることも多い。葉は濃い深緑色で大きく、細めの倒卵形で、厚みと凸凹があって堅く、裏は褐色の毛にびっしり覆われる。花期は11~2月。防寒のため蕾や花柄に細かい綿毛が生える。昆虫たちを呼ぶので香りがあり、ミツバチの蜜源植物としても有用である。果実は6月に熟す。淡橙黄色の果肉は多汁で甘く香りがよい。人間だけでなくヒヨドリやオナガなどの野鳥もよく食べる。 葉は健康茶や入浴剤、漢方薬にも使われる。生薬名は枇杷葉(ビワヨウ)。新鮮で青味を帯び、葉の裏面の毛を除いたものが良品とされる。枇杷の種子には青酸配糖体のアミグダリンがあり、葉にも微量ながら含まれる。アミグダリンには鎮咳作用がある。葉を煎じたものは枇杷葉湯として古来清涼飲料とされた。清涼飲料的な効果は、アミグダリンの分解で生じたベンズアルデヒドによるもの。枇杷は『薬王樹』といって薬にするために昔は寺に植えられていた。屋敷の内に枇杷を植えると病人が絶えないという俗説があって植えることを嫌うが、全くの迷信である。 日本での枇杷の栽培は古い書物にも記載されているが、果実は小さく食用としての利用価値は低かった。本格的な利用は、江戸時代末期に中国から長崎に入ってきた唐びわの種子をもとに育成されてからで、明治時代に入り日本初の経済品種『茂木びわ』が長崎県茂木町で盛んに栽培されるようになってからとされる。茂木びわの果実は甘味が強いが寒さに弱いため長崎、鹿児島に多い。茂木びわに並ぶ主要品種の『田中びわ』はやや大粒で酸味があり、寒さに強く千葉県に多い。田中びわは、江戸~明治時代の植物学者田中芳男が長崎の枇杷に感激し、1879年に種を東京本郷の自宅に持ち帰って庭に植え発芽させ、改良を加えたものである。 枇杷の名前は、奈良時代に大陸から渡来した楽器『琵琶』に果実または葉が似ていることに由来するという説がある。 出典『くだものの知識』『野菜と果物の品目ガイド』『葉っぱで見わけ五感で楽しむ樹木図鑑』『樹木の名前』『世界大百科事典』『身近な樹木図鑑』『薬草の呟き』『生薬単』
いいね済み
81
いいね済み
醜男
木大角豆(キササゲ) ノウゼンカズラ科キササゲ属の落葉高木。中国原産で江戸時代初期に渡来した。畑や庭に植えられ栽培される。民家の庭先に大木を見かけるのは、昔ながらの薬木であったことを伺わせる。地方の古い街の庭にこの木を植えている家は、ほとんどが昔は漢方医だったか漢方薬店だったのだという。また時に、川岸などで野生化したものが見かけられる。葉は桐に似た円形で秋に黄葉する。花期は6~7月、枝先の円錐花序に多数咲かせる。花は淡黄色、花弁の先が5裂した漏斗状で内側に濃紫色の斑紋があり、裂片の縁はちぢれている。果実は朔果。長さ30~40㎝のササゲに似た長い果実が枝から垂れ下がり晩秋に熟す。果実の中の扁平な種子は両端に長毛がついていて風にのって遠くまで飛ぶ。種子は荒廃した河川敷などで芽を出すとすぐ生長し育つと10mの高木になるが、高さ1m前後でもう花を咲かせて実を結び種子を作る。よく似たアメリカキササゲは北米原産で街路樹にされ、白い大きな花を咲かせる。 果実は梓実と呼ばれ利尿薬に利用した。10〜11月、果実が熟して弾ける寸前の蒴果をとって天日で乾燥させる。種子のなくなった鞘は薬としての品質が落ちるとされている。 名前は、細く垂れ下がる果実が野菜のササゲに似ていて、木だからキササゲとなった。ササゲの語源は、莢が上を向いていて、物を『捧げる』手つきに似るとする説や、莢を小さな牙(キバ)に見立てて『細々牙(ササゲ)』となったという説がある。キササゲを植えると雷が落ちないといわれ、雷電桐、雷の木とも呼ばれた。生長が早く避雷針の代わりになるという説がある。 出典『秋の樹木図鑑』『薬草の呟き』『樹木の名前』『生薬単』
