warning
error
success
information
パキラは観葉植物の中でもとくに育てやすく、人気ですよね。100均などでも売っているので、気軽に育て始められますが、パキラにとって植え替えのお手入れが必要不可欠なのをご存知ですか?
今回はパキラを美しく健康に育て続けるためのお手入れ、植え替え方法についてご紹介します。
パキラは常緑高木という分類に属する植物で、本来の自生地である中南米では10〜20mほどまで伸びる、生命力の強い観葉植物です。日本では鉢植えにして室内で育てるのが一般的ですが、環境がよければ1年で20cmほどは伸びていきますよ。
今育てているパキラを大きくしたい人も、小さなサイズを維持したい人もいるかと思いますが、パキラの健康と成長を大きく左右するのが「植え替え」です。
パキラは植え替えをしないで育てると、次第に根詰まりを起こしてしまいます。根詰まりとはその名の通り、鉢の土の中に根が伸びるスペースがなくなり、新しい根を伸ばせなくなってしまう状態のことです。
根詰まりになると、新しい根を伸ばせないため古い根だけになり水分や栄養を十分に吸収できなくなります。そうなることで株全体が弱って枯れてしまいます。
同じ土を使って長年育てると、もともと土の中にいた良い影響を与える微生物がいなくなってしまったり、水やりによって土の粒が細かくなり、水はけや通気性が悪くなってしまいます。
このような状態の悪い土では、根が上手く呼吸できなくなり、水はけが悪くなると根っこが腐って本来の根の役割を果たすことができず、枯れてしまう可能性もあるのです。
地上の枝葉と地下の根の成長度合いは比例しています。つまり、根が伸びるスペースがなくなると、地上の枝葉も伸ばすことができなくなるのです。また、少ない栄養でも成長する本能はあるので、結果的にひょろひょろと細い枝が伸びたり、幹が細ってしまうこともあります。
植え替えをしないまま育てると、結果的に枯れたり、思うように成長しなくなってしまうので、パキラを美しく健康的に育てるためにも、定期的に植え替えしましょう。
パキラの植え替えの頻度は1年に1回が理想です。とはいえ、次のような植え替えの目安となる状態になっていなければ、2〜3年は植え替えせずに育てても大丈夫ですよ。
とはいえ、早く大きく育てたい場合や、確実に健康を保って育てたいという場合は、1年に1回の植え替えをおすすめします。少なくとも3年以上は放置しないようにしましょう。
根が鉢の中いっぱいになってしまうと、水やりをしたときに直ぐに鉢底から水が出てくる場合や、土の中の肥料成分が枯渇することで葉色が悪くなったりすることもあります。トラブルの原因を探るためにも、植替えからどれくらい経ったかを記憶しておくようにしましょう。
パキラの植え替えに適した時期は5〜9月頃です。この時期はパキラがぐんぐんと成長する生育期です。植え替えの作業には植物に多少のストレスがかかりますが、生育期に植え替えをすればすぐに回復して発根し、新しい葉っぱを出し、さらにぐんぐんと伸びていきますよ。
パキラは冬の寒さには比較的弱く、10〜3月ごろまでは休眠期に入ります。この時期は成長を一旦ゆるめて寒さを耐えしのぐことに体力を使うので、この時期までにしっかりとパキラの根を安定させておく必要があります。
つまり、休眠期に入る直前、もしくは休眠期中である秋冬にパキラの植え替えをすると、冬の寒さに耐えるほどの体力をつくり出せず、枯れてしまう可能性があるのです。そのため、必ず遅くても9月前半の暖かい時期に植え替えをするようにしてください。
パキラの植え替えに必要な道具は次のものです。
植え替え用の土はもともと使っていた古い土ではなく、必ず新しい観葉植物用の培養土を用意してください。最近では100均でも少量から手に入りますし、ホームセンターや園芸店にいけば、観葉植物の成長にあった配合の培養土や、質の良い堆肥を使った培養土などいろいろな種類があるので、好みのものを選べます。
大きく育てたいのなら、鉢は以前のものより一回り大きいもの、植え替え前の鉢より1号程度上の大きさの鉢を用意してください。
