イングリッシュガーデンなどでよく見かけるつるバラは、数多くの品種があります。木立ちのバラも綺麗ですが、アーチやフェンスなどに誘引して観賞するつるバラは、お庭などでもひと際存在感を放ちます。つるバラの育て方は木立ちのバラと共通する部分もあり、ポイントを押さえれば決して難しくはありません。
今回は、つるバラの育て方を地植えや鉢植えにわけてについて、初心者にもわかるようにご紹介していきます。
つるバラの育て方のポイント
つるバラは、成長期はとにかく日当たりの良い場所を好みます。できれば半日以上は日光に当てたいため、新苗から栽培する場合は、2年ほど鉢植えで管理してから、地植えにすると良いでしょう。
初心者の方は、フェンスや支柱が立てられるかを考慮した上で育てる場所を決め、大苗を地植えで育てるのがおすすめです。
つるバラを栽培する場所
つるバラは、なるべく日当たりと風通しが良い場所で育てましょう。
特に、生育期に日陰の環境においておくと、花つきも悪くなり、うどんこ病などの病気にかかる可能性もあるため注意してください。
つるバラの土
つるバラの栽培には、水はけが良くて有機質に富んだ用土が適しています。
用土を自作する場合は、「赤玉土(小粒)約6~7:堆肥約3~4」の割合で混合しましょう。そのほか、市販のバラ専用培養土を使用しても構いません。
もし庭土の水はけが悪い場合は、1株あたり10ℓほどの堆肥を多めに混ぜておいてあげると良いでしょう。
つるバラの植え付け
鉢植えの場合
- 2回りほど大きな6~8号くらいの鉢植えを用意します。
- 鉢中に土を半分より少ない程度入れ、土に元肥を混ぜておきます。
- その後、土を徐々に足していき、苗木の植える高さを決めます。
- 苗木の根についた土を落とさないようにしながら、鉢の中心に置きます。
- 苗の周りに土を足します。
- 最後に水をたっぷりと与えて支柱を立てます。
つるバラの鉢替えはやや難しいので、大きめの鉢を用意し、鉢の縁までの高さが約4~5cmほど残るように土を足していくことがポイントです。
地植えの場合
- あらかじめ植える場所の状態を確認した上で、直径約30~50cm、深さ30~50cm程度の穴を掘ります。
- 掘り上げた土は元肥を混ぜておきます。
- 苗木の根に付いた土を崩さないようにして、穴の中心に置きます。
- 地表よりもやや低い位置に土を埋め戻します。
- そのあとに水を十分に与えて土を平らにします。
- 誘引するために草丈くらいの支柱を立てます。
つるバラの水やり
鉢植えの場合は、1年を通して土の表面が乾いてきたらたっぷり水やりをします。一方、地植えはおもに夏の時期など雨が少なく乾燥する場合に水を与えます。
水はけが悪いと根腐れの原因にもなるため、乾燥と湿気のバランスを良くすることで根を良く張らせましょう。また、花や蕾などに水がかかってしまうと病気の原因にもなるため、水やりは株元にするよう心がけましょう。
つるバラの肥料・追肥
つるバラの肥料は、発酵油かすの固形肥料などの置き肥を定期的に与えましょう。なお、生育期間中は、液体肥料を与えても問題ありません。
地植えの場合は、冬の時期に発酵油かすの固形肥料などを施しましょう。
そのほか、つるバラを植え付ける際は、元肥を用土に規定量混ぜ込むと良いでしょう。
つるバラの花の時期
つるバラの主な開花時期は5〜6月中旬頃です(※品種によっては6〜11月頃)。
つるバラはラージ・フラワード・クライマーという系統に分類され、つる性のバラです。一般的なつる性植物のように自然につるが伸びるわけではなく、枝を長く伸ばすのが特徴です。そのため、アーチやオベリスクなどに人工的に誘引して観賞することができます。
つるバラの咲き方は、一季咲き、繰り返し裂きそして四季咲きがあり、花の大きさは小輪から大輪までさまざまです。花色は赤やピンク、白色や複色など実に豊富で、香りは品種によって強いものもあります。つるの伸長は品種によって異なりますが、1年間に約1~6mほど伸びます。
つるバラの手入れ(花がら摘み)
つるバラの花がら摘みは、大切なお手入れの一つです。咲き終わったバラをそのまま放置しておくと病気などの原因になるため、咲き終わりそうなバラは早めに取り除きましょう。
つるバラの植え替え時期
つるバラの植え替え時期は、休眠期である12~3月と梅雨の時期が適期です。
鉢植えの場合
鉢植えの場合は、1~2年に1度の頻度で、2回りほど大きな鉢に植え替えましょう。
地植えの場合
地植えの場合は、新苗を1~2年程度鉢植えで育て、そのあと地面に植え替えることをおすすめします。地植えしたあとの植え替えは不要です。
つるバラの冬越し
つるバラには、耐寒性が強い品種とそうでない品種があります。
マルチングで土の表面を覆うことで防寒対策にもなるので、寒さに弱い品種のつるバラにはおすすめのお手入れです。
つるバラの誘引・剪定
つる性の性質をもつつるバラは、きちんと誘引させることで、バラのアーチや壁などをつくることができます。放っておくだけでは、フェンスに巻きついたりはしないので、気をつけましょう。
つるバラの枝を水平から30度くらいにまで寝かせると、より日光が当たり、花つきが良くなります。
また、翌年にも花をたくさんつけさせるためにも、誘引と同時に剪定を行うのがおすすめです。ただし、樹高2m以上になるような品種の場合は、大々的な剪定は不要です。
風通しをよくし、害虫の発生や病気になるのを防ぐ程度にして、枝の先端を10〜20cmほど切るだけで問題ありません。
鉢植えのつるバラを小さく育てるには?
つるバラを小さく育てるには、花後の剪定をだいたんに行う必要があります。
花が終わったら50cm以下程度に切り、葉が6〜7枚程度になったら枝先も切り戻します。これによって、枝数が増え、花つきもよくなりながらも小さく樹形を保つことができます。
つるバラの増やし方
挿し木
つるバラは「挿し木」などで増やすことができます。
挿し木の場合は、6月または10~11月頃に五枚葉の枝を2節程切り取り、土に挿します。約30~50日で根が生えてきます。
つるバラの育て方で注意すべき害虫・病気
つるバラは、黒星病やうどんこ病にかかりやすい植物です。黒星病は梅雨の時期に最も多く、葉に水がかかると黒い斑点ができて黄化してしまいます。
うどんこ病は春と秋に感染しやすく株が白い粉で覆われてしまい、生育に影響を及ぼします。水やりや肥料の量を調整して、日当たりと風通しが良い環境で育てるよう心がけましょう。
つるバラの育て方を覚えて、キレイな花を咲かせよう!
つるバラは品種が豊富で、花の咲き方や花色などもさまざまです。つるバラのお手入れは決して難しくなく、アーチやフェンスなどに誘引して観賞が楽しめます。
興味があれば、ぜひともご自宅のお庭などでつるバラを育ててみてはいかがでしょうか。
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