いいね済み
87
醜男
泰山木(タイサンボク) モクレン科モクレン属の常緑高木。北アメリカ原産で明治時代初期に渡来した。庭や公園に植えられる。深緑色の大きな葉はクチクラ層が発達し光沢があって、潮風や乾燥害から身を守る。葉裏は褐色の毛が密生し耐寒性がある。花期は6月。枝先に直径20㎝ほどの甘い香りの白花をひとつ上向きに開く。花被片は9枚で、うち花弁は6枚、一番外側の3枚は花弁にそっくりな萼片。果実は袋果が集まった集合果。1つの袋果に種子は2個だが種子のできない秕の袋果が多い。種子は長楕円形から卵形で外層は朱赤色。内層は淡黄褐色で光沢はない。種子から育てると20年かかるといわれるが、栽培品種の中には開花までの年数が比較的短いものもある。 明治初年に日本に入った頃は、常磐玉蘭(トキワギョクラン)と呼び、明治12年に来日した米国グラント将軍の来日を記念してグランド玉蘭と呼ばれた。グランドは雄大という意味があり、将軍の勇壮、雄大な意味を含めた泰山木となった。小石川植物園の園芸主任を務めた松坂直枝が1932(昭和7)年刊行の本で、司馬遷(しばせん💬中国、前漢の歴史家)の漢詩の一部が転じた『義は泰山より重し』という言葉から泰山木の字を提案した。 出典『身近な樹木図鑑』『草木の種子と果実』『樹木の名前』『薬草の呟き』
いいね済み
91
いいね済み
醜男
蕺草(ドクダミ) ドクダミ科ドクダミ属の多年草。半日陰地に群生することが多い。全体に特有の臭気がある。踏みつけたり抜いたりするとさらに強い臭気を放つ。根茎を伸ばして殖える。高さ15〜50㎝。葉は互生し、長さ3〜8㎝の心形で、先は短く尖る。花期は5~8月。茎の上部に長さ1〜3㎝の花穂を出し、小さな花を多数つける。白い花弁のように見えるのは総苞片で4個ある。花柱が3裂した雌しべと雄しべ3個を持つ花がびっしりつく。果実は蒴果。ほぼ球形で反り返った花柱が目立つ。熟すと花柱の元から裂開する。種子は広楕円形。種子は果実に8〜10個ほど。 名前の由来は主に3説ある。 ①毒痛説 毒や痛みに効くことから『毒痛草』→『毒痛み』→『ドクダミ』に変化した ②毒矯め説 悪い性質などを改めるという意味の『矯める(ためる)』から『毒矯め』となり変化した ③毒溜め説 特有の臭気から、草に何かの毒が入っているという意味の『毒溜め(どくため)』が変化した ドクダミには十薬(ジュウヤク)の別名もある。民間薬として利用され、10種の薬効があるのが名前の由来。獣医が馬に用いると10種の薬効があることが由来との説もある。 薬草として古くから親しまれ、民間薬として利用される。ドクダミは生の葉と十薬で使用法が異なる。 ・十薬 5〜6月の花の咲いている時期に地上部を刈り採り、水洗後2日ほど天日で乾燥させた後に日陰干しして十分に乾燥させたのもを生薬名で十薬(ジュウヤク)という。ドクダミの悪臭成分は乾燥すると酸化されて無臭となるが、殺菌力もなくなる。十薬には葉にクエルチトリン、花穂にイソクエルチトリンなどが成分の代表で、緩下作用、利尿作用、毛細血管強化作用がある。1日10〜20gを水600〜900mlで煎じ3回に分けて服用する。 ・生の葉 生の葉には悪臭成分の精油デカノイルアセトアルデヒドなどがあり、強力な殺菌力を持つ。生の葉2〜3枚を塩少量で揉んで柔らかくし、左右の鼻腔に交互に30分くらいずつ差し込んだあと鼻をかむと蓄膿症、慢性鼻炎に効果がある。生の葉をアルミホイルに包んで火で炙り柔らかくなったら腫れ物の上にのせてテープでとめておくと化膿性の腫れ物に効果がある。水虫には生の葉をつぶして擦りつける。生の葉ジュースを作り5分の1の蜂蜜を混ぜ約3ヶ月間冷暗所に保管し味をみて酒になっていたら飲む。 出典『野に咲く花』『草木の種子と果実』『都会の草花図鑑』『野草の名前 夏』『薬草の呟き』『プログレッシブ国語辞典』
