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so.ra
2021/02/04
🌷チューリップ物語🌷その12
その夜降り続いた雨は、やがて雪になって野山を真っ白に埋め尽くした。
降り続いた雪にすっぽり覆われた大地は静かに息を潜めて、小川を流れる水も凍りついた。
そんな日が幾日も続いた後に、太陽がさして再び畑の土が顔をだした。
体の上に舞い落ちた落ち葉に守られて、小さなチューリップの球根はまだ生きていた。
けれど、体の半分は凍てついて腐ってしまい、雪を溶かした太陽に体がカラカラに乾いていくのを感じるのだった。
「あぁ、こんなことじゃ、もう花なんて咲かせられない。ここでこのまま終わりだ。」
しわしわに乾いていく体を見ながら、小さなチューリップは涙をこぼした。
「あらあら、相変わらず泣き虫ね。泣いたって何も変わらないのに。」
そこには、見慣れない黄色い花が咲いていた。
「はじめまして。この色どう?少し太陽みたいで元気が出るって思わない?」その花は明るく笑いながら、ゆらゆらと揺れた。
「蝶も蜂もまだ来ないことはわかってるわ。だけど、私は自分の意思で咲きたいから咲くのよ。そうして自分を元気にするの。泣き虫さん、あなたはどうやって自分の心を元気にするの?」
花に訪ねられて、小さなチューリップの球根は、元気なく答えた。
「元気になるのは。。そんな気持ちは何かがあってもらうのものって思ってたから、自分を元気にする方法なんて考えたこともないや。僕はしなびて、絶望のどん底なのに、そんな気持ちになれると思うの?」
「そんな他人まかせじゃ、自分が可愛そうね。」
「だって、僕はご覧の通り、凍って体の半分がダメになって、、、こんなんじゃ、もう花も咲かせられないし、終わりだよ💧」
「あらあら、残念ね。あなたが終わりだと思うなら、もう終わりね。せっかく蔦がカラスにつつかれながら、あなたに教えてくれたのにみんな台無しね」
「あなたは何も知らないんだ。僕の悲しみなんか」
「そうよ。知らないわ。でも、一つ知ってることがあるわ。
凍てついて腐る前のあなたは重たくて、とても風にのって転がることなんか出来なかったでしょうけど、今はカラカラに乾いて、きっと転がっていけるんじゃない」
花の言葉を聞いて、小さなチューリップの球根は、はっとした
「本当だ!僕は転がっていける!
何度も考えたんだ。体の重い球根でどうやってあそこまで行けるかって。蔦は僕をからかって楽しんでたんじゃないかって」
そして、しばらく考えて続けた
「少しでも疑って、蔦に悪いことをしちゃったな。カラスにあんな風にされて、僕に教えてくれたのに。僕は自分のことしか考えてなかったし。新しい考え方をしようなんて思いもしなくて、他の方法があるかもしれないなんて、考えてなかったんだ。。そうか!もしかしたら、蔦さんは、僕が凍てついて体が半分とけて、軽くなることまで計算の上で僕に話をしたのかな。あぁ、それなのに、僕は何て情けない。」
「自分をそんなに責めなくてもいいわ。あいつは気持ちはいいんだけど、口が悪くてね。
あなたもいろいろと頑張ったわ。自分にもっと自信を持ちなさい。
もうすぐ、今年最後の嵐が来るわ。穴に向かって飛んでいく最後のチャンスよ。力を蓄えて頑張ってね!」
小さなチューリップの球根は、目を閉じてこれまでの自分に起きたことを振りかえった。
そしてくすりと笑った。
『そうだ、まんざらでもないや』そして、笑った自分に気がついて、笑えたことが嬉しいと心にも笑顔が広がるようだった。
「あなたに会えてよかった。こんな体になったけど、結局僕は一番いい道を歩いていたみたいだ。あなたのお陰でそのことに気づいたよ。
今度嵐が来たら僕は風にのっていく。あなたのように、いつか僕もじぶんの花を楽しめる生き方をめざすよ。ありがとう」
「あなたの冒険を応援してるわ。蝶や蜜蜂からあなたの花の話を聞くのを楽しみにしてるわよ」
小さなチューリップの球根は、目を閉じて、なんども何度も風に乗る自分の姿を思い浮かべながら時を待った。
続く
はる❤️波瑠美
2021/02/04
so.raさん こんばんは😃
チューリップ物語 その12って
その1から 全部 話は 続いているのですか⁉️
今 12は 読んだんですけど😃👍
その1 から 読んだ方が 話 わかりますよね😅
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1
返信
so.ra
2021/02/04
@はる❤️波瑠美
さん
こんばんは😃
お疲れさまでした😆🎵🎵
遊びに来てくれて、ありがとうございました😆💕✨
リクエストにより、物語に挑戦してます( *´艸)♡
投稿の下にある🏷️の『チューリップ物語』を押してもらえると、物語の投稿だけが見られます❤️よかったら読んでみてね🎵(🏷️で検索すると、なぜか10話と11話が逆になってるから、気を付けてね❤️)
いよいよ感動のクライマックスへ(#^.^#)
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1
返信
はる❤️波瑠美
