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秋咲きになると多く出回る菊の花。菊はもともと中国から取り入れられた花ですが、日本国内では江戸時代頃から盛んに品種改良がされており、観賞用の花としての歴史も深いです。
菊の品種や種類には和菊、洋菊としての分類のほか、開花時期によって品種がわかれていたりします。今回は菊の品種や種類についてご紹介します。
開花時期は9月〜11月で一般的には秋の花として知られていますが、種類が豊富なので、1年を通して楽しむことができます。
名前の由来ですが、中国から伝来した際に菊のことを「Kuku(クク)」と呼ばれていたのがのちに「きく」となったという説や、晩秋まで花を咲かせる菊は、一年で一番最後に咲く花ということで、日本語で行き詰まり(窮る(きわまる)」という言葉が語源となり「きく」になったなど諸説あります。
菊の種類はとても多く、何千種類あります。現在日本では、多くの菊が栽培され新たな品種が次々に生み出されています。
菊の種類は開花時期や花径(花の大きさ)で分類されることがあります。開花時期では、夏菊(5~7月)、夏秋菊(8~9月)、秋菊(10~11月)、寒菊(12~1月)というように分類されます。
また系統ごとの分類では、日本国内で観賞用多年草植物として発展した種類を「和菊」、西ヨーロッパに渡り、育種されてそこから生み出されていった系統を「洋菊」というふうに分類されています。一般的には洋菊のほうが丈夫だといわれています。
・ポットマム(洋菊)…欧米で改良された菊。ポットマム、スプレーマム、ガーデンマムなどの洋菊の仲間。
岐阜県南部にあたる美濃地方で発達した品種です。岐阜県羽島市の太田正吾氏が長い間かけて品種改良に取り組み、現在の形になったとされており、蓮に似た大輪を誇るとともに、大変珍しい丸花弁を有します。
東京を中心に発展していった中輪菊です。花は初めは平らに咲きますが、のちに花弁が立ち上がり、そこからねじれたり、折れ曲がったりしながら、種類によってさまざまな変化が生まれるのが特徴です。
別名「狂い菊」「芸菊」などと呼ばれています。
嵯峨菊が変化して、伊勢地方で発達していった種類といわれています。咲き始めは嵯峨菊とよく似ていますが、次第に花弁が垂れ下がるのが特徴です。
京都嵯峨地方で育成された種類です。咲き始めは平らですが、のちに細い花弁が立ち上がり、茶筅のような姿になるのが特徴です。
正式な仕立て方として、ほうき仕立てと七五三作りがあります。
江戸時代に、肥後(現在の熊本県)の藩主であった細川重賢(ほそかわしげかた)公が園芸を奨励していたことから栽培が始められ、その地方で発展していきました。肥後菊を栽培することは、当時藩士の精神修養と位置付けられており、この肥後菊の清廉さをたとえに武士道の意義を説いたといわれています。
肥後椿、肥後山茶花のほか、菖蒲、朝顔、芍薬など肥後地方独自の品種とともに、「肥後六花」の一つとして数えられています。
一般的に洋菊は営業用の輪菊を指しますが、趣味の範囲で扱われる菊はアメリカやヨーロッパなどで改良された大輪菊を指します。
日本の大菊のほとんどは、花弁の裏の色を観賞するため、派手な色あいのものは少ないのですが、それとは反対に洋菊は花弁の表の色を見せるような育種の仕方をしているので、花色そのものが鮮やかなものが目立ちます。日本の大菊と比べると水や肥料に弱い面もあります。
ポットマムはアメリカで小型の植木鉢でも育てやすいように品種改良された品種です。花はおもに中輪、矮性で枝分かれが多く、花付きがよいのが特徴です。鉢植えにするとこんもりと盛り上がった草姿になります。
特別な剪定をしなくてもこのような形になるので、観賞用として扱いやすいのが特徴です。
1本の茎に対していくつもの花を放射状に咲かせるのが特徴です。和菊に比べて生長が早く、花びらは5〜6cmの中輪サイズが多く、花色も和菊に比べて明るい色が多いのが特徴です。
一重、八重、管咲き、ポンポン先など花びらの形も豊富です。どの種類のスプレー菊でも花が5〜7輪揃って咲いているものがとくによいとされています。
彩り豊かな小輪の菊の品種で、摘心しなくても自然に目止まり・分岐を繰り返しながら半球形のクッションのような草姿に育っていきます。
鉢植えはもちろん、プランター植え、花壇植えなどに向いており、種をまいて半年で開花する系統もあります。
広島の精興園で育成された珍しい菊です。デルフィニウムそっくりの咲き方をし、草丈が高くなる性質があります。また大きな特徴として、ほとんんどの菊が上から下に咲き進むのに対して、この菊は下から上に咲くのが特徴です。
50cmぐらいの長い花穂を形成します。
今回、ここでご紹介した菊は、和菊、洋菊に分類しご紹介しましたが、これらの分類の中からさらに細かい品種がたくさん生み出されています。
日菊を初めて育てる方や園芸初心者の方は、秋によく出回る蕾のついたポットマムやガーデンマムなどがおすすめですし、和風の雰囲気の庭園になじませるなら伝統的な、古典菊、切り花として育てたい方はスプレーマムなど用途によって種類や品種が変わってきます。
ぜひ菊の種類を覚えて、いろいろな品種の菊を育ててみてくださいね。
GreenSnap編集部