いいね済み
92
醜男
小葉の立浪草(コバノタツナミソウ) シソ科タツナミソウ属の多年草。立浪草(タツナミソウ)の変種で全体に小さい。海岸に近い畑のふちや土手、山の岩上などに生える。葉も小さくて長さ、幅とも約1㎝で、鋸歯の数は少ない。毛の量は変化が多い。花期は4~6月。萼の上には丸い付属物がある。秋に返り咲きする傾向が強く、初冬まで咲き続く。 タツナミソウの名前は花が片側に寄って咲く姿を、泡立つ波が岸に寄せる様子に見立てたもの。タツナミソウ類で葉が小形であるので『小葉の』がつく。葉と茎にはビロード状の短毛を密生するためビロードタツナミの別名もある。 タツナミソウの仲間には日本に16種ほどがあるが、変異も多く識別が難しい。重要な識別点は、茎の毛の状態。毛があるかないかだけでなく、密度の長さ、上向きか下向きか、開出するかなとが重要な識別点になることもある。 小葉の立浪草 ・葉は丸く、長さ約1㎝、両面に伏毛がビロード状に生える ・茎の毛は立毛 ・花の下唇に斑点がない 立浪草 ・葉は卵形、長さ1〜2.5㎝、両面に柔らかな伏毛が密生する ・茎の毛は立毛 ・花の下唇が大きく、紫色の斑点がある 丘立浪草 ・葉は長さ2〜5㎝、葉の上部のものが大きい ・茎の毛は下向き ・花の下唇に紫色の斑点がある 出典『野に咲く花』『色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑』『野草 見分けのポイント図鑑』
いいね済み
77
いいね済み
醜男
空木(ウツギ) アジサイ科ウツギ属の落葉低木。野山の林縁や道端などに生え、庭や公園にも植えられる。枝を伸ばして高さ1~3mになる。花期は5〜6月。枝先に円錐花序を出し白い5弁花がうつむいてこぼれ咲く。10本の雄しべの中途には翼がある。果実は朔果。径約6㎜の椀形で、秋に熟すと口が上向きに裂開して、1個の朔果の中にある10個ほどの種子が散る。種子は約1㎜、両端に薄い膜の翼があり風に乗って運ばれる。種子を飛ばし終わった後も雌しべの花柱が残る。 枝の中心が空洞なことが名前の由来。他に、木釘を打つ『打ち木』の材としたため、卯月(旧暦の4月)に花が咲くためとの説もある。別名を卯の花というのは、花が咲き始める旧暦の4月(現在の4月下旬~6月上旬)を卯月と呼んだため。豆腐の絞りかすも卯の花と呼ぶが、『おから』は『空』に通じるので商売の縁起を担いで真逆の『有(う)』と読み替え、さらにウツギの花の白と豆腐の白をかけて卯の花と呼んだ。 里山には分類が違うのに『◯◯ウツギ』という植物がたくさんある。代表種だけで約20種類あり、その大半は落葉低木で、葉はふつう形で鋸歯があり、対につくという共通点がある。 出典『里山の植物ハンドブック』『里山の花木ハンドブック』『図説 草木名彙辞典』
いいね済み
96
いいね済み
醜男
