ヤシの種蒔きといえば袋蒔き。
GSではまだ投稿されていないようなので、その方法を紹介します。
ヤシの種蒔きは袋蒔きが便利です。
袋に密閉するため湿度や温度の管理が楽になるので、発芽に長い時間を要するものが多いヤシに適した蒔き方です。
ここで紹介する袋蒔き方法は私が行っているやり方で、袋蒔きをする上で必ずしもこの通りに忠実に行う必要はありません。
もちろん、ポット蒔きやプランターに直接蒔いても発芽させることはできます。
まず、種子をよく洗います。
果肉がついている場合は取り除きましょう。
この行程が中途半端だとカビなどの発生原因となります。
ベンレートやダコニールなどの殺菌剤で消毒すると安全です。
乾燥している種子は蒔く前に1~2日ほど水を吸わせておきます。採れたてで鮮度の良い種子であれば水に浸けずそのまま蒔いても大丈夫です。
土を用意します。
カビの発生を避けるため、バーミキュライト、ピートモス、ヤシガラ土(パームピート)、赤玉土、鹿沼土など無菌の用土を使用してください。
土を水で湿らせたらチャック付き袋に入れます。
種子を投入します。
袋内に均一になるように配置します。
種子を入れ終わったら上から薄く土を被せるといいでしょう。
袋の口を閉じれば袋蒔き完了です。
袋には種名を書いておきます。私はラベルに日付や数も書いて貼っています。
暖かい場所に置いて発芽を待ちます。
25~30℃を適温とするヤシが多いです。袋蒔きはどこにでも置けるのがメリットなので、それ位に保てる場所を探してみましょう。
たくさんの種子を蒔く場合は、発泡スチロール箱を小型パネルヒーターなどで加温すれば簡易発芽育苗器の完成です。
カビが発生してしまったら種子を取り出してよく洗い、新しい土で再び蒔きましょう。
発芽したものから取り出して鉢上げします。
加温しないほうが良い種類もあります。
Ceroxylon quindiuenseは15~20℃が適温のようなので通常の室温で発芽を待ってみます。
Washingtonia filifera(ワシントンヤシ)
4/17に蒔き4/21に発芽しました。
このように直ぐに発芽するものもありますが、種類によっては数ヶ月~数年かかることもあります。なかなか出なくても気長に待ってみましょう。
発芽の様子
Archontophoenix cunninghamiana var. Illawarra(イラワラキングパーム)
耐寒性の強さが人気のユスラヤシモドキ。
1~2週間ほどで発芽。発芽率も比較的安定していて種蒔き初心者にもおすすめ。
Washingtonia filifera(ワシントンヤシ)
発芽は非常に容易で、その後の成長も良い。直射日光を好む種類だが発芽直後の幼苗は強光による葉焼けに注意。
Livistona mariae
葉が赤くなるビロウ
remote germinationという発芽方法をとります。
発芽すると先ずcotyledon petiole(子葉柄)を地下へ向かって伸ばし、適当な深さに達すると筒状に膨らみ、cotyledonary sheath(子葉鞘)を形成。その上部からplumule(幼芽)が、下からはradicle(幼根)がそれぞれ伸びる。
よく種子から子葉柄が出現することを発根と表現するが、厳密には根ではなく、つまんでいる子葉鞘の下から伸びているのが本当の根。
こういった発芽をする種類は鉢上げの際深めのポットが必要。
Dypsis baronii
耐寒アレカヤシ
ユスラヤシ属並みに簡単に発芽。
子葉柄を伸ばすremote germinationに対して種子から直接(或いは非常に近距離で)芽と根が出るスタイルはadjacent germinationと呼ばれます。
Chamaedorea microspadix
普及種の「高性チャメドレア」ではない本物のミクロスパディクス。寒さに弱い高性チャメドレアに対しこちらは-7℃を耐えるという。
チャメドレア属は比較的発芽が容易なものが多い。
Chamaedorea tepejilote(パカヤパーム)
成長が速いことで知られる大型のチャメドレア。
発芽も早かった。
Chamaedorea plumosa
ふわふわな葉のチャメドレア。
ちょうど1ヶ月ほどで発芽。
Chamaedorea hooperiana
株立ち性で比較的耐寒性が強い。
C. plumosaとほぼ同時に発芽。
Rhopalostylis sapida(ニカウヤシ、ナガバハケヤシ)
グレートバリア島で採取された種子。産地によって性質が異なる。
高温を嫌うため加温しすぎてはいけない(15~20℃前後が目安)。
Brahea armata(トゲハクセンヤシ)
remote germination
銀葉の人気種
発芽に要する時間が非常に長いことで知られる。一部は数ヶ月で発芽したものの大半は沈黙。数年かかることもよくあることらしい…
Laccospadix australasica(アサートンパーム)
珍しいオーストラリアの耐寒美ヤシ。
この手の繊維に覆われた卵形の種子はややカビやすい気がする。
Linospadix monostachyos
カビてしまったものがあった。
種子は水分を含んでいて保存が利かない。通常の室内に長期間置いておくと脱水してシオシオになってしまいます。
Trachycarpus latisectus(ウィンダミアジュロ)
すっきりした幹と明るい葉色がシュロらしくないシュロ。
優秀な種子だったようでほぼ全てが発芽。
remote germinationで幼芽が地上に出るまでは少し時間がかかります。
Sabal rosei
remote germination
発芽は早いがすぐに発芽しなかったものはいつまで経っても発芽しなかった。
Phoenix reclinata(セネガルヤシ)
2週間ほどで簡単に発芽。フェニックス属もremote germinationです。
Chamaerops humilis var. argentea(チャメロップス セリフェラ)
中果皮の繊維に覆われているものがあったが毟らなくても発芽には問題なさそう。
一斉に発芽してくれず数週間~半年以上かけて散発的に発芽してくるタイプ。
発芽率自体は良好と思われる。
Syagrus coronata(コバナスジミココヤシ)
シアグルス属は発芽に数ヶ月かかるとのコメントが多いがこれは2週間ほどであっさり発芽。
remote germinationで深く潜るタイプのようです。
Caryota maxima 'himalaya'(ヒマラヤクジャクヤシ)
通常のCaryota maximaよりも耐寒性が強くやや小型の品種。
発芽時に丸い突起を形成した後cotyledon petioleを伸ばす。
Dictyosperma album(プリンセスヤシ)
幼苗は葉の縁に赤いラインが入る特徴がある。発芽直後は芽全体が赤っぽい。
びっくり😱💦💦
発芽まで 短いものから ながーーぃ ものまで……
気長に待つんですねぇ😅