2021/02/04
@so.ra
さん
わかりました😃👍
折角なので 1から 順番に 読みますね💕
楽しみぃ〜💕💕💕
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1
返信
パトリシア
2021/02/04
「チューリップ🌷物語」
ステキなお話ですね~♡
つづき、楽しみにしています☆··.·*
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1
返信
so.ra
2021/02/04
@はる❤️波瑠美
さん
忙しいのに、ありがとうございます😆💕✨よかったら、感想を聞かせていただけると嬉しいです❤️
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0
返信
so.ra
2021/02/04
@パトリシア
さん
こんばんは😃
投稿を読んでいただいて、ありがとうございました😆💕✨コメントを嬉しいです🎵
お話を作るのはなかなか大変ですね。特に、GS なので、物語にあった季節感でpic を撮るのに四苦八苦してます💦
あと少しで最終話です。私もチューリップさんと一緒に成長してこうって😀
純真なチューリップさんが、世の中の荒波に揉まれながら、逞しく育っていく姿を、見守って下さい(#^.^#)
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1
返信
パトリシア
2021/02/04
@so.ra
さん
読んでて分かりますよ
確かに@so.raさん成長してる!!
わずかな間にこんなにしっかりちゃんと自分を分析して歩む方向を目で見てる‥ただ感覚的にではなく、ちゃんと、見てる。
そう感じてます、偉いなぁ❤️と思っています(´・∀・)
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1
返信
鳥さん
2021/02/05
so.raさん たんぽぽさんかしら?また、助けるお花🌼さんの登場に救われました。チューリップ🌷君もポジティブに思い返すことが出来て、偉いぞ💕💕
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2
返信
so.ra
2021/02/05
@パトリシア
さん
コロナが全ての闇の扉を開き、隠されたものが露になってくる。多くの嘘の目を覆いたくなるおぞましさ。断崖の縁を歩くような現実に目を閉じたまま進むのか。口を開くことの恐ろしさで、みんな貝になる。砂粒を一粒湖面に落としたとて、波紋にすらならずに沈んでいく。何ができるのか、何もしないのか。パトリシアさん、あなたはどう思われますか?
私は砂粒、けれど、たくさんの砂粒が集まれば石になり、岩になり、やがて土になり国土になる。希望を持ち、行動する人を、応援する砂粒になる。ここで詩を書くことで、ここで物語を書くことで、ここで誰かと繋がることで、私は始めることにしました。めだたない場所だから安心して始まれます。覚悟するのに、ずいぶん時間がかかってしまいましたが、試行錯誤を重ねつつ。愛だけでは生きられない世界、正義だけでは生きられない世界、それでも純粋に愛であることは強いのだと思うのです。成長を感じていただけて、ありがとうございました😆💕✨
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1
返信
so.ra
2021/02/05
@鳥さん
さん
少しずつ物語の伏線が明らかになってきます。気づいてますか?今のチューリップの姿は、あのお爺ちゃんチューリップと同じなんです。
チューリップの冒険の先を、応援してくださいね❤️
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1
返信
パトリシア
2021/02/05
@so.ra
さん
利己心と嘘で成り立っている社会とその仕組み、それは私たちの国だけではなく全世界がそうです。私たち一人ひとりは善良であり利他的でもありますが不思議なことに組織的、社会的な形になるととたんに閉鎖的、攻撃的に変わって行く。そのような中で真に廉直な者は非常に苦しい思いをさせられます。
行動するにはそれなりの力が必要だと思います。体力、精神力、忍耐力、行動力、それに勇敢でなければ成し遂げることは困難です。ですから己れを知る者(私がそうです)は先頭に立つことは不可能でもそれを応援することはできます。実はまさにいま、それをしているところです。
GSは思想的、政治的なことを訴える場ではなく、あくまでも植物や虫といった自然界のことを通して互いに親睦を図る為にサービスして頂いているものなので、この場で何か具体的な行動を起こすことは相応しくないと思います。
so.raさんが抱くものが何なのか、明白ではないのでなんとも言えませんし分かりませんが・・。少なくとも身近な範囲であれば、親切さには力があると思っています。
的外れな意見でしたらご免なさいね😊明日は暖かくなるみたいですよ🌞!!
