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サボテンの育て方は難しくありません。しかし、初心者でも枯らさずに元気に育てるためには、季節にあった育て方を理解しておかなくてはなりません。
一般にはあまり水やりをせずとも育つ、手入れのいらない植物というイメージがあるかもしれませんが、じつは違います。
サボテンも生き物なので、ほかの草花と同じように水やりも肥料も植え替えも必要です。ただし、その頻度は季節によって異なるのです。
今回は初心者に覚えていただきたい、サボテンの育て方の基本をご紹介します。
サボテンの育て方をご紹介する前に、大前提に理解していただきたい生育期と休眠期について説明します。
サボテンは草花やほかの観葉植物と比べて見た目が変わらないことから、生育サイクルはないと勘違いされやすいですが、サボテンにも生育期と休眠期があります。
多くのサボテンが生育期は春〜秋で、休眠期真夏と冬です。気温でいうと20〜30℃の時期が生育期で、それ以外の時期は休眠期となります。冬だけでなく35℃を超える日が続く真夏も休眠するため水やりや置き場に注意が必要です。
暑い砂漠に自生しているというイメージから、真夏も生育期と思われがちですが違います。砂漠は暑いといえども夜は10℃以下になることもあり、サボテンはこの涼しい夜間に体力を回復しているのです。
日本の真夏は夜も気温が下がらない熱帯夜なので、サボテンも夏バテのような状態になってしまい、最低限の体力で夏を乗り越えようと休眠します。
それにサボテンは多湿が大の苦手。自生地は気温が高くても湿度は低いカラッとした気候なので、日本の高温多湿とは大きく異なります。
休眠期中に過剰な水分や栄養、刺激を受けると、いくら丈夫なサボテンといえども枯れることがありますので気をつけなくてはいけません。
つまり、サボテンの育て方では季節=生育期と休眠期に合わせたお手入れが大切なので、これを大前提に育てましょう。
サボテンには日当たりと風通しのよい場所におきましょう。日当たりがよければ室内でも屋外でも育てられます。
サボテンの種類の中には、日本の真冬の寒さに耐えられる品種もありますが、基本的には鉢に植えて季節によって場所を移動して管理しましょう。
春と秋はサボテンにとって生育期であり過ごしやすい時期です。屋外の日当たりの良い場所に置くか、室内のガラス越しの日光にあてて育てましょう。
夏はとくにサボテンの置き場所に気を遣いましょう。日当たりは大切ですが、葉焼けしないよう直射日光は避けてください。
先述した通り、サボテンは日本の熱帯夜が苦手なので、屋外に置いていた場合は夜間だけ室内に取り込むことをおすすめします。
また、可能な限り除湿に努めてください。
サボテンは冬の気温5℃以下のような寒さのときは室内のガラス越しの日光が当たる場所で育てましょう。
とはいえ、夜間に暖房が切れるような室内の窓際は、外気とほぼ同じ温度になるので、窓から離れた場所に置くようにしてください。
サボテンの水やりは、基本的には土が乾いたらたっぷりと与えてください。
ただし、季節によって水やりの頻度は変わります。生育期は土が乾いたら、反対に、休眠期は断水気味で育てましょう。
季節ごとの正しい水やりはこちらの記事で詳しくご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
サボテンに肥料を与える時期は、真夏と冬を避け、生育期である4〜7月、9〜10月に追肥します。
とはいえ、サボテンは基本的にとても丈夫な植物なので、状態によっては肥料を必要としない場合があります。元気がなさそう、生育期なのに大きく伸びないと感じたら、肥料を与えるくらいでもかまいません。
サボテンに肥料を与えすぎると、栄養分を過剰に摂取してしまい逆に弱ってしまうこともあるので気をつけましょう。
なお、追肥に加えて、1〜2年に1回するべき植え替えのときに、元肥として肥料を与えます。
サボテンに与えるといい肥料は緩効性化成肥料です。とくに葉茎と根を丈夫にする窒素分とカリが多く配合された肥料を使うといいでしょう。
市販には、サボテン・多肉植物用の化成肥料があるので、そちらがおすすめです。錠剤タイプのものが使いやすいです。
また、肥料の他にも活力剤という製品も多くあります。