「いずれ生長するなら最初から大きな鉢を選べばよいのでは?」と思うかもしれませんが、大きすぎる鉢はパキラの根の正常な生長を妨げます。
鉢が大きいということは土の量も多くなり、栄養も多くなりすぎるだけでなく、鉢の中の水分量も多くなり根腐れの原因にもなります。結果的に生育不良を起こすだけなので、必ず一回り大きめのものにしましょう。
土がしっかり乾燥していたら鉢からパキラを抜きましょう。片手で持てるくらいのサイズなのであれば、パキラの根元を人差し指と中指で挟んで、鉢を逆さまに傾けて抜き出すといいです。
大きいサイズの場合は枝葉を折らないようにゆっくりと横に寝かせて、鉢を抜き取っていきます。
巨大なものや根っこが張りすぎて抜きにくいものは、鉢を横向きに倒して作業をする方がやりやすいです。鉢が抜けにくい場合はプラスチック製の鉢であればハンマー等で鉢の回りをたたいたりすると、抜きやすくなる場合もあります。
土と根っこをやさしく揉み解して、古い土はできるだけ落としましょう。ピンセットなどを使って上から下へとほぐしていくといいです。
土を落とすと黒っぽい根と白い根っこがあるのがわかりますが、黒っぽい根っこは腐っていたり役目を終えた古い根っこなので全てハサミで切り落としましょう。
また、白く新しい根っこが分岐するように生えていたら、分岐元となった古い根っこの方は分岐点の少し下で切ってください。新しい根っこだけを残すイメージで剪定するといいですよ。
ほかの根っこよりも長すぎる根っこも切っておきましょう。根っこが混み合うと地上部の枝葉も乱れてしまいます。白い細い根が豊富にある状態が理想です。
根が整理できたら、鉢の準備をします。まず鉢底ネットを敷いて、鉢底石を底が見えなくなるまで敷きつめます。その後土をだいたい鉢の半分か1/3ほどまで入れましょう。
鉢にパキラを置いてみて、鉢の壁に当たるような長い根っこがあればこのときに短く切り戻すといいです。
高さが決まったら、パキラの根や幹の隙間を埋めるように、土をいれていきます。パキラの根の隙間にも土が入るように、割り箸やピンセットなどで隙間に入るように優しく突きましょう。
鉢いっぱいに土を入れると水やりしたときにあふれるので、鉢の縁から3〜5cmほど余裕をもって土をいれてください。
土が入ったら水やりをしてください。鉢の淵から全体に満遍なく、鉢底から水がしみでるまでたっぷりとあげましょう。パキラがぐらつくようなら、支柱を立ててあげるといいですよ。
ほかの植物でも、植替えの際には鉢の淵から3~5㎝。小さな鉢であれば1.5㎝~3㎝ほど下のところで土を仕上げるようにします(これをウォータースペースといいます)。
パキラを大きくしたくないときは、根っこの切る量を調整しましょう。パキラの根っこの土を落とすと、一定の方向にぐるぐると回るように伸びている太めの根っこ(走り根)があります。これが真下から見ると「◎」のような状態になっているのを、鉢の壁の大きさに合わせて「✳︎」のように放射状になるくらいまで、曲がったところで切り戻すといいです。
また、根を切った分、地上部の葉っぱの量も減らさないと、吸い上げる水分の量と葉っぱが蒸散する水分の量が合わなくなるので、同時に枝葉も剪定してください。
そのあとは元の鉢に新しい土を入れ直して、同じように植え替えしておきましょう。
パキラは植え替えてもすぐに根がしっかりとするわけではありません。植え替えしたあと、株がぐらつかずに根が張るようになるまでは、室内の明るい日陰ほどの場所で管理してください。
植え替え後1週間以上が経過すると、パキラの発根も安定してます。その後はレースカーテン越し程度の柔らかい日が当たる場所に移しましょう。
植替えから間がないパキラは、新しいまだ環境に適してないので、日差しの強い場所は避けてください。少しずつ日差しの量を増やすようにしましょう。1ヶ月ほどの時間をかけて、ゆっくりと元のような管理の仕方に戻すと負担が軽減されますよ。
パキラはよく生長するので、大きくなってきたと感じたタイミングで植え替えをしてあげてくださいね。いつでもいいわけではないので、必ず適した時期を守りましょう。
植え替えをすると、またイキイキと大きくなっていき、美しい葉を楽しめますよ。
松原真理子
GreenSnap編集部