
セダム属の中でも、よくパリダムという品種と間違えられる薄雪万年草(セダム・ヒスパニクム)という品種があります。
葉に水分を蓄えぷっくりとする多肉植物です。今回は、薄雪万年草の育て方についてご紹介していきます。
基礎情報
日当たり
通年、日当たりの良い環境で育てるようにして下さい。日陰で育てると上手く生長できません。
しっかりとお日様の光を当ててあげましょう。
置き場所
置き場所は、風が良く通る場所に配置するようにして、高温多湿を避けましょう。
寒さには強く、雪が降っていても霜に当たっても即座に枯れるといったことはありません。
水やり
夏
基本、手をかけずに育てられる多肉植物ですので、水やりについて気を付けることはありません。
庭植えで育てているときは、よっぽど乾燥していない限りは水を与えません。
鉢で植えている場合でも、基本は乾燥気味に育てます。水を与えるならば、土が乾いているときに水やりをしましょう。
薄雪万年草などの、マンネングサは過湿にも少し耐性があります。
しかし、育てている鉢の受け皿に水を溜めたままにしていたり、土の乾燥度を確認せず毎日水を与えていると耐えきれなくなって腐ってしまいますので注意しましょう。
水はけの良すぎる土で育てている場合のみ、頻繁に水やりを行ってもいいかもれません。
鉢を観察して適度に与えてください。
冬
冬の間も乾かし気味に管理するようにしましょう。
少し忘れていても元気に育ってくれます。
肥料・追肥
薄雪万年草(セダム・ヒスパニクム)は、肥料が好きな多肉植物です。
追肥として、2ヶ月に1度を目安に固形化成肥料を施しましょう。
定植した後に、土の上に置いて効くタイプの固形化成肥料を使うことが重要です。
植え付けるときに使用する元肥には、「ぼかし肥料」を施肥するようにしましょう。
このぼかし肥料とは、油粕や米糠などの有機肥料の中に、もみ殻などを混ぜて発酵させた肥料のことです。
有機肥料は効くまで時間がかかりますが、ぼかし肥料は発酵されている状態ですので、土中の微生物が早くに効果を表します。
用土
主に使われる用土は、「多肉植物用の土」です。多肉植物用の土は、水はけが非常によく作られています。
多肉植物に合わせたブレンド土です。多肉植物に合ったブレンド土とは、どのような特徴があるのか解説しておきます。
まず、多肉植物だけでなく様々な植物にとって適した土というものがあります。
まず一つは通気性がよく、排水性にも優れていることです。
水の通りが良くなかったり、排水性に乏しかったりすると、過湿気味になり根腐れや株元が腐ってしまう原因になります。
次に、水持ちが良いことと肥料が保たれる様になる土です。
排水性が良い土と書きましたが、あまりにも流す力が良すぎると水やりをしてもすぐに乾ききってしまいます。
そうなると、十分に植物が水を吸収できずに、根の先が乾いてきます。根先が乾くと弱くなりますので注意しましょう。
肥料も同じで、水やりや雨水で流されてしまっては、元も子もありません。
さらに土に必要な特徴には、土の粒が同じ大きさで重さのある土を用います。
土の粒の大きさが均等になっていなければ、中で隙間ができて通りが悪くなったり、排水力に欠けてしまいます。
土が軽すぎると安定しなくなり、風が吹くとぐらついてしまいます。その影響で、根付きが悪くなってしまいます。
重量のありすぎる土では、通気性が悪化して根のダメージになりますので気をつけましょう。
最後に、土の中の成分は偏らないようにすることです。育てる植物で異なりますが、酸度のある用土にすることが重要です。
酸性の土になるように調整します。土は酸性・中性・アルカリ性の3つに分類されます。
元々ある土が「酸性」の場合は、アルカリ性にする必要がありますので、有機石灰や草木灰などを混ぜて中和させましょう。
反対に、「アルカリ性」の土から酸性にするには、即座に効く窒素肥料の硫安やカリ肥料の硫加なども加えましょう。
多肉植物の場合、保水性にはあまり気を使わなくて良いという利点があります。
このことをしっかり押さえていれば、環境に適した土にすることができます。
そして、植物が長持ちされる上での基礎となります。
基礎をしっかり理解していれば、自分でブレンドした土を作って育てることも出来ます。
薄雪万年草に使用される土には、鹿沼土・赤玉土・ピートモス・川砂・燻炭を2割ずつ混ぜていきます。
鹿沼土とピートモスには、小粒のものを使用しましょう。
植え替え・植え付け・種蒔
薄雪万年草は、1年か2年に1度は植え替えを行いましょう。
夏真っ只中の期間と、真冬以外であればいつでも行うことができます。
庭植えで育てる場合は、排水性のある場所または用土に変えてから植えていきましょう。
グランドカバーとして育てていくのもおすすめです。寄せ植えにしても、他の植物と楽しむこともできますよ。
増やし方
挿し芽で簡単に増やすことが出来ます。挿し芽は、挿し穂にする部分を5cm程度切り取ります。
新しい土に挿して20日間経つと、根が出始めます。発根すれば、定植出来ますので早速植え替えてみましょう。
挿し芽も、真夏は避けて5月〜10月の間が適しています。その他にも「子吹き」という方法で増やすことも可能です。
