
チューリップといえば、秋に球根を植えて春に咲く花として、小さな子供からお年寄りまで、知らない人はいないほどポピュラーな花ですよね。
もともとは、トルコなどの中近東あたりが原産の花ですが、16世紀のころにトルコからヨーロッパにもたらされました。今でもオランダといえばチューリップというイメージですよね。
今回は、そんな世界中で愛されているチューリップの育て方について詳しくご紹介します。
チューリップの育て方:栽培する場所
チューリップは、日当たりのよい戸外で育てます。冬も戸外に置き、寒さに当てることが大切です。
冬になって戸外で寒い思いをしたチューリップの鉢を、年が明けてから室内に入れ、日当たりのよい窓辺に置いておくと、早めに花を咲かせます。
ただし、いくら日当たりを好むといっても、直射日光は避けましょう。つぼみが色づき始めたころから、チューリップの鉢を半日陰に移動させると、少し長く花を楽しめますよ。
チューリップの育て方:土
多くの花が弱酸性の土壌を好みますが、チューリップはアルカリ性の土を好みます。また、水はけがよく、保水性のある土が適しています。
例えば、赤玉土6:腐葉土2:パーライト2の混合土などがよいでしょう。市販の培養土や球根用の土でも大丈夫ですし、チューリップ用の土も販売されています。
さらに、チューリップを地植えで育てる場合は、堆肥や腐葉土を入れて耕したやわらかい土に植え付けるとよいでしょう。
チューリップの育て方:水やり
鉢植えの場合
チューリップは、朝のうちに鉢土の表面が乾いていることを確認して、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと水やりをしましょう。水やりをするときは、一気に流れ出てしまうような与え方をするのではなく、水を十分吸収できるように、ゆっくりと与えます。
なお、土が乾かないうちに水やりをしすぎると、球根が腐ってしまうので注意してください。
チューリップの球根を植え付けてから2週間程度の、根っこが出るまでの間の水やりは、とくに大切です。チューリップの根は、一度乾燥してしまうと水を吸収できなくなるので、水切れを起こさないようにしましょう。
とくに鉢植えの場合は、冬場に一度でも乾かしてしまうと花が咲かなくなる可能性があるので気をつけてください。
地植えの場合
庭にチューリップを地植えした場合は、球根を植え付けるときにたっぷりと水を与えますが、その後はとくに水やりの必要はなく、自然の雨の恵みに任せておけば大丈夫です。ただし、何日も雨が降らずに土が乾燥するようなら水やりをしてあげてください。
チューリップの肥料・追肥
チューリップは、肥料を与えなくても花を咲かせられますが、球根を植え付ける際に、元肥として緩効性肥料を施しておきましょう。
チューリップへの追肥として使うのは、液肥がおすすめです。芽が出てから花が咲くまでの間に、液肥を月2回程度与えると効果的です。
チューリップの育て方:球根の選び方
チューリップが立派に美しい花を咲かせるかどうかは、球根選びにかかっています。最初の球根選びの良し悪しによって、その後のチューリップの生育に大きな違いが出てくるからです。
チューリップの球根は、色つやがよくて傷のない、ずっしりとした重みのあるものを選びましょう。ホームセンターなどで球根をまとめて購入すると、中にはよくない球根が混ざっているので、注意が必要です。
黒い斑点があるような球根や、いかにも水分が抜けてしまっているような球根は、病気の可能性があります。カビているものも避けましょう。このように選別をして植える必要があるため、球根は予定よりも少し多めに買っておいた方がいいでしょう。
チューリップの育て方:球根を植える時期
チューリップの球根の植え付けに最適なのは秋で、10月から11月頃です。なぜなら、球根の根っこが伸びるのに適した土の温度は10度から15度くらいだからです。ちょうど、周りの木々が美しく紅葉する頃を見計らって植え付けましょう。
とはいえ、この時期を逃してしまっても、霜が降りていなければ、1月頃までは植えることができます。逆に、まだ20度以上ある暖かい時期に植えると、根っこが育たないうえ、病気になりやすくなってしまいます。
チューリップの育て方:球根の植え方
球根の下準備
玉ねぎのような形をしたチューリップの球根は、丸い部分から根っこが出ます。そのため、尖った方が上になるように植えます。