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1
返信
so.ra
2021/02/05
@パトリシア
さん
考えていたことが、パトリシアさんの心に届いて嬉しいです。GS の場を理解しています。そして、植物の写真に言葉をのせて投稿するからこそ、届く想いがあることも素敵だなって感じています。私の挑戦は詩と物語の路線です。読んでくれた人が、なにかしら元気になれたら、それはとってもすごいことだと思うから。
そして、優しさや思いやり愛の心に溢れた人が虐められて苦しんでるのはなぜか?幸せになれないのはなぜか?ってずっと考えてきました。
斎藤一人さんがこんなことを言ってました『人はなめられちゃいけないよ。なめられたら、愛も生まれないし、正義すら通らないんだよ。なめられちゃいけない!って毎日でも自分に言うことから始めるんだよ』って。
現実的な言葉でいいなって思いました。大切な言葉はたくさんあります。そんな想いを、本当に大切なことを、自分の大切な人に伝えるように伝えられたらって思っています。蓑をぬいだミノムシは風邪を引いちゃうかしら😁?so.ra の挑戦がうまくいくように、見守って下さいね❤️
明日はお休みです🎵暖かい日は有難いですね❤️多肉さんの寄せ植を作りたいなって思ってます😊
目が疲れるのに、長文ごめんなさい。コメントを有り難うございました(#^.^#)。
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1
返信
パトリシア
2021/02/06
@so.ra さん
おはよ😃!
説明聞いて安心しましたよ😃!
斎藤一人、知らなかったです。
とても良い言葉ですね、ほんとに現実的で真理だと思います。
単に優しいだけだと人はその人を見下げたり、単に利用するだけで尊重はしません。
自分が嫌だと思った時、思ったことにはハッキリと「No!」と言うこと、また「あなたの考えはそうなんですね、私の考えは反対かも知れないけどこうなんです‥」と恐れずに言うことが大事です。斎藤一人さんの「我慢しない」と同じものですね😊これを実行してご覧なさい!・・日本人は殆んどがそれをしませんよね。人に合わせることに懸命💦!
日本で生きる以上は勿論協調性は必要ですがそのなかでもこれは!というときには「No!」が肝心ですよ🌞
それではso.raさん、多肉寄せ植え🌵頑張ってね✌️
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1
返信
so.ra
2021/02/06
@パトリシア
さん
今日はとってもいいお天気ですね😊
この物語はあと2話で終わりになります。今朝は投稿の写真を撮りに行ってきました。
物語には、時代背景や著者の想いが現されていて、ハッピーエンドばかりに気をとられずに読むと、結局何を言いたかったのか、どんな人間観を持っていて、それを読む人がどんな考えを持つような流れなのかとかも、見えて来るような気がします。
私は宮沢賢治先生を尊敬してます。美しい言葉で紡がれる物語は、生き方や考え方をを問いかけてて、何度読み返してもいつも新鮮に感じられます。でも、本当は宮沢先生も違う道を探してたんじゃないかなって、思うことがあります。夜鷹の星で、夜鷹が住んでる世界には、他にも夜鷹に生まれたものがいることを考えたらどんな行動をするのかな?とか。グスコープドリの話では、火山を噴火させて皆を助ける美談だけど、次の冷害の時に火山が爆発して救われた人たちは、次の冷害の時何を求めて行動するのかな?とか。
お話のあらすじだけでなくいくつもの道を考える切っ掛けなのかもしれないと思ったりします。
一人で立つ心、皆と生きる心の融和をどう考えるか、そんなことを考えたりします。
パトリシアさんとこんなお話ができて嬉しかったです。もし、お近くにいらしたら、いろんなお話をうかがいたいなって思いました。ありがとうございました❣️
