秋の行事といえば、満月を見上げて楽しむ十五夜のお月見ですが、お月見のお供え物には「秋の七草」も一緒に飾るといいとされているんです。
「秋の七草」とは?
じつは、七草粥にして楽しむ春の七草以外にも「秋の七草」というものが存在します。昔は十五夜といえばお団子、ススキですが、その他に秋の七草も飾って楽しまれていたそうです。
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ちなみに、順番自体に決まりはありませんが、秋の七草の由来となった万葉集の歌には、上記の順番で詠まれています。
「秋の七草」のそれぞれの名前と特徴は?
秋の七草① 萩(ハギ)
赤紫色の花が美しいハギの花。秋の七草なのでもちろん、晩夏から秋にかけて、小さな花をたくさんつけます。その花姿からか、花言葉には「内気」「思案」などで、奥ゆかしく控えめな印象を受けますね。
秋の七草② 尾花(オバナ=ススキ)
オバナは今ではススキと呼ばれることの方が多いです。その穂が動物の尻尾に似ていることからつけられた名前だそうで、お月見に欠かせない植物ですね。花言葉には「生命力」「活力」などがあり、荒地でもぐんぐんと育つ強健さに由来しているそうです。
秋の七草③ 葛(クズ)
クズは葛粉にして葛餅など食用に使ったり、根を乾燥させれば葛根湯生薬としての側面もあり、花言葉は「治癒」とつけられています。深い赤紫の花をつけた花房で、意外にもその花姿は美しくありながら、少し毒っぽさも感じるような妖艶な見た目をしています。
秋の七草④ 撫子(とくにカワラナデシコ)
ナデシコは色のバリエーションにとんだ園芸品種も多くあり、今でも河原に自生していたり、花壇を賑わせる身近な草花ですね。日本の伝統色には「撫子色」もあり、落ち着いたピンクの色味で咲くナデシコが、古くから愛されてきました。
秋の七草⑤ 女郎花(オミナエシ)
オミナエシは、すっと立ち上がった茎の先に、散房状に黄色い小さな花をつけます。柔らかで爽やかな黄色が美しいですが、切り花にしてしばらく経つと、茶色く腐敗して醤油のような香りを放つことから、「敗醤(ハイショウ)」とも呼ばれています。
秋の七草⑥ 藤袴(フジバカマ)
藤袴がほのかに藤色で、花びらの形が袴のように見えることから名付けられました。葉を少し乾かすと、桜餅の葉のようなクマリンの香りがするのが特徴で。別名「香草蘭」ともよばれるそうです。
秋の七草⑦ 桔梗(キキョウ)
キキョウはこっくりとした深い青紫が特徴的で、伝統色には「桔梗色」という花の名前がついた色もあります。多くの家紋の元となった、きれいな星型の花姿は、お月見と合わせると一層夜空に映えそうですね。
「秋の七草」の由来は万葉集の歌!
秋の七草は、万葉の歌人である山上憶良が歌に詠んだのが由来とされています。
- 『秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびおり) かき数ふれば 七種(ななくさ)の花』(万葉集 一五三七 巻八)
- 『萩の花 尾花 葛花 瞿麦(なでしこ)の花 女郎花 また藤袴 朝貌(あさがお)の花』(万葉集 一五三八 巻八)
ちなみに、この2つの歌は、山上憶良が子どもたちに秋の花を数え教えている情景を詠んだといわれています。最初の歌のほうが、指を折って数えると七種類の花が咲いていた、という意味で、後の歌のほうが、その七種類の花の名前をあげていくさまだそうです。
「秋の七草」の覚え方は?
秋の七草を覚えるときは、五・七・五・七・七で覚えるか、語呂合わせで覚えるのが簡単です。
五・七・五・七・七での覚え方
萩(はぎ)桔梗(ききょう)/葛(くず)藤袴(ふじばかま)/姫部志(おみなえし)/尾花(おばな)瞿麦(なでしこ)/秋の七草
語呂合わせでの覚え方
- 「ハスキーなお袋」
- 「お好きな服は?」
はぎ、すすき、ききょう、なでしこ、おみなえし、ふじばかま、くず
おみなえし、すすき、ききょう、なでしこ、ふじばかま、くず、はぎ
「秋の七草」は七草粥にして食べるの?
春の七草は七草粥として食べるのが一般的ですが、秋の七草は七草粥にして食べません。基本的には飾ったり、秋に咲いているのを眺めて、秋の季節感を感じながら楽しむものです。
「秋の七草」はいつ飾るの?
秋の七草は十五夜の日に飾ります。毎年、十五夜は9月中旬〜10月上旬の間で変動しますが、今年2021年は9月21日(火)が十五夜とされています。
ちなみに、中秋の名月を楽しむ十五夜のお月見は、平安時代に貴族の間ではじまり、江戸時代には庶民の間で、無事に稲を収穫できた喜びわかち合う、収穫祭のような意味合いで広まったそうです。
「秋の七草」を覚えて十五夜を楽しもう!
秋の七草は、その花のどれもが落ち着いた色味で、和の心に平穏をもたらしてくれそうな優しさを感じますね。十五夜の日は、光り輝く月と団子、そして秋の七草で、どうぞステキなお月見をお楽しみください。
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