子吹きとは、親株から自然と子株が登場してくることです。
出てきた子株を切り離して新たに植え付けて増やしていきます。
ほとんどはサボテンにする繁殖方法ですが、多肉植物でも行うことが出来ます。
まず子吹きした子株を丁寧に切り離していきます。多肉植物用の土を使って、新しい鉢に詰めていきます。
土は、乾燥した状態にしておきます。土の上にそっと置きます。挿したり植え付けるのではなく、置くことが大事です。
水やりはすぐには行わず、発根するまで待ちましょう。
観察も兼ねて、鉢を持ち上げて下から根が伸びてきていないか確認しましょう。
そして、根が1mm〜3mmぐらい伸びたらたっぷりと水分を与えてあげましょう。
この後の水やりも乾燥させないようにたっぷりとあげていきましょう。
水分を吸収することで栄養が溜まって、根がどんどん伸長していきます。
根が抜けないほど生えてきたら、水やりを普段のペースに戻します。その後は普段の管理を心がけて育てていきましょう。
病気・害虫
薄雪万年草などのセダム属は、害虫が付いたり病気になることがありません。
風通しの悪い環境で育てていると、「アブラムシ」や「カイガラムシ」といった害虫に侵食されてしまいますので気をつけます。
発見したときは、早急に駆除するようにしてください。
病気や害虫などには関係ありませんが、もし薄雪万年草(セダム・ヒスパニクム)の葉が黄色に変色し、徒長してきたときは、肥料が少ないことが原因であることが多いです。
肥料を与えて、元気にさせてあげましょう。
徒長して見苦しい姿になっているときは、先端に栄養が届いて株元にはあまり栄養素がない状態に陥っています。
また、刈り込みを行うことでも、均等に栄養が行き届くようにできますので定期的に剪定作業を行いましょう。
管理温度
薄雪万年草(セダム・ヒスパニクム)は、5度以上であれば越冬することが可能です。
冬は室内に移動させて温度が保たれるところに飾っておきましょう。
薄雪万年草の成長には、18度〜25度が最適な温度となっています。
種類・品種
薄雪万年草(セダム・ヒスパニクム)は、中央アジアを主な原産地としている多年草の多肉植物です。
中央アジアの、パキスタン・アフガニスタン・トルクメニスタン、ロシア南部と広範囲に自生しています。
セダム・ヒスパニクムとも呼ばれていることから分かるように、ベンケイソウ科セダム属の仲間です。
マンネングサ属とも言われることもあります。草丈が5cmから20cmととても低く育ちます。
見た目が「セダム・パリダム」とよく似ていることから間違われやすいのですが、どちらも違いがはっきりしているのです。
薄雪万年草(セダム・ヒスパニクム)では、花が咲いたときに花びらが6枚になります。
そして、パリダムでは花びらが5枚に付くというところで区別することができます。
薄雪万年草は、2cmほどの小さな球状になった葉を、ロゼット状に集結して生長します。
花の形態(どんな花を咲かせるのか)
薄雪万年草(セダム・ヒスパニクム)の花色は白く、6枚の花びらをつけて咲きます。
開花時期は6月〜8月と暑い時期に鑑賞することができる可愛らしい花です。
花の形もパリダムとほとんど変わりませんので、間違われやすいです。
舌状花がが開くと白一色ですが、萎んでいるときは外側に赤茶色の線が中央に入っています。
花は、茎の先端に房のようにたくさん花を開かせます。
トリビア
風水
薄雪万年草独自の風水効果というよりも、セダム属としての風水効果がありますのでそちらをご紹介していきます。
セダムの風水には、「厄払い」と「運気の上昇」の効果があります。
玄関先や寝室など人が目に付きやすい場所に飾ると、良い運気も増してしてくるようになります。
花言葉
薄雪万年草が分類されているセダムの仲間には、静寂・私を思ってください・落ち着き・枯れることのない愛・記憶・星の輝きなどの花言葉があります。
由来伝承
薄雪万年草は、和名・流通名で用いられている植物の名前です。
セダム・ヒスパニクムとも呼ばれています。学名はSedum hispanicumです。
セダムという属名の語源は、その姿からラテン語の座るという意味に当たるSedereから由来しています。
セダム(Sedum)は、自然に育っている地域で岩や壁に密着している様子が座っているように見えるそうです。
英名では、Spanish stonecrop(スパニッシュ ストンカラップ)と呼称されています。
薄雪万年草とは別に、日本では磯小松(イソコマツ)という名前もつけられています。
まとめ
夏の暑い季節に、涼しげな色をした白い花を咲かせる薄雪万年草(セダム・ヒスパニクム)の育て方についてご紹介しました。
薄雪万年草は、耐寒性・耐暑性ともに優れているので、初心者にも育てやすくなっています。
是非こちらのコラムを参考にして育ててみてください。

takenaka
お花と植物を愛するライター。 お花と植物と共に暮らすグリーンライフに憧れて、去年お庭付きの一軒家に引っ越しました。まだまだ理想のお庭にはほど遠いけど、週末の楽しみは少しづつお庭の手入れをすることです♪