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最近よく「SDGs」や「サステナブル」という言葉を耳にすることが多いのではないかと思いますが、具体的にはよくわからないという方も多いのではないでしょうか。そこでGreensnapでは、実は植物や環境とも関わりの深いSDGsを身近に感じてもらうべく、SDGsの専門家でGreenSnap社のSDGsアドバイザーを務めている川井さんにお話を伺ってきました。
今後3本にわけて、連載企画をスタートします!第1弾の今回は、『いまの日本の現状と今後起こりうる日本の未来』について、わかりやすく解説していただきます。
最近、テレビや雑誌でも取り上げられるSDGs。皆さんの中でも目にしたことのある人は多いのではないでしょうか。「サステナブル」とか「持続可能な社会」という言葉も耳にするようになったかもしれません。
コンビニやスーパーのレジ袋が有料になったり、ペットボトルなどのプラスチックの利用を控えましょうという話が盛んにされるようにもなりましたが、これもSDGsと関連しています。
これらの話は、実はエチケットとか心掛けというレベルの話ではありません。産業革命以降、地球では我々人類や動物などが排出する温室効果ガス(CO2など)が一気に増え、地球温暖化という現象が進んでいます。このまま何も対策を取らないでいると、数十年後には地球は人類にとって、とても住みにくい環境の星になる可能性があるという危機的な状況が目の前に迫っているのです。
皆さんは、もしこのまま地球温暖化が進んでしまった場合、未来の日本がどうなってしまうのかを想像したことはありますか。環境省から正式に出されている動画では、次のような日本の未来が描かれています。
2100年の日本の最高気温は、東京都で43.3℃、大阪府で42.7℃、北海道でさえも40.5℃までに上るといわれています。
この気候変動が影響し、桜が全国で一斉に咲くもしくは開花しないという現象や、積雪が保てずスキー場が運営できなくなるなど、日本の観光業にも大きな打撃を与えることになります。四季の美しい日本から、桜や雪景色が消えてしまう可能性があるのです。
また、日本の米所が北海道地域まで上昇する、あるいは国内でおいしいお米を生産することが難しくなるともいわれています。このほか、私たちに馴染みの深い⼤⾖が⾼級⾷材となり、⼿に⼊らなくなり、節分という文化がなくなってしまうことも想定されます。
それだけではありません。ここ数年ですでに、50年に1度といわれる異常気象を基準に発表される大雨特別警報が年に3回も出されるなど、自然災害の数や規模もどんどん大きくなってきています。今後も、現状を超える規模の自然災害が多く発生するであろうといわれています。
お水はたくさんあると思われがちですが、実は地球の真水のパーセンテージは約2.5%ほどしかありません。
今後、大雨災害は増える一方で降水日数が減るため相対的に雨量が減り、温暖化により積雪および雪解け水が減り、災害による水質汚染が進むことが考えられます。これに加えて、多くの食料を輸入に頼っている日本(自給率38%)は、その穀物や家畜を育てる際に必要な水も輸入しているので、将来的に水不足のリスクが大きくなるのです。
これらの気候変動は、生物の生態系にも影響を及ぼします。気温上昇に伴い、気温の低いエリアに住めなくなった生物たちの生息地は、どんどんと北へ移動し、最終的にはこの地球上から消えてしまう可能性もあるのです。
例えば、気温の低いところで育つブナなどの高山植物は、今後消滅していく可能性が高いといわれています。
気候変動による生態系の変化に加えて、外来種の脅威や土地の乱開発、環境汚染などの影響を受け、絶滅が危惧される生物が増えてしまうことも心配です。生物=動物をイメージする方が多いかと思いますが、実は現在絶滅危惧種に指定されているものの約57%は「植物」であり、動物よりも多いのです。
ソテツ類はすでに深刻なレベルにまで数が減り、北海道のアポイ岳に咲く希少種ヒダカソウも30年後には絶滅するといわれています。
これらの未来は皆さんのお子さんの世代にも影響のある話ですし、お孫さんの世代ともなると、甚大な影響が出てくることは確実です。しかしながら私は、企業も個人もまだこの危機的な状況が、自分ごとになっていないという点に危機感を感じています。
今から抜本的に意識を変えていかなければ、人類に明るい未来はないということはもはや疑いようのない事実となっています。それでは、どのようにしたらこういった将来の危機的状況を回避できるのでしょうか。
これらの最悪のシナリオを回避するためにつくられたのが、「SDGs」や「パリ協定」です。この2つは世界の国々のほとんどが賛成して可決されたもので、世界共通の、いや世界が最優先して取り組まなければならないものです。
私たちの未来だけでなく、子供たちや生物の未来を守るためにも、今から一人一人が「SDGs」と真剣に向き合ってほしいなと思います。
次回は、その「SDGs」や「パリ協定」がどんなものかということ、日本の現在の取り組み、そして我々は将来の世代に美しい環境や豊かな資源、繁栄を残すために何をする必要があるのかについてお話しできればと思います。お楽しみに!
SDGsアドバイザー 川井健史