檸檬(レモン) ミカン科ミカン属の常緑高木。ヒマラヤ東部原産。15世紀頃、イタリアやスペインで栽培が盛んになり、コロンブスがアメリカ大陸に持ち込んだ。冬季温暖で夏季降雨の少ない地方がレモン栽培の適地で、現在ではアメリカやイタリア、オーストラリアで栽培される。日本には明治時代に渡来した。日本では輸入レモンが多いが、その多くはカリフォルニア産。近年まで圧倒的に輸入レモンが多かったが、皮まで使った料理が流行るなど、国産レモンが多く求められるようになってきたためか、最近国産レモンに対する需要が高くなり、衰退しかけていたレモン生産が盛んになりつつある。広島県の尾道市、大崎上島町、呉市など瀬戸内海島嶼部で盛んになりつつある。レモンは本来四季成り性であるが、日本では11〜12月にかけて成熟する。樹上に放置して成熟すると果実は黄色になるが、それでは大きすぎて貯蔵性も低いので、適当な大きさになったときに収穫して低温で長期貯蔵し、エチレンガスを用い果面のクロロフィルを分解して出荷する。代表品種のリスボンは寒さに強く豊産性が高いため最も多く栽培され、輸入・国産ともに多くを占める。日本では『サンキスト』の企業名で知られ店頭で目にする機会が多い。ユーレカはシチリア原産で、今では主にアメリカで栽培される。中国で発見されたオレンジとの自然交配種メイヤー(マイヤー)も出回るようになってきた。 花のつぼみは淡い紫色で、咲くと白色になる。四季咲きのため、5月、7月、10月頃に開花。開花後6ヶ月で果実が成熟する。芳香に富み、料理や紅茶に添えたり、パイやケーキの香料やレモネードとしても利用される。ビタミン含有量が高く健康食品としての価値も高い。クエン酸を多く含み、代謝を活発にし、疲労を回復し、夏バテを防止するのに貢献する。クエン酸は夏バテが出始める頃に思い出されるように、語呂合わせよく『9月3日はクエン酸の日』とされる。 出典『食材図典』『図説 果物の大図鑑』『フルーツひとつばなし』
いいね済み
105
いいね済み
醜男
芍薬(シャクヤク) ボタン科ボタン属の多年草。中国北部からシベリア原産。日本には薬草として平安時代までに渡来し、桃山時代には観賞用として栽培されるようになった。江戸時代に数多くの園芸品種が誕生して以来、日本の庭園に欠かせない花となっているが、欧米で改良されたモダンで軽やかな花姿の品種は、洋風の庭にも似合う。ほかに原種系や葉が細かく切れ込んだ糸葉シャクヤクなどもある。 根は紡錘形に肥大している。葉は互生し、下部のものは2回3出複葉、上部のものは3出複葉または単葉。花期は5~6月。地際から数本の茎が出て、茎頂に数花つける。花は径6〜10㎝で、白色または桃色から赤色。果実は袋果。熟すと裂けて中から球形の種子が出る。 名前は漢名の音読み。牡丹が『花王』と呼ばれるのに対し、芍薬は花の宰相『花相』と呼ばれる。シャクヤクは大和朝廷の頃、中国から薬として渡来した。当時は『衣比須久須利(えびすぐすり)』といった。衣比須は外国を意味し、外国から来た薬という意味。シャクヤクの根は『芍薬』と呼ばれ、特に婦人科の諸疾患の要薬。花弁は天ぷら、芍薬酒、芍薬酢に利用する。 よく似た牡丹(ボタン)との主な違いは次の通り。 シャクヤク ・多年草 ・草丈60㎝くらいになり、まっすぐ立つ ・葉に光沢がある ・つぼみの先端は丸くて尖らない ・花期は5月中旬〜6月末 ボタン ・落葉低木 ・樹高1〜1.5mほどになり、枝分かれして横に広がる ・葉に光沢がない ・つぼみは先端が尖る ・花期は4月末〜5月初旬 出典『花の事典 970種』『ボタニカルアートで楽しむ花の博物図鑑』『薬草の呟き』『生薬単』
いいね済み
85
いいね済み
醜男