もし、根っこが出てくる丸いお尻の部分に、茶色い薄皮がついたままになっているようなら、根っこが出るときに邪魔になるので、傷をつけないように注意しながら剥いてあげましょう。発根の邪魔にならない場所についている薄皮は、そのまま剥かないでおいても大丈夫です。
そして球根は、横から見ると栗のように平らになっている面と、膨らんでいる面があります。この、向きをそろえて植え付けると、花がきれいにそろって咲いてくれます。
鉢植えのチューリップの球根の植え方
チューリップの鉢植えの場合に植えられる球根の数は、4号鉢なら1球、5号鉢なら3球です。鉢の一番底に鉢底石を入れてから用土を入れます。途中で元肥として緩効性肥料を施してください。
チューリップの球根は、深さ2センチ程度のところに植えます。1鉢に複数植える場合は、5センチから6センチ間隔で植え付けましょう。球根を植え付けたら、ゆっくりとたっぷり水を与えます。
地植えのチューリップの球根の植え方
鉢植えの場合には、根を張るスペースを確保するために浅いところに球根を植えましたが、庭や花壇にチューリップを地植えする場合は、深さ10センチ程度のところに球根を植え付けます。
庭植えの方が根を張りやすいのでよく育ちますよ。よく耕して土づくりをして、植え穴を掘ったら、10センチ間隔くらいで球根を植えていきましょう。
ただし、密生させた方が見栄えもよくて美しく華やかなので、花後の球根を取ることを考えないのであれば、あえて間隔をもっと狭くして植えるという方法もあります。球根を植え付けたら、ゆっくりたっぷりと水やりをしてくださいね。
なお、チューリップの球根の間にパンジーなどを植えておくと、チューリップの花が咲く前にも花を楽しむことができますよ。
チューリップの育て方:冬越し
チューリップには耐寒性があり、むしろ成長のためには、4度から9度くらいの低温にあてることが欠かせません。たとえ雪が積もっていても霜さえつかなければ外で育てられます。
しかし、チューリップにとって寒さはとても大切ですが、霜がつくのは困るので、霜の降りる地域ではビニールで覆うなどの霜対策をしておきましょう。
チューリップの花が終わったあとの手入れ方法
チューリップの花が終わりそうになったら、葉っぱと茎を残して、早めに花がらを摘み取ってしまいましょう。摘み取るときのポイントは、次の3点です。
- 花が散る前に摘み取ること
- 花の下の茎を折るようにして摘み取ること
- ハサミは使わないこと
花が終わっても花がらを取らないでいるとどうなるかというと、種ができますので、余分な栄養を種に取られてしまい、球根に栄養分が行き渡らなくなってしまいます。
また、なぜハサミを使わないのかというと、病気を持っている株があった場合に、ハサミを使ってカットすることでウィルス病が伝染するリスクがあるからです。
花が終わったあとも、葉っぱと茎は光合成し、球根に栄養を蓄え続けていますので、引き続き水やりは続けましょう。
また、チューリップの花がまだ元気なうちに早めに摘み取って、切り花として花瓶に生けて楽しむのもおすすめです。
チューリップの増やし方
チューリップは、球根の脇に子球をつくって増えていきます。今あるチューリップの増やし方には、品種によっては球根を植えたままにするか、掘り上げる2つのパターンがあります。
球根を掘り上げる場合
一般的にチューリップは、葉っぱの色が黄色くなって枯れはじめた頃に、球根を掘り上げます。
チューリップの球根を掘り上げたら、分球した子球をひとつひとつ分けますが、小さすぎる球根は取り除きましょう。球根の土をきれいに落として洗ったら、ネットに入れて風通しの良い場所に吊るして保存します。傷がつかないように大切に保存しましょう。
球根を植えたままにする場合
チューリップの球根は、植えたままにしておいて、翌年また花を咲かせることもできます。ただ、植えたままにした球根から、翌年もうまく花を咲かせてくれるのは、原種系のチューリップくらいでしょう。
植えたままの球根で同じように花を咲かせてくれるものは少ないのが現状です。鉢植えの場合は特に、根を張れるスペースも狭いため難しいですね。
ただ、地植えの場合は、花の色が変わったり小さくなったりはするものの、植えたままにしておくことで、毎年花を咲かせてくれるケースもあります。スペースがあれば、試しに植えたままにしてみて、翌年を楽しみに待つのもいいかもしれませんね。
チューリップの育て方:水耕栽培でも育てられる?
