季語は四季折々の風情を愛でる日本文化の象徴です。季語に含められる動植物を中心に、写真付きの俳句歳時記風にまとめた「季語シリーズ」、今回は夏の第三弾です。懲りずに自作の句も少々入れてみました😆
【梅雨の雷(つゆのらい)】
梅雨の時期は天候が不安定で雷も時折生じますね⚡️
梅雨の雷 沖かけて埠頭 荘厳す 小林康治
【梅雨明け】
雷鳴が轟くと梅雨が明けるとも言われています。この日の空は左の黒雲と右の夏空の対比が鮮やかで、梅雨明けを告げるかのようでした。
うしろより 忽然と日や 梅雨あがる 加藤楸邨
【ラベンダー】
シソ科ラヴァンデュラ属の常緑低木。原産地は地中海。
風吹いて 欲しラベンダー 揺れてほし 西村佐恵
風吹けば うさぎ踊るや ラベンダー ねこたんぽ
【胡瓜の花】
インドあるいはヒマラヤ原産とされるウリ科の一年草。雌雄異花ですが、単為結果のため雄花が咲かなくても実は成ります。
生き得たる 四十九年や 胡瓜咲く 日野草城
【蜻蛉生る(とんぼうまる)】
単に【蜻蛉】は秋の季語ですが、ヤゴから羽化したばかりなら夏の季語でしょう。
草の露 抱いて蜻蛉 生れをり 羽野蕗村
蜻蛉生る 泥田の濁り 影もなく ねこたんぽ
【青柿】
緑の柿は葉に溶け込んで目立たず、秋に橙色となって唐突に目に入ります。
青柿の 真昼地を打つ 敗戦日 岡本まち子
【燕の子】
燕は日本に夏やって来て2度産卵するそうです。シャープな姿でスイーと飛ぶ姿は夏によく似合いますね😃
早鞆の 風に口あけ 燕の子 飴山實
【赤手蟹】
本州以南の海辺・川辺でよく見る蟹で、乾燥に強いので住宅街に現れることも珍しくはありません🦀
一茎の 草を楯とす 蟹怒つて 山口誓子
【花潜(はなむぐり)】
花の蜜や花粉を食すコガネムシの仲間をハナムグリあるいはハナモグリと言います。カナブンの仲間は樹液を食すものが多いです。
花潜 けふは飛ばずに おく日かな(https://www.kwasan.kyoto-u.ac.jp/~cmo/cmomn4/Ts_haiku_I.htmより)
花々と 妍を競うや 花潜 ねこたんぽ
【烏瓜の花】
夏の夜限定で開き、スズメガを誘う妖しの花。
幻の如く 夜を咲き 烏瓜 秋月澄女
【蛾】
火取虫(ひとりむし)、天蛾(すずめが)も夏の季語です。
夕顔の 妙なる闇を 蛾の羽打ち 高澤良一
【ありまき】
アブラムシの風情ある別名。この虫の甘い分泌物(甘露)を得るべくアリが保護することからアリの牧場、蟻牧となったようです🐄私には恐ろしいアリを手懐けて巧みに利用する強か者と思えます😁
短日や ありまき翅を 得て翔ぶも 依光陽子
【えご】
エゴは花も実も夏の季語です。花の句は多いのですが実の句は非常に少ないのが不思議です☹️
糸ひいて 糸ひいて散る えごの花 西村和子
人知れず えごの実一つ 揺れにけり ねこたんぽ
【蟷螂生る(とうろううまる)】
カマキリは生まれてすぐカマキリの形になります。小さいなりに風格を感じさせます。
子蟷螂の 尻上げてゐる 吹いてやろ 米澤光子
【空蝉(うつせみ)】
セミの抜け殻のこと。美しい日本語です✨
手に置けば 空蝉風に とびにけり 高浜虚子
【蝉】
言わずと知れた夏の代名詞。長い幼虫時代を経て羽化した成虫は短い夏に命を燃やします。
閑さや 岩にしみ入る 蝉の声 芭蕉
蝉時雨 もはや聞こえぬ 蝉一つ ねこたんぽ
【夏の空】
雲一つない青空、静寂の中、照りつける陽射し。生命溢れる季節でありながら、同時に死をも感じさせるのが夏です。
夏空に 妻子描かん 雲もなし 栗林一石路
猫逝きて 音一つなし 夏の空 ねこたんぽ
【夕凪(ゆうなぎ)】
熱せられた大地が冷えて海と同じ温度となり、ピタリと風がやむ。音も肌に触れる風もなく、ただ色彩だけが世界に満ちる、そんなひと時。
夕凪や とぶ鯔とわが 櫂の音と 柳芽
夕凪と 見つめる君よ 久遠なれ ねこたんぽ
いかがでしたか?厳しい夏も、夏にしかない風情を遊びながら元気に乗り切りましょう✧٩(ˊωˋ*)و✧