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ありんこ物語の一覧

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so.ra
🐜ありんこ物語 その11 いのちをかけて守る、 そんなものを貰っちまったら、 一生心から離れんからな。 わしも、恩返し出来ずに終わっちまった。 寂しそうにアブが続けた。 ぼうず、信じることも、まっすぐ生きることも大事だがな、世の中にゃそんな奴を騙そうとしてる奴もごまんといる。 このわしだって信じられるかわからんぞ。 だけど何が本物か、自分の目で見ようとしない奴には、いつまでたっても本物はわからん。 もし、何が本当かわからなくなっちまったら、心の中のあいつに聞きゃあいい。 あいつならどうするかねと。 お前さんは本当にいい友達を持ったな。羨ましいよ。 奴が危険を承知で、いつもこの枝の上にいたのはなぜなのか、わしにもわからんが。 助けられちまったからには、しっかり生きにゃならんぞ。 お前もわしもだ。 さて、柄にもなくしんみりしちまった。元気で暮らせよ。じゃあな! そう言うとアブは飛んでいった。 さっきまで賑やかだった山鳩の声も途絶え、あたりはしんと静まりかえった。 ありんこの見下ろす枝の上では、見知らぬアリが忙しそうに働いていた。 ありんこはしばらくそんな姿を眺めながら考えていた。 死んでしまった幼馴染みの言葉、 アブの言った言葉、 そして、巣に帰れば、逃げ帰ったアリが自分の事をどんなに言うかわからない。どんな仕打ちが待っているか。。 あいつなら、次はどうする? ありんこは、そう口にすると、しばらく考え、涙をふいて立ち上がった。 そして、注意深く枝を降りて、あの薔薇の枝へと向かった。 僕がかわりに世話しよう。 『いいかい、物事はいつも心の目で見ようとするんだ。結局、他の奴じゃなくて自分なんだ。しっかり目を開いて自分の心で決めていくんだ。』 あの日もらった言葉の意味を、今なら少しわかるかもしれない。そして、これから生きてく中で、もっとわかっていくのかもしれない。 僕はどこかで、死んじゃったら楽なのにって思ってた。そして、そんな気持ち、あいつにはお見通しだったのかな。 『まっすぐなお前が好きだった。 頑張っていきろよ!』 最後に幼馴染みが叫んだ言葉が、胸の奥から溢れてくる。 ずっと、見ていてね。 君の分も生きるから。 空をあおいで一粒涙を落とすと、ありんこは力強く歩きだした。 終わり 🌺今日のお花 フヨウ 夏を感じる花ですね。今日の一輪が咲き始めてました。 一日を力一杯咲く花に、今日も元気を貰います😊。 🐜ありんこ物語 小さないのちも一生懸命生きてる、見過ごしてることに目を向けると、たくさんの気づきが溢れてて。そんなことに気づく日を、全てがあたたかく待っててくてるような気がしました。 最後まで読んでいただいて、有り難うございました。 ずっと念願だった『緑のまとめ』に挑戦してみました🎵 やっと、第一号、投稿ができました❣️やれば出来ますね❗️ 今まで投稿した物語も、少しずつまとめに挑戦していきたいと思います🤗💕
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so.ra