チューリップは水耕栽培(水栽培)で育てることも可能です。水耕栽培をする場合は、まず球根の茶色い薄皮を剥いてしまいます。
薄皮を剥いた球根を水耕栽培用の容器に入れて、球根の下部に水が触るところまで水を入れてください。そして、冷蔵庫のように、寒くて暗い場所に置いておきましょう。球根から根っこが出てきたら、根っこの成長に合わせて水の量を減らし、液体肥料を数滴垂らしてあげます。
チューリップの育て方:注意する病気・害虫
つきやすい害虫
チューリップは、芽が伸びはじめたころからアブラムシが付きやすくなるので注意が必要です。アブラムシは、モザイク病を引き起こす原因にもなりますので、殺菌殺虫剤をまいて未然に防ぎましょう。
もしアブラムシが付いてしまった場合は、増える前にすぐに駆除します。殺虫剤で駆除するほか、テープで貼り付けて取る方法などもありますので試してみてください。
かかりやすい病気
チューリップがかかりやすい病気はいくつかありますが、主な病気をご紹介します。なお、病気になった株は治りません。他の株にも影響を与えてしまうため、残念ですが球根ごと取り除いて処分してください。
球根を植える前に、水に溶かしたベンレートなどに浸けて消毒をしておくと、病気を予防する効果が期待できます。また、芽が出てからは定期的に葉っぱに消毒剤を散布することで、病気を予防できます。
【褐色斑点病】
雨が多いと発生しやすい病気が「褐色斑点病」です。灰色かび病ともいいます。
褐色斑点病は、葉や茎に小さなくぼんだ斑点ができて拡大していきます。花びらにも小さな丸い斑点ができ、そのうちそれが大きくなってカスリのようになります。
【モザイク病】
アブラムシによるウイルスに感染することで発生する病気が「モザイク病」です。葉っぱや花びらが色割れしてしまいます。
チューリップの育て方ポイント
チューリップのお手入れの重要なポイントは、日々の観察にあります。水やりひとつをとっても、鉢土が乾いていることをよく確認してから行いたいものです。
そして、その際には葉や茎の様子などもよく観察し、害虫がついていないか、病気を引き起こしていないか確かめ、必要な場合は早めに適切に対処しましょう。
チューリップの散った花びらや枯れた葉っぱがある場合は、病気の原因になるので、すみやかに取り除いてください。
チューリップの花言葉
そもそもチューリップという名称は、トルコの「テューリパ」に由来しています。テューリパとは何なのかというと、ターバンのことです。なぜターバン?と思いますよね。そこには、こんなエピソードがあります。
あるとき、トルコ人がヨーロッパ人から花の名前を尋ねられました。そのトルコ人は、花の名前ではなく形を尋ねられたのだと勘違いして、「テューリパ(ターバン)」と答えたのです。なんとそのとき答えた「テューリパ」ということばがヨーロッパに伝わり、チューリップと呼ばれるようになりました。
イギリスでは、チューリップの花言葉は「博愛」「思いやり」とされています。また、フランスでは「正直」「華美」「恋の告白」「まじめな愛」といったものがチューリップの花言葉になっています。
色別のチューリップの花言葉
また、チューリップは、色によってもそれぞれに花言葉があります。
- 赤いチューリップ・・・「恋の告白」「真実の愛」
- 白いチューリップ・・・「失われた恋」
- 黄色のチューリップ・・・「希望のない恋」「高慢」「いやなこと」「忘恩」
- 紫色のチューリップ・・・「不滅の愛」
- ピンクのチューリップ・・・「愛の芽生え」「誠実な愛」「幸福」
- オレンジのチューリップ・・・「照れ屋」
- まだらのチューリップ・・・「美しい目」「魅惑」
チューリップの育て方を覚えて、きれいな花を咲かせよう!
チューリップといえば、春の花壇に咲いている花の定番で、誰もが知っているポピュラーな花ですよね。チューリップは、最初の球根選びさえ間違わなければ、比較的簡単に育てられるので、初心者の方にも向いています。
チューリップを失敗なく美しく咲かせるのに確実な方法は、信頼できる種苗メーカーで、大きくてきれいな球根を買って植えることです。春には、立派な美しいチューリップの花をお楽しみくださいね。
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