SNSにて飛び交う情報は必ずしも正しくないものもあり、見ていて少々苛立ちを感じました。
それを初心者の方が真似て、枯らしてしまうような事を少しでも防ぎ、且つ栽培のヒントになれば幸いと思い、ここにまとめます。
近頃ホームセンターや一般的な花屋でも見かけるようになった食虫植物。
入手は簡単ですが、いざ育ててみると色々疑問も出てくるかと思います。
そんな時に役立つのがSNSやYouTube、HPなどで気軽に検索して情報を得るような事は誰しも考え着くはずですが、時として情報が古かったり、根拠の無い記載も多々あり、どうすればいいか分からなくなってしまう場合もあるかと思います。
今回はその中でもサラセニアという、私自身20年以上育てている比較的育て易いと言われている食虫植物について、スポットを当てて行きたいと思います。
先ずは気になった記述について。
あくまで私の見解なので、どう捉えるかは自己責任でお願い致します。
【鉢底石について】
一昔前私自身も鉢底にはいわゆる「軽石」を入れてました。もちろん水捌けの為に。
それが、ある一定数の方によると「鉢底に無機質、用土は有機質で植え付けると無機と有機の境目で、根の成長阻害及び、無機質に触れてる根の先端部分の枯死」という話があり、私も確かにそうかも知れないなと、ベテランの方々が言うのであればそうなんだろうと勝手に思い込んで、全て植替え時には鉢底石を無くし、上から底までベラボンという有機質に変更しました。
画像は底までベラボン植の株ですが、確かに根の状態は良い…ですが、全ての株で状態が良くなる訳でもなく調子が悪い株も出てはいました。
では鉢底石はいらないのか?
いえ、私はそうは思いません。
サラセニア栽培において、腰水にして管理してる方が殆どだと思いますが、その腰水の水量って果たしてどの位よ?って話です。精々4Lも無い位ではありませんか?
特に夏場の腰水は水温が上昇し、下手するとお湯状態になりがちです。腰水の水量が少なければな尚の事。家庭の限られたスペースでは考えものです。
当たり前の話ですが、その状態で鉢底が有機質であると、用土の腐敗がかなり早まります。特に根が少ない株では鉢内の水循環がままならず、土も嫌気的になり、鉢底から出てくる水が腐卵臭を伴ってきます。
この限られたスペースで鉢内環境を少しでも良くしてくれるのが鉢底石の役割だと私は思ってます。
画像は鉢底に日向土中粒を入れ、上はベラボン植の株です。
見やすいように日向土は外してますが、
成長阻害どころか元気そうに見えませんか?
私が言いたいのは、上手く育てている方の栽培方法を鵜呑みにしないでほしいという事です。
たまたま今年だけ上手く育ったのか、はたまた毎年同じ事をして上手く育ってるのか、
1年間だけでは確証できませんから。
鉢底まで有機質でも良い場合とは、
絶えず水を循環させたり、根張りが良く鉢内での水循環が十分であったり、自動灌水装置使用や、夏場でも夜間温度が比較的下がる地域だったり、腰水などせず毎日灌水してたり等色々な要因があってこその成功例であり、これから栽培を始める方にとってはあまり一般的ではありません。
鉢底には日向土中粒を入れ、鉢内の水循環を少しでも良くしてやるという基本的な栽培方法を先ずは一度試してみてください。
【肥料について】
肥料を上手く使うと早く育つ…
先ずそんな話は置いといて下さい。
サラセニアは肥料無しで健康に育ちます。
「緩効性肥料をひとつまみ入れて…」
なにを言ってるんでしょうか…
「堆肥を少量入れて…」
なにを言ってるんでしょうか…
サラセニアの用土に肥料は必要ありません。
野菜じゃないんですからね。
【用土について】
サラセニアは用土をカラカラに乾かしてしまうと一発で枯れてしまいます。
なので用土は保水性と排水性を併せ持ち、かつ腰水にて管理するのが一般的。