温州蜜柑(ウンシュウミカン) ミカン科ミカン属の常緑低木。成木は樹高3~4m。花期は5月。白色の5弁花を単生する。 日本の歴史にみかんが登場したのはおよそ1200年前、『古事記』や『日本書紀』にみかんの木の原形とされる橘(タチバナ)が紹介されている。古来日本に野生していた柑橘はこの橘だけであり、したがって、現在我々が擁する多数の品種は外国からの導入品種か、あるいはこれらの自然交雑によって生じたものである。温州みかん、紀州みかん、柑子(コウジ)、ポンカン、九年母(クネンボ)などがあり、現在、一般にみかんといえば『温州みかん』を指す。温州みかんは、江戸時代初期に鹿児島県出水郡長島地方で生まれたと推定されている。この地域は古くから中国と交流があり、400~500年前に中国の浙江省黄岩県からもたらされた槾橘、早橘、本地広橘、本地草などの種子から生じた偶発実生であろうといわれている『種なし』みかん。中国の柑橘の名産地『温州』から名前をとったが、正真正銘の日本生まれ。温州みかんが生まれた江戸時代は子供(種)がなければ家が途絶えるという『お家断絶』の時代で、『種なし』は忌み嫌われた。皮が剥きやすく種がないという食べやすさの魅力が理解され、その味わいが評価され人気が出るのは明治時代になってから。近年、海外でも人気が高まっており、『MIKAN』は国際共通語になりつつある。カナダやアメリカでは皮が剥きやすいので、TVを観ながら食べられるという意味で『TVフルーツ』『TVオレンジ』とも呼ばれる。 温州みかんの栽培は果樹農業振興政策もあり、1950年代後半から飛躍的に収穫量が増えた。ピークは1975年の約366万t。2019年は約75万tで減ってはいるものの、品種改良や栽培の工夫、突然変異による多くの枝変わり種が選抜され、甘くて食べやすいみかんが沢山作られている。9~10月 極早生、10~12月 早生、12~1月 中生、1~3月 晩生まで出荷が続く。さらに11月からビニールで被覆し、加温栽培したものは翌年の4~8月にかけてハウスみかんとして出荷される。天候に左右されずに好条件で育てるため、果皮が柔らかく甘味が濃厚。このように、温州みかんは一年中手にすることができる。現在は生食用ばかりでなく、生産量の約20%がジュースや缶詰めに利用されている。みかんの主な産地は和歌山県、静岡県、愛媛県、熊本県などで、ハウスみかんは佐賀県、愛知県、大分県、高知県など。 みかんにはビタミンCとカロテンが豊富に含まれる。ビタミンCは3個食べれば1日にとりたい量をクリア。カロテンはトマトの約2倍含む。ともに強い抗酸化作用があり、老化や生活習慣病予防に効果的。ともに粘膜や皮膚を強くするため風邪の予防にも。機能性成分であるβ-クリプトキサンチンも多く含み、肝臓機能を守る効果を持つことで注目されている。また、β-クリプトキサンチンはガンに対する作用、糖尿病に対する作用、骨粗しょう症予防に関する作用、痴呆に関する作用などの研究がされている。 みかんは、古くは中国名の柑子をコウジと音読みしていたが、この時代のみかんは後のみかんほど甘くなかったようだ。その後、蜜のように果汁が甘い品種が知られるようになり、それを『蜜柑(みっかん)』と呼んだが、促音が省略されてみかんとなった。 出典『食材図典』『フルーツひとつばなし』『図説 果物の大図鑑』『樹木の名前』『果樹園芸大百科 カンキツ』『世界大百科事典』『JAみっかび ホームページ』
いいね済み
75
いいね済み
醜男
