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梅の木は古来からその美しい枝の伸び方や、花の香り、咲く姿の美しさなどが楽しめる花木です。今回はそんな梅の木の剪定方法を時期別、年数別にご説明するほか、剪定の目的や効果、ポイントなどについてもみていきます。
良く伸びた梅の木の枝を、ときに切り落として剪定することがあります。ではなぜせっかく伸びた梅の木の枝を剪定しなければいけないのでしょうか。
それは梅の木の枝が伸び放題になってしまうと、花が咲かず実がつきにくくなったり、木全体のバランスが崩れてしまったりするためです。人間がときに梅の木の枝を切り、幹が枝を支えられるように、美しい姿を維持できるように剪定する必要があるわけです。
梅の木の剪定時期は、春夏冬の年に3回ほどあります。
春に梅の木を剪定するとき、具体的な時期は梅の花が咲き終わったあと(花後)です。ただし花後の4月の梅の木の剪定は素人にはとてもむずかしいとされています。その理由は梅の花の咲き方にあります。今年咲いた梅の花から出た同じ芽からは、次の年には花が咲かないのです。咲いている花とは違うところで出た芽が、来年の花となります。
咲き終わった花がある枝にも次の年に花を咲かせる予定の芽がある、という可能性があるため、花後の4月に枝を切る剪定の作業をするのは、よほど枝に傷みがある、などの特別な理由がなければ、やめておいたほうがいいでしょう。
どうしても花後の4月に梅の木の剪定をしたい場合は、プロである庭師さんなどにお願いしましょう。
夏(7月から8月)に梅の木を剪定する理由は、枝を整え、木全体のバランスを取ることです。いたずらに伸びた枝を切り、風通しや日当りをよくすることを目的としています。
太い枝をバッサリ切り落とすのではなく、あくまで「整える」ことを目的に枝を「間引く」イメージで剪定していきましょう。また幹から出た芽を取り除く「芽かき」なども、木のバランスを整えるのに効果的です。
冬(11月中旬~1月)に梅の木を剪定する剪定する理由は、夏と同じく木全体のバランスをコントロールすることだけでなく、見た目をよくするため、実のつきをよくするため、古くなった枝を取り除くことなどがあります。
梅の木の剪定するときのポイントは、以下4つです。
①長く伸びた枝を切る
②交差してしまった枝を切る
③内側(幹方向)に向かって伸びてしまった枝を切る
④枯れた枝を切る
いずれも梅の木の生長を妨げたり、枝の間の風通しや日当りを悪くしてしまうものです。
違和感を感じるほど長く伸びた枝がないか、枝どうしが交差して絡み合っているポイントはないか、内側に伸びた枝はないか、枯れた枝はないかなど、剪定する枝を選ぶときはよく観察しましょう。
ちなみに、切り戻しとは(梅の木の剪定の場合)伸びた枝を幹から1/3ほどの長さだけ残して切ることで、内側に伸びた枝を切り落とす間引きは、枝の根元からすべて切り落としてしまうものです。枝を切る、という点では同じ作業ですが、枝の残し方で目的が変わってきます。覚えておいてくださいね。
梅の木の剪定は季節だけではなく、木の状態も大きく関わってきます。状態とは梅の木を植え付けたあとの「樹齢」のことを指します。ここからは樹齢別の梅の木の剪定方法を見ていきます。
店頭で販売されている梅の苗木のほとんどは、樹齢1年目から2年目の若いものです。植えたときを起点にしたとき、1年目の苗を剪定する時期は、秋口から冬にかけて。具体的には9〜12月です。植え付けるときに地面から30〜80cmの高さに切り詰めます。切り詰める作業をすることで、苗木の生長を促すわけです。
2年目の梅の木は、太い幹の先端から数本の枝が伸びつつある状態になっているでしょう。2年目の剪定を行う時期は冬。具体的には12月~1月ごろです。
幹から伸びている枝のうち、生長のよいものを3本ほど選んで残し、ほかの枝は切り落とします。
梅の木も3年目となると、一般的な剪定と同じ方法での剪定となります。ただし梅の木の剪定を行う時期は冬のみ。12月~1月ごろです。3年目の剪定のポイントは「樹形を上向きに整えること」。下向きに伸びた枝や、交差して風通しや日当りを邪魔する枝、伸びすぎている枝を、枝元から切り落としましょう。
梅の木も植えて4年目を過ぎると、一般の梅の木の剪定と同じ方法で剪定を行います。
7月から8月にかけては軽めの剪定。あくまで木全体のバランスを整えるための剪定です。間引きや交差した枝を切るくらいの作業で問題ありません。
梅の木に限らず、樹木の剪定作業が行われるのは冬です。木全体のバランスを整えるのみならず、花がよく咲き実がよくつくように剪定をしましょう。枝が絡み合ってしまったところは、枝元から切り落としたり、花芽を確認しながら枝を整える作業があります。花芽がついている枝は枝を少し残して切る「切り戻し」をするのがポイントです。
梅の木の剪定の際、太い枝を切り落とした場合は、切り口をそのままにしておくとそこから病害虫などが侵入する可能性があります。そのため、切り口にふたをする役目の「癒合剤」を塗ってあげます。
またどんな果樹でも同じですが、実がつきすぎると栄養がすべての実に十分に行きわたらなくなり、粒が生長しなくなってしまいます。そのため、実がつき始めたらだいたい5~6cmの間隔になるように実を摘みます。摘む実を選ぶポイントは、より小さいもの、虫がついていたり傷があったりするものです。
「桜切る馬鹿梅切らぬ馬鹿」ということわざがあります。ことわざになるほど、梅の木は剪定というメンテナンスが欠かせない樹木なのですね。よく生長させ、よく花実をつけさせるためには、梅の正しい知識を持ったうえで、時期に応じた剪定が必要です。夏は特に控えめに、冬はバッサリ切ることを意識しましょう。
梅の木の剪定のポイントを抑えつつ、上手に生長させてあげてくださいね。
GreenSnap編集部