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丹精込めて育てた野菜や花に、病害虫が発生して台無しに…。家庭菜園やガーデニングをしたことがある人なら、誰でも一度は経験がありますよね?
病害虫に侵された植物は元気がなくなり、収穫量が減ったり、花が咲かなくなったり、最終的には枯れてしまうことも少なくありません。
そんな厄介な病害虫の予防・駆除に力を発揮するのは「農薬」。しかしながら、農薬には「危険」「体に悪い」というイメージがあり、使用をためらってしまう人も多いのだとか。
そこで今回は、農薬が本当に危ないものなのか、植物に虫が付く仕組みなども含めて、ちょっとアカデミックな視点で考えてみましょう。
農薬とは、「害虫・病気・雑草など植物に害を与えるものの防除」および「植物の生理機能の増進・抑制」に用いられる薬剤などのことを言います。
簡単に言えば、植物を守り、その本来の能力を最大限に引き出すお手伝いをしてくれるのが農薬です。
農薬=化学薬品というイメージもありますが、実はお酢などの食品成分から作られた防除スプレーや、有機栽培に使える薬剤も農薬に含みます。
また、広い意味では、害虫を捕食・駆除する「天敵昆虫」も農薬の一種!天敵昆虫とは、アブラムシを食べるテントウムシなどがあげられます。
農薬という名前から、どうしても殺虫剤などの薬を連想しがちですが、英語では、農薬のことを「PPPs」(plant protection products:植物を守る製品)という言い方もします。
植物を守る農薬が存在しなかったとしたら、私たちが日々当たり前に食べている野菜やお米が手に入りにくくなるかもしれません。
病気や害虫の発生は、農作物の収穫量にも大きく影響します。農薬の無い江戸時代中期に起こった「享保の大飢饉(きょうほうのだいききん)」の原因の一つは、イネの害虫ウンカの大発生でした。
このウンカが稲作に大きな被害をもたらし、なんと100万人近くもの餓死者が出てしまったと言われています。
もしも農薬がなかったら、現代でも飢饉や食糧不足が起きてしまう可能性は十分にありえます。虫や病気から農作物を守る農薬は、人々が生きていくためにも非常に大切なものなのです!
無農薬栽培のイメージの良さから、よく「虫が食べるほどおいしい野菜」という表現を目にしますが、これは本当なのでしょうか?
アブラムシなどの害虫は、新芽など細胞壁が薄く柔らかい部分が大好き。未熟な部分に口針をさして汁を吸い、植物を弱らせていきます。
元気のない植物はかたく丈夫な細胞壁を作れないため、健康な植物と比べて害虫が付きやすくなったり、ウイルスや菌に侵されやすくなるのです。
「虫が付く野菜=健康なおいしい野菜」というのは誤解で、むしろ「虫が付く野菜=元気のない野菜」のほうが正しい理解と言えるでしょう。
虫に食べられると植物もストレスを感じ、防御物質を出すなど、抵抗するためにさまざまな反応を起こします。
本来はおいしくなるために使うエネルギーを、虫に抵抗することに使ってしまうのです。
また、植物は虫に食べられることで、人間にとって有害な物質を生成することもあります。
りんごを3通りの方法で栽培した実験では、無防除(農薬を使わない)のりんごが、最も多くのアレルゲン物質を生成していることがわかりました。
虫が付く前に予防するのはもちろん、虫が付いてしまった植物は農薬の力で保護するのが、おいしく安全な農作物作りの近道なのです。
農薬は、植物を虫や病気から守ってくれるものということがわかりました。
とはいえ、虫を殺すものは人間の体にも悪い影響があるのではないかが心配ですよね。
普段の生活のなかで、なんとなく「化学物質は体に悪く、天然の物質のほうが安全」というイメージを持っていませんか?
毒性学の父と呼ばれるパラケルススの言葉に「全てのものは毒であり、毒でないものなど存在しない。その服用量こそが毒であるか、そうでないかを決めるのだ」というものがあります。
つまり、天然の物質でも化学物質でも、摂取する量によってどちらも有害になりうるということ。
たとえば、コーヒーやお茶に含まれるカフェインも、過剰に摂取すれば死亡する可能性があります。体重50kgの人のカフェインの致死量は、コーヒー約48杯分です。
このように、天然の物質だから絶対に安全とは言いきれないですし、化学物質も摂取する量や取り扱いに気を付ければ、必ずしも危険なものではないのです。
「半数致死量」という言葉があります。急性毒性の指標の一つで、その物質を投与した動物の半数が死んでしまう用量のことです。
※有効成分量=オールスタースプレーの有効成分ジノテフランの場合、製品中には0.1gのジノテフランが含まれる
※LD50=半数致死量。(物質の急性毒性の指標、致死量の一種として使われる数値。)
半数致死量は、同じ物質でも与える動物の大きさや種類によって変わります。体重3mgのアブラムシと体重50kg程度の人間で、半数致死量に大きな差があるのは明らかですよね。
また、代謝の違いによって「虫にとっては有害だけど人間にとっては健康に影響がない」という物質も存在します。
つまり、虫を殺すものだから人間に対しても害があるとは一概には言い切れないのです。
農薬には、国(農林水産省)の登録制度があることを知っていましたか?日本で製造・輸入・販売することを許可されているのは、この制度に登録された農薬だけです。
登録するためには、薬効・薬害・安全性など数多くの試験成績の提出が必要。試験では、人や家畜への安全性や、農作物への残留性なども厳しくチェックしています。
つまり、現在使われている農薬は全て、化学的なデータに基づき国が安全と認めているものなのです!
農薬の登録制度について、農林水産省のHPに詳しい情報が載っているので興味がある方はぜひチェックしてみてください。
www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_tisiki/tisiki.html#kiso3
農薬には発がん性があると思っている方も多いのではないでしょうか?
普段私たちが口にしている農作物に使われる農薬は、発がん性の有無も含めて試験をクリアして安全と証明されたもののみです。
農薬を使った野菜を日々食べ続けると、農薬が体に蓄積してしまうのでは?と考えている人も少なくないはず。
国の制度には、長期間の試験で慢性的な毒性を評価して、分解・排出されることが評価されたものしか登録されていません。
人が生涯にわたり毎日摂取し続けても体に悪影響が出ないと考えられる一日あたりの量「一日摂取許容量」を設定できるものしか登録されません。
また、人間の体に対してだけでなく、環境への影響もきちんと考えられています。光・水・土壌微生物などで分解されるものしか登録されないので、地中に蓄積してしまうという心配もありません。
化学的に安全と認められた農薬を正しく使うことで、植物を栽培するときの失敗もグッと減り、花の咲き具合や野菜の収量も改善するはず。
アース製薬が展開するアースガーデンシリーズでは、「ガーデニングを始めて、失敗により離脱してしまう人のサポートがしたい」という思いで、一般家庭でも安心安全に使える殺菌剤・殺虫剤などの農薬を提供しています。
「植物が健康に育っていれば、余計に農薬を使う必要はありません。ですが、農薬は危ない、悪いもの」という先入観は捨てて、ぜひ家庭菜園やガーデニングに役立ててみましょう♪商品ごとに定められた適用作物・適用病害虫・使い方は必ず守ってくださいね!
GreenSnap編集部