常緑樹は年間を通して緑の葉を茂らせるため、庭のシンボルツリーや生け垣として人気の庭木があります。今回は庭木におすすめの常緑樹を3タイプ(低木・中木・高木)に分けてご紹介するほか、日陰にもおすすめの常緑樹もご紹介します。
常緑樹とは?
樹木には、秋になると葉が落ちる「広葉樹」と、一年中緑の葉を楽しめる「常緑樹」の2つの種類があります。
常緑樹とは、秋や冬になっても葉が落ちることなく、一年中緑の葉を茂らせている樹木のことです。観葉植物のほとんどが、この常緑樹に該当します。
常緑樹は、葉の形状によって広葉常緑樹と針葉常緑樹に分けることができるほか、成木の樹高によって、低木・中木・高木に分類することが可能です。
常緑樹を植えるメリット
また、常緑樹は次のようにメリットの多い樹木です。
- 一年中葉を落とさないため目隠しにもなる
- 落葉樹のように一度に葉が落ちないため庭の掃除がラク
- 一年中緑を楽しむことができるのでシンボルツリーや生け垣にピッタリ
- 暑さや乾燥に強い丈夫な樹木が多い
常緑樹を植えるデメリット
特筆すべきデメリットはないものの、あえて挙げるとすれば、次のような点がやや残念です。
- やや寒さに弱い種類の常緑樹もある
- 葉色が濃くて密集しているものが多いので重たい印象になりがち
低木の常緑樹の種類
低木の常緑樹は、高さが概ね2メートル以下のものを指しています。小さいということもありますし、そもそも生長が遅めなので、剪定もラクであまり手間がかからないことから、庭木としても人気です。
では、低木の常緑樹にはどのような種類のものがあるのでしょう?まずはおすすめからご紹介します。
庭木におすすめの低木常緑樹
シャクナゲ
科名:ツツジ科ツツジ属
樹高:2メートル以下
開花:4~6月
花色:赤、ピンク、白、黄色、紫
4,000以上の園芸品種があるといわれているシャクナゲは、花色も豊富で豪華な花姿なので、庭木としてとても人気があります。
また、庭木としてだけでなく大きな鉢植えで楽しむことも可能です。
ヒイラギナンテン
科名:メギ科メギ属
樹高:1~3メートル
開花:3~4月
花色:黄色
結実:6~8月
実色:黒紫色
鋭くとがった緑の葉が特徴的なヒイラギナンテンですが、花は黄色い穂のように咲き、四方に広がるのが特徴的です。
とても丈夫で、病害虫の心配もほとんどありません。ゆっくりと生長するため剪定もほとんど必要なく、手間がかからないのも庭木として人気の理由です。
ジンチョウゲ
科名:ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属
樹高:1~1.5メートル
開花:3~4月
花色:白、ピンク
甘い香りとともに春の訪れを知らせてくれるジンチョウゲは、手毬のように丸く花が咲く人気の庭木です。
生長が遅いジンチョウゲは、剪定などはそれほど必要ありませんので、お手入れの手間が少なくてすみます。
その他おすすめの低木常緑樹
- イヌツゲ・・・モチノキ科モチノキ属/樹高1~5メートル/長さ2センチ前後の葉が左右交互につく
- アベリア・・・ スイカズラ科ツクバネウツギ属/樹高1~2メートル/根元から枝分かれしてよく茂る
- シャリンバイ・・・バラ科シャリンバイ属/樹高1~4メートル/葉がこんもり茂り、ウメに似た花が咲く
中木の常緑樹の種類
中木の常緑樹とは、概ね2メートルから5メートル程度の種類ものを指しています。では、中木の常緑樹をご紹介していきましょう。
庭木におすすめの中木常緑樹
マサキ
科名:ニシキギ科ニシキギ属
樹高:2~6メートル
開花:6~7月
花色:白緑
結実:11~1月
実色:赤
ヘラの形をした厚くて光沢のある葉っぱのマサキは、よく生け垣に利用されているのを見かけます。鮮やかな緑は和洋どちらの庭にも合うので、生け垣として人気です。
直径5ミリほどの小さな花をたくさん咲かせ、赤く熟した実は3つから4つに裂けるのが特徴的です。
サザンカ
科名:ツバキ科ツバキ属
樹高:3メートル以上
開花:10~12月
花色:白、紅
結実:10~12月
実色:灰緑色
サザンカは、日本固有の種で、昔から庭木や生け垣として人気です。冬に美しい花を次から次へと咲かせてくれるので、冬でも庭を華やかにしてくれます。
サザンカはツバキの仲間ですが、ツバキよりも葉は小さく、サザンカの花は散るときに花びらが1枚1枚ハラハラと散っていきます。
キンモクセイ
科名:モクセイ科モクセイ属
樹高:3~10メートル
開花:9~10月
花色:橙色
橙色の可憐な花に強い香りがあることで知られているキンモクセイは、庭木としてとても人気があります。
先端が細長くなる楕円形の葉に小さなギザギザがあり、葉のつけ根には橙色の小さな花が束になって付くのが特徴的です。
また、キンモクセイは大気汚染や潮風にすら強い、とても丈夫な樹木です。