🐜ありんこ物語 その10 アブは続けた お前さんは、あの時何でこんなにエサのあるところで食事が出来ないかと、奴に不満に思ったんじゃないかね。 あのヒキガエルがいるから、お前さんを危険な目に遭わせないように、奴なりに考えたんだろうよ。あの時のお前の不満そうな顔ったらなかったぜ。 アブは笑って続けた。 俺から見ても、お前はどんくさくて、みんな顔にでちまうから、あいつにしてみたら、ほっとけなかったんだろうよ。 僕、ヒキガエルのことなんて知らなかったから、あの時、腹ペコなのに目の前のご馳走を食べさせてくれなくて、何てけちな奴って思ったりして。。情けないや。そう言ってありんこはうつむいた。 あっ!でもなぜこの場所は秘密といいながら、ここへ僕を連れてきたんだろう? お前にはわからんか。 奴は、獲物を待って帰れば、お前に餌のありかを言えと言う奴が現れることも、みんなお見通しだったのさ。 お前がいつもいじめられてることを見ていたからな。 お前は、きっとまたいじめられて、餌のありかを教えろと言われて、この場所を教えちまうことも、奴はお見通しだったのさ。 ここを教えた時に、そいつらがあのヒキガエルの餌食になれば、お前をいじめる奴もいなくなるだろうと。 ほんとに頭の切れる奴だよ。 だけど、お前さんまで来るとは、奴も予想外で、ハラハラして見てたんだろうよ。 じゃあ、僕が助けてくれって言ったときから、その先のことまで考えてたの? 奴はもういないから、本当のことはわしにもわからんさ。 だがな、ちびすけ、よく覚えておけ。大切な奴になにかをしてやるときは、その先の先まで考えると、厳しい仕打ちに見えることもあるってことだ。 それを、恩着せがましく言わないが、愛情込めて見守ってる奴もいるってこった。 まぁ、俺には出来ない芸当だかな。 そういうと、アブは少しの間、思い出すように黙りこんだ。 その目には涙が光ったようにも見えた。そして、アブはありんこをしみじみ見ると続けた。 そうさ、あいつはお前の事を、いつも枝の上から心配そうに見ていたよ。 アブの言葉が、一つ一つありんこの胸にズシンと響いた。 そして、小さな頃、幼馴染みのありと喧嘩したりふざけあってた日を思い出した。 あぁ、あいつが辛い目にあってたときも、僕は自分のことばかり。どうしてるかって思うことすらしなかったんだ。 あいつが親切にしてくれたのに、それすら疑うばかりだった。蝶の羽も、あいつに置いてけと言われたからって、あんなに腹を立てて。。 何て情けない、それなのに、こんな自分を命がけで助けてくれたんだ。 迷いもなく、自分の身体をはって守ってくれたのに、最後まで僕は逃げてしまった。 ありんこは、世界で一番自分を愛してくれた仲間を失ってしまった事に、今更ながらに気がついた。そして、あとからあとから涙が溢れてくるのだった。 続く 🐜🍀🐜🌼🐜🍂🐜
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so.ra
🐜ありんこ物語 その9 いなくなっちまったな、 寂しいもんよ。 俺も奴に助けられたんだよ。 枝から下を見下ろしながら アブは続けた。 あれは去年になるが、 俺はあちこち旅して、ここにたどり着いたんだ。 今のように琵琶の実がたくさん落ちて、あたりいっぱい甘い香りがしてたのさ。 お前さんも知ってるかと思うが、わしらは糞にも死骸にもたかるから、その辺の奴らには邪険される。そんな中で、この上等な果物だせ、幸いわしの他にはライバルはいないし。 そりゃあ心踊って、無我夢中で食っていたのさ。 そしたらいきなり、あのヒキカェルが出てきて、危うくひとのみにされるところだったんだよ。 その時、枝の上にいた、お前の知り合いのあのアリが、ヒキガエルの上に羽を一枚落としたんだ。奴がそれに気を取られてる一瞬の隙に、わしは逃げて命拾いをしたんだよ。 あいつは、わしに恩を売ることもせずに、その場から立ち去ったがな。 後から、奴の仲間に聞いて、奴は自分の羽をむしって落としてくれた事を知ったよ。 見も知らない奴のために、 お前さんそんなことが出きるか? わしはとってもできないね。 これからも、きっと、出来ないだろうよ。 奴には驚くよ。 奴は、その後、もう一枚残ってる羽を引きちぎって、巣に戻ったそうだ。 