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so.raさんのsora の物語,瑠璃の冬の物語,瑠璃の物語の投稿画像

2021/03/01
【瑠璃の冬の物語】その11

目覚めたら瑠璃がいなくなっていた。弥彦は、野良に出ているかと瑠璃を待ったが、昼時になっても瑠璃が戻らず胸騒ぎがして、子供を背負ってあたりを探した。

泣き声をあげる赤子を背負って、必死の形相で瑠璃を探す弥彦の姿に、村人が声をかけ、村中総出で瑠璃を探した。
探しても探しても瑠璃は見つからず、弥彦は梅にも瑠璃を見なかったかと訪ねた。「今日は見かけないね」と言ったきり、梅は戸を閉めてしまった。

そうして日がくれる頃、村人が、崖の縁に瑠璃の草履らしいものがあると、弥彦のもとにかけてきた。

慌ててかけていってみると、そこには確かに瑠璃の草履が、崖に向かってきちんと揃えて脱いであった。
「命を断ったかのう。」
村人の一人が口にした。
「瑠璃さんは、辛い毎日を過ごしておいでじゃったから」権蔵の仕打ちを知っている村人らは、瑠璃が絶望して崖から飛び降りたのだろうと考えたのだった。ナンマンタブ、ナンマンダブと崖に向かって拝む者もいた。
村人らは、弥彦の肩を慰めるように叩くと、一人二人と村へと帰っていった。

一人残った弥彦は、瑠璃の草履を胸に泣き崩れた。
『瑠璃よおー!瑠璃よおー!』
谷底に向かって弥彦の叫ぶ声と、火のついたように泣く赤ん坊の声が、カラカラと落ち葉を舞いあげる風に乗って、闇を切り裂くように、谷にこだました。

夜も更けて、泣き疲れて静かになった赤ん坊を背負って、弥彦はやっと立ち上がった。

「お前のほうが何倍も辛い思いをしていたのに、俺は自分の辛さで心が一杯で、お前に優しい言葉のひとつもかけてやれなんだ。瑠璃、すまない。
お前が自分を犠牲にしてまで命を助けたこの子だが、この先どうやって育てたらいいんだ」

止めどなく落ちる涙を拳でぬぐいながら、弥彦は夜道を戻っていった。

いっそこの子と物を食べずに死んでしまおう、そんな思いを抱きながら家につくと、弥彦は崩れるように床に入ったのだった。


続く


🍂西沢渓谷

🌸よろしかったら、物語の一話【瑠璃の物語】二話【瑠璃の冬の物語】は下のタグからご覧下さいね。
2021/03/01
お願いします!瑠璃を助けてくださいと思わずにはいられません…この先どうなるのでしょうか?
2021/03/01
@鳥さん さん
大丈夫!

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大切なものを 預かっているよ いつでも取りに戻っておいで💖 たくさんの陽だまりの花たちと あなたをお待ちしています😊🍀 2021年12月14日 わたしの詩を、書きとめていただいて、とっても嬉しくて、今日から作家ですと名乗ることにしました🤗みんなに愛と勇気と癒しを贈る人になれるよう頑張ります😊

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