名目が肥料になっているものは、植物が必要とする三要素(窒素・リン酸・カリ)が含まれているものであり、活力剤となっているものは三要素がほぼ配合されておらず、微量要素(マグネシウム・カルシウム・鉄分など)が配合されています。
三要素も微量要素も植物の成長には欠かせません。しかし、製品にもよりますが、化成肥料だけでは微量要素が欠乏する可能性があるので、化成肥料と活力剤を合わせて使うとより元気になります。
サボテンに肥料を与えるときは、基本的に製品の規定量よりも少なめに与えます。
緩効性化成肥料の多くは2ヶ月ほど効果が持続するので、生育期間中2ヶ月に1回の頻度で与えるようにしましょう。
もし製品が半年ほど効果が持続するものであれば、春に1回追肥するだけでいいです。製品の効果持続期間に合わせて頻度を変えましょう。
錠剤タイプであれば、土の上において水やりのときに溶け出すようにします。
サボテンには1〜2年に1回の定期的な植え替えが必要です。また、サボテンの苗(柔らかいポットに入っている状態)を入手した場合は、そのままの状態では育てられないので、鉢に植え付けする必要があります。
サボテンの植え付け・植え替えをする時期は、3〜4月が適期となります。
サボテンを植え替えするときは、一回り大きい鉢のほか、市販の多肉植物用培養土やサボテン用培養を用意しましょう。草花用や観葉植物用だと、乾燥を好むサボテンには適さないので枯れることがあります。
植え替え直後のサボテンは、傷ついている状態なので、植え替えから1〜2周間は水やりしない、直射日光に当てないようにしましょう。
サボテンを育てていると、ひょろひょろと細長く伸びてしまう徒長状態になったり、根本に小さな子株がたくさんできる子吹き状態になることがあります。
もともとの状態でサボテンを育てたいときは、剪定や株分けなどの仕立て直しが必要です。剪定や株分けはサボテンにとって刺激となるので、生育期の時期に行うのが基本です。
剪定や株分けで切り取ったサボテンは、挿し木で増やすこともできるので挑戦してみても楽しいですよ。
詳しいやり方はこちらの記事を参考にしてください。
サボテンが黄色く変色していたり、胴の部分がぶよぶよしている、ふにゃふにゃしている場合は、完全に根腐れを起こしています。
根腐れとは、サボテンの根がうまく水分や栄養を吸収できずに腐ってしまっている状態で、水やりのしすぎや肥料のやりすぎ、植え替えを長年していない状況のときに起こります。
ただし、場合によってはサボテンが根腐れしていても復活できることもあるので、諦めないでください。詳しい復活方法やお手入れは、こちらの記事を参考にしてみてくださいね。
サボテンは花を咲かせる品種と、咲かない品種が存在します。花を咲かせる品種は、まるで株から顔を出しているかのように、きれいな花を咲かせます。
色鮮やかでかわいらしい限りですが、厳しい環境下で子孫を残すためにサボテンが編み出した手段なので、長期間咲かせておくとそのまま元株は枯れることがあるので要注意。
サボテンの表面が白くなったり、トゲ以外に白い粉や粒のようなものが付着していたら、病害虫が発生しています。
白い粉がかかっているように見える場合は「うどんこ病」にかかっており、殺菌スプレーなどで防除する必要があります。
白い粒のようなものが付着している場合は「カイガラムシ」が発生している可能性があります。歯ブラシなどでこそげ落としてから、防虫スプレーなどを活用しましょう。
いずれの場合も、サボテンが多湿状態になっていたり、日当たり不足の場合に発生しやすくなります。日当たりと風通しの良い場所において、水やりを減らしたり、土の状態を見直して対処しましょう。
サボテンの発芽温度は20〜25℃なので、20℃以上の気温が多い3〜10月に種まきするとよいでしょう。
サボテンの寿命は鉢植えで育てる場合、10〜25年程度と言われています。とはいえ、環境によってはもっと短くも長くもなるので、手入れ次第なところが大きいです。
自生地のアフリカや砂漠に生えているサボテンの中には、樹齢100年を越す個体もいるそうなので、サボテンの本来の寿命は人間よりもはるかに長いと言えます。
サボテンは一般的に育てやすいといわれますが、デリケートな一面も併せ持っているので、要点を抑えて栽培することが重要です。
とはいえ、一度慣れてしまえば簡単に育てられるので、自分にあう素敵なサボテンを見つけてみるのも面白いかもしれませんね。
三上真史(みかみまさし)