その他おすすめの中木常緑樹
- サカキ・・・サカキ科サカキ属/樹高8~10メートル/長さ8センチ前後の光沢のある革質の葉を付ける
- シャシャンボ・・・ツツジ科スノキ属/樹高1~3メートル/つり鐘形の花が鈴なりに咲くのが特徴的
- オリーブ・・・モクセイ科オリーブ属/樹高2~7メートル/くすんだ深緑色の葉を持ち食用の黒い実を付ける
高木の常緑樹の種類
高木の常緑樹というと、だいたい樹高5メートル以上のものを指すことが多いのですが、どのような種類の樹木があるのでしょう。代表的な人気の高木の常緑樹をご紹介します。
庭木におすすめの高木常緑樹
シラカシ
科名:ブナ科コナラ属
樹高:約20メートル
開花:4~5月
花色:黄緑
結実:10~11月
実色:茶色
関東地方で多く見られるシラカシは、主に公園樹や生け垣として利用されています。先端に向かって細長い形をした葉っぱは、表にはツヤがあり裏は白っぽいのが特徴的です。
そんな葉のわきから雄花が垂れるように咲いて、その上に小さな雌花が咲きます。病害虫も少なくとても丈夫なので、管理しやすい樹木です。
クロガネモチ
科名:モチノキ科モチノキ属
樹高:10~20メートル
開花:5~6月
花色:薄紫色
結実:11~1月
実色:赤
クロガネモチは丈夫でよく育ち、枝いっぱいに直径5ミリから8ミリ程度の丸い実をつけます。光沢のある葉っぱとの赤い実のコントラストが美しく、 庭木として人気です。
幹がまっすぐに伸びて樹形は卵形にまとまるので、それほど剪定の必要がなく管理しやすいでしょう。
ソヨゴ
科名:モチノキ科モチノキ属
樹高:3~7メートル
開花:6~7月
花色:白
結実:10~11月
実色:赤
緑色の葉っぱに、サクランボのようにかわいらしく実る赤い実が特徴的なソヨゴは、庭木として人気です。
その名のとおり、風にそよそよなびくキレイな樹形で、それほど剪定を必要としないので、お手入れの手間も少なくて済みます。
その他おすすめの高木常緑樹
- ユーカリ・・・フトモモ科ユーカリノキ属/樹高12~30メートル/コアラの主食として知られ大きく育つ
- オガタマノキ・・・モクレン科オガタマノキ属/樹高10~15メートル/神社に多くよく枝分かれして茂る
- サンゴジュ・・・レンプクソウ科ガマズミ属/樹高8~10メートル/葉は厚く光沢がありよく茂る
日陰でも育つ常緑樹の種類
日光は、植物の生長に欠かせないとても大切な要素ですが、なかには日陰でも育つ種類や、むしろ日陰を好む種類の植物もあります。
実は常緑樹には、日照時間の短い日陰でも育ちやすい種類が比較的たくさんあるのです。庭には、どうしても家の日陰になってしまう場所がありますよね。次に、そのような場所でも育ちやすい常緑樹をご紹介します。
庭木におすすめの日陰でも育つ常緑樹
アオキ
科名:ガリア科アオキ属
樹高:1~2メートル
開花:3~4月
花色:紫褐色、緑
結実:11~4月
実色:赤、白
とても丈夫で育てやすく、日陰でもよく育つアオキは、庭木として人気です。園芸品種もたくさんあり、葉っぱに黄色の斑が入るものなどもあります。
楕円形の実が特徴的ですが、実は冬になっても落ちず、春頃まで残っています。
クチナシ
科名:アカネ科クチナシ属
樹高:1~3メートル
開花:6~7月
花色:白
結実:11~2月
実色:黄色から橙色
日陰でもよく育つクチナシは、艶やかで美しい葉を持ち、直径7センチから8センチほどの、甘い香りのする白い花を咲かせます。
秋には、長さ6センチから7センチほどの実を付けますが、実は黄色の染料としても使われています
その他おすすめの日陰でも育つ常緑樹
- カクレミノ・・・ウコギ科カクレミノ属/樹高3~8メートル/もみじ形や楕円形の厚みのある葉を付ける
- ヤツデ・・・ウコギ科ヤツデ属/樹高3~5メートル/手のひらのように切れ込んだ大きな葉が特徴的
- アセビ・・・ツツジ科アセビ属/樹高1~8メートル/つり鐘形をした花が鈴なりに垂れ下がるのが特徴的
常緑樹を庭木のシンボルツリーとして楽しもう
ここでは、庭木のシンボルツリーにピッタリな常緑樹とはどのような樹木なのか、またどのような種類があるのかご紹介しました。
常緑樹には丈夫で育てやすいものが多く、一年中緑の葉が落ちないのでシンボルツリーや生け垣に向いています。樹高により低木・中木・高木に分けることができますので、それぞれ人気の常緑樹をご紹介しました。
常緑樹は比較的お手入れのラクなものが多いのも嬉しいですね。庭造りの際には、ぜひ本記事を参考に常緑樹を取り入れていただければ幸いです。

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10番目のトラカン ゼブリナ パープル 小さなピンクの花が2つ並んで咲いています。