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キーワード
sora の物語
チューリップ物語
その夜降り続いた雨は、やがて雪になって野山を真っ白に埋め尽くした。
降り続いた雪にすっぽり覆われた大地は静かに息を潜めて、小川を流れる水も凍りついた。
そんな日が幾日も続いた後に、太陽がさして再び畑の土が顔をだした。
体の上に舞い落ちた落ち葉に守られて、小さなチューリップの球根はまだ生きていた。
けれど、体の半分は凍てついて腐ってしまい、雪を溶かした太陽に体がカラカラに乾いていくのを感じるのだった。
「あぁ、こんなことじゃ、もう花なんて咲かせられない。ここでこのまま終わりだ。」
しわしわに乾いていく体を見ながら、小さなチューリップは涙をこぼした。
「あらあら、相変わらず泣き虫ね。泣いたって何も変わらないのに。」
そこには、見慣れない黄色い花が咲いていた。
「はじめまして。この色どう?少し太陽みたいで元気が出るって思わない?」その花は明るく笑いながら、ゆらゆらと揺れた。
「蝶も蜂もまだ来ないことはわかってるわ。だけど、私は自分の意思で咲きたいから咲くのよ。そうして自分を元気にするの。泣き虫さん、あなたはどうやって自分の心を元気にするの?」
花に訪ねられて、小さなチューリップの球根は、元気なく答えた。
「元気になるのは。。そんな気持ちは何かがあってもらうのものって思ってたから、自分を元気にする方法なんて考えたこともないや。僕はしなびて、絶望のどん底なのに、そんな気持ちになれると思うの?」
「そんな他人まかせじゃ、自分が可愛そうね。」
「だって、僕はご覧の通り、凍って体の半分がダメになって、、、こんなんじゃ、もう花も咲かせられないし、終わりだよ💧」
「あらあら、残念ね。あなたが終わりだと思うなら、もう終わりね。せっかく蔦がカラスにつつかれながら、あなたに教えてくれたのにみんな台無しね」
「あなたは何も知らないんだ。僕の悲しみなんか」
「そうよ。知らないわ。でも、一つ知ってることがあるわ。
凍てついて腐る前のあなたは重たくて、とても風にのって転がることなんか出来なかったでしょうけど、今はカラカラに乾いて、きっと転がっていけるんじゃない」
花の言葉を聞いて、小さなチューリップの球根は、はっとした
「本当だ!僕は転がっていける!
何度も考えたんだ。体の重い球根でどうやってあそこまで行けるかって。蔦は僕をからかって楽しんでたんじゃないかって」
そして、しばらく考えて続けた
「少しでも疑って、蔦に悪いことをしちゃったな。カラスにあんな風にされて、僕に教えてくれたのに。僕は自分のことしか考えてなかったし。新しい考え方をしようなんて思いもしなくて、他の方法があるかもしれないなんて、考えてなかったんだ。。そうか!もしかしたら、蔦さんは、僕が凍てついて体が半分とけて、軽くなることまで計算の上で僕に話をしたのかな。あぁ、それなのに、僕は何て情けない。」
「自分をそんなに責めなくてもいいわ。あいつは気持ちはいいんだけど、口が悪くてね。
あなたもいろいろと頑張ったわ。自分にもっと自信を持ちなさい。
もうすぐ、今年最後の嵐が来るわ。穴に向かって飛んでいく最後のチャンスよ。力を蓄えて頑張ってね!」
小さなチューリップの球根は、目を閉じてこれまでの自分に起きたことを振りかえった。
そしてくすりと笑った。
『そうだ、まんざらでもないや』そして、笑った自分に気がついて、笑えたことが嬉しいと心にも笑顔が広がるようだった。
「あなたに会えてよかった。こんな体になったけど、結局僕は一番いい道を歩いていたみたいだ。あなたのお陰でそのことに気づいたよ。
今度嵐が来たら僕は風にのっていく。あなたのように、いつか僕もじぶんの花を楽しめる生き方をめざすよ。ありがとう」
「あなたの冒険を応援してるわ。蝶や蜜蜂からあなたの花の話を聞くのを楽しみにしてるわよ」
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