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ヨトウムシ(夜盗虫)は、私たちが大切に育てた植物の葉に穴をあける食害性害虫です。葉に穴があいていたら、虫の姿がみえなくとも、ヨトウムシが発生している可能性があります。放っておくとすべて食べ尽くされてしまうので、早急に駆除しましょう。
今回は、そんな発見が難しい厄介なヨトウムシの幼虫、そして成虫になるまでの生態と、その駆除・対策方法をご紹介します。
ヨトウムシとは夜行性の蛾の幼虫の総称で、おもにヨトウガ、ハスモンヨトウやシロイチモンジヨトウの幼虫を指します。
卵から孵化したばかりの若年幼虫は緑色をしていて数mmですが、老齢幼虫になると黒っぽい色味になり、5〜8cmほどの大きい芋虫になります。
ヨトウムシ(夜盗虫)はその名の通り、昼は地中に身を潜め、夜になると地上に這い上がって、植物の葉や花の部分を食害します。若年幼虫は昼間も活動していることもあるようですが、緑の体色のため葉と同化して見つけづらいです。
ヨトウムシに似たネキリムシは、地際付近の茎葉を噛みきって食害する害虫です。体長4cmほどの芋虫で、見た目はヨトウムシに似ています。発生時期も近く、日中土に潜り隠れる習性も同じなので、同様の方法で防除していくといいでしょう。
ほかにも、オオタバコガ、タマナギンウワバ、アオムシ、コナガなどのヨトウムシに似た害虫などがいます。
ヨトウムシの発生原因は、成虫であるヨトウガが飛来して、おもに葉裏に小さな卵を産みつけることにあります。特定の植物や成分を好むことはなく、雑食性なので、さまざまな野菜・草花に発生し、食害していきます。
ヨトウムシが発生すると、葉に部分的に穴があき植物は食害を受けます。若年幼虫時には葉の裏側から薄皮を残すように、集団で食害していくので、葉が部分的に白っぽく見えることもあります。
老齢幼虫になるとかなりの大食漢に成長するので、葉脈だけ残して全て食べ尽くし、植物を枯死に至らせる可能性もあります。
ヨトウムシは日中は地中に隠れていますが、黒い小さな粒のような糞を残すので、姿は見えなくとも、食害痕や糞が見られた場合には、ヨトウムシが発生していると考えたほうがいいでしょう。
ヨトウムシは雑食の害虫ですので、さまざまな植物に発生する可能性があります。
トマトやピーマンなどのナス科、きゅうりやスイカなどのウリ科、インゲンやそら豆などのマメ科の他、キャベツなどの結球野菜類、ニンジンなどの根菜類、ほうれん草などの葉菜類など、ほとんどの作物で発生します。
草花は菊やケイトウ、カーネーション、パンジー、葉ボタン、トルコキキョウなどに発生しやすいです。
果樹はぶどう、もも、柑橘類などで発生しやすいです。
ヨトウムシは年に2世代の繁殖・成長サイクルを繰り返すので、発生しやすい4〜6月、9〜11月はとくに、食害に気をつけましょう。
まずヨトウムシの幼虫の第一世代は、冬はサナギの姿になって地中で越年し、春ごろになるとサナギから羽化して成虫の蛾になります。
ヨトウムシの成虫はこの時期に卵を葉裏に産みつけ、そこから一月ほど経った4〜6月に幼虫が孵化して活動し、またその一ヶ月後にサナギになって地中で夏眠します。
第一世代が8〜10月にサナギから羽化して成虫になると、再び葉裏に卵を産みつけ、9〜11月に孵化したヨトウムシが第二世代として食害するというサイクルです。
ヨトウムシは産卵から孵化するまでも3日ほどかかり、幼虫(ヨトウムシ)の期間は2〜3週間ほど、サナギの期間は10日ほど、そこからさらに3〜4日ほどで成虫(ヨトウガ)に成長します。
ヨトウムシの成虫は、1匹で1000以上の卵を生むのともいわれ、繁殖力の強い害虫なのです。
ヨトウムシの成虫が卵を産みつける3〜5月、8〜10月は、葉の裏などもチェックして卵がないか確認しましょう。
卵は塊となって産みつけられていて、シロイチモジヨトウ、ハスモンヨトウは黄土色の鱗毛で覆われています。ヨトウガは乳白色の卵です。見つけたら葉ごと除去するのがいいでしょう。
ヨトウムシの駆除には、殺虫スプレーや農薬が効果的です。この場合は、ヨトウムシの天敵であるクモに影響がでない殺虫スプレーを使うといいでしょう。
なお、殺虫剤は発生初期の3cm以下程度の若齢ヨトウムシと、3cm以上の老齢幼虫とでは、同成分の殺虫剤が効かない可能性もあるので、タイミングや対象を考慮して、殺虫剤を使い分けることが大切です。
ヨトウムシは夜行性で、とくに老齢幼虫のヨトウムシは、日中は土表面に潜んでいます。食害痕があるのに姿が見えない場合は、株元の土表面を掘り起こして、老齢幼虫のヨトウムシを探しましょう。見つけたら捕殺してください。
ヨトウムシの発生対策には、植物に寒冷紗やネットをつけて、成虫の侵入を防ぐことが効果的です。その際、網目は4mm以下の細かさのものを選ぶようにしましょう。
ヨトウムシは、コーヒーに含まれる忌避効果のある成分を嫌う性質があります。濃いめに入れたコーヒーをスプレーで葉の表面に散布し、出がらしを土に混ぜることで、ヨトウムシの発生を予防してくれます。
一方の米ぬかは、ヨトウムシを寄せつける効果があるので、植物の近くに設置することで、ヨトウムシを誘導でき、防除につながります。しかしながら、ナメクジも米ぬかに発生しやすくなるので、こまめに管理する必要があります。
木酢液とは、ナラやブナなどの広葉樹を燃やして出た炭を冷却することでつくられた強酸性の液体で、スモークの香りがします。
この木酢液を水で数百倍に薄めて散布すると、ヨトウムシが発生しずらくなるとされています。
植物を広範囲を管理している場合には、黄色蛍光灯が効果的です。
黄色蛍光灯には、ヨトウムシの成虫の産卵行動を抑制する効果があるので、植物の近くに設置して、夜間に点灯することによって、ヨトウムシの発生繁殖を未然に防ぐことができます。
ヨトウムシの発生のサインは、葉に空いた穴や白っぽい変色、葉についた黒い粒のような糞、葉の裏につく卵の密集などです。日々の水やりの際に、しっかりと葉の状態などを見ながら、お世話してあげることも、発生予防につながりますよ。
ヨトウムシの卵が孵化する前や、幼虫が成虫になる前に、発生を防いで、大切な植物に穴を開けられることがないよう大事に育ててあげてください。
GreenSnap編集部