本来野草だったタツナミソウは、放任でも十分に育ちます。その性質の強さからグランドカバーとして利用されたり、小さく仕立てて盆栽として楽しまれたりします。
タツナミソウは耐寒性が高く栽培環境をあまり選ばないため、ガーデニング初心者でも管理しやすい植物としておすすめです。
タツナミソウとは?どんな花?
タツナミソウはシソ科タツナミソウ属の野草で、道端や平地など草丈の低い植物が多い場所でよく見られます。
また、タツナミソウには数多くの種類があり、茎にある短毛の生え方や葉の形状が主に見分けるポイントとされていますが、専門家でも分類や見分けるのが難しい植物としても知られています。
- 学名
- Scutellaria
- 科名
- シソ科・タツナミソウ属
- 分布
- 日本全域、東アジア
- 分類
- 多年草
- 花期
- 5月~6月
- 草丈
- 20~40cm
- 別名
- ヒナノシャクシ(鄙の杓子)、黄ごん(おうごん)
タツナミソウの名前の由来
波が押し寄せる様子がタツナミソウ(立浪草)の花姿と似ているとされ、その名がついたといわれています。
タツナミソウの花の時期や特徴
開花時期
タツナミソウの花期はやや短く、5月~6月の暑さが増してくる前まで咲きます。
花の特徴
タツナミソウは3cm~9cmほどの花を多数咲かせます。タツナミソウのように筒状の花が上下に分かれ、口唇のように見えるものを「唇形花」とよびます。
本来野草であるタツナミソウは基本的に紫色の花を咲かせますが、ピンク色や白色の花を咲かせる園芸品種もあります。
タツナミソウの仲間、似た花
コバノタツナミ(小葉の立浪)
コバノタツナミはタツナミソウの変種とされ、タツナミソウよりも全体的に小ぶりな姿から名づけられました。
コバノタツナミの葉には短く柔らかい毛が生い茂り、ビロードに似ていることから「ビロードタツナミ」とも呼ばれます。
花期は5月~6月で、道端や土手、海岸沿いにも自生していることがあります。
オカタツナミソウ(丘立浪草)
オカタツナミソウは、名前のとおり丘陵や山の周辺に自生しています。花色はタツナミソウよりも薄くやや青み寄りの紫色で、5月中旬~6月中旬頃まで咲きます。
オカタツナミソウの葉と花序は上部にかたまりやすく、毛は下向きに生えることがタツナミソウと大きく異なる点といえるでしょう。
ナミキソウ(浪来草)
ナミキソウは海岸付近に自生する海岸性植物です。花期は6月~9月でタツナミソウよりもやや長く、初夏から早秋にかけて咲きます。
花色は鮮やかな青紫色で、海岸に咲いているとひときわ目を惹くことでしょう。
タツナミソウの育て方
タツナミソウの育て方:用土、環境
タツナミソウは本来野草のため、用土や環境をあまり選ばないことから初心者でも育てやすい植物といわれています。日当たりと風通しのよい環境で育てることで、より色鮮やかで美しい花を咲かせます。
タツナミソウの育て方:水やり、肥料
鉢植えの場合、表土が乾いたら水やりをしてください。地植えの場合、降雨のみで十分に成長します。
肥料は基本的に不要です。肥料を与え過ぎると地下茎が成長し増えすぎてしまったり、肥料やけを起こし枯れてしまったりする可能性があります。
タツナミソウの育て方:植え替え
鉢植えでタツナミソウを育てる場合、春または秋に1回、植え替えを行いましょう。タツナミソウは育ちが早いため、根詰まりを起こしやすいです。
タツナミソウの育て方:増やし方
株分け
タツナミソウは繫殖力の高い植物なため放っておいてもどんどん増えていきますが、効率よく増やしたい場合は植え替えと同時に株分けをしましょう。
春または秋が植え替えの適期で、地下茎を切り株分けします。株分け後は植物が弱りやすいのですぐに植え付け、水やりも欠かさずに行ってください。
挿し木
タツナミソウは発根しやすい植物のため、挿し木で増やすのもよいでしょう。6月~7月の花が咲き終わった頃に剪定も兼ねて挿し穂を準備します。
タツナミソウを5~10cmほどの長さで茎を切り、水に挿す部分の葉を取り除きます。茎を水に挿してから1時間~半日程度たったら水揚げし、赤土などの清潔な用土を入れた鉢に挿します。
鉢は直射日光のあたらない半日陰の明るい場所に置き、発根まで数週間~2ヶ月ほど土を乾かさないように水やりしましょう。
タツナミソウの育て方:病害虫
タツナミソウは剛健な性質なため、病気や害虫の心配はほぼありません。稀にハダニが付くことがありますが、見つけしだい薬剤を散布して駆除しましょう。
タツナミソウの花言葉
タツナミソウには「私の命を捧げます」という深い愛が込められたような花言葉がつけられています。
可憐な花姿に反して少し恐ろしくも重い言葉のようにも感じますが、その由来はタツナミソウの花がすべて同じ方向を向いていることにちなむといわれています。
またタツナミソウは全草を煎じることで漢方として利用されていることも、花言葉の由来のひとつとされています。
タツナミソウの花言葉を楽しもう
タツナミソウには「私の命を捧げます」という重みのある花言葉が付けられており、花束やフラワーギフトを贈る際は相手を選んだほうがよいでしょう。
しかしその花言葉の由来を知ることで、少し恐ろしいようなイメージが変わる人もいらっしゃるのではないでしょうか。
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