しかし、保水性と排水性なんて相反する用土なんてあるのか?ここが栽培家によって工夫されてるところであり、植物の状態を左右する重要なポイントでもあります。
私自身色々な用土を試してきましたが、
一昔前まではサラセニア栽培において汎用性がある用土はニュージーランド産乾燥ミズゴケだと考えていました。
ですが、近年は価格高騰な上、植替え時に古い用土を根から外し辛く、表面にヌラが出てきたりと中々扱い易い物とは言えません。(乾燥ミズゴケを水で戻して使用する方法は以前のみどりのまとめに記載してあります)
以下私が使ってきた用土です。
①ベラボン
②日向土
③鹿沼土
④赤玉土
⑤桐生砂
⑥ピートモス
⑦バーミキュライト
⑧パーライト
⑨乾燥ミズゴケ
⑩クリプトモス
食虫植物専用の培養土も販売されていますが、私は使った事がないので悪しからず。
砂利系は用土の腐敗はほぼありませんが、配合次第ですが、排水性が良すぎて乾きやすくなってしまう場合があり注意が必要です。また、砂利系は用土が締まり辛いので高性種を植え付けるとグラついて安定しない場合があります。
鹿沼土、赤玉土は崩れ易いのでオススメしません。
私がよくオススメしている用土はベラボンです。
このベラボンSサイズに日向土細粒とピートモスを1割程度混ぜた用土を使用してます。
また、ベラボンSサイズ単用でも問題なく育ちます。
【鉢の選定】
サラセニアは草体に対して小さめの鉢を使います。
最大でも4号あれば十分です。
よくプルプレア系で見られる、「ぎゅうぎゅうで狭そうだから、大きな鉢に植替えました…」意外とこれをすると調子を崩します。植物にしてみたら今の環境で折角調子良く成長してたのに大きなお世話になりうる事もあるんですよね…
理由は色々ありますが、今回は触れずに参ります。
私はスリット鉢か、プレステラ90深型を好んで使ってます。
浅鉢より根が伸び易いよう深めの鉢が良く、前述しましたが、小さめの物を選ぶようにしましょう。
最初に買った時と同じくらいの大きさでよく、場合にもよりますか、いきなり4号とか5号の大きさは必要ありません。
【日照について】
サラセニアは総じて日光を好みます。
室内の窓辺や明るい場所は日照不足で弱々しく育ち、本来の姿にはなりません。
屋外でしっかり日光に当てて育てましょう。
半日以上の日照が得られないと育たないとか言う話も聞いたりしますが、
3時間程度の直射光が得られれば、結構育てる事ができますよ。
それより短い時間は試した事が無いので分かりませんが…。
ただ今年2023年夏の直射光は強く、若干葉焼けする程になりました。
今後このような夏になるのであれば、さしもの日光好きのサラセニアに遮光なんて事もあり得る話ですが。
【植替え時について】
サラセニアの植替えは真冬。
休眠期の2月位に行うのが一般的…
とは私は思ってません。
私は11月位から植替えを始めます。
完全に眠る前に鉢内環境を自ら整えてもらう狙いがあります。
また、調子を崩した株は時期を選ばす即植替えをします。
真夏は植替え後1週間は明るい日陰にて養生させますが、11月以降であれば植替え後も通常管理で大丈夫です。
また、冬の休眠期でも決して水は切らさず!
用土環境を良くして来年春に元気良く新芽が出てくるのを待ちましょう。
【まとめ】
以上、まだ色々ありますが、キリがないのでこのくらいにて。
賛否両論あるのは確かです。
しかし、基本を押さえておかなければ、
結局何が良いのか悪いのか判断出来なくなり、色々な意見に振り回されがちです。
食虫植物は普通の観葉植物とは育て方が違いますが、少しでもメンテナンスや栽培が楽な方が良いと思います。
リスクある栽培方法はある程度経験を積んでから。
楽しく植物達と付き合って行って欲しいと思っております。
大変参考になる内容で興味深く拝読しました!
水苔の値上がりと品質の悪化には困っていたので次回の植え替えはベラボンも試してみたいと思います😊♪。