ニセアカシア マメ科ハリエンジュ属の落葉高木。北アメリカ原産で明治時代初期に砂防林や緑化、蜜源の目的で導入されたが、繁殖力が強く、川岸や原野に野生化し自然林にも侵入して生態系を撹乱している。枝に刺があり、羽状複葉の小葉は先が丸い。花期は5~6月。花はフジに似た白い蝶形花で香りよく、長さ約15㎝の房に垂れ、天ぷらにして食べる。果実は豆果。長さ50〜100㎜の莢で、秋に熟すと褐色になり、破れて種子を出す。種子は長めの腎形。 俗にアカシアと呼び、蜂蜜は最高級。日本の養蜂にとってミツバチの最大の蜜源となっているが、外来植物として急速に分布を広げたため、場所によっては環境への影響が心配されている。例えば、大きくて香りの良いハリエンジュの花をミツバチが好むことで、在来植物のミツバチによる受粉の機会が少なくなるなどである。 北アメリカ原産で、明治時代初期に渡来した際は『アカシア』と呼ばれていた。しかし、オーストラリアやアフリカに自生するアカシアではないことから、植物学者の松村任三が、樹形が中国原産の『エンジュ』に似ていて、葉の付け根に『針状の刺』があることから『ハリエンジュ』と名付けた。学名を直訳したニセアカシアの名でも親しまれる。イヌアカシアとも呼ばれるが、日本の在来種にイヌエンジュがあるので、混同しないよう要注意である。 出典『里山の植物 ハンドブック』『草木の種子と果実』『木の実のガイド』『樹木の名前』
いいね済み
78
いいね済み
醜男
紫蘭(シラン) ラン科シラン属の多年草。日当たりのよい渓流沿いの岩場や草原に自生するが、絶滅危惧種に指定され自生している姿を見ることはまれ。観賞用として庭や公園などで栽培される。葉は長く尖り縦すじがある。花期は4~6月。花は明るい紫色で、1つの花茎に数個つき、真ん中の花被(唇弁)に盛り上がったひだがある。果実は蒴果で長楕円形、1個に数万から数十万の種子が入る。ラン科植物の種子はホコリより小さく胚乳がなく養分の蓄えもないため、自然発芽にラン菌の助けが必要で、種子では殖えにくいとされるが、本種は他種と比べて種子から殖えることも多いとされる。庭では株分かれで殖える。根元には丸い団子のような扁球形の偽球茎が横に並び、そこから葉や花茎を伸ばす。白色肉質の茎を蒸して外皮をむいて乾燥したものは白及根とよばれ薬用にされる。また、偽球茎の粘着性を利用して七宝細工の接着剤に使われる。 名前は紅紫色の花色の蘭であることから。花が白いシロバナシランもある。野生のランのほとんどで栽培が難しい中で、このシランは庭先でも簡単に栽培できる特異な存在である。 出典『色と形で見わけ散歩を楽しむ花図鑑』『都会の草花図鑑』『草木の種子と果実』『薬草の呟き』
1526件中 1-24件 を表示

人気のコラム一覧

2024.02.14

春に咲く花といえば?4〜6月に見頃を迎える春の花一覧

by.GreenSnap編集部
2025.02.27

100均の製氷ケースで寄せ植え!おしゃれな多肉ポットをつくろう

by.hana (a piece of dream*)
2022.08.31

クローバー(シロツメクサ)の花言葉|葉の枚数によって幸せにも怖い意味にも...

by.GreenSnap編集部
2020.01.29

カット苗を買ってきたら?購入後の手順と根を出させるコツ

by.mokutaro(杢太郎)
2020.01.15

小さな多肉がギュギュぎゅっと。魅惑の「多肉畑」へようこそ!

by.内田アリ
2024.02.14

冬に咲く花といえば?寒い時期を彩る人気の冬の花一覧

by.GreenSnap編集部