仲間の奴らには、戦って負傷したと言ったらしいが、羽のなくなったアリだぜ。仲間からは笑い者にされ、のけ者にされ、ひどい仕打ちもされたそうな。 それでも、奴は泣き言ひとつ、弁解ひとつしないで、全部乗りきって、自分の生き方を見つけたんだ。 それまでは、ヒーローのような存在だったらしいから、ギャップは大きかったろうよ。 アブの話は、ありんこの知らないことばかりだった。 けれど、ありんこが羽を運んでふらふらになっていたときに、枝の上で羽で顔を扇いでいた、幼馴染みの顔を不意に思い出し、胸が締め付けられた。 続く 🐜🍀🐜🍂🐜🌼🐜
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🐜ありんこ物語 その8 ありんこは一晩中泣いて過ごし眠れなかったが、重い身体を引きずって、今日の仕事のために門を出た。 門を出ると、いつもありんこをいじめている三匹のアリが待ち受けていた。 おい! 昨日の獲物はどこで見つけたんだ。どんくさいお前が見つけられたなら、俺たちならもっと見つけられるからな。 さあ、案内しろよ! 三匹に道を塞がれ、代わる代わる身体を突き飛ばされ、仕方なくありんこは教える約束をした。 この間蝶の羽を見つけた道をたどとりながら、幼馴染みと絶対に誰にも言わないと約束したことを思い出して、あの場所だけは教えないと心に決めていた。 真っ白な蝶の羽を拾った場所は、遠く遠く離れていて、こいつらはそんなところまで行く前に怒りだしてしまうだろうか?どうしたものか?と考えながら、先頭に立ってあるいていった。 そんな事を考えているありんこの気持ちを察したのか、後からついてくるアリたちがありんこを威嚇しはじめた。 おい! 何日も歩いていくような場所に案内しようなんで、ふざけた真似をしたら許さないからな! そうだ! お前の体力を考えたら、獲物を担いで帰れるのは、せいぜい一日さ。嘘なんかついてもダメだからな! 三匹に脅され、脚に食いつかれ、仕方なくありんこは、幼馴染みのアリから教えて貰った秘密の場所へ案内する決心をした。たくさんの虫の死骸があった、あの木の下に到着すると三匹は飛び上がって喜んだ! おい!凄いぞ! エサがいくらでもある! やったな! これでエサ探しに苦労することもなくなるな! 三匹はあちこちの獲物に我先に駆け寄って、ムシャムシャと食べ始めた。 ありんこはそんな様子を片隅で震えながら見ていた。 その時だった。 大きな影が茂みから飛びだしてきたかと思うと、夢中でエサにかぶりついてる一匹のアリを丸飲みした。 それは、悲鳴を上げる暇もないほどの瞬間だった。 そして、残った二匹のアリをギヌロと睨み付けると、口を開いた。 おい!貴様ら! ここが俺様の縄張りだと知って来たとは、たいした根性だ! さあ、次は誰が俺様の腹におさまる番だ!? ありんこを脅して案内させた二匹は、ガタガタ震えながらアリコのほうを向くと あなた様の領地を犯そうなんてとんでもありません。こいつが、ここ行けば食べ物がたんまりあると、僕らを連れてきたんです。 そう言って、二匹はありんこのほうに視線を送ると、さっと葉っぱの影に逃げ込んだ。 ほう~お前が案内したのか? 大した根性だ。 それは大きなヒキガエルだった。ありんこはカエルに睨まれて、身体すくんで動けなかった。 違います!そいつらに脅されて案内させられたんです。。助けて下さい! ノソリノソリと近づく蛙。 もう終わりだ!そう思って、目を閉じた瞬間、黒い影が目の前に飛び降りた。 そう、それは、幼馴染みのあのアリだった。 だから言ったろう! 絶対にここへは来るなって! ここは奴のエサ場なんだ。 散らばっているのは、奴が食べ残した死骸なんだよ。 