アジサイ(紫陽花)は梅雨の季節でも楽しめるお花で、最近では新しい品種も続々と登場しています。土質によって花色が変わるため、一見育て方が難しそうに感じますがそんなことはなく、初心者にもおすすめのお花です。今回は、そんなアジサイの育て方を詳しくご紹介します。
アジサイ(紫陽花)を育てる場所
アジサイを栽培するときは、風通しがいい場所を選びます。また空気が乾燥しやすいところも避けたほうがいいでしょう。
鉢植えで育てる場合は、軒下が適しています。
アジサイを地植えで育てている場合は、寒風や霜に当てないようしましょう。比較的寒さに強い植物ですが、寒風や霜は株が傷む原因につながります。ただし、アジサイには適度な低温を経験させることも、新しい芽を出すためにも必要となります。
また、本来アジサイは日光を好むので、日向~半日陰のところで管理しましょう。あまりにも日光が足りないと、花つきに影響が出るので注意してください。
日光が好き、と書きましたが、夏場の直射日光は強すぎておすすめしません。また西日も強く、当たると葉焼けすることがあります。地植えする際は、朝日から西日までの日当たりを確認するといいでしょう。
アジサイ(紫陽花)を育てる土
アジサイの用土作りのコツは「水はけ」「水持ち」「酸性度」です。水はけがよく、水持ちのいい用土がベストです。
アジサイはもともと水を好む植物なので、保水性は大切ですが、常にジメッとしすぎる用土は好ましくありません。保水性のみならず、排水性も意識するのが重要です。
また、種類品種にもよりますが、アジサイを育てる土の酸性度(pH)は、アジサイの花色に影響を及ぼします。つまり、土壌が酸性かアルカリ性かによって、花色が赤・ピンクになるか青になるかが変わるのです。
この度合いの単位を「pH」と呼びます。中性を示す値は7.0で、検査して出た数値がこれよりも小さいと、土質は酸性の状態へ変化します。反対に、7.0よりも大きい数値だとアルカリ性ということになります。
ただし、一度土質をアルカリ性に整えても、雨が降ると、土が酸性に変化することがあるのでご注意ください。
アジサイ(紫陽花)の肥料・追肥
アジサイへの肥料やりは、休眠期の冬(鉢植えのみ)と花が咲いたあとに与えてください。冬は緩効性肥料を与え、春の生育をサポートします。
そのほかはすぐに液体肥料を与えるのが効果的です。花の色それぞれの専用肥料もあるので、そういったものを活用するのもいいでしょう。
アジサイ(紫陽花)の水やり
アジサイの水やりは週に1回のペースで、土の表面が乾いてから与えます。土壌が乾燥すると生長が悪くなるので、乾燥させないよう注意してください。たくさん水を与えても、受け皿に水は溜めておかないようにしましょう。
土が乾きやすい夏は、朝・夕方の2回行っても構いません。反対に、冬は土が乾かないように注意しながら、水やりの回数を少なくします。また、冬は夕方や夜だと水が冷えすぎてしまうので、気温が高い午前中に水やりをしましょう。
アジサイ(紫陽花)の種まき・植え付け
アジサイは種まきから育てることも可能です。種まきの時期は11〜3月頃です。
ただし、アジサイの種まきをしてから花が咲くには、3~4年ほどかかります。
なお、種はアジサイから採取もできるので、興味がある人はぜひ挑戦してみてください。
必要なもの
- 種まき用の土(市販の種まき用培養土か、小粒の赤玉土)
- 種
- 育苗用トレー
手順
- 育苗用のトレーに市販の種まき用培養土(もしくは、小粒の赤玉土)を入れる
- 1に水をかけて湿らせる
- 種をまく(種に土はかけないこと)
- 底面給水で水やりする
- 4枚程度、本葉が出てきたら密集している苗を回収し、別の鉢やトレーへ植える(植え付けるときは隣の苗と2~3cmほど空けること)
種の採取方法
育てているアジサイから種を採取する場合は、11月頃に行います。種は花のあとにできる熟した果実から取ることが可能です。
加えて、種を取るなら剪定はしないでおくこと。また種はとても小さく細かいので、採取する際はこぼれても大丈夫なように、袋などを用意することをおすすめします。
アジサイ(紫陽花)の植え替え
アジサイの植え替え時期は、3~4月頃が敵期です。このときも咲かせたい花の色にあわせて用土を配合します。植え替え方法は以下のとおりです。
- 苗についている古くなった土を1/3程度落とす
- ひとまわり大きな鉢を用意して、植え付ける
- 植え替え後に水をしっかり与える
アジサイ(紫陽花)の剪定
アジサイに剪定が必要な理由は、以下の3つです。
- 大きくしすぎないため
- 花を枯れるまで咲かせていると次の花の栄養が減る
