
サントリーフラワーズ株式会社は、花苗や野菜、切り花などの開発・生産・販売をおこなう、園芸業界のリーディングカンパニーです。今回は2020年にオンライン商品発表のひとつとして3D展示会実施に踏み切った経緯や反響、園芸業界とSNSマーケティングの戦略について、花ビジネス部の河内由美氏に話を伺いました。
(写真)左からサントリーフラワーズ株式会社 花ビジネス部 河内由美氏、GreenSnap株式会社 取締役(セールス管掌)澤田翼
ユーザーとの距離を埋めたオンライン施策
SNSのアカウント運用のほか、これまでGreenSnapで実施した施策について教えてください。
GreenSnap内でのフォトコンテストや消費者アンケートですかね。 また2021年はYouTubeライブを一緒に行なっていただきました。
YouTubeライブをやろうと思った経緯はなんですか?
ユーザーとの双方向コミュニケーションをとってみたいと思い、実施しました。
GreenSnapアプリ内でお知らせをたくさん打ってもらったのもあり、YouTubeライブ配信中のチャットや、その後のコメントなどでユーザーの関心の高さが伝わってきました。今リアルイベントはできないにしても、オンラインでファン同士が盛り上がる企画は今後やっていきたいと思っています。
ファンの熱量を大切にしながら、リアルからオンラインに場を移したのがきっかけだったと。
そうですね。企画自体もやはりユーザーさんが一番気にしている育て方にフォーカスした内容にしました。前々からハイポネックスさんとは何かやりたいですねと話していたこともあり、今回は共同でサフィニアの育て方と肥料についてのYouTubeライブとなりました。
SNS時代に合わせた斬新なオンライン商品発表プロモーション
オンライン商品発表をしたと思った背景を教えてください。
一番の大きな理由はコロナでフラワートライアルジャパン(流通展示会)が中止になってしまったことです。開催するしないの混乱が直前までありましたが、弊社は単体で出展していることもあって、他所より早い時期に出ないという決断をしました。
とはいえ、商品発表はフラワートライアルジャパンが一番重要なイベントであり、そこでしかできない商談もあるので、かなり苦しいジャッジでしたね。
その早い決断があったからこそ、早々に次どう動くべきかの切り替えができたんですね。
そうですね。弊社には海外部署があり、海外の展示会も軒並み中止となる中で、中国などはすでに3D展示会などのオンライン商品発表を実施している話を担当から聞いていました。
私たちもオンラインでせざるを得ない状況になったということで、なにかしら動画を撮影して配信しようかと思っていたのですが、ちょうどGreenSnapさんからオンライン商品発表のご提案をいただいて、ただの動画配信よりも面白いと思って実施に至りました。
今回のオンライン商品発表はB側とC側への展開が同時になりましたが、ここへの抵抗はありましたか?
じつはコロナ前から業界と消費者向けの情報発信は同時にするよう変更していたので、全く抵抗はありませんでした。
今までだと、秋頃に業界向けに翌年春夏商品のリリースを出して、消費者向けの情報解禁は発売直前の2月頃に設定するのが通例でしたが、今はSNSの時代。これからは時代にあわせて消費者にも一気に発表してしまおうと。どうせ情報発信するなら早い方がいいと思ったので、2019年から切り替えて、消費者にも同じタイミングで10月に新商品発表をしています。
なるほど、たしかにその方が合理的ですよね。
この意思決定は、今回SNSでアカウント運用を始めるにあたっても正解だったと思っています。
業界には個別で商談をしてアピールできますが、消費者向けには自社HPとメルマガで配信するくらいしかできていなかったので、オンライン商品発表をしたことでしっかり宣伝できました。
10月という早い段階で消費者向けに展開するなかで感じたことはありますか?
当初は10月に発表してから3月に販売するという、5ヶ月間のブランクが消費者にどう映るか心配でした。でもふたを開けてみたら、「来年を考えると今から楽しみ」というユーザーの反応が多かったので、杞憂に終わったなと。
オンライン商品発表、消費者向けのプロモーションとしてはいかがでしたか?
昔から商品発表の場に消費者を呼んでみたいという話も出ていた中で、今回オンライン商品発表という近い形で実現できたことや、消費者アンケートでも高評価をいただいたので、しっかりアピールできたと思っています。
また、オンライン商品発表という目新しさもありますが、今回、商品ひとつひとつに1分動画を合わせて紹介したことで、回遊したくなる仕組みづくりもできたかなと。3Dのシステム的な面白さに加えて1分動画を組み合わせたのは好感触でした。
この1分動画は10月から3月までのブランクの時期に、アカウント運用のほうでも投稿していたので、使い勝手がよかった印象です。
オンライン商品発表、業界向けのプロモーションとしてはいかがでしたか?
オンライン、3Dでの商品発表をやったのはさすがだよねという反応をもらえました。
サントリーフラワーズは園芸業界の中でも、一目置かれる存在でいなければいけないと思っています。他社も動画配信に取り組んでいるなか、業界初のオンライン商品発表という先進的な取り組みができて、なおかつさすがと言ってもらえるような反応がでたことは嬉しいですね。
PV数や1分動画の再生回数もリアルに展示会をする以上に伸びましたし、裾野を広げた拡散ができました。関心の高さが数値にあらわれているので、オンライン商品発表という斬新な取り組みは、業界向けのプロモーションとしても効果的だと感じています。
さらに早い段階で消費者アンケートを実施して、購入意向ランキングやどの色、どの品種が好きかといったアンケート結果を、すぐにBtoBに展開できたのもよかったです。
最後に今後の展望をお聞かせください。
GreenSnapアカウントのフォローユーザーを増やしていくこと、熱狂度の高いファンをつくること指標に、これから施策を打っていこうと思っています。
InstagramではできないGreenSnapならではの、ファン同士のコミニュケーションを重視した施策ができると思うので、これからコロナが落ち着いたらリアルのイベントに、オンライン施策のよかった部分をかけ合わせて、縦軸横軸をからめた戦略を練っていきたいです。