僕が戦ってる間に早く逃げろ! ぐずぐずするな! そう促されて、ありんこも枝の上へと逃げた。 幼馴染みのアリは蛙の脚に噛みついたり、あちこちに逃げて、必死に戦ったがついには捕まえられてしまった。 そして、最後にありんこに向かって大きな声で叫んだ。 まっすぐなお前が好きだった。 頑張って生きろよ! 蛙に一飲みにされてしまった幼馴染みの戦う一部始終を見て、ありんこは木の上で震えが止まらなかった。 いつの間にか、ありんこを脅して案内させた二匹のアリの姿はなく、ヒキガエルはのそりのそりと戻っていった。 そして、何事もなかったように、木陰にはまた静寂が訪れた。 けれど、ありんこは、放心したように心が空っぽで、動くこともできなかった。 僕のせいだ!僕のせいだ! 何て事をしてしまったんだ! 悲しみと怒りと悔しさと情けなさと、深い深い後悔とが嵐のように心を巡り、幼馴染みの最後の言葉が、心の中で響き続けるのだった。 そんなありんこの前の枝に、いつかのアブが止まった。 続く 🐜🍀🐜🍂🐜
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🐜ありんこ物語 その7 ありんこの巣は、ニオイバンマツリの枝の下にあった。 もうあたりが暗くなって、門を叩くありんこに、門番はギロッと睨むと ふん!4日もかかって、その程度の獲物か!それも、もう日が暮れるってときに。まあいい。 さっさと獲物を置いていけ。 ありんこは言われるままに、獲物を下ろすと、とぼとぼと食堂に向かっていった。 そこでは、一匹の若い蟻が、みんなに取り囲まれて、顔を上気させながら、たくさんの敵と戦って手にいれた獲物の話をしていた。 そんな様子を見ながら食事をするありんこの隣に、顔見知りの蟻が座った。それはありんこが密かに思いを寄せる蟻だった。 彼って勇敢よね! たくさんの敵と戦って、大きな真っ白な蝶の羽を持ち帰ったのよ。 夕日の中を彼が帰ってくる姿なんて、それは神々しくて、あなたにも見せてあげたかったわ。 そう、顔を赤らめて話のだった。 その話を聞いて、ありんこは手にした食事を、思わず落としてしまった。 えっ!真っ白な蝶の羽!? それはいつ? まぁ、大変。大丈夫? 昨日よ。身体の何倍もある大きな真っ白な蝶の羽をたった一人で持ち帰ったのよ! 女王様がとても喜ばれて、みんなの前でそれはたいそう誉められたの。 あの人、本当に勇敢で素敵だわ。 。。あら?どうしたの?顔色が悪いわ。疲れたのね。今日は早めに休むといいわ。 ありんこは、 あの羽だ!俺の羽だ! そう思ってショックだった。 他の奴の手柄になって! 嘘ばっかり言ってる! 胸がドキドキして張り裂けそうだった。 やっぱり隠しておけば良かった、そんな思いも込み上げてきた。そして、何よりも、自分の大好きなアリが、若いそのアリに向ける憧れの視線が辛かった。 そうだね。そうするよ。 そう言ってありんこは、席を立った。訳もなく涙があとからあとからこぼれ、とぼとぼと自分の部屋へと帰っていった。 🐜🍀🐜🍪🐜🌼
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🐜ありんこ物語 その6 そこは公園だった。 花壇には花が咲き乱れ、並んだベンチの周りで、小さな子供たちが楽しげに遊んでいた。 うわ~!大きなお菓子が落ちている! 子供たちが食べこぼしたお菓子の欠片が、そこかしこに落ちでいた。ありんこが駆け出そうとしたその時 ダメだ!! と声と共に突き飛ばされた。 その一瞬のあと、空から大きな鳥が急降下すると、お菓子の欠片をくわえて、空へと持ち去っていった。 ガクガクと震えが止まらないありんこに、アリが話しかけた。 突き飛ばしてごめん。 ああいうエサは、いつも鳥の奴らが、空から狙ってるから用心しろよ。 