
2021/03/02
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【瑠璃の冬の物語】その14
頭に梅の落とした岩があたり、掴まっていた枝から手が離れた瑠璃は、激しい流れの中へと落ちていった。
瑠璃のからだが水の中へと落ちていったその瞬間、一匹の金色の龍が現れて、瑠璃を包むように抱くと流れの中に沈んでいった。
いつにも増して水かさが増えた流れは深く激しく、沢を下り、滝になり、深い鍾乳洞のトンネルの中へとゴウゴウと流れ混んでいった。
長い長い時間激流に流されながら、瑠璃は不思議なことに息が苦しいこともなく、まるで暖かな光に抱かれて、春の日溜まりでまどろでいるような不思議な安らぎを感じながら水の中を流されていった。
やがて、龍はまる一日水の中を旅した瑠璃の体を、光の降る浅瀬へそっとおろすと、また水の中へと姿を消した。
そこは、不思議な場所だった。。
続く
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2021/03/02