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金のなる木(カネノナルキ)は乾燥に強く、育てやすいことからも昔から人気の観葉植物ですよね。花が咲く観葉植物としても人気で、うまく管理すれば冬に開花を楽しむこともできます。
今回は金のなる木の育て方について、剪定や挿し木、植え替えなどを中心に、花の咲かせ方も含めてご紹介します。
Photo by makiさん@GreenSnap
金のなる木を育てる前に、まずはその性質や特徴を知っておきましょう。
金のなる木は南アフリカ原産の木立性の多年草です。日本では観葉植物として親しまれていますがじつはクラッスラ属の多肉植物でもあります。
多肉植物とは乾燥地帯で生き抜くために葉に水分をためる進化をとげた植物のことです。実際に金のなる木も厚みのある丸い葉がトレードマークになっていますよね。
多肉植物なので金のなる木は一般的な観葉植物よりも乾燥気味に育てなければなりません。人気の観葉植物であるパキラやガジュマルなどよりも、もっと水やりを控えたり、土の水はけをあげておく必要があるので注意しましょう。
それでは金のなる木の育て方について順に詳しくご紹介していきます。
金のなる木はもともと乾燥地帯に自生する植物なので、湿気や日陰を苦手とします。そのため、基本的には一年を通して風通しと日当たりのいいところに置きましょう。
屋外でも室内でも育てられますが、それぞれ季節によって移動したり日当たりを考慮する必要があります。
金のなる木を屋外で育てる場合、春・秋・冬は日当たりと風通しのいい場所におきましょう。この時期は直射日光があったっても大丈夫です。
5月〜9月の夏の時期は直射日光や西日が強すぎて葉焼けする可能性もあるので、強い日差しを避けた場所か半日陰に置くようにしましょう。移動が難しいのであれば遮光ネットをつける方法もおすすめです。
なお、金のなる木の耐寒温度は3度ほどです。関東以西であれば冬も屋外において冬越しできるでしょう。ただし東北地域であったり、関東でも3度以下の気温が長く続く場合は、室内にしまって日当たりのいい窓際で育てると安心です。
雨に当たると根腐れをおこしたり株が弱ってしまうことがあるため、雨の日や梅雨の時期も室内に取り込んであるといいでしょう。
金のなる木は室内でも育てられますが、耐陰性が低いので日陰には弱いです。室内に置くときは、必ず日当たりのいい窓際に置いてください。
夏場だけレースカーテン越し程度にするなど、直射日光を避けてあげるといいでしょう。
Photo by ホヤホヤさん@GreenSnap
先述したように、金のなる木は多肉植物の仲間なので、水やりはかなり控えめにして育てます。他の樹木系の観葉植物と同じペースで水やりしていると、根腐れする場合もあるのでご注意ください。
また、水やりは季節によって頻度を変えるようにしましょう。
金のなる木は春から秋の気温20〜30度の時期に生育期を迎えます。この時期は土が乾き切ってから2〜3日後に水やりをするようにしましょう。
ただしこの水やり頻度は鉢の大きさ(土の量)によっても変わってきます。そのため、葉がしわしわになったら水やりをするのを目安にすると失敗がありませんよ。
また、金のなる木へ水やりをする時間帯は、夕方から夜にかけてがおすすめです。
金のなる木は夕方以降から根から水を吸い上げて葉から蒸散させて呼吸をします。そのため、夕方以降に水やりすることで、より効率よく葉に水分をためられるようになります。
なお、花の咲かせ方の項目で詳しくご説明しますが、真夏は水やりを控えましょう。
冬の間はほとんど水やりを必要としません。気温が15度以下になってきたらだんだんと水やりの頻度を落としていき、気温10度以下では完全に断水をしたほうがむしろ耐寒性が上がって丈夫に育ちます。
春が近くなり暖かくなり始めたら、水やりを再開させましょう。
肥料ななくとも金のなる木は育ちますが、真夏を避けた4月〜10月にかけて、液体肥料や固形の緩効性化成肥料で置き肥をしてあげるとよく育ちます。
とくに屋外で育てていて害虫の被害にあった金のなる木は、肥料を与えることで回復するために必要なエネルギーをまかなえるので、気になる方は、緩効性肥料をあげてみてください。
ただし、金のなる木は多肥を嫌う植物なので、与える量や頻度についてはご留意ください。また観葉植物用の肥料というよりは、多肉植物用として販売されている市販の肥料のほうがおすすめです。
Photo by アンジェラさん@GreenSnap
金のなる木は自生地では3m以上にもなるほど生育旺盛な植物です。同じ鉢植えで育てていると次第に根づまりを起こしたり、土の栄養分が失われて根腐れも起きやすくなってしまいます。
そのため、定期的に大きいサイズの鉢に植え替えして、金のなる木を元気に、そして大きく育ててあげましょう。
金のなる木の植え替え時期は4月から10月の間です。ただし真夏の植え替えは生育が弱るので避けましょう。
健康に育て続けるためにも小さい株なら1〜2年に1回、6号以上の大株であれば2〜3年に1回の頻度で植え替えしてください。
金のなる木を植え替えるときは、水はけの良い土を用いましょう。
市販のものを使うなら、観葉植物用よりも、多肉植物・サボテン用の培養土がより水はけがいいのでおすすめです。
もしすでに持っている観葉植物・草花用の培養土を流用したい場合は、土に3割ほど川砂か小粒の軽石を混ぜてから使うといいですよ。自分で土を配合するならば、赤玉土小粒4:川砂4:腐葉土2の割合で配合し、緩効性の化成肥料を元肥として混ぜます。