動けるか? さぁ、あの薔薇が食堂さ。ついてこいよ。 そういうと、先にたって枝を上っていった。枝にはたくさんのアリマキがついていて、口々に歓迎すると蜜をさしだした。 この間は、てんとう虫から守ってくれて有り難う。 本当に危機一髪だったわ! さぁ、たくさん召し上がって。 我先にアリを歓迎して喜ぶアリマキたちを巡り、お腹が一杯になった2匹は、枝から降りて話を始めた。 あぁ、お腹が一杯になって力が出てきたよ。一時はどうなるかと思ったけど、君のおかげだ。有り難う。 ここは、俺の秘密の縄張りさ。他のアリを連れて来たのは、お前が始めてだ。ほら見て見ろよ。 子供たちのこぼすたくさんのお菓子に蟻が群がってるだろう。そして、少しでも大きな欠片にって群がるから、さっきみたいなことになるんだ。 ありんこが見ていると、たくさんの鳥がお菓子の欠片に舞い降りて、自分の物だと奪い合っていた。その中で、蹴散らされたり怪我をするアリもいるようだった。 本当だね。君が止めてくれなかったら、僕はお菓子と一緒に鳥に食われてたかもしれないね。 仕方ないさ、君は与えられたものだけを貰う生活で、自分の目で周りを見て考える訓練をしてこなかったんだから。 いいかい。 目の前の事をいつも自分の心で見ようとするんだ。そして、自分の欲だけで考えてると、いざってときに、誰も助けてくれないもんさ。 人の仕事を横取りする奴、 働いたように見せる奴、 要領よくやってる奴、 人の足を引っ張る奴、 嘘ばっかりついてる奴、 真面目に働くのがバカらしくなることもあるさ。 働きアリだって色々あるさ。 だけど結局、他の奴じゃなくて自分なんだ。しっかり目を開いて自分の心で決めていくんだ。 さあ、腹が一杯になったようだから、日が暮れないうちに帰ろう。 2匹は、帰り道、あの琵琶の木に立ちよった。 さぁ、この小さな虫の死骸をもって帰るといい。 アリは、そう言って小さな虫の死骸をありんこに渡した。 そこには、たくさん大きな死骸も落ちてるのに、一番小さな獲物を渡すなんて、ケチ臭いな。そう思いながらも、命拾いしたのはこいつのお陰だと、ありんこは、丁寧にお礼をいった。 アリは照れ臭そうに頭をかきながら、 いいか。俺に助けられたって、絶対誰にも言うなよ。そして、この場所も、あの公園も、絶対秘密だ。いいな!約束だぞ! と厳しい顔で言うのだった。 ありんこは、必ず守ると約束して、幼馴染みのアリと別れ、巣穴へと帰っていった。 あたりはもう夕暮れ。空にはぼんやり月が明るくなり始めていた。 🐜🍀🐜🌼🐜🍉🐜🍪🐜
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🐜ありんこ物語 その4 まったく、お前なんか助けるつもりなかったんだけどな。 ぶつぶつ言いながら、前を行くアリが続けた。 お前は、一生懸命やってりゃ凄いって思われるとか、手柄をたてて誉められようとか、そんなことは思ってないかも知れないけどな。身体か不自由になったり、年老いて働けなくなった蟻のことなんぞ、考えたことはないだろ? ありんこは黙って頷いた。 お前が毎日大物を持って帰れば、偉い奴らが、『ホラ!こんなにエサがあるじゃないか、お前らもしっかり探してこい!』ってハッパをかけやがる。やっと見つけた小さなエサを差し出す奴らは、その度に肩身が狭くて、すいませんと小さくなるんだ。 俺は、エサを運んでるときに襲われて、あれからまともに歩けない。それまで、まっすぐ何も考えずに働いてたけど、働けなくなったらたちまち、周りの奴らの態度が冷たくなったよ。いい気なもんさ! 幼馴染みのアリは、一本脚が短くて歩くたびに身体揺れた。 それなのに、今やありんこの2倍近くの大きさになっていて、不思議に思いながら話に耳を傾けた。 