- 今年花が咲いた枝には来年花が咲かないから(品種によっては例外もあり)
アジサイは剪定しないとどんどん大きく育ち、さらに枯れた花にも栄養がいくので、次の花に栄養をしっかり与えられません。そして、今年花が咲いた枝には来年花が咲かない品種が多いので、取り除いてしまって問題ないからです。
剪定時期
アジサイの剪定は、7月下旬〜8月上旬が適期です。花芽が9〜10月にできるため、花芽まで間違って切って失敗しないようにそれ以降の剪定はおすすめしません。花芽を取ってしまうと来年花が咲かなくなるので、剪定時期には気をつけたほうがいいでしょう。
しかし、アジサイの品種によっては花芽ができる時期が違うものもあります。たとえば、アナベルやカシワバアジサイがそれで、これらは春まで剪定できます。
剪定方法
アジサイの剪定方法は、咲き終わった花の下から2節ほど残して切ります。このとき、花芽がどこについているか確認しておくと安心です。
もし、休眠期に株が大きく育っていたり枝がたくさん密集していたりするときは、整枝するのがおすすめ。古くなった枝や枯れた枝などを取り除くことで、風通しがよくなります。
季節別のアジサイの育て方ポイント
アジサイを上手に育てるには、夏・冬の管理の仕方にあります。この項目で、夏・冬の育て方のポイントを確認しておきましょう。
夏のポイント
- 日当たり・・・直射日光を避ける
- 置き場・・・風通しがよく比較的涼しいところ
- 水やり・・・頻度を多めに与える(朝と夕方)
冬のポイント
- 日当たり・・・日向~半日陰
- 置き場・・・軒下(もしくは、霜や寒風に当たらないところ)
- 水やり・・・頻度を減らす(午前中)
アジサイ(紫陽花)の増やし方
アジサイの簡単な増やし方は「挿し木」です。挿し木の適期は5~7月で、下準備として長さ10cmほどの茎を用意します。そして下葉は取り除き、上部の大きな葉も水分の蒸発を防ぐために半分にカットします。準備ができたら、以下の手順を参考にやってみてください。
- 育苗用の鉢に小粒の赤玉土を入れ、水をかけて土を湿らせておく
- 下準備で用意した茎を、約1時間水につける
- 1へ植え付け、はじめの3日間は毎日水やりをする。置き場は日陰
- その後は土が乾いたら水を与え、根が出たら鉢上げする
アジサイ(紫陽花)の栽培で注意する害虫・病気
アジサイを育てていて注意が必要な害虫と病気は以下のとおりです。
つきやすい害虫
- ハダニ:夏に発生率が高まる。乾燥したところを好み、葉の裏側にいることが多い。植物の汁を吸う
- アブラムシ:植物の汁を吸い、排泄物から病気が発生する。新芽や葉の裏に潜んでいる
- アザミウマ:夏場に多く発生する害虫で、植物の汁を吸う。花につきやすく、被害にあうと花が綺麗に咲かなくなることがある
- ケムシ:葉や茎を食べてしまう。幼虫のうちに見つけ次第駆除すること
かかりやすい病気
- うどんこ病:カビが原因の病気で、葉や茎に白い粉が発生する。放置しておくと、症状が進み、生育に悪影響を及ぼす
- 斑点病:葉や茎などに1cm程度の中心は灰色、まわりは赤褐色の斑点ができる。そのままにしておくと、その病気に侵されたところは枯れる。葉や茎が密集しているところが病気になりやすい
- 炭そ病:炭そ病もカビが原因で、梅雨の時期に発症しやすい。病気になると、1~2mmの赤褐色の斑点ができる
- 灰色かび病:病気にかかったところは褐色に色が変わり、灰色のカビができる。湿気の多い場所で発生しやすい
- モザイク病:原因はウイルスで、まだら模様ができたり縮れたりする。治らないので、見つけ次第株まるごと処分
アジサイ(紫陽花)の基本情報
属名 | アジサイ属 |
---|---|
学名 | Hydrangea |
科名 | ユキノシタ科(アジサイ科) |
別名 | シチヘンゲ・テマリバナ |
原産地 | 日本・北アメリカ |
草丈 | 2m |
耐寒性 | 強い |
開花時期 | 6~7月頃 |
花色 | 青、紫、ピンク、濃いピンクなど |
花言葉 | 移り気・乙女の愛 |
アジサイ(紫陽花)の育て方のコツを抑えよう!
アジサイは、土の酸性度合いによって花色が変わるのが面白い植物です。酸性やアルカリ性などの言葉が出ると、なんだか管理が難しそうに感じますが、そんなことは全くありません。
また、新しい品種も次々誕生しており、いずれも園芸初心者でも実は育て方や管理は難しくありません。増やすときも挿し木で簡単に増やせるので、ぜひ地植えや鉢植えでアジサイを育ててみてくださいね。
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