金のなる木を植え替えした後は、風通しのよい半日陰の場所に置いて、しばらく水はあげずに新芽などが確認できたら水やりをしましょう。
また植え替え後は肥料も必要ありません。とくに市販の培養土には元肥として肥料が含まれている場合がほとんどなので、元肥の効果が切れたタイミングで生育期中に与えるようにすればいいですよ。
Photo by たくやさん@GreenSnap
金のなる木は適度に剪定をすることで樹形を調整できたり、より茎がしっかりと太いどっしりとした株にすることができます。
剪定をしないとひょろひょろと伸び上がってしまったり、株が蒸れて病害虫のリスクも上がるので、金のなる木の健康のためにも定期的に剪定をしましょう。
剪定時期は、冬以外の時期であれば問題ありません。混み合ってきた枝などを切り落としておきましょう。
植え替えと同時に手入れしても大丈夫です。とくに植え替えのときに根を切り戻した場合は、地上部も剪定しておくとより元気に育ちますよ。
金のなる木の剪定は、混み合う茎を切る間引きと、茎を途中で切って分岐をうながす切り戻しを組み合わせて作業します。間引きと切り戻しでは茎を切る位置が異なるので注意しましょう。
なお、剪定のときに切り落とした茎は、挿し木で増やすこともできます。詳しいやり方はこちらの項目でご説明しているので参考にしてみてください。
Photo by ttさん@GreenSnap
金のなる木は、品種にもよりますが数年の間上手に育てれば、星型の白がかったピンク色の花を、芽を頂点として一斉に咲かます。花の開花時期は、11〜2月の寒い季節です。
金のなる木の花が咲かないのは、育て方にメリハリがないからです。
そもそも植物は子孫を残すために花を咲かせ、種子をつくります。ですが夏も冬も室内空調の効いた部屋で育てていると、金のなる木は「子孫を残さずとも生きていける」と本能で判断するため、花および種子をつけようとしないのです。
つまり、金のなる木の花を咲かせたいのなら、金のなる木をあえて危機感を与えるような育て方をしないといけません。
なお、そもそも種類によって花が咲かない品種もあるので、自分が育てている金のなる木は花が咲くのか確認しておくといいでしょう。
金のなる木の花を咲かせるには、8月ごろから1ヶ月間、完全に断水する必要があります。また直射日光は避けますが、日当たりのいい場所に置くことも大切です。
夏ごろに断水することで金のなる木が生命の危機的状況を感じ取り、冬に花を咲かせるようになります。水がなくて暑い中育つのかと心配になるかもしれませんが、金のなる木は葉に水分を貯めているので屋外に置いていても平気です。
なお、断水中は葉がしわしわになることがありますが、とくに気にする必要はありません。1ヶ月の断水が終わったら、徐々に水やりのペースをあげていくことで、自然とぷっくりとした葉に戻ります。
Photo by ひろさん@GreenSnap
挿し木の適期は、4月から10月です。
挿し木とは茎を切って発根させ、新しい株として育てていく手法のことで、今育てている金のなる木から別の株を増やすことができます。
この時期は金のなる木の生育期なので発根する力も強く、挿し木が成功しやすいです。剪定の手入れも同じ時期が適期なので、剪定のついでに挿し木をしてみるのもおすすめですよ。
金のなる木を挿し木した後は、風通しの良い半日陰の場所で管理しましょう。挿し木後の水やりはほぼ必要ありません。金のなる木は多肉植物の仲間なので乾燥ぎみにすることでよく発根するようになります。
根がしっかりと出るまでは1ヶ月ほどかかります。十分に新芽が伸びるようになったら、鉢上げ(植え替え)して育てましょう。
金のなる木は挿し木以外にも葉挿しで増やすこともできます。葉挿しとは葉だけを土に挿して発根させる方法です。挿し木と同じ時期にやりましょう。
葉挿しをするときは、葉の根元が潰れていないキレイで大きな個体を選び、2日ほど日陰で乾かしてから、葉を並べます。あまり日当たりの良いところに置くと、葉が乾燥しすぎてしまうので、室内で試みてください。
そして、根が出てきたら、土で覆ってやり、大人の個体と同じように育てます。芽が出て、根を張りはじめたら、葉挿しに使用した古い葉は切り取ってください。
うどんこ病には注意してください。葉挿しでも増やせる生命力の高い種ですが、金のなる木は寒さには弱い種です。
対策としては、冬のあいだは室内で育てることです。
害虫の心配はほとんどありませんが、ガイガラムシが葉裏についていることがあります。見つけたら、歯ブラシなどで払い落としましょう。
付く前に対処するならば、ガイガラムシの繁殖しやすい4月から6月に、市販のガイガラムシ駆除のためのスプレーなどを吹きかけてください。
金のなる木は、多肉植物の仲間で、葉、根、茎のなどの部位に、水をたくわえます。多肉植物は雨のあまり降らない地域に適応するため、水を体にたくわえる性質を持っているのです。
耐寒性はあまりないので、寒冷地だと、地植えによって冬越しすることは難しいですが、水をあまりやらずとも育ち、肥料がなくとも元気に育つことから初心者にも育てやすい品種です。
葉がしわしわになってから水をあげても、問題なく葉は復活し、もとの肉厚な状態にもどります。欧米では、金のなる木の盆栽も盛んにつくられていて、注目が高まっている植物といっていいでしょう。そんな金のなる木を、一度育ててみてはいかがでしょうか。
GreenSnap編集部