その時はじめて、俺と同じような奴がいないかって、周りを観察することにしたんだ。この枝に上って、アリマキから蜜を貰いながらね。そして、驚いたよ。要領よくやってる奴らが大勢いて、楽しく暮らしてる世界があったんだ。 そこでは、立派な実をつけた琵琶が実り、たくさんの蟻たちが忙しそうに働いていた。 ありんこは、一つ一つの話がはじめてのことばかりで、お腹がすいたことも忘れて、目を丸くして聞いていた。 その時だった。 『ほう、お前さんにゃ珍しい。 他の奴の面倒を見るようになったか、はっはっは』 ガラガラとしわがれた高笑いが響いた。 続く
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🐜ありんこ物語 その3 3日もかけて、こんなに苦労して、飲まず食わずでまさしく命がけで運んできた獲物を、もう少しで巣穴だってときに諦めるのか。。でも、もう限界。 このままじゃ死んじゃうかも。。😭 ありんこは、迷いに迷って、そっと獲物を土のうえに置くと、枝のうえに向かって声をかけた 諦めるから、どうか教えて。 どうしたら助かるの? どこに行ったら食べ物が手に入るの? 枝の上のアリは、ニンマリと笑うと、枝から降りてきた。 やっと決心ができたようだな。 秘密の場所を教えてやる。 だけど、絶対他のやつに言わないと約束できるか? それから、俺の縄張りだ。お前さんを連れてくのは、一度きりだからな。 わかった、約束する。 そう言って、それまで運んできた羽を枝のしたに隠しておこうとした。すると、アリが怒ってこう言った。 それだよ!ソレ!狭い了見! お前ったら意気地がないくせに、ござかしい真似して! 良いか!お前がここに羽をおいていけば、巣穴から他のアリがきて、みんなのところに運ぶんだ。お前がやってきた仕事が誰かの役にたつって訳だ。それを、腹を満たしたら、また取りに来ようなんてこざかしい真似をするんじゃない! そういって、歩き始めた。 ありんこは、しゅんとして、獲物を隠すのを諦めて、その後を振り返り振り返りついていった。 道のわきでは、紫陽花の花が、そんな2匹を見守りながら、ニコニコと笑ってた。 続く 🐜🐜🌼🐜🐜🌿
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🐜ありんこ物語 その2 ご立派だね! 大きな獲物を持ってったら 偉いって誉められるとでも思ってるのかね そんなに必死に ヘロヘロになってさ まさしく働きアリだね! ありんこは驚いて声のするほうを見上げた。 そこには、枝の上に腰かけて 手にした小さな羽で 顔を扇いでるアリがいた それは、ありんこと同じ巣穴で生まれた、幼馴染みのアリだった。 やぁ、君はもう、今日の仕事は終わったのかい? 僕は一昨日からこの羽を運んで、もうへとへとさ。 ねぇ、頼むから、一緒に巣穴まで運んでくれないかい? やだね! どうしてお前の手伝いをしなくちゃならないんだい。俺はもうとっくに今日の一仕事は終わったんだ。 お前は、そのたいそうな羽と一緒に野たれ死にすりゃいいのさ。 ありんこは涙をポロポロこぼして、枝の上を見上げた。 僕、もう丸三日何にも食べてないし、飲んでない。そうだよ、君の言う通り、野垂れ死にしそうだよ。だけど、このまま帰ったって、何も食べさせてもらえないし。。うえ~ん。 悲しくて泣き出すありんこに 枝の上のアリが舌打ちをしながら話しかけた。 チェッ!またそれかよ。 お前が誇らしげに運んでる その大きな荷物を捨ててもいいってなら、助けてやるよ。 命が欲しいのか、どうか、 よく考えるんだね つづく 🌼今日の花 アカンサス 何か話しかけてるような顔を してました😁
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